日日の演習 酸化・還元 Cr(クロム) vol2 1 [神戸大] 5 種類の金属イオン

日日の演習
1
酸化・還元 Cr(クロム)
vol2
[神戸大]
5 種類の金属イオン Cu2+、Al3+、Ag+、Fe3+、Cr3+を含む水溶液がある。それぞれの金属イオンを分離・検出するため
に、次の操作を行った。
操作 1 水溶液に塩酸を加え、沈殿[a]とろ液[b]に分離した。
操作 2 沈殿[a]にアンモニア水を加えたところ、沈殿[a]は溶けて無色の水溶液となった。
操作 3 ろ液[b]に水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加え、沈殿[c]とろ液[d]に分離した。
操作 4 沈殿[c]にアンモニア水を過剰に加えたところ沈殿[c]に一部は溶解したので、沈殿[e]とろ液[f]に分離した。
操作 5 沈殿[e]を塩酸に溶かし、試薬 X の水溶液を加えると濃青色の沈殿が生じた。
操作 6 ろ液[d]に過酸化水素水を過剰に加え煮沸した。十分煮沸して過剰の過酸化水素を除去したのち冷却し、硝酸を加
えて酸性にしたところ溶液の色が黄色から赤橙色に変化した。アンモニア水を加えて、塩基性とし、沈殿[g]とろ液
[h]に分離した。
操作 7 ろ液[h]を酢酸で中和し、酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると沈殿が生じた。
1 沈殿[e]、[g]の化学式を記せ。
2 操作 2 で起こる変化を化学反応式で示せ。
3 ろ液[f]に含まれている錯イオンの名称と化学式を書け。
4 試薬 X として適切なものは何か、化学式を書け。
5 操作 7 で生じた沈殿の化学式と色を書け。
6 下線部のイオン反応式を書け。
2
Pb=207
ある合金の中に含まれている鉛を分析するために、0.400g の合金試料を酸で完全に溶解させ、100mL の試料溶液を作っ
た。この試料溶液 10.0mL を K2Cr2O7 溶液 10.0mL に加えたところ 1 黄色沈殿が生じた。これを 2 ろ過して得られた溶液に
KI 水溶液を十分に加えて I2 を遊離させ、生じた I2 を 0.100mol/L の Na2S2O3 溶液で滴定したところ 8.85mL 要した。一方、
上で用いた K2Cr2O7 溶液 10mL を同じように滴定すると、0.100mol/L の Na2S2O3 溶液 10.25mL 要した。
チオ硫酸ナトリウムとヨウ素とは次のように反応する。
I2+2Na2S2O3 → 2NaI+Na2S4O6
1 下線部の化学式を記せ。
2 下線部の反応をイオン反応式で記せ。
3 この合金に含まれている鉛の質量百分率を求めよ。
日日の演習
1
COD
[07 北大(改)]
化学的酸素要求量(COD)は水質を評価する指標のひとつで,河川などの水1L に含まれる有機物を酸化するときに要し
た酸化剤の物質量を,O2 の物質量に換算し,O2 の質量で表したものであり,単位を mg/L で表す。実験としては,まず河
川水に含まれる有機物を,酸化剤を過剰に加えて酸化する。次に,初めに加えた酸化剤と過不足なく反応する量の還元剤
を加える。さらに,酸化剤で余分の還元剤を滴定することにより,有機物を酸化するときに要した酸化剤の量を求める。
そこで,COD を求めるために実験1~実験3を行った。
(実験1)
検査する河川水 20mL を
(a)
を用いて正確に三角フラスコにはかり取り,純粋な水を加え約 100mL とした。
6molLl の硫酸 10mL と1mol/L の硝酸銀水溶液 5mL を加えた。5.00×10-3mol/L の過マンガン酸カリウム水溶液 10mL を
を用いて正確にはかり取り加えた。溶液の入った三角フラスコを沸騰した水浴上で 30 分間加熱した。さらに,
(a)
1.25×10-2mol/L のシュウ酸ナトリウム水溶液 10mL を
(a)
を用いて正確にはかり取り,三角フラスコに加えた。
(実験2)
三角フラスコ中の溶液の温度を 60~80℃に保ち, (b)
を用いて,5.00×10-3mol/L の過マンガン酸カリウム水溶液で
滴定した。赤紫色が消えなくなった時点を終点とした。このとき要した過マンガン酸カリウム水溶液の体積は 6.0mL であ
った。
(実験3)
河川水のかわりに純粋な水を用いて,実験1と実験2の操作を行った。このとき要した過マンガン酸カリウム水溶液の
体積は 1.2mL であった。
1
(a)
,
(b)
で使う最も適切な実験器具を(ア)~(カ)から選び記号で答えよ。
(ア)ビュレット (イ)こまごめピペット
(ウ)試験管
(エ)コニカルビーカー
(オ)ホールピペット (カ)メスフラスコ
2 下線部では,水溶液中で過マンガン酸カリウムとシュウ酸ナトリウム(Na2C2O4)の反応が起こっている。
全体で起こった反応を化学反応式で示せ。
3 河川水 20mL 中の有機物の酸化に要した過マンガン酸カリウムは何 mol か。
4 河川水の COD[mg/L]を有効数字 2 桁で求めよ。
[05 東大]
2
河川や湖沼などの水質の汚濁源の1つに、工場排水や家庭雑排水に含まれる有機化合物がある。この有機化合物の量は、
化学的酸素消費量(Chemical Oxygen Demand : COD)を指標として表すことが多い。COD を求めるには、試料水に過マン
ガン酸カリウムなどの強い酸化剤を加え、一定条件の下で反応させて試料水中の有機化合物などを酸化させる。①そのと
きに消費された、試料水1L あたりの酸化剤の量を、酸化剤としての酸素(O2)の質量(mg)に換算して表す。
ある河川から試料水を採取し、現在一般的に用いられている方法により COD を求めた。以下にその操作を示す。
操作1 [塩化物イオンの沈殿除去]
試料水 100.0mL を三角フラスコにとり、十分な量の硫酸を加えて酸性にし、これに②硝酸銀水溶液(200g/L)5mL を
加えた。
操作2 [過マンガン酸カリウムによる酸化]
これに 4.80×10-3 mol/L の過マンガン酸カリウム水溶液 10.0mL を加えて振り混ぜ、
沸騰水浴中で 30 分間加熱した。
加熱後、三角フラスコ中の溶液は薄い赤紫色を示していた。これより、試料水中の有機化合物などを酸化するのに
十分な量の過マンガン酸カリウムが加えられ、未反応の過マンガン酸カリウムが残留していることがわかった。
操作3 [シュウ酸による未反応の過マンガン酸カリウムの還元]
この三角フラスコを水浴から取り出し、約 1.2×10-2 mol/L のシュウ酸ニナトリウム(Na2C2O4)水溶液 10.0mL を加
えて振り混ぜ、よく反応させた。このとき、溶液の赤紫色が消えて無色となった。
操作4 [過マンガン酸カリウムによる過剰のシュウ酸の滴定]
三角フラスコ中の溶液を 50~60℃に保ち、その中に存在している過剰のシュウ酸を 4.80×10-3mol/L の過マンガン
酸カリウム水溶液でわずかに赤い色を示すまで滴定したところ、3.11mL を要した。
操作5 [純粋な水による比較試験]
以上とは別に、試料水の代わりに 100.0 mL の純粋な水を用いて操作1~4を行ったところ、操作4の滴定におい
て 4.80×10-3 mol/L の過マンガン酸カリウム水溶液 0.51mL を要した。この操作を行うことで、過マンガン酸カリ
ウムの一部が加熱により分解する場合や、シュウ酸ニナトリウム水溶液の濃度が不明確な場合でも、COD を正確
に求めることができる。
[問] 原子量は O:16 である。
ア
試料水に塩化物イオンが含まれている場合、下線部②の操作により塩化銀(AgCl)の沈殿が生じる。COD の値を正確に
求めるためにはこの操作が必要である。もし、この操作を行わないと、得られる COD の値にどのような影響を及ぼす
か。理由とともに 50 字程度で述べよ。
イ
操作3における、過マンガン酸カリウムとシュウ酸との酸化還元反応式を記せ。ただし、シュウ酸ニナトリウム
(Na2C2O4)は硫酸酸性条件でシュウ酸(H2C2O4)として存在し、これが酸化されて二酸化炭素と水になるものとする。
下線部①について、4.80×10-3mol/L の過マンガン酸カリウム水溶液 1.00mL は酸素(O2)の何 mg に相当するか。有効
ウ
数字 2 桁で答えよ。結果だけでなく、計算の過程も記せ。
エ
操作1~5の結果に基づいて、この試料水の COD(mg/L)を求め、有効数字 2 桁で答えよ。
日日の演習
電気分解 vol1
[03 京大・改]
1
ファラデー定数は 96500C/mol
イオン交換膜を用いた電気透析(電気分解)法は、海水の淡水化や製塩などに広く利用されている。これは、陽イオン交換
膜が陽イオンのみを、陰イオン交換膜が陰イオンのみを透過することを利用している。この方法の原理を理解するために、
図 1 に示す電解槽を用いて、実験を行った。電解槽は 2 枚の陽イオン交換膜と 1 枚の陰イオン交換膜で 4 室に仕切り、Ⅰ
室に炭素電極(陽極)、Ⅳ室に鉄電極(陰極)を装着した。
実験
4 つの室に 0.10mol/L の塩化ナトリウム水溶液 2.0L ずつ入れ、一定の電流を通すと、陽極から気体[ ア ]が、陰極から
気体[ イ ]が発生し、Ⅰ室とⅣ室の pH が変化した。Ⅰ室の pH 変化は、このとき発生した気体の一部が、反応式[ ウ ]
に従って水と反応したことによるものである。
5.0 時間通電後、Ⅳ室で発生した気体の全体積は、標準状態で、1.12L であった。また、塩化ナトリウム濃度は、Ⅱ室
で[
a ]mol/L、Ⅲ室で[
b ]mol/L になった。ただし、Ⅳ室で発生した気体は塩化ナトリウム溶液には溶けないものと
する。
1 文中の[
ア ]から[ ウ ]に適切な化学式、あるいは反応式を記入せよ。
2 実験の電気透析に用いた電流は何アンペアか。数値を有効数字 2 桁で答えよ。
3 文中の[
a ]と[
b ]に適切な数値を有効数字 2 桁で記入せよ。ただし、水素イオンと水酸化物イオンの膜透過量は
無視できるものとする。また、各室の溶液の体積は変化しないものとする。
4 実験後のⅣ室の溶液から 100mL はかりとり、フェノールフタレインを指示薬として 0.10mol/L の希硫酸で中和滴定し
た。希硫酸を何 mL 滴下すると指示薬が変色するか。有効数字 2 桁。
2
[97 京都]
図 1 の装置を用いて電気分解を行った。陰極室には,0.1mol の AgNO3 と 1mol の NaNO3
を含む水溶液が 1L,また陽極室には,0.1mol の NaOH と 1mol の NaNO3 を含む水溶液が
1L 入っている。さらに,U 字型のガラス管に NaNO3 の濃い水溶液を満たした塩橋を用い
て,陰極室の電解液と陽極室の電解液を混合させないで電気的に連結した。ガラス管の両
端には,液もれを防ぐためにろ紙を詰めている。
この電気分解における陽極室での反応は,気体の発生を伴う反応だけであった。陰極室
での反応は,はじめのうちは気体の発生を伴わない反応であったが,その反応が終わってから気体の発生を伴う反応が起
こった。
解答に際しては,電気分解に伴う溶液の体積変化,および塩橋を通してのイオンの移動の影響は無視せよ。また,温度
は 25℃に保たれ,AgNO3 と NaOH 水溶液の電離度は 1 とする。
問1
次の文は,下線を付した部分に関連した記述である。[ ア ]~[ コ ]に適切な言句または数値をいれよ。
電気分解の間,陽極室では電解液中に存在する[
量が[
イ ]mol を超えてから酸化される[ ア
ア
]が酸化されて気体が発生する。ただし,電気分解で流れた電子の
]は[
ウ ]の電離によって生じたものと考えられる。その結果,電気分
解の進行とともに、陽極室の電解液中の水素イオン濃度は[ エ ]し続ける。
一方,陰極で起こる反応は電気分解の進行に伴って変化する。まず,イオン化傾向の[ オ ]い[ カ
]が還元されるた
め,はじめのうちは気体の発生は見られない。しかし,電気分解で流れた電子の量が[ キ ]mol を超えると,[ ク ] の
電離によって生じる[
[
ケ
]の還元が起こり気体が発生する。この気体の発生とともに,陰極室の電解液の pH は
コ ]くなっていく。
問2
電気分解中に陽極で,問 1 の[ ア ]が酸化されて気体が発生する反応を,電子を含むイオン反応式で示せ。
問3
陽極室の電解液の pH が電気分解の進行とともに変化する様子を示すグラフを,
(1)
,(2)の手順で必要な事項を書き
入れて完成せよ。ただし,縦軸に pH を,横軸に電気分解で流れた電子の量(mol)をとるものとする。
(1)電気分解で流れた電子の量が,それぞれ,0mol,0.1mol,0.2mol のときの陽極室の電解液の pH を求め,グラフ中
に●で示せ。
(2)(1)で求めた 3 つの点の間の pH 変化を推測して,その概略を描け。
日日の演習
電気分解 vo2
1
異なるイオンを含む水溶液 100mL を白金と黒鉛を電極に用いて,
1.5A の一定電流で 32 分 10 秒間電気分解を行った。
このとき,次の結果が得られた。
①
電解槽Ⅰ全体で発生した気体の体積は標準状態で 168mL
②
電解後に電解槽Ⅱから 10mL をとって硝酸銀水溶液を十分に加
え
たところ 574mg の沈殿が得られた。
③
電解槽Ⅲの白金電極では,236mg の質量の増加とともに気体の
発
生も観察された。
電気分解において水溶液の体積は変わらないものとし、計算結果は有効数字 3 桁で答えよ。
1F=96500C Cl=35.5
Ni=59 Cu=63.5
Ag=108
1 電解槽ⅠとⅢに流れた電気量はそれぞれ何Cか。
2 電気分解前の電解槽Ⅱの CuCl2 水溶液の濃度は何 mol/L か。
3 電解槽Ⅲの白金電極から発生する気体の標準状態における体積は何 mL か。
4 電気分解後の電解槽Ⅲの水溶液の pH を小数点以下第 1 位まで求めよ。 log2=0.3
2
ファラデー定数は 96500 C/mol とせよ。計算の結果は小数点
第 2 位を四捨五入し、また、発生した気体は溶液に溶けず、
溶液の体積は変化しないものとする。
H=1.0
O=16 S=32 Cu=64 Pb=207
Na=23
図のように電解槽を 2 つ直列につないで電気分解を行った。電解槽Ⅰには陽極に粗銅(不純物に鉛のみ含む)、陰極に
純銅を用いて、電解液に 0.10mol/L 硫酸銅(Ⅱ)の水溶液が 100mL 入っている。電解槽Ⅱには陽極、陰極ともに白金を用い
て、電解液に陽イオン交換膜をはさんで陽極側には 0.10mol/L の塩化ナトリウム水溶液が 100mL,陰極側には 0.10mol/L
の水酸化ナトリウム水溶液が 100mL 入っている。ある時間電気分解を行った後、電解槽Ⅱの陰極側の電解液 10mL をは
かりとり、フェノールフタレインを指示薬にして 0.20mol/L の希硫酸で滴定したところ 3mL を要した。また、電解槽Ⅰの
硫酸銅(Ⅱ)水溶液の濃度を調べると 0.098mol/L であり、陽極の下には沈殿物(PbSO4)が生じた。
1 電気分解で生じた NaOH は何 mg か。
2 Ⅱの陽極で発生した気体は標準状態で何 mL か。
3 Ⅰの陽極の質量変化は何 mg か。
日日の演習
1
鉛蓄電池と電気分解
[02 東工大]
右図に示すように,鉛蓄電池と白金製の電極を用いて,0.30A の電流を 150 分間
流し,十分に濃い塩化ナトリウム水溶液を電気分解した。塩化ナトリウム水溶液は
陽イオン交換膜で陽極側と陰極側に仕切られており,ナトリウムイオンだけが陽イ
オン交換膜を通過できる。下の問に答えよ。ただし,ファラデー定数は 96500C/mol
とする。
有効数字 2 桁。
問A
電気分解終了後,陰極側の溶液をすべて取り出し,水で希釈して 200mL にした。この溶液の水酸化物イオン濃度
を求めよ。
問 B 電気分解終了後,鉛蓄電池内の硫酸水溶液をすべて取り出し,水で希釈して 500mL にした。この溶液をさらに 20
倍に希釈し,その 10.0mL を問 A で調製した溶液で中和すると 12.0mL 必要であった。電気分解を始める前に鉛蓄
電池内の水溶液に含まれていた硫酸の物質量を求めよ。
2
右図は鉛蓄電池を電源として,硝酸銀水溶液 50mL に白金を
浸した電解槽で電気分解を行う装置を示したものである。こ
の鉛蓄電池を用いて 1.0A(アンペア)の電流で,ある時間通電
したところ電解槽の陰極に銀が析出したのち標準状態で
22.4mL の水素が生じた。電解後の電解液をよく撹拌したの
ち 、 10mL を 測 り と り フ ェ ノ ー ル フ タ レ イ ン を 加 え て
0.10mol/L 水酸化バリウム水溶液で滴定したところ 5.0mL を
要した。
以下の各問いに答えなさい。ただし,電流効率は 100%とし,ファラデー定数は 96500C/mol とする。
溶液の体積変化はないものとする。
O=16 S=32 Ag=108
1 陽極で生じた気体は標準状態で何 mL か。
2 放電した時間は何秒か。整数で答えなさい。
3 電解前の硝酸銀水溶液の濃度は何 mol/L か。
4 放電後の鉛蓄電池の両極(正極と負極)全体の質量は,放電前に比べて何 g 変化したか。
3
[05 慶應]
次の文章を読み,
(カ)
(キ)
(ア)
(ク)
(イ)
(ケ)
(エ)
(オ)
(コ)
には化学式,
には有効数字3桁の数値を入れなさい。
(ウ)
にはイオン式,
(サ)
には語句,
F=9.65×10-4C/mol
陽極に炭素棒,陰極に鉄棒を用いて塩化ナトリウム水溶液を電気分解することを試みる。もし,それぞれの電極付近の
溶液が混ざりあうようにすると,陽極では気体
(ア)
だけでなく,副反応として気体
(イ)
や,陽極の炭素棒が消耗す
ることによる二酸化炭素も発生する。気体
が発生する理由は,陰極で発生した
(ウ)
が陽極で反応するためであ
る。一方,陰極では気体
(ア)
(エ)
(イ)
が発生し,陰極付近の溶液中では
(オ)
の濃度が高くなる。そのため,
(オ)
の工業的製法としては,この副反応を防ぐために,陽極液と陰極液の間に陽イオン交換膜を用いて
(ウ)
と気体
の陽極
側への進入を防ぐ方法がとられている。
この方法を用いて,実際に塩化ナトリウム水溶液を電気分解することを試みた。陽極に炭素棒,陰極に鉄棒を,また電
源として鉛蓄電池を用いた。電気分解後に陽極に発生した気体
(ア)
は,0℃,1atm のもとで 0.0840l であった。鉛蓄
電池の起電力を 2.00Vとし,電気分解中は 0.500Aの電流が流れたとすると(ここで気体
(ア)
の水に溶ける量は無視す
る),電気分解を行っていた時間は
(オ)
は
秒であり,陰極付近の溶液を濃縮して得られた
(カ)
た,この電気分解後に,鉛蓄電池の正極は
ところで,発生した気体
(ア)
(ア)
+ H2O
の平衡状態となり,また
(ク)
g 増加し,電解質溶液の質量は
(ケ)
は,次の式のように水に少し溶け,酸化力が強い
(a) +
(コ)
という電離平衡が存在する。このため,
g であった。ま
g 減少していた。
(コ)
を生じて
(コ)
H+ + (b)
(コ)
(キ)
((a),(b)にはある化学式またはイオン式が当てはまる)
が存在している水溶液の pHが
(サ)
くなるほど
(ア)
の存在比率が大
きくなる。
4
2 枚の鉛板と希硫酸溶液を用いた簡単な鉛蓄電池を作製するものとする。まずビーカーに希硫酸をとり,サンドペーパ
ーで表面を磨いた 2 枚の鉛板(それぞれ電極 A と B)を浸した。直流外部電源の正極を電極 A に,負極を電極 B につなぎ,
3V の電圧で通電すると,電極 A の表面で
1
反応が起こり,褐色の
あ
皮膜が生じた。この際,電極 A および B の
表面で気泡の発生が認められた。電極 A 表面で生成した気体は O2 であり,電極 B 表面で生成した気体は
い
である。
充電終了後,直流外部電源を取り外し,電極 A と B を新しい希硫酸溶液に浸すことにより鉛蓄電池を作成した。
1
に適切な語句を入れよ。
1
2
あ
い
に適切な化学式を記せ。
3 作製した鉛蓄電池に豆電球を接続し放電させると,電極 A と B の表面に白色の付着物が生成した。この鉛蓄電池を再
び充電すると,電極 A および B の表面の白色付着物はどうなるか。次のa~eの中から適切なものを一つ選べ
a.電極 A 表面の白色付着物は消失し,電極 B 表面の白色付着物の量が増える。
b.電極 B 表面の白色付着物は消失し,電極 A 表面の白色付着物の量が増える。
c.電極 A および電極 B 表面の白色付着物はともに消失する。
d.電極 A および電極 B 表面の白色付着物の量がともに増加する。
e.電極 A および電極 B 表面の白色付着物の量に変化はない。
標準還元電位(標準電極電位)
F2+2e-
2F-
2.87V
2CO2+2H++2e-
H2C2O4
-0.48V
H2O2+2H++2e-
2H2O
1.78V
Cr3++3e-
Cr
-0.74V
PbO2+SO42-+4H++2e-
PbSO+2H2O
1.69V
Zn2++2e-
Zn
-0.76V
MnO4-+8H++5e-
Mn2++4H2O
1.51V
2H2O+2e-
H2+2OH-
-0.83V
Cl2+2e-
2Cl-
1.36V
Mn2++2e-
Mn
-1.03V
Cr2O72-+14H++6e-
2Cr3++7H2O
1.33V
Al3++3e-
Al
-1.67V
MnO2+4H++2e-
Mn2++2H2O
1.23V
Mg2++2e-
Mg
-2.38V
O2+4H++4e-
2H2O
1.23V
Na++e-
Na
-2.71V
Br2+2e-
2Br-
1.09V
Ca2++2e-
Ca
-2.76V
HNO3+3H++3e-
NO+2H2O
0.96V
Ba2++2e-
Ba
-2.90V
Ag++e-
Ag
0.80V
K++e-
K
-2.92V
HNO3+H++e-
NO2+H2O
0.79V
Li++e-
Li
-3.05V
Fe3++e-
Fe2+
0.77V
O2+2H++2e-
H2O2
0.69V
-
0.54V
I2+2e
-
2I
SO2+4H++4e-
-
S+2H2O
0.45V
O2+2H2O+4e
4OH
-
0.40V
[Ag(NH3)2]++e-
Ag+2NH3
0.37V
Cu +2e
Cu
0.34V
Hg2Cl2+2e-
2Hg+2Cl-
2+
-
AgCl+e
-
Ag+Cl
SO42-+4H++2e-
+
S+2H +2e
-
-
0.27V
0.22V
SO2+2H2O
0.17V
H2S
0.14V
Sn4++2e-
Sn2+
0.15V
HCOOH+2H++2e-
HCHO+H2O
0.056V
2H++2e-
H2
0V
3
Fe
-0.04V
2+
Pb
-0.13V
Sn ++2e-
2
Sn
-0.14V
CO2+2H++2e-
HCOOH
-0.20V
Ni ++2e-
Ni
-0.25V
PbSO4+2e-
2
Pb+SO4 -
-0.36V
Fe
-0.44V
Fe ++3e-
Pb +2e-
2
2
Fe ++2e-
日日の演習
電池の起電力 vol1
1
電池の種類
A
B
C
D
半電池(左)
半電池(右)
起電カ(V)
Zn|ZnSO4(1.0mol/L) CuSO4(1.0mol/L)|Cu
1.1
Zn|ZnSO4(0.1mol/L) CuSO4(1.0mol/L)|Cu
VB
Zn|ZnSO4(1.0mol/L) AgNO3(1.0mol/L)|Ag
VC
Cu|CuSO4(1.0mol/L) AgNO3(1.0mol/L)|Ag
VD
表中にある金属元素を組み合わせてダニエル型電池を作ることができる。表の電池式で示されるダニエル電池について(1)
~(4)に答えよ。
(1)電池 A の正極,負極で生じる反応をイオン反応式で記せ。
(2)電池 B の起電カ VB を電池 A の起電カ 1.1V と比較し,等号あるいは不等号を用いて示せ。
(3)電池 C の起電カ VC を電池 A の起電力 1.1V と比較し,等号あるいは不等号を用いて示せ。
(4)電池 D の起電カ VD を電池 A,C の起電カを用いて表せ。
2
[96 東工大]
Ag=108、Cu=64、Fe=56、Pb=207、Zn=65
金属 M1 を浸した M1 の硝酸塩水溶液と,金属 M2 を浸した M2 の硝
酸塩水溶液を素焼き板で仕切り,導線で金属 M1,金属 M2 をつなぎ
電池をつくった。右表の 1~6 は金属 M1,M1 の硝酸塩,金属 M2,
M2 の硝酸塩からなる電池を示す。以下の問いに答えよ。ただし,各
硝酸塩水溶液の濃度は等しいものとする。
電池 金属M1 M1の硝酸塩 金属M2 M2の硝酸塩
Zn(NO3)2
Pb(NO3)2
1
Zn
Pb
Cu(NO3)2
Fe(NO3)2
2
Cu
Fe
AgNO3
Zn(NO3)2
3
Ag
Zn
Fe(NO3)2
AgNO3
4
Fe
Ag
Cu(NO3)2
Pb(NO3)2
5
Cu
Pb
Zn(NO3)2
Fe(NO3)2
6
Zn
Fe
表の電池 1 に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。ただし,答えは一つとは限らない。
1
1.Zn が正極,Pb が負極となる。
2.放電させると,Zn(NO3)2 水溶液の濃度は低くなり,Pb(NO3)2 水溶液の濃度は高くなる。
3.放電させると,電子は導線を通して負極から正極に向かって動く。
4.放電させると,正極室の陰イオンの一部は負極室に,負極室の陽イオンの一部は正極室に移動する。
5.Zn(NO3)2 水溶液の濃度を高くすると,起電力は大きくなる。
表の電池 1~6 のうち,起電カの最も大きい電池はどれか。番号で答えよ。
2
3 表の電池 1~6 のうち、おなじ電気量を放電させたとき、正極と負極の質量差が最も大きくなる電池はどれか。ただし、
放電前の金属 M1 と M2 の質量は等しいものとする。
日日の演習
電池の起電力 vol2 [12 東京理科]
金属が電子を放出して(酸化されて)陽イオンになる性
質を金属のイオン化傾向という。この金属が陽イオンにな
る性質を,図 1 のような装置を使って定量的に扱うこと
を考える。
例えば,銅の反応(Cu2+ + 2e-
Cu)は,1m
ol/L の Cu2+を溶解した溶液に浸した銅電極上で起こり,
図 1 の右側の電解質溶液と電極での反応に相当する。こ
の電解質溶液を,イオンが動くことのできる塩橋でもう一
方の電解質溶液に電気的に接続し,白金電極を 1mol/L 塩
酸に浸して,そこに 1.013×105Pa の水素ガスを吹き込み,これを起電力測定の基準として使用する。この基準となる電極
を,標準水素電極と呼ぶ。標準水素電極と組み合わせて,図 1 の装置で銅電極の電位差(電圧)を測定できる。このように,
標準水素電極を用いて測定される電位差を電位といい,金属のイオン化傾向は電位の値によって定量的に扱うことができ
る。
銅電極の電位は+0.34 ボルト(V)となることが知られている。この電位は,図 1 の装置に電流を流さない(電気分解の起
きない)条件で温度や濃度を一定にして測定すれば,同じ値が得られる。このことから,銅のイオン化傾向は,H2 より 0.
34V だけ小さいと言える。逆に,H2 よりイオン化傾向が大きい Pb では Pb2+ + 2e-
Pb の反応について,-0.
13V と負の電位を示すことから,Pb のイオン化傾向は H2 より 0.13V だけ大きい。金属が陽イオンになる場合に限らず,
電子の授受を伴う様々な酸化還元反応は,電位を用いて定量的に扱うことができる。その電位の例を表 1 に示した。
この表において,より上にある左向きの反応ほど
a
が大きくなり,より下にある右向きの反応ほど
b
が大きく
なる。実際の酸化還元反応では,反応種の濃度,温度,pH,溶液に存在する他の化学種などによって,得られる起電力が
複雑に変化することが実験で確かめられている。
(1)
および
a
b
に入る言葉としてもっとも適当な組み合わせを解答群から一つ選びなさい。
a
b
0
放出する熱量
吸収する熱量
1
吸収する熱量
放出する熱量
2
電子を失う傾向
電子を受け取る傾向
3
電子を受け取る傾向
電子を失う傾向
4
反応速度定数
平衡定数
5
平衡定数
反応速度定数
6
酸性度
塩基性度
7
塩基性度
酸性度
(2) 表 1 の
A
には,ある金属元素のイオン反応式が入る。その金属元素としてもっとも適当なものを下の解答群の中
から選びなさい。
0 Au 1 Pt 2 Mg 3 Hg 4 Sn 5 Ni 6 Zn
(3) ダニエル電池の起電力を測定したところ,1.10V であった。Zn2+ + 2e-
Zn の電位は何 V となるか。も
っとも近い値を以下の解答群から一つ選びなさい。
0 -1.4 1 -1.0 2 -0.8 3 -0.4 4 0.0 5 0.4 6 0.8 7 1.0
8 1.4 9 1.6
(4) 表 1 の値から,鉛蓄電池の起電力が何 V か計算しなさい。
(5) 一次電池の電圧がもっとも高くなる負極活物質は何か。以下の解答群から一つ選びなさい。
0 Li
1 Li+ 2 K 3 K+ 4 H2
5 H+ 6 Al
7 Al3+ 8 F2 9 F-
10 H2SO4