「滋賀県水田フル活用ビジョン」(PDF:152KB)

滋賀県水田フル活用ビジョン
1
地域の作物作付の現状、地域が抱える課題
本県は、耕地における水田率が 92%と高く、水稲・麦・大豆などの土地利用型作物を
中心とした水田農業が効率よく展開されており、国による荒廃農地面積調査によると荒
廃農地は 3.1%と全国平均(6.2%)より大幅に少ない状況である。
水稲(主食用米)については、近畿では唯一の移出県であり、関西市場では近江米(古く
は江州米)として広く知られているが、近年、米価が低迷する中、一層のコスト低減等に
よる収益性の向上や、従事者の高齢化に伴う担い手の確保が必要となっている。
水田における畑作物の作付けについては、集落ぐるみによる団地化やブロックローテ
ーションに取り組まれている地域が多く、特に麦・大豆は、平成 17 年 10 月に決定され
た「経営所得安定対策等大綱」を受け、平成 19 年度より集落営農組織や認定農業者への
集積が進んだことから、現在では、その大部分をこれらの担い手が担う生産構造となっ
ている。
しかしながら、近年、集落の土地利用調整機能の低下や非主食用米への転換により、
これらの取組が崩れつつある地域が現れてきている。
また、麦・大豆は、ともに全国で第 6 位(H27 産)の作付面積がある主産県であり、
本県の戦略作物の中でも最も重要な作物として位置付けているが、単収や品質が全国平
均より低い傾向があり、改善対策が必要である。
2
作物ごとの取組方針
需要に応じた「売れる品目・品種」を選定し、経営規模や栽培環境に合わせた適地適
作・作期分散を推進することで水田をフル活用し、本県農業の生産力の向上を図る。
(1)主食用米
平成 30 年産以降の米政策改革を見据え、
「みずかがみ」
・
「秋の詩」など本県育成の
品種や環境こだわり米を中心に近江米のブランド力の向上を図り、県内外の需要の維
持、拡大に努めるとともに、契約栽培や買取り集荷を促進し、需要に応じた主食用米
の生産を推進する。
さらに、農地集積などによりコスト削減を図り、産地の競争力を高める。
(2)非主食用米
水田の有効活用を図るための重要な品目と位置付け、麦、大豆の作付に適さない地
域を中心に作付を推進する。ただし、取組形態は、需要と地域の実情に応じて地域ご
とに選択するものとし、産地交付金を活用し、区分管理による団地化の取組等を推進
する。
(非主食用稲作付面積 1,727ha(H25)→
2,635ha(H28 目標))
ア
イ
飼料用米
耕畜連携をすすめ県内流通の拡大を図るとともに、非主食用米の取組の中心的
品目と位置付け、実需者との契約に基づく計画的な生産を推進する。
作付に当たっては直播栽培等の省力的な技術の導入や収量性の高い品種の選
定等により生産性の向上を進める。
米粉用米
実需者との契約に基づく計画的な生産を推進する。
ウ
WCS 用稲
耕畜連携をすすめ県内流通の拡大を図るとともに、団地化や多収品種の取組に
より生産性、収量の向上に努める。
エ
加工用米
複数年契約など実需者との結びつきを強化し、需要に応じた計画的な作付を推
進する。
オ
備蓄米
これまでの取組実績(1,600トン)に相当する作付面積の確保に努める。
(3)麦、大豆、飼料作物
契約に基づく確実な作付を行うとともに、経営判断に基づく品目選定を推進する。
また、排水対策をはじめ土づくり、適期適正播種、病害虫・雑草防除、適期収穫な
どの基本技術の励行を推進するとともに、大豆では300A 技術を推進し、収量およ
び品質の向上を図る。
特に、効率の良い排水対策や作業の効率化を図るためには、地域ぐるみで取り組む
ブロックローテーションや団地化の取組が重要であることから、産地交付金を活用し
推進する。
(麦作付面積
7,190ha(H25)→ 7,700ha(H28 目標))
(大豆作付面積 5,780ha(H25)→ 6,160ha(H28 目標))
(4)そば、なたね
地域振興作物と位置づけ、各地域の実情に合わせた取組について、産地交付金を
活用し推進する。
また、ほ場の団地化や、排水対策の徹底など基本技術の励行を進める。
(5)地域振興作物(野菜、花き、花木、果樹、雑穀、特用作物)
経営の複合化による経営力の強化と地産地消を推進するため、品目ごとの需要と
地域の実情に応じた取組について、産地交付金を活用し推進する。
(6)不作付地の解消
地域の実情に応じ、非主食用米等の作付を推進し、不作付地の解消に努める。
3
作物ごとの作付予定面積
作物
平成 25 年度の作付面積
平成 28 年度の作付予定面積
平成 30 年度の目標作付面積
(ha)
(ha)
(ha)
32,000
223
30,640
700
29,980
800
53
223
915
313
55
310
1,240
330
55
310
1,300
330
麦
7,190
7,700
7,900
大豆
5,780
199
447
6,160
100
370
6,500
220
370
25
25
25
主食用米
飼料用米
米粉用米
WCS 用稲
加工用米
備蓄米
飼料作物
そば
なたね
その他地域振興作物
1,430
1,500
1,550
53
56
61
6
7
14
26
27
27
12
13
13
※花、果樹、雑穀、他の面積は地域振興作物助成対象面積
・野菜
・花
・果樹
・雑穀
・他
4
平成 28 年度に向けた取組及び目標
取組
番号
対象作物
取組
分類
指標
イ
平均単収
イ
平均単収
イ
作付面積
団地化や各種技術
1
麦
対策推進により生
産性・品質を向上
団地化や各種技術
2
大豆
対策推進により生
産性・品質を向上
3
非主食用
非主食用米・WCS
米・WCS 用
用稲の作付けによ
稲
り水田の有効利用
野菜、花き、
花木、果樹、
4
雑穀、特用
作物
複合経営、地産地
消を進め、農業・
農村の所得を増加
イ
作付面積
(交付面積)
平成 25 年度
平成 28 年度
28 年度の
(現状値)
(目標値)
支援の有無
270Kg/10a
300kg/10a
(7,190ha)
(7,700ha)
150Kg/10a
165Kg/10a
(5,780ha)
(6,160ha)
1,414ha
2,305ha
(備蓄米除く)
(備蓄米除く)
872ha
915ha
有
有
有
有
※「分類」欄については、実施要綱別紙 16 の2(5)のア、イ、ウのいずれに該当するか記入
ア 農業・農村の所得増加につながる作物生産の取組
イ
生産性向上等、低コスト化に取り組む作物生産の取組
ウ
地域特産品など、ニーズの高い産品の産地化を図るための取組を行いながら付加価値の高い作物
を生産する取組