誰でも高位合成を使える時代が ようやく到来!

特集
こんなに便利なら使わにゃ損損!
第1章
マイコンに実装したその処理がそのまま
高位合成ツールでハードウェア化できるかも!
誰でも高位合成を使える時代が
ようやく到来!
森岡 澄夫
Sumio Morioka
Xilinx 社の Vivado WebPACK Edition で,高位設計ツール Vivado HLS のライセンスが提供されるようになり,
制限が少ない(事実上ない)形で無償で試せるようになりました.一般への認知度はそれほど高くはないようです
が,非常に画期的なことです.並列 / 分散ソフトウェアやコンピュータ・アーキテクチャの設計センスがある技術
者にとっては,挑戦にあたっての障壁がかなり低くなったと言えます.
C言語で回路の動きを
シーケンシャルに
書いたソース
画期的!
Xillinx社製高位合成Vivado HLSが
無償で試せるようになった!
高位合成ツール
RTL(クロック単位の動きや
演算器の結線を
Verilog HDLやVHDLで
書いたコード)
論理合成ツール
ネットリスト
(論理ゲートに
よる回路図)
以前から,論理合成は
デバイス限定で無償で使える
配置配線ツール
LSIのマスク・データや
FPGAのプログラミング・
ファイル
図 1 FPGA 用高位合成を誰もが触れる画期的な状況になった
1.高位合成を取り巻く環境が進展
● ついに誰もが高位合成を試せるようになった
1990 年代後半から長らく「今に高位合成の時代が来
る」と言われ続けてきましたが,やっと画期的な転換
点が訪れました.冒頭で述べた通り,Vivado HLS(C
言語入力の高位設計ツール)を,誰でも無期限に無償
使用できるようになりました(図 1).WebPACK なの
で使用できるデバイスなどに制限はかかっています
4
が,高位合成の部分だけを取り出してみれば,制限は
事実上存在していないと言えます注 1.市販高位合成の
普及がなかなか進まなかった主要因が,高いツール価
格や試用手続きの煩わしさでしたから,とても素晴ら
しいことです.
もっとも,本書 FPGA マガジン No.10 などで紹介し
(3)
(4)
た技術上の問題点が解決された訳ではないので(1)
,
全く知識のない人がすぐに高性能 FPGA/ASIC 設計
をやれる時代になったと考えるにはまだ早すぎます.
それでは,どのような知識が依然要るのでしょう
第 1 章 誰でも高位合成を使える時代がようやく到来!