B4 八田 直樹 確率的手法は非常に強力なツールである。 たとえば、 であれば、 ということが言える。 について、 有限確率空間(finite probability space) 有限集合 関数 P { → [0,1]} s.t. 事象(event) Subsets 事象の確率はP(A)= と定義される。 定義域(domain) または標本空間(smaple space) 確率分布(probability distribution) P 一様分布(uniform distribution) 補集合(complement) 任意の事象A,Bについて、 たとえば、 ={1,2,…6}の空間について A:2の倍数 B:3の倍数 とすると、 条件付き確率 例:一様分布なP A:要素が2である B:偶数 P(A|B)=1/3 P(B|A) =1 独立(independent) となる事象A,Bの関係 このとき、条件付き確率の定義より、 独立は、互いに素(disjointness)とは異なる。 たとえば、 であるとき、AとBは互いに素だが、独立ではない。 互いに独立(mutually independent) 事象の集合 が任意の部分集合 について、 であるとき、Aと は互いに独立である。 独立だが互いに独立でない例 コインを2回投げたとき :i回目が表 A :2回の裏表が同じ とした時、Aと 、Aと はそれぞれ独立だが、 となり、互いに独立ではない。 有限集合 と、そのランダム部分集合Sを考える。 Sは の中の要素それぞれについて、確率pで表が出 るコインを投げて、表ならSに含めるといった方法で構 成する。 このとき、Sの分布は標本空間 = と、 確率分布 であらわされる。 たとえば、 ={1,2,3,4,5}の時、 コイン: ○ × ○ ○ × 要素 : 1 2 3 4 5 S = {1,3,4} ここで、Sが一様に与えられる、つまりp=1/2として、 部分集合Sの集合を族Fとすると、 標本空間 はFとなり、 となる。 = であったので、この場合、 部分集合Sの確率分布は となる。 確率変数X は →R(確率空間内の実数値) という 写像をする関数としてあらわされる。 確率変数Xの分布は →[0,1]である、関数 で定義される。 これは、 となる事象Aの確 率分布と同義である。 確率変数の期待値 例:サイコロの目を確率変数としたときの、期待値 期待値の線形性 が互いに独立である場合、 確率変数の分散(variance) 確率pで1をとり、確率1-pで0を取る確率変数Xを ベルヌーイの変数と呼び、期待値はpである。 2項分布とは確率pで1となる、独立なn個のベルヌーイ 変数の和、 であらわされ、 と書かれる。 n=5 p=1/3 のとき k=3になる確率を考える。 コイン: ○ ○ ○ × × ○ ○ × ○ × ・ ・ × × ○ ○ ○ それぞれの事象が起こる確率は よって、任意の について、 通り 期待値 分散 Counting Sieve 複数の事象が互いに素な確率は個々の事象の確率 の和で抑えられる。 もし、 ならば、 Independence Sieve が互いに独立で、すべての ならば、 互いに独立なので、 について 期待値の線形性 これは独立に関係なく成り立つ。 また、あるaについて となるiが存在する。 のとき、 マルコフの不等式 Xを非負の確率変数、 を実数とすると、 証明: チェルノフの不等式 で、それぞれが互 いに独立である確率変数 は 任意の >0について、以下を満たす。 対称性より、 マルコフの不等式を用いて、次のようになる。 ここで、 とすると、以下が得られる。 チェルノフの不等式 その2 確率pのn個のベルヌーイ変数の和をXとすると、 任意の について、以下が成り立つ。 先と同様の変形を行う。 ここで、 であることを利用して、 t = ln(m/pn)とおいて計算すると。( が得られる。 ) とおいてさらに計算。 同様に、以下のようにおいて計算していくと、 となる。 チェビシェフの不等式 Xを確率変数、 を任意の正の実数とすると、 証明: 適用する。 とおいて、マルコフの不等式を Second Moment Method チェビシェフの不等式で 以下の式が得られる。 とした場合、 ここで であるなら、 の確率は定数で抑えられる。 つまり、このとき、XとE[X]はほとんど等しい。 よって、E[X]がわかれば、 となるXが少なくと も1つ存在することがわかり、さらに がわかれば、 となるXが多数存在することが わかる。 ここからは、ツールの紹介をする。 Deletion Method 局所的に「良く」ない「悪い」ものが生じるランダムな設 定に対して、対象が「良く」なるまで「悪い」ところを変 化(削除)し続けることができる。 ラヴァースのふるい 事象 の依存関係をn頂点からなるグラフ Gとしてあらわし、( と が独立なら ) その最大次数をd、任意のiについて、 の時、 ならば、 独立 2 1 従属 3 6 4 5 このとき、 の最大値p について、4ep<1なら、 どこにも属さない要素が存在。 エントロピー 確率変数Yがそれぞれ確率 をとりうる時、エントロピーは でm個の値 と定義される。 これは情報量を意味する。 (一様分布)なら Concentration property のとき、 となるbが存在する。 になる。 Subadditivity property は事象 の要素をYの座標値としてとる、確率変 数で、 は 集合 の要素をと る確率変数とするとき、 例: ジョンソンの不等式 を集合、Yをその部分集合とし、 のすべての要 素と となる事象が互いに独立であるようにす る。 そして、 を となる事象とする。 ここで、 を とし、従属関 係を表す記号とする。 とおくと、以下の不等式が得られる。 ただし、 あずまの不等式 を積確率空間とし、 である2つの要素が一つの座標しか変わ らないなら、 であるという命題を 満たす確率変数Xをとると、 Xの期待値を として、 が成り立つ。 これは、チェルノフの不等式の拡張である。 タラグランドの不等式 先と同様に る。そして、 に対して距離 任意の実ベクトル となる 小のものをtとする。 を積確率空間とす を定義し、 に対して、 が存在するような、最 としたとき、以下の不等 式が成り立つ。 の一様分布とおくと、 は一様分布のn-cube をとる。 このとき、xが の要素なら、すべての となり、xは からハミング距離 以内に存在す る。
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