ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時に検討すべき10の事項

ハイパーコンバージド・
インフラストラクチャの
購入にあたって
検討すべき 10 のポイント
By Scott D. Lowe, vExpert
ActualTech Media 共同経営者/共同創業者
2015 年 6 月
目次
目次 ......................................................................................................................................... 2
概要 ......................................................................................................................................... 3
異なるアーキテクチャーのサポートが不可欠 ...................................................................... 4
十分なスケーラビリティが必要.......................................................................................... 5
適切なソリューションはスケーリングが容易 ..................................................................... 6
データの移行機能が重要 ..................................................................................................... 7
複数のハイパーバイザーへの対応が 必須 ......................................................................... 8
データ保護対策が不可欠 ..................................................................................................... 9
レプリケーションでディザスタリカバリをシンプルに ............................................... 10
SLA の達成にはビジネス継続性の強化が必要.................................................................... 11
重要なアプリケーションには高いデータ センターパフォーマンスが必須 .............. 12
ダウンタイムは許されない .............................................................................................. 13
まとめ: ハイパーコンバージド・ インフラストラクチャのメリット ........................ 14
ActualTech Media について ................................................................................................ 15
Hewlett Packard Enterprise について ................................................................................ 15
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ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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概要
あ らゆる規模・業種の企業が、複雑化し続けるデータセンター環境を
シンプルにする方法を模索しています。
その中でも関心が高まっているテクノロジーが、ハイパーコンバージ
ド・インフラストラクチャです。長年にわたり、IT 部門は新たなビジネ
スニーズに対応してきましたが、その一方で、複雑化し続けるデータセ
ンター環境は、抜本的な見直しが行われることもなく肥大化し続けてい
ます。その結果、データセンター環境はかつてないほど柔軟性が低く、
高コストになっています。
本書では、企業がハイパーコンバージド・インフラストラクチャに期待を寄せるように
なった理由について説明します。企業はハイパーコンバージド・インフラストラクチャ
について、複雑化を抑え IT の柔軟性と俊敏性を高め、全体的なコストを削減できる方法
と考えています。 しかし、企業が考慮していない可能性のある、重要なポイントが複
数存在します。 本書では、それらのポイントが重要な理由や、ハイパーコンバージ
ド・インフラストラクチャを最大に活用する方法について説明します。
適切なソリューションを正しく導入すれば、ハイパーコンバージド・インフラストラク
チャは IT 業務を変革できる強力な武器になります。このテクノロジーへの投資から最高
の成果を得るには、ベンダーに厳しい質問を投げかけて、彼らが皆さんのビジネスに貢
献するために必要なものを提供できるかを確認してください。
ハイパーコンバージェンスがデータセンターで利用されるようになったのは比較的最近
であるため、その選定基準はあまり明確ではありません。しかし実際には製品選定前に、
検討すべき重要なポイントがいくつかあります。この後のセクションでは、それらのポ
イントを紹介し、なぜ重要なのかを説明していきます。
著者について
Scott Lowe は ActualTech Media の共同創業者で、共同経営者を務めています。20 年
近くにわたり IT 業界で活動しており、そのうち 10 年間はさまざまな組織で CIO の
役割を果たしました。 何千もの記事やブログ投稿を執筆し、TechRepublic、Wikibon、
VirtualizationAdmin.などのサイトに定期的に寄稿しています。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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異なるアーキテクチャーのサポートが不可欠
当 然ながら、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャを検討し
ている企業の大半は、すでに何らかのデータセンター機器を所有し
ています。ほとんどの企業は、データセンターインフラストラクチャ全
部の入れ替えや、新旧 2 つの独立したインフラストラクチャサイロを運
用することは望まないでしょう。
適切なハイパーコンバージェンスのパートナーを選び、正しく導入すれば、迷う必要は
ありません。 現在市販されているハイパーコンバージド・インフラストラクチャソ
リューションを使用すると、レガシー環境と新しい環境の完全な統合が可能です。 既
存のサーバー/ストレージ資産を新しい環境と共存させられます。このような統合によ
り、現行の更改サイクル内で、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリュー
ションを段階的に導入できるようになります。さらに、ハイパーコンバージド・インフ
ラストラクチャへの投資を増やし続ければ、この強力なアーキテクチャーが備えている
次のような総合的なメリットを強化できます。

個々のデータセンター機能を単一のアプライアンスに統合する。

複数の管理インターフェイスを少数のシンプルなツールに集約する。

モジュール式のリニアなスケーリングにより、小さな単位で、シンプルな拡張
を可能にする。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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十分なスケーラビリティが必要
デ ータセンターソリューションはスケーリングが可能ですが、簡単に
スケーリングできるデータセンターシステムは多くありません。
通常、レガシーなデータセンター環境をスケーリングする場合には、ダ
ウンタイムが発生し、複雑なプランニングや高額なコンサルティングリ
ソースも必要になります。レガシーなデータセンターシステムの設計で
は、スケーラビリティが基本的な機能として備わっておらず、スケーリ
ングのニーズに対応するには複雑なメカニズムを使用する必要がありま
す。
スケーリングの容易さは、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャシステムの大
きな特徴の 1 つです。これらのシステムにはスケーラビリティ機能が標準的に備わって
おり、容易にスケールアウトを実現できます。そのため、極めて柔軟性の高いこれらの
システムは、次の 2 つの重要な目標を達成する上で極めて有効です。

「ジャストインタイム」のデータセンター拡張: 製造業では、高コストな在庫を
削減するため、ジャストインタイムの製造プロセスが長年にわたって使用され
ています。この手法をデータセンターの構築に活用することで、IT 部門は企業
データセンターの投資対収益率を最大化できます。

柔軟なスケーラビリティ: すべてのスケーリングが同じではありませんが、それ
でもシンプルなスケーラビリティは重要です。ハイパーコンバージド・インフ
ラストラクチャソリューションを使用すると、各業務の拡大に合わせて段階的
にシステム拡張ができるため、スケーリングに関して長期的なメリットを得ら
れます。柔軟なスケーラビリティは、将来のシステム拡張に対応できるため、
投資の保護にもつながります。
スケーリング機能は、初めてハイパーコンバージドクラスターを導入した時と同じよう
に実行できる必要があります。インテリジェントなシステムの場合は、スタートアップ
ウィザードが用意されており、新しいリソースを自動検出して、既存のリソースプール
に簡単に追加できます。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションをスケーリングする場合
の最大のメリットは、スケーリング作業が環境に影響を与えない点です。クラスターに
新しいノードを追加した後でも、それまでと同じコンソールを使用して管理できます。
新しい管理インターフェイスは必要ありません。 システムを追加すると、既存のリ
ソースプールが拡張され、ストレージ/ CPU/ RAM/ ネットワーク接続が追加されます。 こ
れにより、管理ツールを変更することなく、全体的なパフォーマンスとストレージ容量
を向上することが可能です。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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適切なソリューションはスケーリングが容易
市 販されているハイパーコンバージド・インフラストラクチャソ
リューションの多くは、サポートできる仮想マシン (VM) の数につい
ての目安を提供しています。たとえば、「最大 100 台の仮想マシンをサ
ポート」などの表記です。この情報を開示することにより、そのソ
リューションがニーズに対してどの程度適しているかを購入者が把握で
きます。スケーリングの容易さは、ハイパーコンバージド・インフラス
トラクチャ製品を購入する際の大きなメリットです。個別のコンポーネ
ントをそれぞれサイジング/テストする必要なく、既存の環境にノードを
追加できます。
最初はこの点が重要に思えないかもしれませんが、客観的に見ると極めて重要です。IT
組織は俊敏な組織への変革に取り組んでおり、そのプロセスでは、あらゆる要素のシン
プルさが重要なポイントになります。長年にわたり IT 組織が配備してきたシステムは、
信じられないほどに複雑になっています。ある時点で、非常に複雑なレガシーIT システ
ムはビジネスの足を引っ張るようになるでしょう (すでに足を引っ張っているかもしれ
ません)。新たなビジネスニーズに複雑なレガシーIT システムで対応することは、極め
て困難だからです。
非常に多くのデータセンターにおいて、IT 管理者はスケーリング作業を管理すべきイベ
ントとして捉えています。これを実施するには、変更指示を処理し、ダウンタイムをス
ケジュール設定し、 IT スタッフを勤務時間外に作業させる必要があります。 ハイパー
コンバージド・インフラストラクチャソリューションでは、IT 管理者はスケーリングを
機能として使用できますので、IT リソースを増やす必要はなく、ビジネスニーズの拡大
に合わせて容易にスケーリングできます。
現在および将来のビジネスニーズに対応できるレベルまでスケーリングする能力は重要
ですが、段階的にスケーリングする能力も重要です。 どの程度の幅でインフラストラ
クチャをスケーリングさせていくか、SMB と大企業では大きく異なります。ハイパーコ
ンバージド・インフラストラクチャソリューションでは、リソースの拡大を適切に調整
できるため、最高の投資対収益率を実現できます。
スケーリングおよびスケーリングとハイパーコンバージド・インフラストラクチャの関
係については、次のような点を考慮する必要があります。

最も厳しい状況を想定したサイジング: 大半の企業は、使われていないデータ
センターリソースが大量に余っている状態を好みませんが、予測されるピーク
時のキャパシティに対応できるようにインフラストラクチャをサイジングする
ことは重要です。 データセンターの規模が小さすぎるせいでビジネスが停止す
る事態は、誰も望んでいないからです.

適切なオーバーヘッド: 最適なビジネス環境とは、堅牢性が高く、クラスター内
のノードが一定数失われても耐えられるような環境です。
ハイパーコンバージド分野のソリューションの中には、ハイパーコンバージド・インフ
ラストラクチャとは言い難いものがあることも理解しておく必要があります。レガシー
ストレージベンダーが提供している一部のソリューションは、データセンターの問題に
対して、いまだにストレージを中心としたアプローチをとっています。その場合、ス
ケーリングの取り組みをストレージリソースだけに行い、同等に重要なコンピューティ
ング/RAM/ネットワークリソースに対して十分に配慮せず、極めて非効率なシステムに
なる場合があります。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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データの移行機能が重要
デ ータセンター内のあらゆるシステムを常に利用できる状態にするこ
とは、現実的には不可能です。 99.999%という可用性目標は単独の
デバイスでは達成できませんが、全体的なデータセンターアーキテク
チャーの構築方法を工夫すれば達成できます。さまざまな目的で、一部
のシステムは必ずオフラインにされる期間があります。そのため、購入
を検討しているハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリュー
ションについては、データの分散配置機能が有り、個々のデバイスが停
止してもサービスが継続できる事を確認する必要があります。
最新のソリューションには、次のような機能が備わっています。

ハイパーコンバージドプラットフォームと他のシステム間でデータを移動する
機能: 可能な限り幅広いテクノロジーを導入できるようにするため、このデータ
移行機能は特定のハードウェアに依存しないように考慮する必要があります。

コンサルティングなしで実行できるデータ移行: ソリューションは、さまざまな
ハードウェアの種類をサポートする必要性があります。また、ベンダーによる
カスタムコンサルティングを受けずとも、管理者がデータ移行を実行できる必
要があります。

多数のマシンに単一のインフラストラクチャで対応: ハイパーコンバージド・イ
ンフラストラクチャの目標は、インフラストラクチャをシンプルな構造に統合
し、管理コンソールを集約して、データセンターを合理化することです。ま
た、異なるシステムを単一のツールで管理できるようにする機能も必要です。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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複数のハイパーバイザーへの対応が 必須
ハ イパーバイザーのサポートに関しては、組織のニーズによって「正
解」が異なります。すべての組織が複数のハイパーバイザーをサ
ポートするソリューションを必要としているわけではありません。
しかし、複数のハイパーバイザーをサポートしていれば、自分が使用し
ているハイパーバイザーがサポート対象になる可能性が高まります。た
とえば、企業で Hyper-V を使用しているとします。VMware のみをサポー
トしているハイパーコンバージドプラットフォームは多数存在しますが、
Hyper-V のサポートを必要としているこの企業にとっては役に立ちません。
ただし、単一のハイパーバイザーしかサポートしていないハイパーコンバージド製品の
ベンダーも、製品ロードマップ上で他のハイパーバイザーのサポートを予定している場
合が少なくありません。 そのため、市場の製品を継続的に調査して、ハイパーバイザー
のサポートが改善されたかどうかを確認することが重要です。
また、各種のコンバージェンステクノロジーがどのようにハイパーバイザーをサポート
しているかを理解することも重要です。ストレージ管理機能がオペレーティングシステ
ムのカーネルに統合されている、いわゆるハイパーバイザーコンバージドのソリュー
ション (一部の VMware 専用システムなど) については、別のハイパーバイザーをサポー
トする可能性は少ないでしょう。一方、仮想ストレージアプライアンス (VSA: 特定のノー
ドのストレージだけを管理する仮想マシン) が利用されているソリューションは、他のハ
イパーバイザーのサポートがはるかに容易です。
実際、ハイパーコンバージドソリューションの多くは、複数のハイパーバイザーのサ
ポートに適した設計になっています。これは、現時点では単一のハイパーバイザーしか
サポートしていないソリューションにも当てはまります。ハイパーコンバージド・イン
フラストラクチャのベンダーは、最初の製品を開発する際に将来性を考慮している場合
が少なくありません。 そのようなベンダーは、単一のハイパーバイザー (VMware vSphere
など) 用にすべてをハードコードせず、抽象化レイヤーを組み込んでいます。抽象化レイ
ヤーは比較的簡単に拡張できるため、市場ニーズの変化に合わせて追加のハイパーバイ
ザーに対応できます。 当初は単一のハイパーバイザーのみに焦点を合わせていますが、
製品の設計としては幅広いハイパーバイザーをサポートできるのです。現在市販されて
いるハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションの大半で、複数のハ
イパーバイザーがサポートされるようになるでしょう。
重要なのは、現在だけでなく将来にわたっても組織のニーズに対応できるシステムを選
択することです。ソリューションは、移行期間中あるいは恒久的に、レガシーなシステ
ムと共存できる必要があります。なお、この点に関しては、市販されている大半のシス
テムが同様の設計になっています。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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データ保護対策が不可欠
デ ータ保護と言っても、様々な手法が存在します。サーバー内のデバ
イスを使ってローカルに行うデータ保護手法としては、RAID カード
やデータのミラーリングなどがあります。一方、より包括的なデータ保
護手法としては、従来型のバックアップやディスアスタリカバリーがあ
ります。
データ保護サービスには、次のようなさまざまな状況に対する保護が含まれます。

ハードウェア故障: 可動部のある機器は、いつかは故障します。 可動部のない
機器でも故障する可能性はあります。 つまり、ハードウェアは故障するものな
のです。何十年にもわたり、ハードウェア故障時のデータ損失を防ぐために、
RAID コントローラーなどのデバイスが使用されてきました。

ヒューマンエラー: あらゆる組織において、問題が発生する主な原因はヒューマ
ンエラーであり、IT 組織も例外ではありません。 データ保護サービスが存在し
ている理由の 1 つは、ヒューマンエラー (ファイルの削除、VM の削除、さらに
深刻なエラーなど) の発生時に迅速なリカバリを実現することです。

天災/人災: 台風、竜巻、暴動など、危機的な状況の発生は、停電やデータセン
タ機能の部分的/全体的喪失につながります。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションでは、データ保護に関す
るサポートや機能レベルに大きな幅があります。 市販されているソリューションの大
半には、少なくともハードウェア故障については対策が施されていますが、さらに高度
なデータ保護を実現しているソリューションもあります。

RAID またはミラーリング: ローカルデータ保護を実現し、ローカルハードウェ
アの故障やヒューマンエラーから保護します。

シングルサイトレプリケーション: 複数のシステムにわたってデータをコピーす
ることにより、ハードウェア故障に対する保護を強化します。

サイト間レプリケーション: システム全体やデータセンター全体が利用不能に
なった場合でも、ビジネス活動を継続できるようにします。

包括的なディザスタリカバリ機能: セカンダリサイトでミッションクリティカル
システムをリカバリする際に必要となるワークフローを自動化することで、マ
ルチサイトレプリケーション機能を強化します。 ディザスタリカバリおよび事
業継続性システムについては、データ保護よりさらに進んだ段階と考えられて
います。 本書の最後の 3 つの考慮事項は、これらのポイントに焦点を合わせて
います。
このような背景から、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャを評価する際には、
総合的なデータ保護/事業継続性についても十分に検討すべきです。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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レプリケーションでディザスタリカバリを
シンプルに
ロ ーカルノードのハードウェア故障に対しては、すべてのソリュー
ションが RAID やミラーリングなどの保護メカニズムを備えています。
レプリケーションを使用すると、ノード障害や他のハードウェア障害に
対しても保護を実現できるため、データ保護を強化できます。
レガシーシステムでは、データ保護の目的から RAID が使用されてきました。 RAID では、
システム内のディスクが一定数失われても耐えられます (選択した RAID レベルによって
異なります)。ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションでレプリ
ケーションを使用すると、クラスター内のノード全体が失われても対応可能です。 こ
れらのシナリオでは、レプリケーションファクターと呼ばれる全体的な耐障害性機能に
より、データのコピーが 2 つ以上のノードに保存されます。2 ウェイレプリケーション
(ミラーリングに類似) では、元データの他に、データのコピーが 1 つ作成されます。3
ウェイレプリケーションでは、元データの他に、冗長コピーが 2 つ作成されます。3
ウェイレプリケーション構成の場合は、クラスターで複数のノードが失われても耐えら
れます。そのまま運用を続けられ、データ損失も発生しません。
2ウェイ/3ウェイレプリケーションはリアルタイムに実行されるため、同期レプリ
ケーションと呼ばれます。実際、ノード障害の保護対策としてレプリケーションを使用
しているハイパーコンバージド・インフラストラクチャシステムでは、すべてのデータ
のコピーがクラスター内のさまざまな場所に書き込まれるまで、データ書き込み完了が
アプリケーションに通知されない場合が一般的です。
なお、レプリケーションが使用されるのはローカルクラスターだけではなく、 さらに
大きな規模でビジネス継続性を実現するための基盤にもなります。WAN 回線を通じて複
数のサイト間でレプリケーションを実行するサービスは、非同期レプリケーションと呼
ばれます。リアルタイムではありませんが、ベストエフォートでリモートサイトへの複
製が実行されます。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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SLA の達成にはビジネス継続性の強化が必要
ビ ジネスにおいては、何らかのイベントによって正常な運用が阻害さ
れた場合でも IT リソースを利用できる必要性が高まっています。
そのようなイベントには、天災、人為的な破壊行為、単純な誤操作など
が含まれます。
共有ストレージシステムがデータセンターの中核となった背景には、多数の理由があり
ます。 共有ストレージシステムは、ビジネスで必要な機能のすべては提供できないと
しても、ほとんどの状況で有効に活用できるでしょう。 ストレージシステムは耐障害
性に配慮した設計になっており、冗長ハードウェアデバイスによってシステム全体とし
ての可用性を維持します。
しかし、ストレージシステムも完璧ではないため、データの可用性を維持するには堅牢
なバックアップソリューションが不可欠です。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションを評価する際には、デー
タ保護機能がシステムに組み込まれており、追加ソフトウェアを購入する必要がないこ
とを確認しておく必要があります。その目的は、コスト管理の改善と複雑性の軽減です。
また、製品に含まれているデータ保護メカニズムは、ディザスタリカバリ/データ保護
ポートフォリオの一部として、包括的な事業継続性を実現できる必要があります。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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重要なアプリケーションには高いデータ
センターパフォーマンスが必須
ハ イパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションを導入
すると、さまざまなメリットを得られます。
しかし、そのソリューションのパフォーマンスレベルがビジネスクリ
ティカルワークロードのニーズに対応できない場合、データセンター環
境での使用には適していません。ただし、パフォーマンスはプロセッサ
の処理速度だけの問題ではありません。近年、特に多くのデータセン
ター管理者が直面しているのは、「ストレージパフォーマンス」の課題
です。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャソリューションは、エンタープライズク
ラスのパフォーマンスを備えている必要があります。そのため、要求に応じてフラッ
シュおよび HDD をサポートできなければなりません。それぞれに長所と短所があるた
め、両方をサポートするのが理想的です。 高速なデータアクセスを実現するには、ス
トレージシステムが自動で階層化できる必要があります。また、データの読み込みを高
速化する手法は最低限必要です。この点については、ソリューションごとに対応状況が
異なっています。
パフォーマンスの確保は重要です。ハイパーコンバージド・インフラストラクチャに
よってデータセンターを容易に管理できるようになりますが、全体的なパフォーマンス
を犠牲にしてはいけません。 広範なパフォーマンステストを実施しているベンダーの
ソリューションを選択する必要があります。パフォーマンステストには、総合的なス
ループットおよび IOPS のテストや、各ノードで実行できる仮想マシン収容数の確認な
どが含まれます。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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ダウンタイムは許されない
の可用性を必
現 在では、中小企業でも「ファイブナイン」(99.999%)
要としています。これは、年間ダウンタイムで 5 分強に相当します。
しかし、レガシーなデータセンターの多くは、この可用性レベルの達成
が困難であるケースが、往々にしてあります。その背景には次のような
理由があります。

ベンダーの相互運用性の問題: データセンターの機能停止などの障害が発生した
際に、複数のベンダーが互いを非難し合う状況は誰も望んでいません。また、
異なるベンダーのシステムを非常に細かく規定された環境でしか相互運用でき
ない状況も好ましくありません。ソリューションの動作条件が厳しいほど、継
続的な運用は困難になります。

エンドツーエンドで可用性を実現するメカニズムの欠如: データセンター内で孤
立したリソースが増えるほど、すべてのリソース間で高可用性を確保すること
が困難になります。

全体的な複雑化: 前述のように、複雑化はデータセンターにおける深刻な問題に
なっており、アプリケーションの可用性に悪影響を及ぼす可能性があります。
高度な可用性を実現するには、ベンダーが次のような全体的なシステム設計について詳
細に考慮する必要があります。

容易なスケーリング: システムのスケーリング時にダウンタイムが発生する場合
や、システムが複雑すぎて容易にスケーリングできない場合は、ダウンタイム
の回避がほぼ不可能なため、可用性が損なわれます。

管理の簡素化: 管理作業が複雑な場合、システム管理時のヒューマンエラーが増
加する可能性があります。管理を簡素化すれば、ヒューマンエラーのリスクが
減少し、可用性の課題に対処できるようになります。

スケールアウト型ストレージ: ストレージは、データセンターにおいて特に課題
の多いリソースです。ストレージソリューションを選択する際は、ストレージリ
ソースとデータセンター内の他のリソースに対して、スケールアウト型アーキテ
クチャーが採用されていることを確認してください。スケールアウト型アーキテ
クチャーでは、データセンター内で共有されている要素が非常に少ないため、
ハードウェア故障によって広範囲に障害が発生する可能性を低減できます。
最新のデータセンターは、事業継続性に強みを持つハードウェア/ソフトウェアソ
リューションを基盤とする必要があります。 ハイパーコンバージド・インフラストラ
クチャソリューションを検討する際は、次の点を確認してください。

ノードの喪失への対応: 前述のスケールアウト手法は、ノードが失われても耐え
られる環境を実現する上で重要な要素です。

クラスターの耐障害性の確保: RAID アレイ、個別のドライブなどが失われても耐
えられることを確認してください。

自動フェイルオーバーメカニズムの実現: 真の高可用性を実現するには、自動
フェイルオーバーメカニズムを構成してください。これにより、システムの機
能停止が発生した場合、もう一方の環境に業務ワークロードを移行し、事業を
継続することができます。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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まとめ: ハイパーコンバージド・
インフラストラクチャのメリット
デ ータセンター環境へのハイパーコンバージド・インフラストラク
チャの導入を検討する背景には、多数の理由があります。しかし、
主に期待されている成果はシンプル化であり、そのメリットはさまざま
な形で活用できます。また、ハイパーコンバージド・インフラストラク
チャソリューションにはこのほかのメリットも備わっており、その魅力
を高めています。

リソースサイロの解消: ハイパーコンバージド・インフラストラクチャにより、
IT 組織はデータセンター内に構築されたサイロを解消できます。これによって、
企業はデータセンターへの投資を最大限に活用できるようになり、複雑性の軽
減、成長/規模拡大の推進が可能になります。

柔軟性と俊敏性の向上: ハイパーコンバージド・インフラストラクチャを使用す
ると、データセンターに対してレガシーベースのアプローチを採用した場合よ
りも、IT 組織の柔軟性と俊敏性を高められます。

環境のオープン性: ハイパーコンバージド・インフラストラクチャでは、データ
センター環境にオープンなアプローチで取り組めるため、OpenStack などの最新
ツールを容易に導入できます。また、仮想化を新たなレベルに引き上げるコン
テナーテクノロジーも使用できます。
ハイパーコンバージド・インフラストラクチャの購入時期に関する主要な 10 の考慮事項
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