【2016年8月17日公開】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ YJFX!特 別 レ ポ ー ト 『米ドル/円下降シナリオ! 95 円台への挑戦』 執筆者:YJFX!FXエバンジェリスト ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ●「米ドル/円」の 2016 年 8 月の値動き 8 月に入ってからの「米ドル/円」は、102.16 円で始まり、高値が 8 月 2 日(火)の 102.83 円、安値も同日の 100.65 円で、その後の動きは小幅となりそのレンジ内で推移している(8 月 15 日(月)執筆時)。まさに夏季休暇モードであるが、今年は 6 月に英国の EU 離脱を問 う国民投票で、まさかの EU 離脱、そして 7 月は日米欧の金融政策に注目が集まった。最大 注目の日銀は、追加緩和をおこない、ETF の買い入れ額を約倍増、そして参議院選の与党勝 利による経済対策 2.8 兆円となったが、マーケットはその内容に満足せずに、月足ベース では、連続陰線となり、イベントが目白押しのなか、多少疲れ気味だったのかもしれない。 ●「米ドル/円」8 月以降の注目材料 「米ドル/円」の 8 月以降の上げ材料としては、やはり米国の利上げが年内に実施される ことであり、その条件としては、主要国の株価の安定と米国経済の安定が不可欠である。 米国の雇用・労働面では、5 月こそ雇用統計における非農業部門雇用者数が 3.8 万人とサプ ライズで悪い発表であったが、6 月が 28.7 万人、そして 7 月が 25.5 万人と好調な発表が続 いている。これに消費面の指標が好調となれば、年内利上げの可能性が高まる。また、日 本においては、与党勝利による安倍政権における、アベノミクス再起動において、日経平 均株価の上昇と円安誘導となれば、 「米ドル/円」上昇の強い要因となりそうだ。 下げ要因としては、上げ材料の逆で、米国の年内利上げが遠のき、アベノミクスによる経 済対策の空振り、日銀追加緩和の手詰まり、そして英国 EU 離脱による経済不安の再燃など が考えられる。 ●「米ドル/円」95 円台へのシナリオ 上げ要因と下げ要因を大まかに列挙したが、上げ要因としては、建設的な何かが必要で あり、下げ要因に関しては、思惑的な要因で起きうる要素が大きい。しかしながら、不安 要因である負の思惑は、増幅しやすいものである。現在、金融マーケットの中で日経平均 株価と「米ドル/円」に関しては、値下がり時に連動しやすくなっていて、負のスパイラル を抜け出せない状況となっている。この負のスパイラルが解消しない限りは、日経平均株 価と「米ドル/円」の上昇は難しい。つまり、アベノミクス再起動による両者の上昇は起こ りにくくなっていて、米国経済指標が好調であっても「米ドル/円」上昇に関しては、足を 引っ張り続けているというのが現状である。また、 「米ドル/円」の売り手としては 100 円 割れに対する介入警戒感があり、不用意に地雷を踏みたくないという思惑が更なる「米ド ル/円」売りを起こしてはいないが、介入に関しては日銀単独介入のみでマーケットを支え ることは不可能であり、欧州株や米国株が堅調に推移しているタイミングでは、協調的な 介入が行われる可能性も低いと予測する。 これらのシナリオをベースに考えると、特に米国の年内利上げの可能性が薄れた時点での 100 円割れはそれ程遠くないと予測する。今月は、意外とノーマークかもしれないが、8 月 25 日(木)~27 日(土)にかけて、米国ワイオミング州ジャクソンホールで、カンザスシ ティ連銀主催の経済シンポジウムが開催される。この会議には、世界各国から中央銀行総 裁・政治家・学者・エコノミストが参加し、過去には、各国の金融政策に影響を与えたこ ともある。昨年欠席したイエレン FRB 議長だが、今回は参加する予定となっていて、もし 米国における年内の利上げに否定的な発言・内容になれば、100 円割れの引き金になるかも しれない。 仮に、 「米ドル/円」が 100 円を割り込んだ場合は、2011 年 10 月につけた安値 75.57 円から 2015 年 6 月につけた 125.85 円の上げ幅に対する 61.8%戻しである「94.78 円」レベルまで の下落の可能性が高まると予測する。 95 年以降の「米ドル/円」に関していえば、大きな上昇トレンドが 4 回発生(98 年・02 年・ 07 年・15 年)し、その後一定期間下落トレンドを形成している。その下落幅は上昇幅に対 し、99 年は 68.3%、04 年は 98.2%、11 年は 217.3%の下落となっていて、今年 6 月 24 日(金) の安値 98.90 円は、昨年の高値 125.85 円に対し 53.5%しか下落していない。過去に全てが あてはまるわけではないが、90 円、80 円のレベルだとしても、過去にあてはめると不思議 ではなくなるのである。 (2016 年 7 月 13 日 12:00 執筆) (2016 年 8 月 15 日(月)執筆) -------------------------------------------------------------------------------【執筆者: YJFX!FX エバンジェリスト 遠藤寿保】 98 年日本初の FX 事業開始から Web 広告やセミナー運営、リスク管理啓蒙など FX 業務全般 に携わる。数多くの一投資家と接しながら、現在 YJFX!にて FX エバンジェリストとして情 報配信、FX コラム執筆・セミナー活動等を行っている。 ▼FX エバンジェリスト遠藤寿保 ブログ『なっとく FX 』は以下アドレスより日々更新中。 http://fxevangelist.tumblr.com/ -------------------------------------------------------------------------------【本レポートの趣旨】 本レポートはワイジェイFX株式会社より発行しているレポートであり、情報提供のみを目 的としております。本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、ワイジ ェイFX株式会社にレポート中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示 的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。 また、本レポート内のコンテンツ、データに関する著作権はワイジェイFX株式会社に帰属 しております。コンテンツ、データ等は私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピ ー等はおやめください。 さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、ワイジェ イFX株式会社は一切責任を負いません。 最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。
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