Akita University 秋 田県六郷扇状地 の水文環境 肥 田 登 Hydr ol ogi calEnvi r onmentsi nRokugoA‖uvi alFan,Aki taPr ef ectur e NOBORU HI DA Roku goal l u vi alf a nl i e s3 9 0 2 5 ′ no r t hl at i t udea nd1 4 0 0 3 4 ′ e a s tl ong it ude .I tc o ve r sa na r e a o fne ar l y1 4s qua r eki l o me t e r s . Thedi s t anc ebe t we e nt hehe ada ndout e rf r i ngeoft hef a n i sa bo utf ourki l o me t e r s . Thec e nt e rofRoku g0mac hit o wnwhi c hi ss i t ua t e dont hef r i nge n u mbe r s 7, 0 0 0i nha bi t ant s . The y pr i vat e l y pump up gr oundwa t e rf o r do me s t i c us e s . Gr o undwat e ri sr e c ha r ge di nt hef a n' sa r e a,whi c hi sut i l i z e dmai nl yf orr i c ec ul t i va t i o n. Gr o u ndwa t e rl e ve l sar ehi ghdur i ngt hes e as o nofme l t i ngs no wa ndt hepe r i odofi r r i ga t i on a c t i vi t i e sf r om Mayt oAugus t . Thehi ghe s tl e ve lappe ar sa tt hee ndoft heme l t i ngoft he s n o wa ndt hebe gi nni ngofi r r i ga t i o n. Thel owe s to neo c c ur sa r oundt het i mewhe ns now c o ve rr e ac he samaxi mum,whi c hi sus ual l ya bo ut1 3 0c e nt i me t e r si nde pt h. Ⅰ は しが き 筆者 は,秋 田県六郷 扇状地 にお いて地下水位 の変動,地下水 の水 質,地下水 の人工 か ん養,地 下水管理 の あ り方 な どに関す る一連 の研 究 を実施 してい る。若干 の成果 はすで に拙 論 に著 して き 9 8 6,1 9 8 7a,1 9 8 7b,1 9 8 7C) 。小論 の 目的 は, これ らの研 究 との関連 にお いて扇状 た( 肥田,1 地の水文環境 の輪郭 を把握 しよ うとす る もので ある。 Ⅰ Ⅰ 扇状地 の水 文環境 1 位 置,水系 0-6 0 k m,東西約 1 2-1 5 k mに 六郷扇状地 は横手盆地のほぼ 中央部 に位 置す る。盆地底 は南北約 5 及び,東縁 は断層崖 に よって奥羽 山脈 に接 す る。 この断層崖 にそ って南北 に一連 の扇状 地群 が発 達 した。主 な もの は北か ら白岩,斉 内, 川 口,千屋,六郷, 金沢,御所 野,皆瀬 ・成瀬 な どの各 扇状地 であ る。 なかで も六郷 扇状地 は,扇頂 か ら平地 に向 って開 く半 円錐 の形状 が典 型的 な扇 形 をな してい るこ とで よ く知 られ, しば しば教科 書や副読本 な どに も採 用 され て きた。 9 7 6,p. 41お よび添付地質 図 1:5 0, 0 0 0 )に よれば,六 秋 田県総合地質図幅 『 六郷 』 ( 秋 田県,1 郷扇状地 は古 い扇状地 の上 に新 しい扇状地 が重 な り合 ってで きた沖積 ・合 成扇状地 で あ る。 ただ し小論 では一般 的 な通 念か ら上 の図幅上 の新期扇状 地部 を もって六郷 扇状地 を指 す もの とす る。 この意味 でC 7 ) 六郷 扇状地 は,南北約 5. 5 k m,東西約 4k mの楕 円形 をな し,面積 は約 1 4 nt k で あ るO 扇頂 は六郷 町 の関 田にあ り,扇端 に同町 の市街 地 が ある。 関 田か ら市街 地 に至 る周辺 が扇状 地 の -1 85- Akita University 図 1 六郷扇状 地の概況 a :市街地、宅地、公共施 設 b :水 田 C :畑地、果樹 園 d :林 、荒地、墓地 e :田沢疏水 f :七 滝土地改良区円筒分水施 設 g :地質柱状 図位 置 1-1 8( 図 2参照 上 図 3参照)0 観測井W l∼W 4 ( 0, 00 0( 1 7 9 2 年 4月撮 破線 内は七滝土地改良区の受益地O下 図お よび コンター :六郷 町図 1こ1 影 、国際航業㈱調整) に よる。 9つ 2 5 ′ ,東経 1 40 0 3 4 ′ の 主要部 に当 り,小論 で取 り扱 う対 象 となる ( 図 1).扇央部 の野 中は,北緯 3 位置 にある。 扇状地 を発達 させ た河 川は丸子 川 ( 鞠子 川)で ある。現 在 の流路 は扇項 部か ら北西 に向 い, 大 曲 m上流 で北側 の善知 鳥 川 と南側 の荒 川 ( 上流 で湯 田沢 川) 方面 に流れ る。丸子 川は関 田か ら約 1k とに分 かれ る1)。 この 2つの支 流域 か ら生産 され た出水 と土砂 が,扇状地 を形成 した こ とにな る。 善知 鳥川流域 は,面積 1 7. 1 4 np k , 主流長 1 0 k mでやや ほ そ長 い。最 高地点 は真昼 岳 の 山頂 にあ り 1, 0 5 9. 9 m,最 低 地点 は両支流 の合 流地. 勘 二あ り1 0 5 m で あ る。海抜 5 0 0 m まで の面 積 は,坐体 の 55% を占め る。 2. 4 6 hT f ,主流長 6. 7 k mで円形 に近 い.最 高地 点 は7 80 m,最低 地 点 は1 0 5 m であ 荒 川流域 は面積 2 る。流域 内 には黒森 山7 6 3. 4 m を含 む。海抜 5 0 0 m までの面積 は全体 の71 %で あ る2)0 両流域 の比積分 ( hyps ome t r i ci nt e gr al )を求 め る と,善知 鳥川流域 が44%,荒 川流域 が47%で あ り,善知 鳥川流域 の万 でやや蘭析 が進 んで い るこ とが わか る。 善知 鳥川水系 は1, 1 6 4の 1次の水 流数 を有 し,荒 川 と合 流す る手前 で 6次 の水流 とな る。この間 の平均分岐比 は4. 2で あ る。荒 川 ( 七 滝川 を除 く)水系 の方 は, 1次 の水 流数 が 1, 4 8 9でや は り 6 次の水流 に まで発達 して善知 鳥川 と合 流す るO平均 の分 岐比 は4. 5で ある3)0 2 扇面 の勾配 扇面 の勾配 は どの程 度の もので あるか, 1ニ2 5, 0 00の地形 図 を用いて計 測 してみ る。 関 田の集 -1 8 6- Akita University 蒲 よ り約 5 0 0 m 東北の扇頂部 に基点 をお くO位 置 は3 9 0 2 4 ′ 4 4′ ′ N, 1 4 03 5 ′ 3 0 ′ ′ E, 標 高9 7 m で ある。 こ 0 の基点 よ り東北東か ら南西の扇端 に向 けて放射上 に 7方向の断面 を とる。つ ぎに各方向 ご とに 5 m 間隔の各等高線問の勾配 を読 み とる。 こ うして得 られ た 7方 向の勾配 を平均 す る と,高度別 に 0-8 5 m :0. 0 1 6 5,8 5-80 m 二0. 0 1 4 5,8 0-7 5 m :0. 0 1 3 2, つ ぎ の よ う な 結 果 が 得 ら れ た。9 75-7 0 m :0. 01 25,70-65 m :0. 01 21,65-60 m :0. 011 9,60-55 m :0. 01 08,55∼50 m: 0. 01 0 6,50-45 m :0. 01 0 9,4 5-4 0 m :0. 0 0 91,4 0-3 5 m :0. 0 0 8 3,3 5-3 0 m :0. 0 0 5 60 0 m 以下 ,5 0-8 0 m, 8 0 m∼扇頂 までの 3つ の斜面部 に分 け これ らの値 か ら,扇面 はお よそ標高 5 0 m 以下 では勾配 の オー ダーが 1 03で あ り,5 0 m 以上 に比べ て小 さい。5 0 m 以上 で勾配 られ る。5 02とな る。そ して と くに8 0 m 以上 にお いて 1 / 5 0を越 える所 も現 れ,勾配 は一段 と大 のオー ダー は1 き くなる。 扇面 勾配 の増減 は,扇状地形成 の時期 区分 を行 う場合 に 1つの指標 として用 い られ るこ とが あ る4)。 しか し上 の値 を もって六郷扇状地 の形成 時が 2期 ない し 3期 に分 け られ る と速 断す るわ け にはゆか ない。 3 地質 六郷 扇状地 は第四紀更新世 末 ∼完新世 (1万年前 まで)に形成 され た もの とされ る5' O ここで は 第四紀 の沖積 層の下部 にある千屋層 を扇状 地 の基盤 と考 えてお きたいo 千屋 層6 ) は,新 第三期の末期 に当 る鮮新世 に形成 され た もので,層厚 は大 きい ところで数百 メー トルに及ぶ。岩相 は硬岩,砂 岩,砂硬層,泥岩,凝 灰岩 か ら成 り,下部 に亜炭 を混有す る。一部 に透 水性 の よい砂喋層 を含む ため, 第四紀 の沖積 層 と見分 けに くい ところ もあ る。 ) 。 それ に よる と地表面か ら基盤 ・ 千屋 層 扇状地 を とり囲む形で, 3地点の試す い柱状 図が あ る7 0 m,扇端 の市街地 ( 赤城 ) で少 な くて も7 0 m,局 までの厚 さは, 扇状地 の南端 ( 仙南村篭林 )で5 状地 の東端 ( 千畑町 中野)で 1 0 7 m で ある。 第四紀沖積 層の層序 は,か な らず Lも明確 に とらえ られてはいない。 ただ これ までに行 われて きた 2,3の電気探査 な どの結果 に よればS ) ,扇頂 か ら扇端 にが ナて2 0-3 0 m 深 までの地 質は,シ ル ト ・粘 土質層 を挟 んではい るが主 に砂裸 層か ら成 る もの を推定 され る。 と くに扇頂 か ら扇 央の 9 8 5 年 9月に野 中付近 ( 海抜 6 0 m)で行 った人工 かん養 用 浅 層部 は巨磯 を多 く含んでい る。実際 に1 の ス リッ ト掘 削工事 にお いて, 3m 深 まで の層 か ら径 3 0 c m∼5 0 c mほ どの 巨磯 の混 入が確 認 され た。 8か所 の柱状 図 を このほか扇端部 にはい くつ かの地 質柱状 図が存在す る。六郷 町 の協 力 を得 て 1 入手 し, それ らを転記 して図 2に ま とめた。番号 で 6, 9,1 4,1 6は土質柱状 図 で あ り, ほかは 井 戸柱状 図で あ る。 いずれ も記載者 が異 な るので,地質判定 につ いての若干の差 異 は まぬがれ な い。 これ らの柱状 図か らつ ぎの点が読 み とれ る。 第 1に,砂礁 層 お よび粘 土 ま じ り砂磯 層が主体 である。硬 径 は大 き く巨襟 の ま じる層 もあ る。 第 2に,粘土層が所 どころに挟 まれ るが,層 の連 続性 はか な らず Lも明瞭 ではない。不連 続 な粘 土層 が局部 的 に入 り組 んで い る もの と思 われ る。 0 m お よび40 m 深前後 に薄 い泥炭層の認め られ る個所 が ある。 第 3に,1 地質柱状 図に よる砂襟 層 な どの確 認 は,電気探査 の結果 を裏づ ける もので あ る。 しか しこれ ら の柱状 図に して も,深 さの点 か ら第四紀沖積 層 の基底面 を追跡す る ところ までは入 りこめ ない0 4 水収支 分水 界に よって区切 った横 手盆地域 の水収支 ( 1 9 41-7 0 年 の平均 ) に注 目 してみ よ う ( 肥軌 1 9 80) 。年 平均 降水 量 (P)は2, 0 0 5 m mで あ る。 月最 大降水 量2 41 m mは 7月に現 れ, 月最小 降水量 1 0 4 -1 8 7- . I . . .= 壬, r ..」 L [ 」 . : I . L.1 ㌦ ∵/ L I I ・ Akita University ,I 3 1 : 〇 、8 , Q D o 0 0 o ∩ v i I 藻 1 0 監打 W m阿 閤川 巨転日 転 o o C ' 二 ヒ ○,o o O 0 O C > I I L : A 冒 図 2 六郷扇状地扇端部の地質柱状 図 消雪井) 3. 琴平 町 ( 消雪井) 4. 琴平町 ( 消雪井 ) 1. . 罵町 ( 消雪井) 2‥罵町 ( 5. . 罵町 ( 消雪井 ) 6. 町営住宅 7. 同( 安楽寺 ) 8. 町立幼稚 園 9. 町 立体 育館 1 0. 亀谷外科 医 1 1. 六郷 高校 1 2. 学校給 食セ ンター 1 3. 六郷 町赤城 1 4. 六郷小学校 1 5. 米町 ( 消雪井) 1 6. 六郷 町役場 1 7. 六郷 町農協 1 8. 町営住宅 位置 につ いては図 1参照。 a :砂 b :玉石、裸 C :粘土 d :シル ト e :粘土質、粘土 ま じr ) f :シル ト質 g :砂質 h 二腐植上 i:泥炭 j :泥岩 m mは 5月に現 れ る。冬季 間, とくに1 2-1月の降水量が相対 的 に大 きいので,冬半期 の降水 量 は 夏半期 の降水量 を上 回 る。Th o r nt h wa i t e法 に よって求 め た年平均 の可能蒸発散 量 ( E)は6 6 3 m m で ある。上 の P,E両者 の値 か ら年平均の過剰水分 量 は1 , 3 4 2 m mとな る。横 手盆 地のほぼ 中央 にあ る六郷 扇状 地の場合 も, これ らの値 と大 同小 異のはずで ある。 市街地の最大積 雪深 は平年 で 1 3 0 c m程度 で あ る (図 3参 照)。最近 の例 を見 る と1 9 8 5-8 6 年 冬の 1月2 6日に8 6 c mを記録 した. 7日に1 9 4 c m,雪の少 なか った1 9 8 6-8 7 年 冬の ピー クは ピー クは 2月1 積雪深 は扇端 か ら扇頂 にむ けて約 2 0 c mほ どの増加 をみ る。 5 土地利用 水 田 :市街地 で活用 されて い る地下水の主 なか ん養源 は扇状地面 で ある。扇状地 の土地利 用は どの よ うな もので あろ うか。図 1には1 9 72年撮影 に よる六郷 町図 1: 1 0, 0 0 0に基づ いて土地利用 の実態 を 4つの項 目に分 けて示 した。水 田,畑地 ・果樹 園,市街地 ・宅地 ・公共施 設,林 ・荒地 ・ 墓 地で ある。つ ぎに扇頂 の七 滝土地改 良区の円筒分水施 設の地点 をA とし, 市街地 に流れ こむ地 図 下水 のか ん養域 を配 慮 して扇状地面 に任意 の扇 形 ABCをつ くる( 1 )0 BC間 は5 0 mの コン ター を境 界 とす る。 そ して扇形 内の土地利 用 を 5m間隔の コンター で区切 られ た標 高区別 に計測 -1 8 8- Akita University した。結果 は表 1の とお りで あ るO 表 1 扇形 ABC (図 1)の標高 区別 土地利用 f 標高m 面 積 kt 内 水田 5 0-5 5 1. 4 2 0 5 5-6 0 1. 2 1 3 6 ( ) ∼6 5 0. 9 8 2 6 5-7 0 0. 8 4 8 7 0-7 5 0. 4 5 5 7 5-8 〔 ) 0. 5 3 0 8 0-8 5 0. 2 5 8 8 5-9 0 0. 1 0 3 果 畑 樹 地 園 6 0. 3 8 3. 6 7 9. 9 9 1. 7 8 8. 7 8 1. 5 8 5. 8 6 1. 2 % 訳 宅 市 公共施 衝 地 設 墓 荒 柿 地 8. 6 3. 4 2. 2 2. 0 1. 7 0. 6 0 4. 3 2 7. 9 1 2. 5 1 7. 0 3. 9 7. 8 1 5. 0 1 3. 5 2 1. 6 3. 2 0. 5 0, 9 2. 4 1. 8 2. 9 0. 7 1 2. 9 BCは50mグ)コンターを境界 とする C 六郷 町 図 1:1 0, 0 0 0し 1 9 7 2 年 4月撮 影 、 国 際航 業 ㈱ 調 整 ) に 基づいて作成。 ここで注 目してお きた いのは,扇状地 の土地利 用の大部分 は水 田で あ る とい うこ とであ る。全 8%に達 す る。 標高6 5-7 0 mにお いては9 0% を上 回 る。 体 の7 9 6 3 年に 水田は もともとこの よ うに 多 くを占めては いなか った。扇状地 の水 田は, 田沢疏水 が 1 完成す るこ とに よって飛躍的 に拡 大 した。 それ以前 の水 田は, 図 1に破 線 で示 す よ うに比較 的扇 頂郡 を対 象 とした七 滝土地改良区の受益地 に限 られて いた。水 田以外 の土地 は林地 ・荒地 が主 で あった9)。 かんが いシステム :扇状地 の水 田は, 2つの系統 のかんが い用水一 七 滝土地 改良区の関 田分水 系 と田沢疏水系一 に よってかんが い され る。 関 田分 水 のかんが い用水源 は,丸 子 川の表流水 で あ る。土地改良区の管理 す る取水 口は 3か所 に分 け られて い るが,扇状地 の水 田かんが いに直接 か かわ る取水 口は,関 田堰 で ある。関 田堰 に よる取水量 は,最 大 で 1. 8m3 / s e c,平均 で0. 2 4 6m3 / S e e( 過 午,慣行水利権 )で あ り, ここで取 り入れ られ た水 は, 円筒分水施 設 ( 図 1の A地点) に よって 1 0か所 に分 け られ る。 この なかで野 中堰 , 筑後 屋敷堰,増堰 な どが図 1に示 した主 に扇頂部付近 9 8 5) 0 の受益地 に水 を供給 す る( 秋 田県七 滝土地 改良区,1 このほかの水 田は, 田沢疏水系 の用水 に よってかんが い され る。扇状地 にかかわ る田沢疏水 の 分水 口は, 図 1に示 した1 3- 1- 2,1 4- 1-2の 4か所 で ある。 ただ し受益町村 は六郷 町 のほ か千軋 仙南の両町村 を含 む。秋 田県田沢疏水 土地改良区の 「 取水計画 お よび分水 口別 かんが い 9 7 9 年 度の 田沢疏水 の通水期 間は, 5月 1日か ら 9月1 0日まで とされ, 用水配分計画」に よる と,1 4つC 7 ) 分水 口を合 わせ たかんが い面積 と分水 量 は, それ ぞれ,6 4 2 ha,3. 4 5m/ s e cで あ ったO 扇状地の農家 を例 に, 水稲 にかかわ る農 作業 の流れ を表 2に示 した。 かんが いの期 間は 5月初 旬に始 ま り, 8月未 に終 るo 3 なお市街地の西側 に接 す る永 日 引ま, か って扇端 の湧泉群 の水 を引いて拓 かれ た もので ある.六 8 0 haに達 した とい う。しか し最 近 は田沢疏水 の水 が潤沢 に使 え 郷町産業課 による と,その広 さは4 るため に,湧水 かんが いの システムは崩れつつ あ る。 -1 8 9- Akita University 表 2 六郷扇状地 丁農家の農作 業 ( 水稲 )の実績 ,1 9 77年 農 作 肥 業 料 ・ そ の 他 重 カ リ醸 し 4 0 k g/反 J りン化苦土妄 r AO k g/戻) 媒耕起 した田 をさらに掘 l )起 こす 米畔のす き間 をな くし漏 水 を防 ぐ MO粒剤 1枚分 2i4I6-トリクロル7 ェ ノー ルー4' 一 ニ トロ7 ェニ ルエ- テル 9%) 7 ゾワン粒 割 り モチ病, 夜分 /イソプ ロピル-1・3-ブナ オ 病害 虫,成分 ス ミチ オン乳 剤 \ / メチル 13-/チ ル 4-ニ トロ 7 ェ二 J レ)す すホ スフ ェー ト5 00 / o) E E l 植 え し3ha) 硫安 ( 1 0 k g/ 良)-苗の活着の促 進 植つ け ス ミチ オン乳 剤 とカ ス ミン乳 剤の混合 ( 1 5 0[ /良. 1 0 0 0倍液 ) 病害 虫防除 L 全水田) か スカマ イノン 2% 塩酸塩 23 0 / O) カス ミン乳剤 (イモチ病.成分 全田溝掘 り中干 し ※排 水溝 を掘 り. 酸素 欠乏 を防 き根の伸長 を回 るため中干 しす る 病 害 中防除 オ り/ +メ- ト粒剥 くイモチ病 , 3k g′ / 丸 或分 3ア リルオキン -1・2-ベ ンゾ イソチ7 ゾー タ レ1・1-ンオキ/ ト8%1 ( ササ 二 ンキ田のみ) 間断濯水 田面が完全 に覆 われ ない程 度 病害 虫防除 し 全E B) ヒ ノサ ン粉 剤 「イモチ鳳 3k g/反,成分 0エチ 7 い S・ S- ジ7 ェ二J L / /チ オホ ス7ェ- ト15 %) ササ ニ /キE E l 以外) 追 い肥 し チ /ソ12 k g /良 航空防 除 E L , Lて ス ミチ オン乳 剤 とラフサ イ トゾル しイモチ病 1 と水の混/ 病害 虫防除 ( 一部 の水 EEl) ※ イモチ病の傾 向が少 しあ ら1っ れ た乱 追 い肥 f ササ ニ シキB ]のみ ' h TK化 荻 追 い肥 ( ササ ニ /キ田の一部 ) 尿素 1k g/反 深 水 と間断濾 水 6℃以下 の時 に深水 L I Oc m以上 ) て1 6℃以上の時に間断潅水 気温 か1 1 1 6の比率 127 ′ ′ ha け ノソ12 k g/反 ヒ ノサ ン粉 剤 3k g/良 カ リ12 k g ナ ノソ12 k g/反 / 皮 / ' L カ リ12 k g /戻 追 い肥 ( ササ ニ シキ田のみ 〕 h TK化故 追 い肥 、 言‡ 三 至芸も1, 完全落 水 尿素 少 々.秋諸現 象の防止 硝石の老化 を防 ぐ、 利巧こ' L 戴ササニ /キ作付面 暗 3反歩 ア キヒ7 )り作付面積 5乾, S 出荷 6 地下水位 扇央 ∼扇端 間で,観測井W l∼W 4に よ り地下水位 の変動 を測定 した。観測井 の位 置 は図 1に 示 した。1 9 7 9 年 4月か ら8 3 年1 0月 までの水位 の経時変化 は,図 3に示 す とお りで あ る。 ここでW lか らW 3までの黒丸 は, 1日 1点 1 2時の水位 で あ り,W 4は毎 回 7時の水位 で あ る。 また同国 には六郷 扇状地 に もっ とも近 い大 曲気象観 測所 ( 3 9 O 2 9. 3 ′ N,1 4 0 0 3 0. 0 ' E,標 高 3 0 m) 1 0) の 日降水 量 ( m m) を付 した。 さらに積 雪藻 は,大 曲気象観測 所の記録 と, 市街 地の東側 にあ る七滝 土地改 良区前で測定 した もの とで あ る。 これ らの観 測結果 か ら六郷 扇状地 の扇央 ∼扇端 の地下水位 は, かんが いお よび積 雪 ・融雪 の影 響 を強 く受 けなが ら大略つ ぎの よ うな変動特性 を示す。 第 1に,地下水位 は 4月上旬 の融雪時 と 5-8月のかんがい期 に高 く,非 かんが い期 に低 いO 第 2に,融雪 に よる地下水位 の ピー クは, 扇 央部 の積 雪深 がゼ ロにな る時点 と一致す る。 第 3に,冬季 間の地下水位 は,積 雪深 の大 きさに 対 応 して変動 し,積 雪深が最 大 となる時期 に地下水位 は最低 とな る。 これ らの特色 はW 1∼W 4 -1 9 0- Akita University ▼ r ■ ー l . L ■ (56) i …wl こ こ ' 一 一̀ l ∴lI . I . : I . l E : l . I . , ㌔ i f : 7 : i L . 、 . , , WZ 一I 1979-80 一 . . .W4 , . ∼ .. W2 ■ 一 、 ▲ . . . 一 一 . . . .' " . . . ' 叫' ' ■' . _ ∼_ O。 P. S0 1 , 、 ::I-Slv \一一、-、一 仰 s ・ , ' { . _ 湘 p 一̀ , 一 日W3 ' . . ( 52) ( 56) 1 981-82 '.W4 ・ ( 52) : ー` -̀ ー d 一 ' . ∼ -W 1 図 3 六郷扇状地扇央∼扇端の地 下水位 の変動 1 9 7 9. 4 -83. 1 0 pは 日降水 量mm( 大 曲)、Sは積 雪深 :破線 は大 曲、実線 は六郷 町 ( 七 滝土地改良区前) の間に共通 してお り,観 測井 間の変動パ ター ンに大 きな差異 はない。 このほか降水 量の 多い時 に は, それにそった地下水位 の一時的 な上昇 が認め られ る。 Ⅰ Ⅰ Ⅰ む すび 以上,六郷 扇状地 の水文環境 の概要 につ いて水系,地質, 降水,土地利 用,地下水位 な どの観 点か ら述べ て きた。 これ らの こ とが らは,地下 水の利 用,収支,水質, 人工 かん菱 な ど六郷 扇状 -1 91- Akita University 地 の地 下 水研 究 の 冒頭 に位 置 す る もの で あ り, 研 究全 体 の理 解 をはか るため に取 りま とめ た もの で あ る。 今後 , 一 連 の研 究 の集 大 成 を期 し, 改 め て大 方 の ご批 判 を仰 ぎた い と考 えて い る。 付記 1,62年 度文 部 省科 学 研 究 費一般 研 究 C ( 課題 番 号 61 580209,代 表 ・肥 田) 小論 は, 昭和 6 に よる研 究 成果 の 一部 で あ る。 注 1 )丸子 J L I は扇状地付近 では現在 で も鞠千 日は い う。丸子川は本来大 曲付近 での呼称 。ただ し,最近 の地 形図か らは鞠子川の文字が消 えている。 また荒 川は湯 田沢 川の下流部での呼称 であ る. 2)善知 鳥 川流域 1 7. 1 4 nP k ,荒 川流域 2 2. 46 hf の各高度別面積 比 を求 めて以下 ( 善知 鳥 川流域 %,荒 川流 0 0-2 0 0 m ( 1 8. 6,1 3. 3 ),2 0 0-3 0 0 m ( 1 0. 7,1 8. 3 ),3 0 0-4 0 0 m ( l l. 8,1 9. 0), 域%)で 示 す と,1 4 0 0-5 0 0 m ( 1 4. 2,2 0. 1 ),5 0 0-6 0 0 m ( 1 2. 8,1 4. 5 上 6 0 0-7 0 0 m ( 1 3. 1,1 0. 5 ),7 0 0-8 0 0 m ( l l. 4, 4. 0),8 0 0-9 0 0 m ( 5, 5,0. 3 ),9 0 0-1, 0 0 0 m ( 1. 4,0) ,1, 0 0 0 m∼( 0. 5,0)で ある。 1:2 5, 0 0 0 地 形図 を使用。 3 )水系分析 には 1:2 5, 0 0 0 地形図 を使 用 した0 4 )六郷 扇状地の分類,時期 区分 については,藤原 し 1 9 5 4,p. 6 7-6 9 ),小西 ( 1 9 6 6,p. 2-4),近藤 ( 1 9 6 9, p, 3 ),秋 田県 ( 1 9 7 6,p. 41 )な どにふれ られている。扇状地の分類 に藤原 ( 1 95 4)は, 湧泉 の分布,扇 1 9 7 6)は,扇面勾配の増加, 状地勾配の異状,表土の状態,土地利用 と植生の 4指標 を用い,秋 田県 ( 末端湧水帯の分布,微地形の保有状態 な どを用いた。 5 )六郷扇状 地の形成期 について秋 田県 ( 1 9 7 6,付 図)は更新世末期 とし,斉藤 ( 1 9 8 3,p. 6 4)は横手盆 地の扇状地 を一括 して完新世 で ある とす る。 6 )小西 ( 1 9 6 6,pβ),秋 田県 ( 1 9 7 6,p. 3 4)に よる。 7)小西 ( 1 9 6 6,p. 9-1 0),秋 田県 ( 1 97 6,第3 4図, 第4 6図,付図) を参照。 なお小西 ( 1 9 66,p. 1 0)お 1 9 6 6,p. 4 0 )は六郷町市街地 ( 赤城)の第四紀層厚 を1 3 9 m とす る。 よび狩野 ・上 田 ( 8)農林省東北農政局 ( 1 9 65,p. 5お よび2 8),近藤 ( 1 9 6 9,p. l l )による。 9)大 日本帝国陸地測量部,大正 2年測図同 5年製版,大正 5年 3月3 0日発行 ,1:5 0, 0 0 0 地形図六郷 に よる。 1 0 )秋 田県気象 月報 による。 文 献 秋 田県 ( 1 9 7 6 ):秋 田県総合地質図幅 『 六郷 』 .7 0 ぺ- ジ+付図. 秋 田県七滝土地改良区 ( 1 9 85)I 『 七瀧用水』同改良区,4 2 ペー ジ. 藤原健蔵 ( 1 95 4):横手盆 地未練 北半分 の地形一 断層崖下 にみ られ る地形- .東北地理, 第 7巻 第 2号, 6 3-6 9 . 肥田登 ( 1 9 80 ):秋 田県横手盆地の水収支 1 94 1-1 9 7 0 年.秋 田大学教育学部研究紀要 ( 人文 ・ 社会) ,第3 0集, 9 6-1 0 1 . 肥田登 ( 1 9 8 6)二秋 田県六郷町の湧泉の分布 , 湧出量お よび水質 につ いて.秋 田大学教育学部研究紀要 ( 人 文 ・社会),第3 6 集,7 3-8 6. 肥田登 ( 1 9 87a):秋 田県六郷扇状地 における池 を用いた浸透実験.地下水学会誌,第2 9 巻 第 1号 ,1 9-2 5 . -1 92- Akita University 肥田登 ( 1 9 87b):秋 田県六郷 町 の 自家 用消雪パ イプの使用状況 につ いて.秋大地理, 第34号,27-33. 1 9 87C):水 田 を用 いた積 雪期 間の地下水 人工 かん義一 秋 田県六郷扇状地 の例一 .日本地理 学会予 肥 田登 ( 稿集 ,3 2,6 2-6 3. 狩 野豊太郎 ・ 上周 良一 ( 1 9 6 6)・横手盆地 々下地質 につ いて・秋 田大学鉱 山学部地下資源開発研 究所報告, 第3 4 号 ,3 5-45. 近藤思三 ( 1 9 6 9巨 六郷 町扇状地地下水 調査報文.六郷 町, 1-1 7 . 小西泰次郎 ( 1 9 6 6)ニ秋 田県横 手盆地 の水理地質学 的研究・地質調査所報告, 第21 6 号, ト 3 7 . 農林 省東北農政局 ( 1 9 6 5):秋 田県仙北平野地 区 ・ 地下水調査 報告 書 ( Ⅰ Ⅰ Ⅰ 報) . 地質地下 水調査報告 集, 第 8 集,調査者 :磯 崎,赤 間, 酎 寸,松 岡, 1-5 2 . 斉藤享治 ( 1 9 8 3 ):扇状地 の形態 僧 迄 の統計分析 に よる岩層供給 量 と河床変化 の時代変遷.地理学評論, 第5 6 巻 第 2号 ,6 1-8 0. -1 93-
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