2)仕様書(実現可能性調査

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仕様書
国際部
1.件名 :地球温暖化対策技術普及等推進事業/JCMプロジェクト実現可能性調査
2.背景及び目的
我が国は地球温暖化問題への対応として、海外での温室効果ガスを削減できる優れた技術や製品を多く持
っている。しかし、現在、技術や製品の普及を通じた途上国での削減を認める国連の唯一の制度である「クリ
ーン開発メカニズム(以下、「CDM」という。)」は、審査プロセスに長い時間がかかり、承認の可否につ
いても不確実性が高いことに加え、我が国が得意とする省エネルギー製品(自動車、家電等)や高効率石炭火
力等の低炭素技術に対する適用が潜在量と比較して著しく少なく、我が国の得意分野の技術・製品を活かすに
は不十分な状況にある。
このため政府においては、2013年以降、国際的な温室効果ガス排出削減への取り組みを促進するものと
して、
CDM等の京都メカニズムとは異なる市場メカニズムを含む
「様々なアプローチ」
の検討を進めてきた。
この「様々なアプローチ」のひとつとして、二国間合意によって、我が国が世界に誇る低炭素技術や製品、イ
ンフラ、
生産設備等の普及や移転による温室効果ガス排出削減・吸収への貢献を、定量的に評価するとともに、
我が国の削減目標の達成に活用する「二国間クレジット制度」(以下、「JCM」という。)を提唱し、積極
的な取り組みを実施しているところである。これまで、2013年1月のモンゴルに始まり、バングラデシュ、
エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メ
キシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイの合計16か国との間でJCMを構築している(国は署名
時期順、2016年8月3日現在)。
2014年11月~12月にペルー・リマで開催されたCOP20での合意により、全ての国が「共通だが
差異ある責任」の原則の下、先進国・途上国を問わず、排出削減のための約束草案(INDC)を提出するこ
ととされたことを受け、政府は2015年7月に国連気候変動枠組条約事務局に我が国の約束草案を提出し
た。この中で、JCMについては、「温室効果ガス削減目標積み上げの基礎とはしていないが、日本として獲
得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントする。」とされた。
さらに政府の地球温暖化対策推進本部(本部長:首相)が2015年11月に取りまとめた「美しい星への
行動2.0」では、今後の対策の柱の一つとして、「二国間クレジット制度(JCM)等を通じた優れた低炭
素技術の普及を推進」することとされた。2015年11月から12月にフランス・パリで開催されたCOP
21での安倍総理ステイトメントにおいても、2020年に官民合わせて年間1兆3千億円の気候変動対策
の事業が途上国で実施されるようにすることと、JCMなどを駆使することで、途上国の負担を下げながら、
画期的な低炭素技術を普及させていくことが表明された。
COP21において採択されたパリ協定では、産業革命前からの気温の上昇を、2℃を十分に下回る水準に
抑えることや、先進国だけでなく途上国も参加して地球規模の温暖化対策に取り組む新たな国際枠組みが合
意された。さらに、JCMを含む国際的な市場メカニズムを各国の削減目標の達成に活用することが認められ
るという成果も得られた。
本事業は、政府のこのような取り組みを踏まえ、優れた低炭素技術・製品等の海外における有効性を実証
し得る具体的な温室効果ガス排出削減プロジェクトを効率的かつ効果的に実施するため、JCMを構築した国
(公募〆切時点)や今後構築することが期待される国において、相手国との具体的な排出削減プロジェクトの
発掘とその形成を促進するとともに、当該技術の普及・移転や貢献の評価手法の確立、プロジェクトの実施に
向けたファイナンス面その他の制度構築のあり方を検討する材料を早期に洗い出し、今後に役立てていくため
の調査を補完的に実施するものである。
3.調査内容
次の調査を実施する。
(1)対象国の気候変動を巡る情勢と政策、及び当該技術・製品等が対象とする市場、政策等の概況
(2)当該プロジェクトの事業性評価、及びその実現に必要なファイナンスその他の投資環境整備
例えば以下の調査内容が示されていること。
① 対象国政府の協力方針
② 対象国で適用可能な優遇政策等
③ 対象国の設備投資動向
④
⑤
⑥
⑦
実施サイト(あるいはパートナー)の分析
当該プロジェクトの具体的な事業計画
対象技術の普及可能性
事業戦略(中長期的なものも含む)
(3)当該プロジェクトにおけるMRV方法論の特定
NEDOがこれまで実施した「地球温暖化対策技術普及等推進事業」の成果物としての排出削減量の定
量化に関するMRV方法論等のうち、適用することが適切と考えられる既存のJCM方法論がある場合、
この方法論を適用して当該プロジェクトにおけるリファレンス排出量の設定や排出量の算定を行う。
適用できる適切な既存の方法論がないと考えられる場合には、合同委員会で採択されたガイドライン
(※)に基づき新たなMRV方法論を検討し、MRV方法論を完成させる。その際には、第三者(CDM
指定運営機関、ISO14065取得機関)により方法論の適用可能性等の審査を受け、必要に応じてM
RV方法論の修正等を行うことを原則とする。
(4)同方法論を用いた削減見込量、その他当該プロジェクトを通じて得られる経済効果
※JCMの各種ガイドラインに従うこと。
(http://www.mmechanisms.org/initiatives/index.html を参照のこと)
以上の調査を踏まえ、具体的なプロジェクトの実施計画又は提案の策定を行う。
4.調査期間
NEDOが指定する日から最長平成29年10月31日(火)まで
5.予算額
20百万円~50百万円/件 程度
6.調査報告書
提出期限:調査最終日
提出部数:以下のファイルを含む電子媒体CD-R 1部
①要約書(テキストファイル形式:和文、英文)
②調査報告書本文(PDFファイル形式と Microsoft Word ファイル形式:和文、英文)
③調査概要(Microsoft PowerPoint ファイル形式:和文、英文)
新たにMRV方法論を作成する場合は、上記に加えて④の報告書も作成すること
④MRV方法論(Microsoft Word ファイル形式と Excel ファイル形式:和文、英文)
MRV方法論適用可能性等審査を受ける場合は、上記に加えて⑤の報告書も作成すること
⑤MRV方法論適用可能性等審査結果報告書(Microsoft Word ファイル形式:和文、英文)
※英文調査報告書本文、和文MRV方法論、英文MRV方法論については、JCMの各種ガイドライン
に従ったものを想定しているが、当該国での合同委員会での決定等により変更される可能性がある。
英文調査報告書本文については、和文調査報告書本文の英語版又はJCMのプロジェクト設計書
(Project Design Document : PDD)のドラフトをもって報告書とすることができるものとする。
上記報告書は調査委託契約約款および実証事業契約約款に基づき、NEDOの判断で対外的に公表す
る場合がある。
7.報告会等の開催
委託期間中あるいは委託期間終了後に、報告等を要請することがある。