Komori_Lab. ターボ分子ポンプに代替可能な、 安価で高性能な真空排気ポンプ 九州工業大学 大学院工学研究院 先端機能システム工学研究系 教授 小森望充 Komori_Lab. 研究背景 真空装置の必要性 真空技術 真空ポンプ及び付属部品の国際市場統計 市場区分 吸引,吸着,成型,置換,保存,乾燥, 蒸留,濃縮,脱気,成膜,断熱,冷却 半導体,薄膜製造,化学,医薬,食品 億US$ 半導体 9.9 一般工業 3.1 化学医薬食品生産 3.1 計測関連機器 2.9 薄膜製造 2.6 その他 4.4 合計 26 Komori_Lab. 真空ポンプ構造 高速で回転翼を回転させると,ガス分子が回転翼にぶつかり下 に弾き飛ばされ,さらに1段下の回転翼でさらに弾き飛ばされる。 これを繰り返し圧縮され排気口に押しやられる。 Komori_Lab. 従来技術とその問題点 一般の高真空排気ポンプにおいて,排気が 難しいガスは水分子である。 ターボ分子ポンプは水分子の排気速度が高 くない。 そこで極低温で水分子を凝縮・吸着排気する コールドトラップをターボ分子ポンプの吸気口 に取り付けて,排気速度を向上させている。 この方法は,コスト面で高くなる。 Komori_Lab. 超電導磁気軸受(SMB)のメリット 非接触のためクリーンな真空 メンテナンスフリー 省エネルギー 構造が簡易 Komori_Lab. 超電導磁気軸受(SMB) 超電導体に永久磁石の磁場がピン止めされる。 Displacement[mm] ピン止めにより上下左右どの方向に動いても 復元力が生じ,安定状態で浮上する。 超電導体 N N S S 0.02 0.01 0 -0.01 -0.02 0 500 1000 1500 2000 Time[ms] ピン止め力 (復元力) ばね定数 k [N/m] 減衰定数 c [N・s/m] 12990 4.46 Komori_Lab. 新技術の特徴・従来技術との比較 超電導軸受を用いることによって,ターボ分 子ポンプと同等の高速回転に成功した。 超電導軸受の低温状態を用いることによって, 水分子の吸着排気が実現できる。 拡散ポンプと同程度の価格で,ターボ分子ポ ンプ以上の排気能力が実現できる。 Komori_Lab. 想定される用途 ターボ分子ポンプの代替に利用できる。利用 分野として,ターボ分子ポンプが多用される 半導体製造産業や精密機器製造業など。 拡散ポンプの代替に利用できる。拡散ポンプ の運転に必要な液体窒素を用いて,ターボ分 子ポンプ以上の性能が期待できる。 また、宇宙分野での,ジャイロや低温機器の 真空排気装置などにも利用できる。 Komori_Lab. 運動解析(SMB1個,ピボット軸受) モデル1 192mm • • • SMB(上) ピボット軸受部では振動が非常に小さい。 ピボット軸受から離れるにつれて振動が 増加している。 ピーク振動は1.5×10-3mmである。 Displacemennt[10 -3mmp-p] ピボット軸受 速度-振動特性 2 ピボット軸受 1.5 タービン 1 SMB 0.5 0 1000 4000 7000 10000 13000 Rotational speed[rpm] 16000 19000 Komori_Lab. 運動解析(SMB2個,ピボット軸受) モデル2 232mm SMB(上) SMBを2個にすることにより 振動をより抑えられている。 Displacement[10 -3mmp-p] ピボット軸受 SMB(下) 速度-振動特性 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 1000 ピボット軸受 SMB(下) タービン SMB(上) 4000 7000 10000 13000 Rotational speed[rpm] 16000 19000 Komori_Lab. 運動解析(SMB2個) モデル3 232mm SMB(上) ロータ下部の振動は増加しているが 振動のピークは減少している。 Displacement[10 -3mmp-p] SMB(下) 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 1000 速度-振動特性 ロータ下部 SMB(下) タービン SMB(上) 4000 7000 10000 13000 Rotational speed[rpm] 16000 19000 Komori_Lab. 実験装置 真空チャンバー内 超電導磁気軸受 大気 液体窒素流入管 液体窒素出口 仕様 永久磁石 (φ 24mm×φ 8mm×4,25mm)×4個 最大表面磁束密度:0.67T 超電導体 Dy1-Ba2-Cu3-Ox φ 48㎜×φ 25.6㎜×15㎜ 液体窒素入口 モータ ピボット軸受 ロータ質量 590g モータ 3相ブラシレス永久磁石同期型 サーボモータ 真空度(実験時) 100Pa Komori_Lab. 回転実験(SMB2個,ピボット軸受) 4,000rpm 0.2 上 下 0.1 0 -0.1 -0.2 0 50 100 150 200 Displacement[mm] Displacement[mm] 1,000rpm 0.2 上 下 0.1 0 -0.1 -0.2 0 Time[ms] 20 40 60 Time[ms] Displacement[mm] 8,000rpm 0.2 上 下 0.1 0 -0.1 -0.2 0 10 20 Time[ms] 30 ロータ下部ではどの速度においても 振動が抑えられていたが上部では 共振時に0.3mmの振動が発生した。 Komori_Lab. 回転実験(SMB2個) 5,000rpm 0.1 上 下 0.05 0 -0.05 -0.1 0 50 100 150 200 Displacement[mm] Displacement[mm] 1,000rpm 0.1 上 下 0.05 0 -0.05 -0.1 0 Time[ms] 10 20 30 40 50 60 Time[ms] Displacement[mm] 20,000rpm 0.1 上 下 0.05 0 -0.05 -0.1 0 2 4 6 Time[ms] 8 10 共振時に0.2mmの振動が発生したが それ以外では振動を抑えることができ 20,000rpmまで回転することができた。 Komori_Lab. 0.15 0.1 0.05 0 -0.05 -0.1 -0.15 0.15 0 0.1 0.05 0 -0.05 -0.1 -0.15 20000 0 50 100 Time[s] 150 200 下 Displacement[mm] 上 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 -0.02 -0.04 -0.06 -0.08 -0.1 上 下 0 50 15000 100 Time[s] 150 200 回転速度 10000 Displacement[mm] Rotational speed[rpm] Displacement[mm] Displacement[mm] フリーラン測定(SMB2個) 0 0 50 100 Time[s] 150 200 20 30 40 Time[ms] 50 60 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 -0.02 -0.04 -0.06 -0.08 -0.1 上 下 0 5000 10 10 20 30 40 Time[ms] 50 60 Komori_Lab. 実用化に向けた課題 現在、超電導軸受を用いて,タービン翼(市 販品)を20000rpmの高速回転に成功してい る。実用化には更なる高速回転が必要であ る。 コールドトラップに関する効果については,実 験的な検証が必要である。 実用化に向けて、本発明を用いた真空排気 ポンプのプロトタイプを作製し,性能評価を行 う必要もあり。 Komori_Lab. 企業への期待 真空装置・断熱装置の技術を持つ企業との 共同研究を希望。 ターボ分子ポンプを開発中の企業、拡散ポン プを開発中の企業,真空装置分野への展開 を考えている企業には、本技術の導入が有 効と思われる。 Komori_Lab. 本技術に関する知的財産権 発明の名称 :真空排気ポンプ 出願番号 :特願2009-184795 出願人 :九州工業大学 発明者 :小森望充、原啓城 Komori_Lab. 構造物の腐食鉄筋を簡便,安価, 安全に診断できる非破壊評価技術 パルス着磁という新しい手法に基づく 鉄筋の位置、かぶり、太さを同時測定可能 コンクリート構造物以外の非破壊検査に応用 パルス着磁を用いることで、装置の小型化 Komori_Lab. 鉄筋の磁束分布(Y,Z方向) Y=14 Y=14 Y=10 Y=10 Y=6 Y=6 Y=2 Y=2 Y[cm] X[cm] Y=14 Y=14 Y=10 Y=10 Y=6 Y=6 Y=2 Y=2 Y[cm] X[cm] X[cm] (a)Φ8mm (b)Φ12mm Y=-14 100 90 80 70 Φ [gauss] 0 Y=-14 60 Y=-10 50 Y=-10 40 Y=-6 30 Y=-6 20 Y=-2 10 Y=-2 100 90 80 70 60 50 40 30 20 0 10 Y[cm] Φ [gauss] Y=-14 100 90 0 X[cm] 80 Φ [gauss] 70 Y=-14 60 Y=-10 50 Y=-10 40 Y=-6 30 Y=-6 20 Y=-2 10 Y=-2 100 90 80 70 60 50 40 30 20 0 Φ [gauss] 10 Y[cm] Komori_Lab. 鉄筋深さの理論値と実験値との比較 15 14 実験値[cm] 13 12 11 10 Φ 12mm Φ 10mm Φ 8mm 9 8 7 7 8 9 10 11 12 理論値[cm] 13 14 15 Komori_Lab. 想定される用途 鉄筋コンクリート構造物(例えば、道路、鉄道 などの橋脚、ビルの柱、電柱)などの位置検 査、腐食検査、破断検査など。 プラントにおいて断熱材などで覆われた鉄筋 配管などの腐食評価。 従来技術では評価できなかった構造物の非 破壊検査も可能と思われる。 Komori_Lab. 産学連携等の経歴 2006年度 JSTシーズ発掘試験に採択 鉄筋構造物の新原理非破壊検査方法の開発 2007年度 JSTシーズ発掘試験に採択 超電導軸受式ターボ分子ポンプの開発 2009-2011年 文部省科学研究費(一般C)採択 人工心臓用ポンプのための1軸制御浮上型 モータの試作 Komori_Lab. お問い合わせ先 国立大学法人九州工業大学 産学連携推進センター知的財産部門 TEL 093-884-3499 FAX 093-884-3531 e-mail [email protected]
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