ガス系消火設備

Fire-prevention equipment
ガス系消火設備
ガス系消火設備は、消火薬剤として不活性ガスやハロゲン化合物を噴射することで、窒息効果や化学的変化により消火を行う方式です。
ガス系消火設備
消火後の汚損がほとんどないため、コンピューター室や通信施設、実験室などに多く用いられています。
■主な新ガス系消火設備の比較表
消火剤の区分
イナート系
消 火 シ ス テ ム の 名 称
消
消
火
火
剤
商
品
フッソ系
YN システム・30MPa
二酸化炭素消火設備
FM200消火設備
ハロン1301消火設備
剤
N2
CO 2
HFC-227ea
ハロン1301
名
窒素
CO 2
FM200
ハロン1301
化
学
式
N2
CO 2
CF 3CHFCF 3
CF 3Br
分
子
量
28.01
44.01
170.03
148.93
物
理
的
特
性
無色・透明
無色・透明
無色・透明
無色・透明
消
火
の
原
理
酸素希釈
酸素希釈・冷却
燃焼連鎖反応抑制
燃焼連鎖反応抑制
全域・局所・移動式
放
出
方
法
全域
全域・局所・移動式
全域
貯
蔵
状
態
気体
液体
液体
液体
貯
蔵
圧
力
30MPa
(35℃)
5.7MPa
(20℃)
4.1MPa
(20 ℃)
4.1MPa
(20℃)
設計条件など
ー
1.5∼1.9
0.9∼1.6
0.9∼1.6
最 高 使 用 圧( M P a )
10.8
10.8
消 炎 濃 度( v o l % )
33.6
一般:34
4.1
5.8∼8
4.1
3.4∼7
一般:0.32kg/m3
充
填
比
の
範
囲
0.52m3/m3
0.75∼1.2kg/m3
0.59kg/m3
最 小 設 計 濃 度( v o l % )
40.3
(34)
7
5
最 大 許容消火 剤 濃 度(vol%)
52.3※1
(76)
10.1
10
必
要
消
火
剤
量
60
60
10
30
消 火 剤 自 体 の人 体 へ の 安 全 性
安全
危険
安全
安全
放
界
良好
悪い
やや悪い
(湿度による)
やや悪い
(湿度による)
時 の 分 解 ガ ス
なし
なし
HF
HF・HBr
オ ゾ ン 層 破 壊 係 数 ※2
0
0
0
10.5
地
0
1
2050
5800
必要
必要
必要
必要
必要
不要(場合により必要)
必要
不要
(場合により必要)
放
出
時
人体への
影響など
出
消 火
球
間 (
時
温
暖
の
化
秒
視
係
)
数 ※3
付帯設備など
区 画 閉 鎖( ダ ン パ )
換 気 装 置 の 停 止
避
圧
口
( レ リ ー フ ダ ン パ )の 設 置
必要(専用排気)
必要
(専用排気)
必要
(専用排気)
必要
(専用排気)
ボ ン ベ 室 の 面 積
防 護 容 積2,000m3の場 合
16m2 52本
(20本ユニットを使用)
8m2 28本
9m2 10本
5m2 10本
(55kg)使用
(ピストンフロー)
(70kg)
第
1
種
貯
蔵
所
ガ ス 3 , 0 0 0 m 3( 3 0 t )以 上 で
[
設
置
検
査
]
24.99m3/本(35℃)
121本以上
45kg/本
667本以上
60kg/本
500本以上
60kg/本
500本以上
第
2
種
貯
蔵
所
ガ ス 3 0 0 m 3( 3 t )以 上 で
[
設
置
届
]
24.99m3/本(35℃)
13本以上120本まで
45kg/本
67本以上666本まで
60kg/本
50本以上499本まで
60kg/本
50本以上499本まで
ガ
ス
排
出
装
置
高圧ガス
保安法設備申請など
※1:1分以内に防護区画外へ避難できる場合の濃度。 ※2:フロン11のオゾン破壊力を1とした場合。 ※3:CO 2が100年間に温暖化に与える影響を1とした場合。
■動作フロー(自動式)
弁
開
放
放
火
報
作動
消
器
開
警
盤
感知器
充 満 表 示
容
弁
作動
災
1
噴 射 ヘ ッ ド
択
感知器
2
圧力スイッチ
作動
作動
蔵
連動機器作動
貯
起動装置開放
御
選
制
感知器
火
3
推奨設置場所/電気室、サーバールーム、精密機械付近、クリーンルームなど
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二 酸 化 炭 素 ( C O 2)
ハロゲン化合物消火設備(HFC-227ea) FM-200
油類、金属、電気絶縁体などに化学変化
ハロンの代替薬剤としてアメリカで開発
を及ぼしたりせず、半永久的に保存が可
されたハロゲン系の薬剤です。消火原理
能なガスが 、二 酸 化 炭 素 。不 燃 性で空 気
はハロンと同様で、世界のハロン代替シ
より重たい 気体であるため、上部に拡散
ステムの95%に導入されている代替消
することなく低 所 に 滞 留し、燃 焼 面を覆
火剤の中で最も効果的な消火剤です。放
い窒息効果により消火を行います。空気
射時間はわずか10秒。初期消火に優れ、
中 の 酸 素 濃 度 を 希 釈 することにより消
火災を最小限でくい 止めます。酸欠状態
火 が 行 わ れるた め 、密 閉さ れ た 室 内 の
に ならない た め 、居 室での 消 火 も安 全 。
可燃物の火災にのみ効果を発揮します。
また 、オゾン層を破 壊する物 質を含まな
室内では人体にも影響があるため、その
い ほか 、大 気 中での 残 存 年 数が 短く、環
設置、取扱には注意が必要です。
境への影響がほとんどありません。
ハロゲン化合物消火設備(ハロン1301)
窒 素 ( N 2)
不 活 性ガ スで空 気 中 に も多く存 在する
ハ ロン 1 3 0 1 は 大 変 揮 発しやすい 蒸 発
窒 素 は 、消 火 剤として入 手しやすく、寒
性 液 体 、ハロゲン化 合 物 の 一 種です。燃
冷地でも使用でき、半永久的に保存でき
焼中の可燃物に放射すると、すぐに気化
るという特 長 が あります。この 窒 素ガス
して不燃性かつ空気より5倍の重い蒸気
を噴霧することで、密閉された室内の可
となり、燃 焼 面 の 遮 断 による 窒 息 効 果
燃 物 の 火 災 に 対し、燃 焼 面 を 覆 い 窒 息
と、燃焼の連鎖反応を遮断する化学的な
効 果により消 火を行います。空 気とほぼ
負 触 媒 効 果( 抑 制 効 果 )との 相 乗 効 果に
同じ比 重 の た め 、長く室 内 に 滞 留し、消
より、少量でも極めて短い 消火時間で消
火効果が持続します。自然物質で人体に
火できます。しかしハロンはオゾン層を
も無毒なため、人と環境に優しい 新しい
破 壊するフロンガスの 一 種であるた め、
消火設備として注目されています。
現 在 新 たな薬 剤 の 生 産は 廃 止されてい
ますが 、設置については所轄消防署と協
議の上、可能となっています。
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