20160118 障がい福祉サービス等初任者研修in札幌 障がい福祉の基本理念 主催:北海道広域相談支援体制整備事業 地域生活支援センターあ~ち しりべし圏域総合支援センター 障がい者相談支援センター夢民 後志・道央・空知3圏域合同研修 1 今日のPOINT ○ 障害福祉の歴史を知ることで、流れを読む 後志・道央・空知3圏域合同研修 2 ○ 障害の捉え方から支援のあり方を考える 1. 歴史的な背景から 後志・道央・空知3圏域合同研修 3 障害福祉施策を取り巻く環境 近年の激動の制度変革は、当然の流れかも… 1946年 日本の福祉制度(第2次世界大戦後) 日本国憲法制定 児童福祉法(1947年 昭和22年) 戦災孤児への強制制度 身体障害者福祉法(1949年 昭和24年) 戦傷病者援護から身体障害者援護 生活保護法(1950年 昭和25年) 生活困窮者の保護 精神衛生法(昭和25年) 治安(私宅監護)から治療へ 精神薄弱者福祉法(1960年 昭和35年) 医療になじみにくい精神薄弱者の救護 老人福祉法(1963年 昭和38年) 加齢による介護ニーズの位置づけ 4 後志・道央・空知3圏域合同研修 振り返れば… 措置制度→行政処分によりサービス給付を決める。決 定権はあくまで行政、解除も措置解除決定後 →措置制度は利用者を受身にしてきた 措置(強制)でやらなくてもよい時代に… 今の時代、自己選択は自然なこと 後志・道央・空知3圏域合同研修 5 当事者運動の活性化 社会福祉の六法体制化 知的障害者福祉法による知的障害者施設の法制化 : 1960 ⇒ 精神薄弱者福祉法制定年 高度経済成長とコロニー(大型収容施設)政策の展開 : 1966~ 進展する施設拡充政策 : 1970~ 心身障害者安楽死事件 横浜市障害児殺し事件と「青い芝の会」の減刑嘆願反対運動 : 1970 府中療育センター闘争~自立生活第一世代 : 1970 後志・道央・空知3圏域合同研修 6 障害児殺し事件被告への同情論と減刑嘆願運動 ・神奈川県心身障害児父母の会連盟の声明 「施設も家庭療育の指導もなく、生存権を社会から否定されてい る障害者を殺すのはやむを得ざる成り行きであり、福祉行政の貧困に 強く抗議するとともに、重症児対策の速やかな確立を求める」 被告である主婦の居住する町内会による減刑嘆願運動 マスコミの論調 「障害児殺し あんなに尽くして…犯行の母に同情の声」 「献身の母、看病に疲れ? 身障の息子絞殺 『私も死ぬ』と姿消す」 「わが子殺し 母自殺行 12時間疲れ切った」 後志・道央・空知3圏域合同研修 7 「青い芝の会神奈川県連合会」による減刑嘆願反対運動 「去る5月29日横浜において、まだ2歳の重症児が母親に殺され ました。そして地元町内会などにより、減刑運動がおきています。事 件発生以来3ヶ月、横浜地裁はどういうわけか加害者を起訴するか 否かを決めかねています。 今までこの種の事件が起きるたびに施設の不備、福祉政策の 貧困という言葉で事件の本質がすり替えられ、加害者が無実とな るのが常でした。加害者の無罪が当然とされるなら、殺される障害 者の生存権は一体どうなるのでしょうか」 後志・道央・空知3圏域合同研修 8 「青い芝の会神奈川県連合会」による減刑嘆願反対運動 「本事件は、脳性マヒ者を<本来あってはならない存在>として 位置づけてきた生産第一主義の現代社会の構造に起因するもの である。被告である主婦もまた、この障害者に対する構造的抑圧 の被害者の一人に他ならない。しかし、だからといって、この主婦に 無罪の判決が下されるのなら、障害者を<本来あってはならない 存在>に追い込む構造を再強化してゆくことにつながる。したがって、 被告に対して、法に照らして厳正なる判決が下されることを要請す る」 後志・道央・空知3圏域合同研修 9 「青い芝の会神奈川県連合会」が 見たものは… 障害児殺し 減刑嘆願運動 施設拡充整備論 障害(児・者)否定の社会的価値 後志・道央・空知3圏域合同研修 10 青い芝の会神奈川連合会減刑嘆 願反対運動の結果 「殺される側」の障害者からの 発言は大きな反響を呼び、裁判 では、当時としては異例の (711008第一審判決懲役2年執 行猶予3年)「有罪」判決が出 た。 有罪か無罪かと言うことではなく、障害のある方々がどの ように扱われてきたかに注目する必要がある 元府中療育センター入所者、新田絹子さんの手記より センターに入って一日目 着いたとたん、看護婦が自分のきているものをよってたかってはぎとり、下着までセンターの ものをきせられ、ペラペラのダッブダブのねまきをきせられ、そのあと、ストレッチャーに乗せられ て、検査室につれていかれた。 …私物のもちこみはいっさい認めなく、持ってきたものは全 部もちかえり。その夜の七時半ごろトイレに行きたくなったので「鈴」(言語障害の人には鈴 をわたして、用事のある時それを鳴らすように)をならした。 「あんたさっきいったばかりじゃ ないの、まだあれから何時間たったと思っているの」といわれてしまった。 入所三日目 入浴日だった。裸にされつれていかれ、目の前に海水パンツ一つの男性が立っていた。… それからは入浴を拒否しつづけた。わがままだ、いれてくれるだけでもありがたいと思わばけれ ばいけない。ぜいたくだ、などとよくいわれた。労働力の軽減のために、男子をつかうのである。 (新田絹子『私のいた施設の実態』1976年) 後志・道央・空知3圏域合同研修 12 府中療育センター闘争と介助料要求運動 府中療育センター(1968年設立) 当時、全国最大規模(定員400名) ↓ 一部重度障害者の民間施設への転所に対する抵抗として都庁前 での座り込みや、都知事との交渉に始まったが、やがて、センターにお ける過酷で劣悪な処遇の内実を告発し、処遇改善を求める闘争へと 発展していった。 随所に設置された監視カメラ、外出・外部との通信制限、強制され る同一のパジャマ、私物持ち込みの著しい制限、身体的プライバシー を侵害する設備環境や異性介助、入所時に強要される「解剖承諾 書」への署名や全裸写真撮影 後志・道央・空知3圏域合同研修 13 後志・道央・空知3圏域合同研修 14 府中療育センター闘争から介助料要求運動へ 運動方針の分岐 → 二つのグループへ分派 ↓ ①施設改善派 ②施設解体派(自立生活第一世代) → 介助料要求運動へ 後々、自立生活運動へ発展 後志・道央・空知3圏域合同研修 15 府中療育センター闘争から介助料要求運動へ 介助の公的保障に関する2つの方法 ①介助者派遣…現物支給 ②介助料支給…現金支給 自立を求めた障害者たちの二つの要求 ①介助の公的保障 ②介助内容・方法における自己決定権保障 ↑ なぜ、「介助要求」ではなく、「介助料要求」だったのか ↓ 行政に対して介助料の支給という形で介助の公的保障を求め、 また、その介助料で介助者を雇用することによって、介助を受ける 障害者の自己決定権を保障しようとした。 →「重度脳性マヒ者等介護人派遣事業」(1974) 後志・道央・空知3圏域合同研修 16 2.日本の転換期 後志・道央・空知3圏域合同研修 17 国際障害者年とノーマライゼーション思想 • 障害者の権利に関する宣言 : 1975 「障害者は,その人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権 利を有している。障害者は、その障害者の原因、特質及び程度にか かわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する。このことは、 まず第一に、可能な限り通常のかつ十分満たされた相当の生活を送 ることができる権利を意味する」 • 国際障害者年行動計画 : 1979 「完全参加と平等」 「障害」=個人と環境との関係 ICIDHによる障害の構造的理解 ノーマライゼーション思想 後志・道央・空知3圏域合同研修 18 完全参加と平等 1982年 障害者に関する世界行動計画を採択 1983年~1992年【国連・障害者の十年】宣言 世界行動計画をガイドラインとする行動計画策定 →障害者福祉の増進を各国に提唱 <日本> 1982年 障害者対策に関する長期計画を策定 →障害者施策の推進 1993年 新長期計画を策定 後志・道央・空知3圏域合同研修 19 新長期行動計画 【リハビリテーション】【ノーマライゼーション】の理念の下、 「完全参加と平等」を目指す 成果を継承し、時代の新たなニーズにも対応 1993年~「アジア太平洋障害者の十年」 ①障害者の主体性、自立性の確立 ②すべての人によるすべての人のための平等な社会創り ③重度化、重複化、高齢化への対応 ④施策の連携 ⑤「アジア太平洋障害者の十年」への対応 後志・道央・空知3圏域合同研修 20 障害者基本法制定(1993年) 心身障害者対策基本法を改正 障害者施策の現状に適合→議員立法として提案 改正 雇用促進法 身障法 影響 国連・障害者 十年 国際障害者年 成果 後志・道央・空知3圏域合同研修 1990年 障害のある アメリカ人法 (ADA法) 21 最近の障害者政策の動向 支援費制度施行 : 2003年3月 障害者自立支援法施行 : 2006年4月 国連「障害者の権利に関する条約」採択 : 2006年12月 障害者自立支援法廃止の明言(厚生労働大臣) : 2009年12 月 障害者虐待防止法成立 : 2011年 6月(2012年10月施行) 障害者基本法」改正 : 2011年 7月 障害者総合支援法成立 : 2012年 6月 障害者差別解消法成立 : 2013年6月(2016年4月施行) 第3次障害者基本計画閣議決定 : 2013年9月 「障害者の権利に関する条約」批准 : 2014年1月 後志・道央・空知3圏域合同研修 22 障害者基本法の目的 旧 この法律は、障害者の自立 及び社会参加の支援等のた めの施策に関し、基本的理 念を定め、及び国、地方公 共団体等の責務を明らかに するとともに、障害者の自立 及び社会参加の支援等のた めの施策の基本となる事項 を定めること等により、障害 者の自立及び社会参加の 支援等のための施策を総合 的かつ計画的に推進し、も つて障害者の福祉を増進す ることを目的とする。 後志・道央・空知3圏域合同研修 改正後 この法律は、全ての国民が、障害の有無 にかかわらず、等しく基本的人権を享有 するかけがえのない個人として尊重され るものであるとの理念にのっとり、全ての 国民が、障害の有無によつて分け隔てら れることなく、相互に人格と個性を尊重し 合いながら共生する社会を実現するため、 障害者の自立及び社会参加の支援等の ための施策に関し、基本原則を定め、及 び国、地方公共団体等の責務を明らかに するとともに、障害者の自立及び社会参 加の支援等のための施策の基本となる 事項を定めること等により、障害者の自 立及び社会参加の支援等のための施策 を総合的かつ計画的に推進することを目 的とする。 23 障害者基本法の改正(2004年/平成16年) 「差別禁止」の明示 「障害を理由に差別その他の権利利益の侵害をしてはならな い」と基本理念に規定 国・地方公共団体に福祉増進の責務を明記(権利擁護、 差別防止、自立、社会参加支援) 国民に人権尊重、あらゆる分野への活動参加保障の実現に 寄与 都道府県、市町村の障害者計画策定義務化 施策として児童の交流学習や地域活動の場の拡充 後志・道央・空知3圏域合同研修 24 障害者基本法の改正2(2011年/平成23年) 日本の法律や制度を国連の「障害者権利条約」の考え方に 合わせて改正 共生社会の実現 障害者の定義の見直し 権利条約とは、障がい のある人の権利を守る という国の約束 バリアは社会の側に 合理的配慮 (意思疎通手段・教育への配慮・ 防犯防災への必要な配慮等) 後志・道央・空知3圏域合同研修 25 3 社会モデルの考え方 後志・道央・空知3圏域合同研修 26 障害者権利条約における「障害」の概念と社会モデル 前文e項 障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能 障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障 壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等 を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられ るものによって生ずることを認め・・・ 第1条 障害〔ディスアビリティ〕のある人には、長期の身体的、精神 的、知的又は感覚的な機能障害〔インペアメント〕のある人を 含む。これらの機能障害は、種々の障壁と相互に作用すること により、機能障害のある人が他の者との平等を基礎として社会 に完全かつ効果的に参加することを妨げることがある。 後志・道央・空知3圏域合同研修 基底にある社会モデルのアイデア 27 個人モデルと社会モデル 「障害者問題」(=障害者の生きづらさ)を捉える二つの枠組み ①個人モデル(伝統的な障害観) 障害者の「心身機能の障害」が、彼ら/彼女らの「生きづらさ」を生 み出すという考え方 ②社会モデル 障害者を取りまく社会が、障害者の「生きづらさ」を作り出している という考え方 ↓ このアイディアの起源は、「隔離に反対する身体障害者連盟」 Union of the Physically Impaired Against Segregation(UPIAS) 後志・道央・空知3圏域合同研修 28 個人モデルによる「生きづらさ」の解決方法 生きづらさの解消 社会への適応 機能障害 後志・道央・空知3圏域合同研修 治療や訓練の選択 ハ ン デ ィ 克 服 ・ 能 力 向 上 29 社会モデルによる「生きづらさ」の解決方法 生きづらさの解消 生活しづらい環境 生活しやすい環境 後志・道央・空知3圏域合同研修 30 心身の機能障害 impairment 因 果 社会のあり方 関 係 生きづらさ 後志・道央・空知3圏域合同研修 31 社会モデルの要点 社会モデルは「障害」を個人的次元(インペアメント)と社会的次 元(ディスアビリティ)に切り分け、「障害」問題をめぐる社会的責任 を明確にした。 ↓ 【インペアメント】 手足の一部または全部の欠損、身体に欠陥のある肢体・器官ま たは機構を持っていること。 【ディスアビリティ】 身体的なインペアメントを持つ人のことを全くまたは殆ど考慮せず、 社会活動の主流から彼らを排除している現代の社会組織によって 生み出された不利益または活動の制限。 =社会的抑圧 social oppression 後志・道央・空知3圏域合同研修 32 社会モデルの要点と支援観の変化 生きづらくさせているのは誰(何)か? 機能障害を持つ人々は、彼らの「身体」によってではなく、「社 会」によって生きづらくさせられている ↓ 「障害者問題」の脱医療化 → 政治化 「生きづらさ」の「帰属の転換」 →個人(のインペアメント)から社会へ 「不運」から「不当」へ →障害者運動の活性化(1970~) 支援観の変化 変わるべきは障害者ではなく、社会である 「できない個人の改善」から「できなくさせている社会の改善」へ 後志・道央・空知3圏域合同研修 33 個人モデルと社会モデルの支援の違い 車いす利用者であるAさんの「山に登りたい」というニーズに対して 【個人モデル的発想】 【社会モデル的発想】 How~? Aさんの現在の 力で山に登れる Can~? だろうか? リハビリをし て歩けるよう になってから だな(個人の 改善) 後志・道央・空知3圏域合同研修 Aさんが山に登る ためにはどうすれば いいだろう? そうだ! 介助チーム を編成しよう。 (環境の改善) 34 34 4 合理的配慮の概念 後志・道央・空知3圏域合同研修 35 障害者権利条約における「合理的配慮」とは 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との 平等を基礎として全ての人権及び基本的 自由を享有し、又は行使することを確保す るための必要かつ適当な変更及び調整で あって、特定の場合において必要とされる ものであり、かつ、均衡を失した又は過度 の負担を課さないものをいう(障害者の権 利に関する条約第2条) 後志・道央・空知3圏域合同研修 36 合理的配慮による差別概念の拡張 従来の差別概念 ある人をある属性(性別、皮膚の色、人種、宗教 等)において不当に「異なった扱い」をすること ⇒「作為」的な不当行為 ↓ 権利条約は「合理的配慮の欠如」という「不作為」 も差別である、と明言する 後志・道央・空知3圏域合同研修 37 合理的配慮は 「分断思想」「専用思想」からの脱却を求める 「分断思想」 障害者を「われわれ」とは異なる存在と捉えたうえで、異 なるがゆえに、「われわれ」から切り分け、「われわれ」と同 等の権利を有する存在として見ないこと。 「専用思想」 障害者に特別な配慮が必要であることを理由に、障害 者を一般の社会から分離し、障害者専用の施設や制度 に追いやること。 後志・道央・空知3圏域合同研修 38 合理的配慮の要求はなぜ正当化されるのか 「社会」=「多数派である健常者の心身機能」に適合する 「健常者に配慮した制度的集合体」 健常者と異なった心身機能を持つ障害者には「無配慮な社会」 障害者の「生きづらさ」の多くは、障害者に「無配慮な社会」によ って創られる(社会モデルの認識) 社会が障害者を「社会の一員」として承認するのであれば・・・ 「生きづらさ」を解消するための合理的配慮義務が社会にあり、 合理的配慮を求める権利が障害者にはある 後志・道央・空知3圏域合同研修 39 もう少し合理的配慮について 野菜が嫌いで食べない利用者の方に、野菜を食べて頂きたいとの思い で、他の副食類を遠ざけておく 職員からの指示に従わないときに、「○○するのだったら××してあげな い」と交換条件を行ってしまう。 訴えの多い利用者の方に対して、一時的に無視をしてしまう。 他の利用者の方に対して他害行動があった時に、叱責したり、職員で羽 交い絞めにしたりすること。 これらは、不適切な対応であり、虐待に当たる場合も あります。 もう少し合理的配慮について 合理的配慮を簡単に説明すると「障害特性に応じた支援と環境を提供すること」にな ります。 障害者虐待防止法においての虐待は、「身体的虐待」、「性的虐待」、「心理的虐待」、 「放棄・放任(ネグレクト)」「経済的虐待」の5類型がありますが、特に「心理的虐待」 や「放棄・放任(ネグレクト)」は分かり辛い、発見し難い虐待 こうした虐待は「合理的配慮」に欠いた対応、すなわち障害特性に応じた支援と環境 提供がなされない中で、無自覚で行われていることが多くある。 聴覚に障害のある人には、コミュニケーションの手段として「手話」を使います。これは 聴覚に障害のある人に対するコミュニケーションにおける「合理的配慮」です。 コミュニケーションに困難さがある自閉性障害のある人に対して、その人のコミュニ ケーションの理解レベルに合わせて、例えば、文字や絵などを使って、その人に必要 な情報を伝えているのかというと、必ずしも十分な支援が行われていない。 この対応が「心理的虐待」や「放棄・放任(ネグレクト)」になるのではないかとの捉え 返しを利用者支援の中で行うことが、今、求められているのではないかと思っていま す。 合理的配慮について 事業所における合理的配慮は、障害特性に配慮した支援 → 障害福祉サービスを提供する事業所が合理的配慮をしないと → 合理的配慮を意識しない支援は、心理的虐待や放棄・放任(ネグレク ト)を生み出すおそれがある → 私たちの責務は? もし、今日は活動に参加したくない、ご飯の時間をこの時間に食べた いと言われたらみなさんはどうしますか? → 当たり前の生活とはなんですか? 又村あおいさん資料より抜粋 43 ところで、どんな ことをすると 「差別」になる の? 差別的取扱と思われる事例(1) 全盲の人が一人でレストランへ入ろうと したら、店主から一方的に入店を断られ た 視覚障がいの人か・・良く分からないし断ろ う・・ 実施可能な合理的配慮等はないか? • 口頭による必要な配慮の確認、メニューの読み上げ (合理的配慮)、点字メニューの準備(環境整備) 又村あおいさん資料より抜粋 44 など 差別的取扱と思われる事例(1) 全盲の人が一人でレストランへ入ろうと したら、店主から一方的に入店を断られ た こうした状況もありうる(正当な理由) • 店主が1名であり、他の客がいると対応不可 その上でこうした対応も(建設的対話) 又村あおいさん資料より抜粋 45 • 店主1名なので、仕込み時間中に個別対応 差別的取扱と思われる事例(2) 自閉症の人がクラシックを聴こうとした ら、漠然と不安という理由で断られた 自閉症って良く分からないな・・断ろう・・ 実施可能な合理的配慮等はないか? • 落ち着いて聞ける席の確保(合理的配慮)、行 又村あおいさん資料より抜粋 46 動特性と注意点の聞き取り(環境整備)など 差別的取扱と思われる事例(2) 自閉症の人がクラシックを聴こうとした ら、漠然と不安という理由で断られた こうした状況もありうる(正当な理由) • 盛り上がると立ち上がって応援してしまう その上でこうした対応も(建設的対話) 又村あおいさん資料より抜粋 47 • 席での鑑賞は難しくとも、調音室や控室を提案 差別的取扱と思われる事例(3) 自閉症の人が地域の運動会へ参加しよう と したら、漠然と不安という理由で断られ た 自閉症って大声出して暴れるらしい・・断ろ う・・ 実施可能な合理的配慮等はないか? • 参加可能な競技のみ参加を容認(合理的配慮)、 又村あおいさん資料より抜粋 48 行動特性と注意点の聞き取り(環境整備)など 差別的取扱と思われる事例(3) 自閉症の人が地域の運動会へ参加しよう と したら、怖いという理由で参加を断られ た こうした状況もありうる(正当な理由) • 他のコースを妨害する、大きな声が出てしまう その上でこうした対応も(建設的対話) • コース直線にする、着順とは別にタイム順も表 又村あおいさん資料より抜粋 49 彰 合理的配慮不提供と思われる事例 車いすの人が、役場職員に高い場所の書類 を取って欲しいと依頼したのに放置された 実施可能な合理的配慮等はないか? • 近くにいる職員による対応(合理的配 慮)、総合受付等における付き添い 又村あおいさん資料より抜粋 50 (アテンド)対応(環境整備)など 合理的配慮不提供と思われる事例 車いすの人が、役場職員に高い場所の書類 を取って欲しいと依頼したのに放置された こうした状況もありうる(過重な負担) • 他の来訪者を対応中で手が離せない その上でこうした対応も(建設的対話) 又村あおいさん資料より抜粋 51 • 意見を踏まえて書類ラック自体を低くする 以上のことから分かることは ★ それぞれに理由がある 障がいのある人が「差別」と感じるのには理由があり、行政・事業者側 が「差別ではない」と感じるにも理由がある ★ それぞれに事情がある 障がいのある人が配慮を求めるには事情があり、行政・事業者側が すべてに対応できないのにも事情がある ★ だから「建設的対話」が必要 又村あおいさん資料より抜粋 52 地域における情報共有や建設的対話を含む差別解消の取組みの場 をどのように確保するか 内閣府・合理的配慮サーチ 1. 内閣府が提供する、合理的配慮に当たると考えらえる事例などを 紹介する専用ページ 2. 障害種別ごと、生活の場面ごとに具体例を一覧できる検索機能あ り 3. 「内閣府 合理的配慮サーチ」で検索、もしくは下記のURLへ アクセス http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin /jirei/ 本日の資料データは、しりべし圏域総合支援センターのホームページに掲載します。 又村あおいさん資料より抜粋 53 http://shiribeshi.jp/ 現在とこれから 日本政府 障害者権利条約を批准(141番目) : 2014年1月20日 障害者総合支援法施行 : 2014年4月 重度訪問介護・GH一元化・支援区分導入 2015年度 : 障害者基本法3年後見直し 障害者総合支援法報酬単価改定 2016年度 : 障害者総合支援法3年後見直し 障害者差別解消法施行 2019年度 後志・道央・空知3圏域合同研修 : 障害者差別解消法3年以内見直し 54 まとめにかえて 相談支援 = 障害者支援の要 大きな制度的転換期における支援の「揺らぎ」 ↓ 障害者支援の基本的価値から、支援の内実と方 向性を常に問い続けることが必要 ソーシャルワーク実践を積み重ねるとともに常に学 び続ける姿勢を 後志・道央・空知3圏域合同研修 55
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