前回の問題 解答例(1) 解答例(2) 交互提案の交渉ゲーム ダイナミック

解答例(1)
前回の問題
• δ=0.8のとき3段階の交渉ゲームの、ゲーム
の結果(均衡プレイ)を求めましょう。
A
y
B
• 第1段階
n
B
n
A
A
y
y
B
n
解答例(2)
– Aが提案
– Bは拒否すれば、次のランドでδ×(1-δ)
– ゲームの結果
–
(1- δ(1-δ), δ(1-δ))
– δ=0.8のとき
–
(0.84,0.16)
ダイナミック・プログラミング
• 動学的最適化(Dynamic programming):
– 時間とともにシステムが変化する状況での最適
化問題の解法
– 均衡が存在すると仮定して、その条件、性質を求
める
– 経済学の多分野で用いられる
– 詳しくは大学院で
• 最終ラウンド(第3段階):
– 最後通牒ゲーム(Aが提案)
– ゲームの結果 (1,0)
• 第2段階
– Bが提案
– Aは拒否すれば、次のランドではδ×1=δ
– ゲームの結果 (δ,1-δ)
交互提案の交渉ゲーム
• 交互に大きさ1のパイの分け方を提案
• 交渉回数は無制限
• 交渉が延びれば、パイはδの率で縮小
A
y
B
n
B
n
A
y
A
y
B
n
2種類のサブゲーム
• 無限回交渉ゲーム
– 無限個のサブゲームを持つ
– Aの提案から始まるサブゲーム
– Bの提案から始まるサブゲーム
• 2種類のサブゲームの均衡(SPE)
– 均衡の関係から、均衡を求める
1
サブゲームの均衡
均衡の関係
• Aの提案から始まるサブゲーム
• Aの提案XAに対するBの意思決定
• Bの提案から始まるサブゲーム
1  X A   (1  X B )
• Bの提案XBに対するAの意思決定
– 均衡をXAとする
– 均衡なので、AはXAを提案し、Bが承諾して終了
– ゲームの結果 (XA,1-XA)
– 均衡をXBとする
– 均衡なので、BはXBを提案し、Aが承諾して終了
– ゲームの結果 (XB,1-XB)
– Bは提案を拒否しても承諾しても同じ
– 拒否した場合:交渉が1段進んで、自分が提案
– 自分の提案で得られるのは δ×(1-XB)
– 拒否して自分の提案で得られるのは δ×XA
X B  X A
部分ゲーム完全均衡
• 割引因子δ
• サブゲームの均衡の関係式
1  X A   (1  X B )
– 交渉のコスト=待つことのコスト
– 交渉を遅らせることで、交渉の果実が減る割合
– 我慢強い人ほど、将来の果実が減らない
– 我慢強い=待つことのコストが小さい
X B  X A
– 連立方程式を解いて
1

, XB 
1
1 
• 提案するほうは、自分の取り分が1/(1+δ)
XA 
1 XB  1

1 

• 異なる割引因子
– 2人の我慢強さが異なる場合
– 我慢強い人が交渉力があるのか?
1
1 
交渉費用が異なる場合
XB  AX A
• 部分ゲーム完全均衡
XA 
1 B
 (1   B )
, XB  A
,
1   A B
1   A B
空脅しの戦略
• 最後通牒ゲーム
• サブゲームの均衡の関係
1  X A   B (1  X B )
– 連立方程式を解く
我慢強さ
1 XB 
– 割引因子が1に近いほど、取り分も大きい
– 我慢強い人ほど、交渉力がある
1A
1   A B
– Aが提案、交渉決裂の場合、利得はゼロ
– 以下の戦略を考える
– A: 山分けを提案
– B: 取り分が半分以上なら承諾、未満なら拒否
– この戦略の組はナッシュ均衡ではあるが、部分
ゲーム完全均衡ではない
2
ナッシュ均衡
• Bの戦略を固定した時のAの最適反応
– 山分けを提案 → 承諾 → 利得は1/2
– 戦略を変更
• 自分の取り分が半分未満 → 承諾 → 利得減
• 取り分が半分より多い → 拒否 → 利得ゼロ
• Aの戦略を固定したときのBの最適反応
– 戦略を変更しても、利得は増えない
• 空脅しが成功する場合のナッシュ均衡
代替手段
• 外部機会(Outside opportunity):
– 交渉が決裂したときに得られる利得
– 交渉の対象とは無関係でもよい
• 脅し点(Threat point):
– 外部機会のこと
– 交渉が決裂しても得られるので、この点よりも不
利な点で合意する必要はない
– 交渉力の源泉のひとつ
脅し点のある最後通牒ゲーム
• バックワード・インダクション
–
–
–
–
–
Aが提案するので、Bの最適反応から求める
Bは合意しなくても20万円もらえる
自分の取り分が20万円に満たなければ、拒否
20万円以上なら承諾
Aは、Bが承諾する提案の中で自分の取り分が最大にな
るような提案をする
–
→ (30万円、20万円)
– 最後通牒ゲームでも、提案するものが独り占めとは限ら
ない
• Bの戦略
SPEではない
– 自分の取り分が半分以上でなければ拒否
– もしAが、(0.8,0.2)という提案をした場合
• 拒否すれば利得はゼロ
• 承諾すれば、0.2の取り分
• 一般に、0<X<1のどんなXについても
– A:(X,1-X)という提案
– B:自分の取り分が(1-X)以上なら承諾
– ナッシュ均衡
協力の成果の配分
• A,Bが協力すると80万円手に入るが、協力し
なければ、Aは10万円、Bは20万円もらえる。
• 2人の協力により発生する余剰は
– 協力すれば2人で80万円
– しなければ2人で 10万円+20万円=30万円
– 余剰は 80万円-30万円=50万円
嫉妬心、優越感
• 相手の取り分が自分の利得(効用)に影響を与える
• 利得関数
u A  x A   ( x A  xB )
uB  x B   ( xB  x A )
• バックワード・インダクション
– Aの提案をx1
– Bの最適反応は?
3
2段階ゲーム
最後通牒ゲーム
• Bの最適反応
– Aの最適反応をx1 → (xA,xB)=(x1,1-x1)
– Bは利得がゼロより小さければ拒否
1 
(1  x1 )   [(1  x1 )  x1 ]  0, x1 
1  2
– したがって、Bの最適反応は
1
1
x1 
であれば拒否、 x1 
であれば承諾
1  2
1  2
1
を提案
– Aの最適戦略 x1 
1  2
• Bの提案に対するAの最適反応
– Aは、提案を拒否すると、交渉を1段階進めてδx*得られる
ので、Bの提案がそれ以上の利得(効用)をもたらすなら承諾
x2   [ x2  (1  x2 )]  x1   [x1   (1  x1 )],
( 2  1) x2     (2  1) x1  
x2  x1 
 (1   )
1
1 


1  2
1  2
1  2
 

1  2
今日の問題
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