地域医療 - 新潟県医師会

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地域医療
在宅栄養ケア支援事業の取り組み
(公社)新潟県栄養士会・栄養ケアステーション
川 村 美 和 子
わが国は超高齢化社会に突入し、高齢化率は今
に必要な人材育成の2点に絞り活動し、かかりつ
後ますます進む状況にあり、新潟県においても例
け医との契約にかかる契約書および手順書の作成
外ではありません。それに伴い地域包括ケアシス
と、人材育成研修会後に在宅訪問管理栄養士とし
テム構築の社会基盤整備が進み、今後ますます高
て16名登録できました。
齢者の医療や介護の現場が在宅に移行していきま
以上3年間の事業の成果として
す。そのような社会情勢の中、新潟県栄養士会で
1‌)かかりつけ医と在宅訪問管理栄養士との労働
は厚生労働省の補助事業として「在宅療養者のス
契約書とその手引きを作成し、契約成立のため
テージに合ったよりよい QOL の向上をめざして」
の書類として役立てることが出来ました
という目標を掲げ、在宅栄養ケア事業を平成24、
2‌)かかりつけ医と保険制度を利用した在宅栄養
25、26年度の3年に渡り実施いたしました。27年
ケア活動がようやく開始されることになり、本
度は県からの助成を受けさらに在宅栄養ケアの充
格的な在宅訪問栄養食事指導に向けて、第一歩
実に努めました。
を踏み出すことが出来ました
人は住み慣れた家で、社会とのかかわりをもち
3‌)潜在管理栄養士への広報活動により人材育成
ながら、自分らしい生活を送りたいと望んでいま
研修会を実施して在宅訪問の人材バンクの基礎
す。毎日の食事は元気の源であり、生きる意欲に
を固めることが出来ました
つながります。在宅栄養ケアの目標は「食べる」
4‌)ヘルパー及びグループホームの介護職員対象
ことを通して、その人のニーズに沿って食生活を
の訪問栄養教育を実施して、高齢者の栄養改善
支援し、在宅療養者の QOL の向上に繋げ、命を
及び提供される食事内容の安定に寄与すること
輝かせることにあります。
ができました
その理念のもと、新潟県栄養士会では平成24年
5‌)在宅訪問栄養ケア事業を推進するための栄養
度は「多職種連携」
をキーワードに訪問看護ステー
ケアステーションの基盤整備に努め、多職種連
ションや介護支援事業所と連携し、在宅医療の現
携の研究会に参加して、在宅療養に関るネット
状、栄養ケアの必要性、多様なニーズなど、全体
ワークを拡大させることが出来ました
を通し見えてきた課題を確認でき、多くの関連団
以上の結果をふまえて、平成27年度は新潟県か
体や機関のご協力のもと何とか在宅栄養ケアの第
らの助成を受け、⑴在宅栄養ケア体制を新潟市や
一歩を踏み出すことができました。
長岡市の2支部から上越、魚沼など8支部に拡大
平成25年度は、①かかりつけ医との連携による
すること、⑵在宅栄養ケアを行う在宅訪問管理栄
保険運用による在宅栄養ケアの実施と、②病院管
養士の育成の継続、という2点を目標にしました
理栄養士と在宅訪問管理栄養士の連携による病院
が、かかりつけ医との契約に関してはなかなか進
から地域への在宅療養者のスムーズな情報提供と
まず、契約にいかないまでもかかりつけ医の先生
協力体制の構築を目標に実施し、42症例の在宅栄
方にもっと周知する必要性があると感じられまし
養ケアの実体験をすることができました。
た。また、在宅の管理栄養士の育成に関しては31
平成26年度はこれら2年間の体験を生かし、在
名の受講があり、現在まで在宅訪問管理栄養士と
宅栄養ケアの基盤整備を行うことと在宅栄養ケア
して登録した栄養士は40名以上となりました。
新潟県医師会報 H28.8 № 797
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平成28年度は今までの体験を通し、在宅の現場
薬局とは違い、栄養ケアステーション独自で保険
で管理栄養士が求められる栄養に関する専門的な
請求はできません。医師のいる施設で保険請求し
知識や情報はもちろん、
対象者の病態や心身状態、
ていただき、その一部を報酬として受け取るシス
介護者の能力に柔軟に対応すること、療養者や介
テムとなりますことをご承知おき下さい。また、
護者の希望に沿った支援の提案ができる在宅管理
歯科医との嚥下における連携においても、歯科医
栄養士の育成を目指し、管理栄養士が在宅医療・
師の指示箋ではなく、
医師からの指示箋でないと、
介護の現場で認知され、多職種で構成された療養
管理栄養士としての居宅療養管理費(介護保険)
者の支援チームの一員として必要な存在になれる
の適応となりません。先生方にはぜひ、このとこ
ように各地区で医師会の先生方と連携し、診療の
ろをご理解いただき、このシステムを利用して、
一助となれるようにしてまいります。
管理栄養士を在宅チームの一員に加えていただき
地域へのこの取り組みの周知も必要と感じてお
たきたいと思います。
ります。
「食べることは生きること」という言葉
通算4年間におよぶ本事業の展開により、よう
にあるように、
「食」は在宅において、大きな楽
やく超高齢社会における社会的なニーズと私たち
しみであり、生きる活力となります。在宅診療に
栄養と食に関る専門職に求められている社会的な
おいて、嚥下困難や低栄養で困っている方や食事
役割を掴むことができました。時代の要請である
療法に悩んでいる療養者の方がおられて、管理栄
在宅訪問栄養ケアの本格的な稼働にむけて、新潟
養士と連携してみたいと思われたら、栄養ケアス
県栄養士会・会員一同が一丸となって連携し、さ
テーションまで連絡をして、栄養ケアを管理栄養
らなる多職種連携の輪の中に参加していきたいと
士に依頼していただき、栄養ケアステーションと
思います。
契約して活動するというかたちになります。在宅
における高齢者の QOL をどのように支援し、最
善策は何か、高齢者の心に寄り添い、深く思いや
ることのできる栄養食事指導の実践を目指したい
と思いますので、先生方のご協力をお願い申し上
げます。
なお、契約の際には、新潟県栄養士会栄養ケア
ステーションは訪問看護ステーションや町の調剤
公益社団法人新潟県栄養士会・
栄養ケアステーション
担当:牧野令子・川村美和子
〒951-8052 新潟市中央区下大川前通4ノ町
2230番地 エスカイア大川前プラザ内
TEL 025-224-7501 Fax 025-224-0510
E-mail [email protected]
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