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課
題
<11> 対価支払禁止の愚行
~<B3> 腎臓売ります~
B3 対価支払禁止の愚行  <N6章 pp.69-77>
1 <6章>腎臓売ります
2 未成熟国における徴用政策
3 所有権の移転と売買禁止の愚
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック PP.69-77
Slide 2
第6章 (pp.69-77) の主旨・用語を理解した?
1.
2.
3.
4.
5.
6.
臓器提供への支払いを違法とする連邦法の提案者は? p.69 (アル・ゴア)
毎年米国で臓器移植を待ちながら死亡する人数は? p.69 (7千人以上)
米国での腎臓移植の平均費用は? p.70 ($25万)
メディケアおよびメディケイドとは? p.70 (老齢・低所得の医療)
生存者による臓器提供率が最高の国は? p.72 (イラン)
組織適合検査が非自発的な臓器提供を抑制する理由は? p.72-3
(本人確認)
1 <6章> 腎臓売ります
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米国2009年: 8万人の腎臓移植待機者
1.
2.
3.
死者からの移植: 1万人
生存中の親族・友人からの移植: 6千人
死亡: 7千人(腎臓待ち: 5千人,他臓器: 2千人)
金や技術はあっても,腎臓不足で5千人
1.
2.
ゴアによる84年以降の臓器提供者への支払禁止
But 保険・組織適合検査は発展
臓器市場の現実例と成果
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イラン: 臓器への支払合法化 (88年)
親族からの提供者を探す
死者からの提供を待つ(最高6カ月)
自発的な生存者からの腎臓提供 < y=$12000
1.
2.
3.
1.
2.
政府  提供者: $1200 + 1年分の保険
被移植者(貧乏なら政府)  提供者: $2300-4500
闇取引なく,待機移植者ゼロを実現
過去からの教訓
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過去の小さな市場:パキスタン・フィリピン
1.
2.
腎臓価格=$2-3千  1人当たり国民所得y
提供者の事後的後悔  医学的・心理的ケア
過去の処刑者の臓器利用:中国
1.
2.
臓器市場ではなく,その市場の欠如から生じる
 国家による強制的な犯罪(窃盗)
米国腎臓市場の便益と費用の増加
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便益B の増加: 腎臓待ち患者5千人の生命
費用C の増加: 1人当たり$60万(=33億/5千)
1.
2.
腎臓価格の上昇: $10万( > y=$5万)
手術代($25万)との合計額: $35万
 ただし透析年費$7万の節約×1.5(演習3)=-$10.5万
3.
∴$35万×5千人 + $10万×1.6万人 =$33.5億
 P.75:
既存の死者&生存提供者1.6万人への支払
Q1 腎臓移植の需要と供給
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競争的な腎臓市場を仮想してみよう
1.
自由な腎臓市場での均衡取引数量Q*は?
臓器提供者への支払禁止統制をした市場では,
1.
2.
1.
2.
2.
3.
取引数量Qはどう変化? Q↓  超過需要
社会余剰Sの変化は? S↓  死荷重
こうした人命や移植の分析は非人道的?
非市場的な割当の問題? 12年ノーベル賞 シャプレー&ロス
A1 超過需要の中には5千人の死亡者
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支払禁止:PL=0  数量QL↓ , S↓  死荷重QLEA
S
P
P
A
E
P*
E
D
D
Q*
S
超過需要
Q
PL QL
B
Q
Q演習問題(P.77)4
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4.
死亡後の臓器提供原則の事前承諾から事
前拒否への変更が供給に及ぼす効果は?
1.
2.
3.
事前承諾:デフォルトは,拒否
事前拒否:デフォルトは,承諾(推定同意)
∴臓器提供↑  デフォルト変更には費用
 米国の現状は事前承諾,日本は?
2 未成熟国における徴用政策
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自由市場は死者&苦痛を減少させる効率的政策
1.
But If 国民&社会が(臓器市場受け入れに)未成熟なら
1.
2.
市場機能への無理解  臓器売買への抵抗感
高い情報費用・取引費用  市場の失敗
過渡期・将来の代替政策?
2.
1.
2.
提供者への支払いは禁止したままの徴用政策
再生医療政策  2012年度ノーベル賞:山中伸弥教授
推定同意による腎臓徴用政策
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強制徴用政策 by <B2> ウインター(09,3章)
1.
死亡者からの強制徴用政策  ≒戦時
 支払禁止原則の下では,死者からの提供数は最大
2.
必要なら,推定同意(事前拒否)制度を適用
 ∵徴用は死者・遺族の意思に反する窃盗の可能性
∴いずれにせよ,臓器供給↑ but 問題は?
Q2 強制徴用政策の効果
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前頁の推定同意の徴用策の効果は?
1.
数量QMを,上記A1のQLやQ*と比べると?

2.
QM > QL but QM < Q* も Q > Q* もありうる
M
自由市場と比べた場合の問題点は?
 収集し割り当てるための制度的費用が嵩む
 臓器に高い価値を持つ人から移植されるとは限らない
 それどころかより低い価値しかない所にさえ移転されうる
A2 取引量Qと社会余剰Sの拡大
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But 双方ともに非市場  非効率な割当

<B4>ランダム配分効果  双方の消費者余剰は小さくなる
P
A
S
P
A
S
E
E
D
超過需要
PL QL Q*
D
B
Q
PL QL QM
B
Q
3 所有権の移転と売買禁止の愚
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法による禁止命令・統制の費用
1.
2.
<B2> 成果に乏しい + 独自の副作用
<B3> 商品・権利の高評価者への移転を禁止

相互利益のある取引&再取引を禁止する愚行
∵売買禁止一切の取引禁止の非効率

 あらゆる取引による効率性の向上が禁止
自由売買の利益と所有権の移転
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確認: 自由取引・売買の利益  <B>
1.
2.
あらゆる自発的取引・交換は,相互に利益
比較優位 (分業・特化による交易の利益)
所有権の重要性  <A1>
1.
2.
インセンティブの基礎  所有権の保障&安定
取引・売買  所有権(使用権)の移転
なぜ自由売買が相互に利益なのか?
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売買=商品Zの所有権(使用権)の移転
1.
2.
3.
Zの売り手の評価 < Zの買い手の評価 D&S
所有権はZを高く評価する方に移転  利益
∴自由な売買は,高評価者に所有権を移転
自由な競争市場を拡大・整備する利点

相対市場より,高い評価者を低費用で発見
Q3 アナタの細胞と日光の所有権は?
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1.
2.
脾臓を切除して助かったアナタ。しかし医
者はその細胞から開発した医薬品で巨万
の富。訴える? ウインター(09, 3章):ムーア対UCLA理事会訴訟
ホテルHが10階分の増築を始めたために,
アナタのホテルのプールが日陰になる。
訴える? ウインター(09, 6章)
A3 法と経済学(LAW & ECONOMICS)の基礎
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法律: 1&2共に敗訴 所有(使用)権なし
経済学: どちらでも良い if 再取引可能
∵ <D> コースの定理  M(05, p.283)
1.
2.
外部性の問題は,当事者同士で解決可能
If 情報・取引等の交渉費用が大きくない限り
∴高評価者に移転 (分配問題) if 再取引可能
Q4 ☆ コースの定理
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交渉費用を無視できる場合の負の外部性(犬井
君の飼い犬で,隣室の猫田君は迷惑)
法:アパートでのペット飼育権を認めるべき?
  「認可: 飼える or 禁止: 飼えない」のいずれか

1.
2.
犬井のB=5万円・猫田のC=8万円の場合?
犬井君の便益が10万円だった場合は?
A4 ☆ 法による再取引禁止の愚行
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法による認可・禁止  再取引も禁止
コースの定理: 高評価者に権利が移転

1.
自由な取引により,効率的な結果に到達
犬井のB=5万円・猫田のC=8万円の場合?
 飼わない
2.
 猫田君が犬井君に6-7万円支払う
犬井君の便益が10万円だった場合は?
 飼う
 犬井君が猫田君に9万円支払う
法による全面統制の愚行
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国(政府)は全面的な禁止 or 認可すべき?
1.
2.
アパート・ホテル・交通機関でのペット問題
レストラン・ホテル・交通機関での喫煙問題
労働者保護という名の統制命令は妥当?
1.
2.
「60日以内の日雇労働禁止」と,主婦の例外
定年延長&雇用継続の義務化と,若年雇用
要点
本日のポイント
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1.
臓器提供者への支払と腎臓市場の創出
 便益:
年5千人の腎臓待機死亡者の根絶
 費用: 1人当たり$60万(保険適用可能)
2.
3.
過渡政策としての推定同意による徴用
全面禁止命令の愚: 所有権移転による効率化
 民間だけでも達成可能な場合もある
コースの定理
次回準備 N10章 & <★B4> 上限価格規制
「法と経済学」の実例関連の文献紹介
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ウィンタ― (09) 『人でなしの経済理論』バジリコ
1.
2.
3.
著者の専門は,Law & Economics と Health Economics
原題も「トレードオフ」 but 訳者(山形浩生)あとがきは…
喫煙・禁煙や臓器売買の問題・対策のトレードオフ
大内伸哉・川口大司(09) 『法と経済で読みとく雇用の世界』有斐閣
1.
2.
法学者と経済学者による雇用問題の解説
従来は労働者保護:紛争解決規範  行動規範