ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公の

ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルー
ムメイトが生き残りをかけてあがいております(書籍版
:ダークな乙女ゲーム世界で命を狙われてます)本編残
骸
夢月 なぞる
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︻小説タイトル︼
ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルームメイト
が生き残りをかけてあがいております︵書籍版:ダークな乙女ゲー
ム世界で命を狙われてます︶本編残骸
︻Nコード︼
N5282BJ
︻作者名︼
夢月 なぞる
︻あらすじ︼
ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルームメイト
が生き残りをかけてあがいております。の残骸。
ダイジェスト化禁止によりアルファポリス様に移転しました。
細々、WEB版にて謎にしてしまった部分の番外を上げたい次第。
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0話︵前書き︶
プロローグ的、前日譚。
2
0話
その日、あたしは寮の通信室で電話をかけていた。
高校生にもなって携帯電話を持っていないあたしは、ここの公衆
電話を愛用させてもらっている。
電話は母。近況報告と、新学期からの学用品の費用についての相
談をしていた。
﹁うん、そう。振り込みお願い。ごめんね、余計なお金使わせて﹂
﹃子どもが変な心配しなくていいの! ただでさえ、学費も生活費
も一切かかっていないんだから﹄
母の言うとおり、あたしは私立裏戸学園に奨学金制度を使って進
学していた。
全寮制の学園では学費はもちろん、生活費は奨学金によって賄わ
れている。
﹃それより環、ちゃんと学校でやれている?﹄
母の質問にどきりとする。
はっきり言って、この学園にあたしは馴染んでいるとは言えなか
った。
裏戸学園は日本でも有数の学費が高いと有名な学校で、それに比
例するかのように通う人間の経済力も高い。
そのため、母子家庭で育ったあたしはこの学校で完全に浮いてし
まっていた。
だが、心配かけるだけだとわかっている事だけに本当のことはな
にも言えなかった。
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﹁いやだな。ちゃんとやってるよ。生活態度は真面目だって、褒め
られたこともあるんだから﹂
﹃あなたが、しっかりしてるのはわかっているわ。しっかりしすぎ
て、誰にも頼ろうとしないのがあなたの欠点﹄
さすがは親だな。離れていてもしっかりあたしのだめポイントが
わかってる。
﹃せめて、ルームメイトがいてくれたら、安心できるんだけど﹄
母の言葉にあたしはピンとひらめいた。
﹁それなら、大丈夫だよ。明日、新しいルームメイトがくるってき
いた﹂
本来寮の部屋は二人一組で使うのだけれど、あたしのルームメイ
トは半年以上前に転校してしまい、あたしは寮の部屋で一人暮らし
ていた。
それはそれで気楽なのだが、
﹃あら、そうなの? どんな娘﹄
﹁よく聞いてないけど、同学年の転校生だって﹂
﹃そう、仲良くできるいいわね﹄
母の言葉に、それは望みが薄いのではと思ってしまった。
この学園には階級が存在し、上位は下位の生徒を見下している。
階級には親の経済力などが物をいうもので、奨学生であるあたし
は、最下層と位置づけられている。
そのため、あたしと仲良くしようと考える人など皆無で、あたし
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は周囲に人がいるにもかかわらず、すっかり隠遁するかのような生
活を送っていた。
前のルームメイトも決してあたしと親しくなろうとしなかったし、
おそらく今度の転校生とやらもあまり期待しないほうがよいだろう。
だが、そうは思っても、やはり母にはなにも言えなかった。
出来る限り明るく近況を報告して、受話器をおいた。
母に嘘を付いている罪悪感にため息をついていたら、通信室の扉
が開いた。
﹁ああ、多岐さん。ここにいたのね。明日来る娘についてなんだけ
ど﹂
寮母さんは万が一、自分がいない時に荷物が届いた場合の注意点
などをあたしに話していく。
﹁と、いうことなの。ちょっとあわただしいけど、お願いできる?﹂
﹁はい、大丈夫です。あの、ところで、転校生ってどんな娘なんで
すか?﹂
先ほど母との会話に登場したので、少し気になって聞いてみた。
寮母さんは少し意外そうな顔をしたが教えてくれる。
﹁まだ、一度しか顔合わせしていないけれど、とてもかわいらしい
お嬢さんよ。しかもとても優秀なの。裏戸学園の転入試験は実は入
試より難しいから﹂
﹁へえ﹂
ますます、話があわなさそうだと感じていると、寮母さんが名前
を教えてくれた。
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﹁聖利音さん、というの﹂
﹁⋮⋮聖さんですか﹂
本当にどんな子だろう。とりあえず物静かで、あたしに嫌がらせ
するような人でなければ良いと思った。
たまに最下層ということであたしに嫌がらせをする生徒がいるの
だ。
一年のはじめは本当にひどくて、大変だったけど、今は比較的落
ち着いていた。
この調子で二年以降も乗り切りたいと思っているので、ルームメ
イトはできるだけ目立たない、大人しい人がよい、と思っていた、
あたしはこの学園は自分の夢への通過点と考えしか考えていない。
そのためこの学園での人間関係を重要視していなかった。
早く大学に進学して、できるだけ早く将来の夢を叶えて、働いて、
母に楽をさせたい。
そのための通過点に過ぎない場所での人間関係はできるだけ静か
であればよい。
﹁多分、多岐さんと同じクラスだから、明日のホームルームがはじ
めての顔合わせになると思うわ。できれば寮に一緒に帰ってくれる
と嬉しいけど﹂
﹁それは⋮⋮わかりました。なにもなければ﹂
相手が嫌がらなければ、そのようにしようと請け負うと寮母さん
は嬉しそうに﹁お願いね﹂と笑って通信室を出て行った。
それから、あたしも自室に戻るために通信室を出た。
廊下の端を気配を殺しつつ、進んでいたら、前方から数人の女子
の二人組が何やら盛り上がった様子で歩いてくる。
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すれ違いざま会話が聞こえてきた。
﹁いよいよ、明日は始業式ね。月下騎士の皆様のお顔が見れなくて
休みが長かったわ﹂
﹁ほんと! しかも始業式は新メンバーの皆様が揃っているのよね。
今から楽しみ!﹂
﹁蒼矢会長に、緑水副会長、紅原様に今年度からあの双子の黄土様
が合流するのよね!﹂
﹁皆様、思い浮かべるだけで幸せな美形よねえ﹂
﹁ほんと! 今から楽しみすぎて眠れるかしら?﹂
きゃあきゃあ、とはしゃぐような声の内容にあたしはかつて見た
月下騎士会とよばれる生徒会組織のメンバーの顔を思い浮かべる。
階級制の学園で、最上位である月下騎士会に所属する生徒で、思
い浮かぶ姿は三人。
今年度から会長、副会長、会計を務める三人はアイドルさえも霞
むほどの美形だった。
あたしには会話するどころか目撃することもまれな存在で、容姿
も端麗な彼らにはファンクラブすらついている。
まさに住む世界が違う存在。
これからもまず関わりになることはないだろう。
そんなことを思っていたら、自室についた。
鍵を開けると、誰も迎えることのない部屋が広がる。
あまり物があることが好きではない、あたしの部屋は年頃の女子
に比べれば、かなりそっけない印象だろう。
電気をつけて、あした来るというルームメイトのために開けたス
ペースを見る。
本当にどんな子が来るんだろう。
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期待半分、不安半分。
どんな子が来るとしても、おそらくあたしの学園生活に大きな変
化などないだろう。
﹁ただ、平穏に。何事も無く﹂
それがあたしの願い。
この学園に多くを望まない、あたしの希望。
だが、その期待が裏切られ、まさかあれほどに賑やかな日々にさ
らされることになるとはこの時のあたしは露とも思っていなかった。
突然蘇ったやったことのないゲームの記憶。
幾度と無く襲われる死亡フラグの数々。
それまで見ることすら稀だった人との交流。
世界の秘密。
これから先に待つとんでもない日常など知る由もなく、あたしは
明日に何の期待もせず床についた。
まさかその日が静かな学園生活の命日になるなんて思わずに。
ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルームメイトと
して、これから生き残りをかけてあがいていくなど想像もせず、あ
たしはそっと目を閉じたのだった。
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PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n5282bj/
ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルー
ムメイトが生き残りをかけてあがいております(書籍版
:ダークな乙女ゲーム世界で命を狙われてます)本編残
骸
2016年9月1日05時07分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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