仕様書 - 量子科学技術研究開発機構

ITER NB 用制御システムに関する
設計検討及びシステム開発
仕様書
平成 28 年 7 月
量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギー研究開発部門
ITERプロジェクト部 NB 加熱開発グループ
1. 件名
ITER NB 用制御システムに関する設計検討及びシステム開発
2.
目的
ITER 計画において量子科学技術研究開発機構(以下「量研機構」という。)では、
中性粒子入射加熱装置(NB)の調達を担当する。ITER NB は、高電圧直流電源、高
電圧電送ライン、高電圧ブッシング、ビーム源、ビームライン機器から構成される。こ
のうち、高電圧直流電源は直流 100 万ボルトで大電流・長パルス出力が要求されて
おり、従来品には実績がない超高電圧機器を含んでいる。また、電源負荷となるビー
ム源においてイオンビームを安定に引き出すために、精密で高度な制御回路や保護
回路を多数組み込む必要がある。特に、ビーム源の放電破壊時には各機器をサージ
電圧・電流から保護するため、高電圧・大電流電源の超高速スイッチング制御を行う
必要がある。このため、ITER NB の運転を円滑かつ安全に進める上で重要な鍵を握
っているのが制御系である。NB 制御系は ITER 本体の全系制御設備(以下「全系」と
いう。)の下位に位置し、NB 加熱実験時に全系からの指令に基づき、ビーム入射を実
行する機能を有し、NB 全体を統括するものである。本仕様書は、ITER NB において
高エネルギー、大電流、長パルスビーム加速技術を確立するために、専用の制御シ
ステムの設計検討及びプログラム開発を行うものである。
3.
納入場所
量研機構 那珂核融合研究所内
NB 加熱開発グループ居室(JT-60 制御棟 406 号室)
4. 納期
平成 29 年 3 月 17 日
5. 検討内容
5.1 検討対象設備・装置等
本件にかかる検討対象機器は、ITER NB 用制御システムである。なお、検討に必
要な既設の P/N-NB 制御系設備の調査を含むものとする。
5.2
(1)
(2)
(3)
(4)
検討項目
各 PC、言語、信号仕様等を決定するための検討
全系側計算機と NB 全系 PC 間通信プログラム開発及び試験用機器の検討
NB 全系 PC 及び NB 運転 PC プログラムの作成
既設 NB 全系 PC 及び NB 運転 PC の機能調査、機能分担の仕分け作業
5.3 検討内容
(1) 各 PC、言語、信号仕様等を決定するための検討
NB 制御系計算機システムは高性能小型計算機(W/S)、CAMAC システム等で構
成されている。NB 制御系計算機システムにおいては W/S、CAMAC システム等の機
能を PC に移行する。計算機システムは、全系 PC、運転 PC、操作 PC、データ収集盤
等で構成する予定である。NB 制御系計算機システムの仕様を決定するため、次の項
目について検討を行うこと。
① 項目(4)①で調査した全系 PC、運転 PC、操作 PC 等の機能分担に基づき、各 PC
で使用する言語仕様について検討すること。
② 各 PC の入出力等の信号仕様について検討すること。
(2) 全系側計算機と NB 全系 PC 間通信プログラム開発及び試験用機器の検討
全系計算機システムと各設備の制御計算機システムは、放電シーケンスの進行に
関するイベント、データ及びタイミング信号、各設備の運転状態、警報データ及びイン
ターロック信号等、多くのデータ通信やハードウェア信号の入出力を行うことで NB 加
熱実験運転を進行させるものである。
① 項目(1)及び(4)の調査及び検討結果を基に全系側計算機と通信を行う NB 全系
PC の通信プログラム開発を行うこと。
② 全系-設備間通信プログラムに開発後に NB 内部通信試験を実施するため、試験
時に必要な機器の検討を行うこと。
(3) NB 全系 PC 及び NB 運転 PC プログラムの作成
NB 全系 PC はトカマク本体全系側計算機と放電シーケンス進行に関するイベント、
データ及びタイミング信号等の通信を行う機器である。NB 運転 PC は NB 全ユニット
の運転状態の監視やデータ収集等を行い、全系 PC や操作 PC と通信を行う機器で
ある。以下の項目について検討を行うこと。
① 項目(1)で検討した全系 PC 及び運転 PC の仕様に基づき、各 PC のプログラムを
作成すること。
(4) 既設 NB 全系 PC 及び NB 運転 PC の機能調査、機能分担の仕分け作業
既設 P-NB 制御システムは制御盤類と計算機システムから構成され、制御盤類は
P-NB の基本動作である電源の通電/停止、遮断器の投入/開放などを管理し、計算
機システムは機器のデータ収集/処理などの応用動作部分を管理して機能分担を行
っている。制御盤類は NB 操作デスク(CP1)、電源系制御盤(CP2)、受配電設備盤
(CP3)、ビームライン系関連制御盤(CP4,CP5)と計算機システムから構成されている。
それぞれの制御盤は表 1 のように機能分担されている。
表 1.P-NB 制御系構成機器及び機能
制御盤類名称
主構成機器
NB 操作デスク
(CP1)
TDG,SC,制御リレー
入射タイミング指令等の管理・分
配、運転操作等
電源系制御盤
(CP2)
TDG,SC,制御リレー
現場電源の通電・遮断タイミング
管理等
CP2D
現場直流高圧電源の制御及び光
通信等
UD
機能
磁場関係電源の監視・制御
受配電設備盤
(CP3)
制御リレー
定常系、変動系などの受配電設
備の監視・操作等
ビームライン系制御盤
(CP4,CP5)
制御リレー
受熱機器、1 次冷却系、補助真空
排気系の監視・操作等
計算機システム
高性能小型計算機
(W/S)
収集データの表示、演算、編集及
び放電シーケンス制御等
CAMAC システム
高速アナログ信号含むデータ収集
現場データ収集盤
アナログ信号を含むデータ収集
制御盤の CP3,CP4,CP5 に関してはリレーで構成され、統括制御している現場機器
は基本的なもののみでありインターロック等の変更頻度は少ない。CP1,CP2 は専用
ハード基板、SC 及びリレーで構成され、イオン源調整運転等を反映し、各電源のイン
ターロック等の設定値変更の頻度は CP3~5 に比べ格段に多い。その中でもタイミン
グ分配器(TDG)とタイミング制御部(TSC)は、タイマ機能を有した制御ロジックを記憶
させたメモリ IC(ROM)搭載の専用ハード基板の組み合わせであり、これにより電源の
運転タイミング制御・管理を行っている。ビーム入射時は、TDG が全系タイミングシス
テムから運転指令、保護関係信号を受け光多重通信によりユニット毎の TSC に分配
する。TSC は TDG から受けたビーム入射に必要な各種信号と現場電源の運転信号
を組み合わせ、ビーム引出用加速電源の運転/遮断(GTO-ON/OFF)信号などの高
速ロジック処理を実施している。光多重通信は図 1 のように上位制御盤である CP1 と
下位制御盤 CP2 や、CP2 内の列盤を光ケーブルで結び制御盤間での保護インターロ
ックに使用している。また、計算機システムは、①運転監視、②膨大な点数のデータ
(アナログ入力:約 1600 点、デジタル入力:約 4000 点)の収集、③収集データの演算
処理、④放電シーケンス制御など多くの処理を 1 台のワークステーションで行ってい
る。
ITER NB 用制御システムを開発するに当たり、既設 NB 制御システムの性能・機能
等を把握する必要があるため、次の項目について検討を行うこと。
① 既設 NB 全系 PC 及び NB 運転 PC について、各 PC の機能を調査し、報告書に
まとめること。
② NB 用制御システムにおける全系 PC,運転 PC,操作 PC 及び CP1 について、合理
的な機能分担を検討すること。
③ 低圧制御ユニット(CP2D)光基板の仕様を決定するための検討を実施すること。
この光基板は直流高電圧電源の高速制御(投入/遮断等)が可能であること。
CP2D は、光基板を使用して現場直流高電圧電源の高速制御及び光通信等を行
っている。したがって、既設の通信性能を損なうことなく、現行の規格に基づく機
種の選定を行い、P-NB 全 12 ユニットの制御系光基板について検討すること。
6. 貸与品
本設計検討及びプログラム開発作業に必要な場合は以下を無償で貸与する。
(1) 設計書等の図書(既存のプログラム設計書を含む。)
(2) 机、椅子、既存の PC 等
7.
提出図書
提 出 時 期
部数
量研機構に
よる確認
1)委任又は下請負届
作業開始 2 週間前まで
1部
要
2)検討作業報告書
作業終了後速やかに
3部
要
3)プログラム設計書
作業終了後速やかに
3部
要
図 書 名
(提出場所)
量研機構 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 NB加熱開発グループ
(確認方法)
「確認」は次の方法で行う。
量研機構は、承認のために提出された図書を受領したときは、期限日を記載した受
領印を押印して返却する。また、当該期限までに審査を完了し、承認しない場合に
は修正を指示し、修正等を指示しないときは、確認したものとする。
8.
検収条件
提出図書の内容確認並びに仕様書の定める業務が実施されたことの確認をもって
検収とする。
9. 特記事項
(1) 本件を円滑かつ効率よく実施するためには、NB 制御系の詳細検討が不可欠で
あるため、受注者は、NB 制御系の設計検討を行うための知識が要求される。
(2) 本契約において作成された書類及び量研機構が貸与した資料は、契約目的以
外に使用してはならない。ただし、事前に承認を得た場合はこの限りではない。
(3) 本作業によって得られた成果は、全て量研機構に帰属するものとし、量研機構の
承認なしで第三者に漏えいし、他の目的に転用してはならない。
(4) 本仕様に関して、疑義が生じた場合は双方協議により決定する。
10. グリーン購入法の推進
(1) 本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関
する法律)に適用する環境物品(事務用品、OA機器等)が発生する場合は、これ
を採用するものとする。
(2) 本仕様に定める提出図書(納入印刷物)については、グリーン購入法の基本方
針に定める「紙類」の基準を満たしたものであること。
図 1. ITER NB 用制御システム概念図(参考用)