PH診療に関するHP公開可能 なデータ提供 2016.8.6. 神⼾⼤学医学部附属病院 循環器内科 肺高血圧症 新患数の推移 (2016年6月現在 n=298人) ・神⼾⼤学では2005年より全国に先駆けて肺高血圧専門外来をスタートさせ、兵庫県下を中⼼にこれまでに約300名の 肺高血圧患者様の診療にあたって参りました。肺血管拡張薬や肺動脈形成術など最新の肺高血圧治療法を導⼊実践し、 10年以上の診療実績から最近では肺高血圧専門施設として広く認知され、近隣の中核病院から難治症例を中⼼に多くの 新患患者の紹介を受けるに至っております。 神⼾⼤学での受けられる治療内容 2010年~ヴォリブリス® 2005年~トラクリア® 2015年~オプスミット® 2008年~レバチオ® 2010年~アドシルカ® 1992年~ドルナー®/プロサイリン® 2014年~アデムパス® 2007年~ベラサスLA® 2016年~ベンティビス®吸入 2013年~エポACT®静注 2014年~トレプロスト®皮下注 1999年~フローラン®静注 2001年~肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)の開始 1999年~ 在宅酸素療法 2011年~肺動脈形成術(BPA)の開始 2005年~ 非侵襲的陽圧換気療法 (人) 60 52 50 新患数 2005年4月~ 神⼾⼤学肺高血圧 専門外来開始 40 30 20 35 26 10 33 30 21 20 15 29 (2016年6月現在) 14 12 6 5 0 ~2005 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 肺高血圧症 原因別内訳 (2016年6月現在 n=298人) ・肺高血圧は原因別に1〜5群に分類されていますが、各群毎に治療法が異なるため正確な診断が最適な治療法決定に 何よりも重要となります。当院では初診時に約1~2週間程度の精査⼊院をしていただき、肺高血圧の原因を明らかに した上で各患者様に最適な治療法を提供させて頂きます。 ・当院の特徴として膠原病性肺高血圧、肺疾患に伴う肺高血圧、慢性血栓塞栓性肺高血圧症への治療経験が豊富であります。 特発性/遺伝性 4% 5群 7% 膠原病性 1群 4群 20% 34% 門脈圧亢進症 41% 先天性⼼疾患 3% 8% 3群 13% 1ʻ群 2群 1% 4% <肺高血圧症の分類> ・1群︓肺動脈性肺高血圧症 ・2群︓左⼼不全由来肺高血圧症 ・4群︓慢性血栓塞栓性肺高血圧症 ・1’群︓肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症 ・3群︓呼吸器疾患または低酸素血症に由来する肺高血圧症 ・5群︓その他の肺高血圧症 (ESC2015肺高血圧ガイドラインより) 膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症 (2016年6月現在 n=58人) ・膠原病は肺高血圧症の原因として頻度が高く、その中でも強皮症が半数以上を占めています(当院データ)。 ・強皮症以外では全身性エリテマトーデス、悪性関節リュウマチ、シェーグレン症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合結合組織病 などがあります。 ・当院で膠原病内科と循環器内科で緊密な連携をとり、免疫抑制剤やステロイドによる原疾患の治療と肺血管拡張薬による肺高血 圧への治療を同時に⾏っています。 悪性関節リュウマチ 関節リュウマチ 2 (3%) 5 (9%) びまん型全身性強皮症 10 (17%) 全身性エリテマトーデス 7 (12%) 非強皮症由来 19 (33%) シェーグレン症候群 限局型全身性強皮症 5 (9%) 22 (38%) 多発性筋炎/皮膚筋炎 5 (9%) 混合結合組織病 2 (3%) 3群:呼吸器疾患または低酸素血症に由来する肺高血圧症 (2016年6月現在 n=38人) ・当院の肺高血圧症のうち13%を占めておりますが、特に最近の紹介患者数が増加しており重要な疾患群と考えられます。 ・当院では呼吸器内科と協⼒して肺疾患⾃体への治療(在宅酸素療法、非侵襲的陽圧換気療法、気管⽀拡張薬)と 肺血管拡張薬による肺高血圧への治療を⾏っています。 ・呼吸器疾患の重症度によって肺血管拡張薬が呼吸苦を増悪させる場合がありますので投与の適応に関しては慎重に判断 させていただいております。 胸郭低形成 1 (3%) 陳旧性肺結核 1 (3%) 塵肺 2 (5%) 反復性肺炎による荒蕪肺 1 (3%) 気管⽀拡張症 2 (5%) 慢性閉塞性肺疾患 COPD 睡眠時無呼吸症候群 13 (34%) 5 (13%) 気腫合併肺線維症 CPFE 5 (13%) 特発性間質性肺炎 IIP 8 (21%) 4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (2016年6月現在 n=117人) ・全ての肺高血圧症のうちで41%を占め、当院の肺高血圧原因疾患として最も多い疾患となります。 ・器質化血栓が肺動脈近位部に存在する中枢型と遠位部に存在する末梢型に⼤きく分けられ、 中枢型を当院の⼼臓血管外科に依頼して肺動脈血栓内膜摘除術により根治治療を⾏っていただき、 末梢型を当科で肺動脈バルーン形成術というカテーテルを⽤いた風船治療により加療させていただいております。 ・手術/バルーン治療の適応に関しては全症例を⼼臓血管外科との合同カンファにて決定し、最適な治療法のご提案 を患者様にさせていただきます。 肺動脈分枝狭窄症 2 (2%) ⼤動脈炎症候群 2 (2%) 肺血管肉腫 2 (2%) 末梢型 (SD Ⅳ型) 1 (1%) 中枢型 (SDⅠ型) 2 (1%) 中枢型 (SD Ⅱ型) 末梢型 (SD Ⅲ型) 45 (38%) 63 (54%) SD︓SanDiego分類 5群:その他の肺高血圧症 (2016年6月現在 n=21人) ・全肺高血圧症患者中7%と少数ですが、近年紹介を受ける患者様の中での割合が増加しております。 ・肺高血圧の原因が多岐にわたり病態が複雑でありますが、腎臓内科、腫瘍内科、血液内科、内分泌内科などと共に 原疾患の治療と肺高血圧への治療を併⽤し⾃覚症状の軽減と予後改善に努めております。 腫瘍塞栓 2 (9%) 骨髄増殖性疾患 2 (9%) 肺腫瘍源性塞栓性微⼩血管症 PTTM疑い 6 (29%) 透析関連 肺高血圧症 9 (43%) 脚気 1 (5%) 甲状腺機能亢進症 1 (5%) 神⼾⼤学における肺高血圧治療内容 (2016年6月現在 内服治療 患者数 エンドセリン拮抗薬 継続症例) 非内服治療 患者数 プロスタサイクリン製剤 ボセンタン(トラクリア®) 44 アンブリセンタン(ヴォリブリス®) 16 マシテンタン(オプスミット®) トレプロスティニル持続静注 (トレプロスト®) 1 12 トレプロスティニル持続皮下注 (トレプロスト®) 2 シルデナフィル(レバチオ®) 42 エポプロステノール持続静注 (フローラン/エポアクト®) 5 タダラフィル (アドシルカ®) 28 イロプロスト吸入 (ベンテイビス®) 0 在宅酸素療法 97 非侵襲的陽圧換気療法 7 肺動脈血栓内膜摘除術 (PEA) 41 肺動脈バルーン形成術 (BPA) 60 ホスホジエステラーゼ阻害薬 可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬 リオシグアト(アデムパス®) 40 プロスタサイクリン製剤 ベラプロスト徐放製剤(ベラサス®) 24 ベラプロスト製剤(プロサイリン/ドルナー®) 14 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する侵襲的治療内容 (2016年6月現在) 治療年 PEA施⾏ 患者数 2001年 1 2002年 2 2003年 1 2004年 2 2005年 3 2006年 1 2007年 2 2008年 3 2009年 1 BPA新規導⼊ 患者数 PEA︓肺動脈血栓内膜摘除術 (⼼臓血管外科) BPA︓肺動脈バルーン拡張術 (循環器内科) BPAセッション数 44 45 39 (2016年6月現在) 30 2010年 24 2011年 1 7 2012年 1 9 2013年 7 12 2014年 6 12 2015年 8 14 2016年 2 6 計 41 60 16 2011 2012 2013 2014 2015 2016 神⼾⼤学における多診療科による集学的治療 ・肺高血圧の原因疾患は循環器領域にとどまらず膠原病・呼吸器疾患・消化器疾患・血液疾患・腎疾患などと 多岐にわたります。当院では各専門診療科と緊密な連携をとり、肺高血圧症の治療を⾏うと同時に原疾患の 治療も併せて⾏っております。 ⼼臓血管外科 4群: 慢性血栓塞栓性肺高血圧 合同カンファによる手術/バルーン 治療⽅針の協議 1群: 先天性⼼疾患肺高血圧症 肺血管拡張薬投与後の根治術導入 循環器内科 ⼼臓血管外科 1群: 特発性肺高血圧症 2群: 左⼼疾患由来肺高血圧症 ⼼保護薬・利尿剤 肝疾患治療と肺血管拡張薬投与 消化器内科 1群: 膠原病性肺高血圧症 免疫抑制剤と肺血管拡張薬のCombination therapy 肺血管拡張薬のUpfront Combination therapy 1群: 門脈圧亢進症性肺高血圧症 膠原病内科 5群: その他の肺高血圧 原疾患の治療と肺血管拡張薬の投与 腎臓内科・血液内科・腫瘍内科 3群: 呼吸器疾患に伴う肺高血圧症 気管⽀拡張薬・肺血管拡張薬・酸素療法 ・非侵襲的陽圧換気療法の最適化 呼吸器内科
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