東海北陸地方における死産のグリーフケア ―実施状況と使用されているもの― 河端久美子死産はどれくらいですか？ ※死産：12週以後の死児の出産死産率：22.9 （自然死産率10.4 人工死産率12.5）約21分に１胎が死産【目的】死産を経験した家族に対するグリーフケアの現状と、そこで活用されている用具を把握する。【方法】＜対象＞福井県、石川県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、静岡県で分娩を取り扱う病院・診療所＜収集＞自記式質問紙郵送法１施設１回答を依頼【方法】＜分析＞量的データはSPSS ver.19で統計処理自由記載データは質的分析手法として SCAT(Steps for Coding and Theorization) を使用【方法】＜倫理的配慮＞石川県立看護大学倫理審査委員会の承認を得て実施（承認番号1142）対象施設の回答者、施設長、看護責任者に研究計画書と自記式質問紙見本を送付し研究概要を説明。研究への参加は任意であることを明記【方法】＜調査項目＞１）対象施設の属性２）グリーフケアの実施状況３）自由記載グリーフケアで、あるとよいと思う物品や用具について【結果①対象施設の属性】＜施設平均分娩数＞約411件/年＜施設平均死産数＞約4.96件/年＜死産経験患者の平均在院日数＞死産前は1日、死産後は2日が最多【結果②グリーフケアの実施状況】＜療養環境＞個室92.6% 大部屋0.9% その他6.5% ＜亡くなった児との面会者＞父親、母親が最多＜初回面会時期＞分娩直後と分娩当日中が多い【結果②グリーフケア実施状況】 100.0% 亡くなった児と家族等の面会＊＊ 77.8% 母子手帳記入母子手帳記入だっこ 69.4% お供え用の折り紙、玩具、… 66.7% 母子同室 63.0% 児の洋服（作成、着衣） 54.6% 52.8% 51.9% ＊＊納棺＊＊思い出品配布児への手紙 28.7% カンガルーケア 22.2% 母乳のお供え 21.3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 亡くなった児との思い出づくりのために行っている支援（n=108） p<0.01を**で記載【結果②グリーフケア実施状況】臍帯 88.3% 手形足形 58.3% 写真 50.0% ネームカード 30.0% 髪 16.7% その他 15.0% 爪 11.7% 0% 20% 40% 60% 配布している思い出の品（n=60) 80% 100% 【結果②グリーフケア実施状況】準備していないスタッフの手作り既製品(専用品）既製品(非専用品）指導用パンフレット 62.8% 20.6% 思い出の品入れ 51.8% 16.9% 棺洋服 7.5% 11.7% 24.5% 30.2% 8.5% グリーフケアに使用する物品の準備方法(n=106) 7.5% 18.9% 【結果②グリーフケア実施状況】乳房ケア子宮の次回妊変化娠時期心の変化避妊方法 82.7% 74.0% 59.6% 45.2% 29.8% 退院後支援は実施していない施設での面接 58.2% 24.5% 自助グループ紹介 24.0% 男女の精神面の違いホームページ紹介実施なし 19.2% 17.3% 16.3% 15.4% 6.7% その他書籍その他電話訪問地域連携自助グループ会の開催 20.4% 14.3% 11.2% 0.0% 【結果③自由記載】グループ代表的なテキストデータ【葬送儀礼の品格を高めるもの】サイズの合う衣類赤ちゃんの大きさに合わせた洋服小さいサイズの洋服がない為、既製品があるといい週数が小さいとサイズの合うオムツがないサイズの合う棺納棺箱の特大と中がほしい死産用の小さい棺寝具棺・棺をくるむ白い布付団があるとよいと思う小さいベッド（コット）のようなもの見た目がいいかわいい（例えば動物のイラスト入りの（内側などに））棺が欲しい【死児の外見美を整えるもの】体液・血液の付着面会時に血液がついてもいいディスポリネン類見た目の変化かなり小さい子供は動かすたびに形も変わるエンゼルメイクエンゼルメイクのセット【結果③自由記載】グループ代表的なテキストデータ【副葬品として相応しいもの】おもちゃ小さいマスコットみたいなおもちゃを作成できるキットお花お棺に入れてもよいお花（造花）母乳ママのおっぱいを一滴でも入れて持たせてやりたいメッセージメッセージカード【育児を疑似体験できるもの】沐浴沐浴槽（専用の物）【思い出の品となるもの】思い出の品をつくるセット足型、ネームバンドなど思い出となるものがあったらいい遺品を入れる物専用の骨つぼor袋寿なしの臍帯箱【遺族に情報を与えるもの】体験談家族の会のリーフレット退院指導パンフレットグリーフケアならではの退院指導パンフレット【考察】産科における死産のグリーフケアでは… ①看護者がケアに習熟しにくいという状況がある ➡事例検討会等で知識やケア方法を共有していくことが必要 ②児との接触を通じて悲嘆作業を進める支援が一般化している ➡患者、家族の意向も考慮して進めることも重要【考察】産科における死産のグリーフケアでは… ③グリーフケアは入院中のケアに完結しがちで、退院指導は身体面に偏っている ➡精神面・社会面への退院指導、退院後支援の充実が今後の課題 ④死産のグリーフケアでは用具が充実していない ➡手に入れやすくなるよう整備が必要