岡山観測所ISLEでの 新しいトランジット惑星の探索 成田憲保(国立天文台) 福井暁彦(岡山観測所)、平野照幸(東大)、 末永拓也(総研大)、高橋安大(東大)、大貫裕史(東工大)、 Eric Gaidos(ハワイ大) 低温度星まわりのトランジット惑星 太陽系近傍(J<10)でこれまでに発見されたのは • GJ436:視線速度で発見後にトランジットを発見 • GJ1214:サーベイグループMEarthによる発見 • GJ3470:視線速度で発見後にトランジットを発見 の3つのみ 1つの新たな惑星発見にも大きな意味がある 目標:J<10のmiddle K-M型星でスーパーアース発見 すばるIRDの目標はJ<10で1m/sの精度 -> RV追観測が可能 トランジット惑星探しの方法 • 定期的な星の減光現象を発見する • 惑星以外の偽検出を取り除く • 惑星の半径、質量、軌道を決定する トランジット惑星と偽検出(cf. 天文月報) トランジット惑星 二重星の一方に トランジット惑星 grazing eclipsing binary 二重星の一方が 食連星 本トランジット惑星探しの全体の流れ 1. SuperWASPアーカイブから選定したトランジット惑星候補に 対して、岡山のISLEを用いて高精度測光観測を行い、その 減光形状から惑星以外の現象を排除する 2. 1をパスした候補について、すばる望遠鏡のHiCIAOやIRCSを 用いて高空間分解能な撮像観測を行い、背景星の混入が ないかどうかを調べる 3. 1をパスした候補について、すばる望遠鏡のHDSやIRDを用 いて視線速度測定を行い、減光周期に同期した視線速度 変動を調べる 研究準備状況:ターゲットの選定 地上可視トランジットサーベイSuperWASPのアーカイブデータを利用 周期解析により折りたたんだ光度曲線 周期的減光の検出レベル トランジット期間内の データ点数 Ntr 測光精度σ 減光率δ 減光率と主星・惑星半径の関係 日本で観測可能な S/N>6 or Δχ2>50 の低温度星を50個程度選定 今後これらの減光現象を高精度測光で確認し、惑星か食連星かを判別したい 11B-12Aの観測結果 • 25夜の割当のうち、8夜の晴天夜 – 岡山の統計的な晴天夜の割合と同程度 • 6つのターゲットを観測 – 12Bのターゲットとは重複しない – 何度か観測したターゲットがあるため8つではない • 5つはSuperWASPデータの偽検出と判別 惑星の可能性を排除できなかった候補 1.008 1.006 1.004 Relative flux 1.002 1 0.998 0.996 0.994 0.992 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28 0.3 0.32 0.34 JD-2455985 1つの候補で惑星と矛盾しない0.17%の減光を検出 ただし、2度目の高精度測光観測ができていない (系統的変動による見間違いの可能性も残されている) 研究準備状況:直接撮像観測 先ほどの候補に対しては5月にすばるで直接撮像観測を行い、 減光を起こしうる背景星の混入はないことを確認した 研究準備状況:HDSでの視線速度測定 -44 -46 RV [m/s] -48 -50 -52 -54 -56 -58 56109 56109.5 56110 56110.5 56111 56111.5 MJD 6月30日から7月2日にHDSでの視線速度観測を実施 ~2m/sほどの精度を達成し、食連星ではないことを確認 現在の状況 • まだ惑星の確認例はなく、1つだけ排除できない候補がある • 高精度測光、直接撮像、視線速度測定が十分な精度で実施 できることを確認し、惑星が本当にあれば発見できるレベル だということは実証できた • 12B期は23夜の岡山の観測時間を獲得 • 海外との共同研究も進めている 我々の今後の研究計画 • 2014年頃のIRD稼働前→新しいトランジット惑星の探索 – 地上や宇宙トランジットサーベイのアーカイブをもとに候補を選定し、 高精度測光観測・直接撮像観測・視線速度測定によって本物の低 温度星まわりのトランジット惑星を発見する • IRD稼働後→トランジット惑星の特徴づけ – 事前に発見した惑星候補の質量と軌道を決定 – 新しいトランジット惑星の詳細な観測を世界に先駆けて行う まとめ • 日本で初めての低温度星まわりのトランジット惑星探し • もし本物のトランジット惑星があった場合に、実際に発見でき るだけの十分な準備を行っている
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