[口腔分子シグナル制御研究部門]

[口腔分子シグナル制御研究部門]
[研究目的]
医学の発達により人間の平均寿命が大幅に延長され高齢化社会が形成された現代において、顎口腔機能は生活の
質(QOL)を維持していくうえで大変重要であると考えます。歯の喪失や顎運動障害は咀嚼・嚥下機能の低下、発音障害
につながり、誤嚥性肺炎などを発症するリスクも高まります。また近年、口腔内に存在する微生物と糖尿病、動脈硬化、
心内膜炎、低体重児出産などの全身疾患との関係が注目されており、顎骨疾患に対する歯科治療および口腔ケアは
QOL の向上に確実に繋がると考えました。本研究部門は、顎骨疾患発生メカニズムを「分子シグナル」に注目し様々な
角度から解析を行い、最終的に分子シグナルを制御コントロールすることで口腔機能の維持や新たな歯科医療技術の
開発に繋げることを目的としました。
[実施体制]
具体的には、微生物学講座、生理学講座は基礎、歯周病学講座は臨床の立場から「病原微生物」、「歯細胞」、「歯周
組織および顎骨」の3つの局面において分子シグナル調節機構の解明を試みます。しかし、顎骨疾患は一個体の口腔
領域で発生していることを考慮すれば、これらの現象は必ずしも独立しておらず、時に交わり影響を受けたり相互作用を
生み出している可能性が十分に推測されます。よって研究を進めていくうえでも、お互いの個々のシグナル制御機構に
関する知見を集積し、効果的に連携し包括的なアプローチを試み、顎骨疾患における口腔分子シグナルの全容を明ら
かにすることを目指しております。