「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の公表（ASBJ）

日本基準トピックス
「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」
の公表（ASBJ）
2016年8月1日
第309号
■主旨

2016年7月26日、企業会計基準委員会（以下、「ASBJ」）は、同日現在で開発中・
開発予定の会計基準に関する今後の計画（以下、「本計画」）を公表しました。

本計画は、ASBJが開発している、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計
の基準（以下、「日本基準」）および修正国際基準（国際会計基準と企業会計基準
委員会による修正会計基準によって構成される会計基準）（以下、「修正国際基準」）
について、それらの開発に関する予見可能性を高めるために公表されたものです。

ASBJが、現在開発中・開発予定の日本基準・修正国際基準は次のとおりであり、本計画
では、その主な内容とともに、検討状況および今後の計画がまとめられています。

日本基準
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収益認識に関する会計基準
税効果会計に関する指針
リスク分担型企業年金に係る会計処理に関する指針
一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針
権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業におけ
る会計処理に関する指針
公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針
実務対応報告第18号の見直し
「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い
子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
マイナス金利に関連する会計上の論点への対応
修正国際基準
原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/plan/
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計画の概要
本計画でまとめられている、ASBJ が開発中・開発予定の日本基準・修正国際基準の主な内容、
検討状況および今後の計画の概要は次のとおりです。
1
日本基準
1．開発中の会計基準

収益認識に関する会計基準
（主な内容）
国際会計基準審議会（IASB）および米国財務会計基準審議会（FASB）から2014年に
公表された「顧客との契約から生じる収益」を踏まえて、収益認識に関する包括的な会計
基準の開発について検討中。
（検討状況および今後の計画）
2016年2月に「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を
公表（注1）。2018年1月1日以後開始する事業年度に適用可能となることを当面の目標とし
て開発中。
2．開発中の指針（実務上の取扱いを含む）

税効果会計に関する指針
（主な内容）
日本公認会計士協会（JICPA）の税効果会計および当期税金に関する実務指針について、
必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用指針等へ移管することを検討中。当該検討の
対象には「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」（監査・保証実務
委員会実務指針第63号）も含まれる。
検討の結果、現時点でASBJより次の適用指針を公表済。

「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」（企業会計基準適用指針第26号。
2015年12月公表、2016年3月改正。）（以下、「回収可能性適用指針」）（注2）

「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」（企業会計基準適用指針第27号。
2016年3月公表。）（以下、「税率適用指針」）（注3）
連結納税制度における新規適用・加入・離脱の際の税効果会計の取扱い、および企業
結合における取得企業に係る税効果会計の取扱いの整合性についても検討予定。
（検討状況および今後の計画）
JICPAの税効果会計および当期税金に関する実務指針のうち、上記の回収可能性適用
指針および税率適用指針に含まれないものに関する適用指針の公開草案の公表に向けて
検討中。公開草案公表の目標時期は未定。

リスク分担企業年金に係る会計処理に関する指針
（主な内容）
2016年度に新たに制度化される予定の企業年金制度「リスク分担型企業年金」に係る
会計処理に関する指針の開発を検討中。
（検討状況および今後の計画）
2016年6月に、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い（案）」等
（実務対応報告公開草案第47号）を公表（注4）。最終化目標は2016年9月頃。

一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針
（主な内容）
米国の一括取得型による自社株式取得取引（ASR）について、我が国企業が実施した場合
の会計処理に関する指針の開発について検討中。
（検討状況および今後の計画）
公開草案公表に向けて検討中。公開草案公表の目標時期は未定。
2

権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における
会計処理に関する指針
（主な内容）
権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における会計処理
について、会計上の取扱いの明確化について検討中。
（検討状況および今後の計画）
公開草案公表に向けて検討中。公開草案公表の目標時期は未定。

公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針
（主な内容）
プライベート・ファイナンス・イニシアティブ（PFI）事業における公共施設等運営権に係る
会計処理に関する指針の開発について検討中。
（検討状況および今後の計画）
公開草案公表の目標は2016年8月から9月の間。
3．開発予定の会計基準または指針（実務上の取扱いを含む）

実務対応報告第18号の見直し
（主な内容）
「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」（実務対応
報告第18号）について、在外子会社が国際財務報告基準（IFRS）を適用している場合、
資本性金融商品に関するノンリサイクリング処理について親会社の連結財務諸表作成に
おいて修正を要するとすべきか等について、修正項目を見直す予定。また、親会社が
日本基準、国内子会社がIFRSを適用している場合、親会社の連結財務諸表作成において
実務対応報告第18号を適用できるように修正すべきかについても検討予定。
（今後の計画）
開発の目標時期は2017年3月まで。

「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い
（主な内容）
「企業結合に関する会計基準」（企業会計基準第21号）に係る条件付取得対価の一部が
返還される場合の取扱いを検討予定。
（今後の計画）
開発の目標時期は未定。

子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
（主な内容）
JICPAの「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」（会計制度委員会
報告第7号）に定められる連結財務諸表におけるのれんの追加的な償却処理について、
子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係を踏まえ検討予定。
（今後の計画）
開発の目標時期は未定。
3

マイナス金利に関連する会計上の論点への対応
（主な内容）
マイナス金利に関連する会計上の論点（退職給付債務の計算における割引率、金利スワ
ップの特例処理）に関するASBJの議事概要を2016年3月に公表。2016年7月の基準諮問
会議より、必要に応じて適時に対応するよう依頼を受けている。
（今後の計画）
今後、検討が必要と判断された場合に適時に対応。
修正国際基準
（主な内容）
修正国際基準は、IASBにより公表された会計基準及び解釈指針についてエンドースメント
手続を実施して開発。
（検討状況および今後の計画）
2016年7月に改正「修正国際基準」を公表（注5）。今後、2014年以後にIASBにより公表された
会計基準及び解釈指針について検討予定。
（注1）「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見募集」の公表（日本基準トピックス 296 号）
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/accounting-reven
ue-recognition160204.html
（注2）「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公表（日本基準トピックス 294 号）
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/recoverability-def
erred-tax-assets160105.html
（注3）「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」の公表（日本基準トピックス 299 号）
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/tax-effect-accoun
ting160316.html
（注4）「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い（案）」（実務対応報告公開草案第 47 号）等
の公表（日本基準トピックス 305 号）
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/risk-allotment-ty
pe-accounts-processing160603.html
（注5）改正「修正国際基準」の公表（日本基準トピックス 308 号）
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/amendment-jmisasbj160727.html
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