やさしい気持で暮らせるように……。

チャレンジが実り、
化学調味料不使用を実現
― 御社のかまぼこづくりに対する思
いをお聞かせください。
笹かまぼこは、仙台・宮城の先人た
ちの知恵によって生まれたものであり、
この地域の大切な食文化であると思っ
ています。また、全国の練り製品の中
でも高いクオリティーを誇っていると
も感じています。
しかし、弊社においては、これまで
品質の高いものをつくること、自分た
ちの技術を高めることに注力してきた
とは思うのですが、お客さまのニーズ
に耳を傾けながらそれを行ってきたか
というと、もっと努力できたのではな
い か と い う 反 省 が 残 り ま す。 そ こ で、
食の安全・安心に対するお客さまの関
心の高さに応えるべく、さらに品質の
高い笹かまぼこをつくろうと全社を挙
げて取り組んでまいりました。その結
果、この6月1日から全笹かまぼこを
化学調味料不使用でお届けできるよう
になりました。まだまだ、やれること
はたくさんありますので、チャレンジ
し続けていきたいと思っています。
地元「仙台」と共に
成長する企業として
― 毎 年、 仙 台 七 夕 ま つ り で 豪 華 絢 爛
な 七 夕 飾 り を 披 露 さ れ、 ま た、 七 夕
ミュージアムをつくられるなど、地元
に根ざした活動もされていますが、「地
域」に対する考えをお聞かせください。
仙台の魅力を発信していくことも弊
本社/仙台市若林区蒲町19−1 電話
(022)
286−3161
(代)
― 今年3月に社長にご就任されまし
たが、現在の心境をお聞かせください。
年 と い う 歴 史 を もつ 会 社 の 看 板
を背負うのだということを考えますと、
大 変な重責を担っていることを痛 感し
ていると同時に、
「自分は何ができるだ
ろうか」と、これからに対する期 待も
膨らんでいます。
弊社の企業理念は「おいしさ 楽し
く」で、私 自 身この言 葉がとても気に
入っています。しかし、「楽しさ」を、ど
のようなカタチにすれば、お客さまの
元に届けられるのか。つくり 手である
私たちが楽しく仕事をすることができ
なければ、お客さまに「楽しさ」を伝
えることはむ ずかしいと思います。ま
ずは自分たちがワクワクしながら仕事
ができるような環境づくりに力を入れ
ています。幸せなことに、弊社の社員、
スタッフたちは、みんな笹かまぼこが大
好きです。自分の会社を褒めるようで
気恥ずかしいのですが、
みんないつも「こ
んなふうにしたら、もっとおいしくなる
んじゃないか」とか、「こうすれば、お客
さまに喜んでいただけるのではないか」
と考 えています。そしてまた、それを
実現しようとするチャレンジも続けて
います。「我々は日本一笹かまぼこを愛す
る集団だ」と思いながら、日々試 行 錯
誤しています。こんなところも、弊社の
魅力の一つだと思います。
より良い環境をめざす
プロフィル
昭和38年6月19日生まれ。仙台市出身。血液型O型。
東北学院大学経済学部を卒業後、サントリーに入社。結婚を機に退社
し、30代は子育て中心の生活を送る。鐘崎には13年前、知人の紹介
でパートとして入社。半年後、正社員として販売促進課長に就任した。
今年3月より現職。
「『思いは事を成し遂げる』
という言葉が好きです。
こうありたい、
これがしたいという思いがあれば、いま何をすべきかが見
えてきます。この10年、全力疾走してきた感がありますが、社長を仰せ
つかったことで、常に適切な決断をするためには、心身共に健やかでい
ることが大切なことに気づきました」
と話す。
― そ う い っ た 活 動 が、 仕 事 を 楽 し く
するの で し ょ う か 。
そうですね。前社長はチャレンジ精
神と夢、そしてロマンにあふれた方で
したので、その精神を受け継ぐ役割を
与えられたことに、とても感謝してい
ます。
たくさんの人が集まり、働き、笑い、泣き、そして暮らしてゆく空間、
『街』…。そこで人々が明るく、健康に、そして何よりやさしい気持
で暮らせるように、快適な都市環境をつくって行かなくては…。
私たちはそう考えています。私たちは青葉環境保全です。
さん
嘉藤 明美
「チーム鐘崎」で
笹かまの魅力を次世代へ
弊社は来年、創業 年という大きな
節 目 を 迎 え ま す。 こ の タ イ ミ ン グ を、
「次の鐘崎はどうあるべきか」を考え、
新たなスタートを切る年にしたいと
思っています。震災の直後、お客さま
が涙ながらに「再開してくれてありが
とう」と言ってくださいました。それ
を聞いて笹かまぼこが、そして私たち
鐘崎が、本当に地域の皆さまに大切に
されてきたのだと痛感しました。だか
らこそ、その思いに恥じないものづく
りをしていかなければならないと思っ
ています。
笹かまぼこが次の世代でも価値ある
ものとして存在できるよう、その魅力
に磨きをかけられる強い
「チーム鐘崎」
をつくっていきたいと考えています。
やさしい気持で暮らせるように……。
み
け
あ
う
と
か
16
2016年8月号
飛翔
2016年8月号
飛翔
17
70
代 表 者:代表取締役社長 嘉藤 明美
設 立:昭和22年2月10日
資 本 金:8,000万円
従業員数:290名(パート従業員含む)
事業内容:笹かまぼこなどの水産物の加工ならびに販
売、牛たん、総菜などの農畜産物の加工販
売、食料品の販売を通して、おいしいもの、
本当によいものをお届けしています。
所 在 地:仙台市若林区鶴代町6-65
TEL. 022-231-5141
ホームページ:http://kanezaki.co.jp
株式会社 鐘崎
代表取締役社長
― 最 後 に、 今 後 の 目 標 や、 こ れ か ら
取り組んでいきたいことなどについて
お聞か せ く だ さ い 。
先日、仙台駅に誕生したエスパル東
館2階に、「鐘崎屋」をオープンしまし
た。これは、「宮城のおいしいお酒と笹
かまのマリアージュ」というイメージ
を カ タ チ に で き た ら … と、 私 が 3、4
年前から考えていたことを実現させた
ものです。観光やビジネスで仙台にい
らっしゃる方をお客さまとして想定し
ていたのですが、予想以上に地元の方
のご利用が多く、そのことを私として
はとてもうれしく思っています。中で
も多いのが女性のお客さまです。女性
が笹かまぼこを味わいながら日本酒の
グラスを傾ける姿は、すてきだと感じ
ました。常に「女性目線」で考えてい
るわけではないのですが、私自身が女
性であることで、女性のお客さまにも
喜んでいただける商品づくりや店づく
りができたことは、次につながる第一
歩になったと感じています。
株式会社 鐘崎
「笹かまぼこ」の価値を
次世代に伝えるために、
「磨き」をかけていきます。
社の役割なのではないかと思っていま
す。なぜなら、笹かまぼこは、地域全
体の魅力の一つだと思うからです。こ
れからも地域と共に存続できるように、
自らまちを盛り上げる、ひいては積極
的にまちづくりに参加したいと思って
います。
伝 統 を 継 承 し て い く た め に は、「 守
る」だけでなく、それを「磨く」努力
も大切だと思います。そのひとつとし
て、未来につながる七夕飾りづくりが
必要だと考え、「また来年も仙台七夕ま
つりに来よう」と思っていただけるよ
う、楽しみながらデザインを考え、製
作しています。七夕ミュージアムも同
様で、一年を通してこのおまつりの雰
囲気や仙台伝統の七夕の魅力を伝えた
いという思いで運営しています。
若林区鶴代町にある「鐘崎 かまぼこの国 笹かま館」1 階に、創業当時の
店舗を再現。実際に魚をさばき、一枚一枚丁寧にかまぼこをつくる様子
が見られる。
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【概 要】
クローズアップインタビュー