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環境省研究総合推進費【1-1405】
平成26年度第2回アドバイザリーボード会合
サブテーマ3
代表的植生域における現地検証
原正利(千葉県立中央博物館)
1
北上山地における現地検証
調査地:北上山地(落葉広葉樹林帯)
(調査地点参照)
調査期日:2014年9月21日~23日
調査者:原正利、小水内正明、大上幹彦、
大高圭右(情報大学生)
調査結果: 付表参照
2
調査地点
3
調査地点の概要
所在地
座標
海抜(m)
下閉伊郡
岩泉町字
釜津田
39-41-54.83
141-25-56.32
970-980
海抜約1000m前後の谷底平坦地に大径木のミズナラやブナ、ダケカンバ
等が一定以上の間隔を保ちながら点々と生育している。また、林間放牧地
が行われ、チシマザサが抑制(牛の摂食)されているため、流路に沿ってミ
ズバショウやクリンソウ、バイカモなどの湿生植物が広がり、季節ごとに独
特の景観を呈している。湿原の北側の尾根にはアオモリトドマツが自生し、
西側の最奥部にはダケカンバの一斉林が広がっている。
なお、岩手県自然環境保全地域に指定されている。
2
高桧山(早池峰 宮 古 市 川
山東尾根)
井字江繋
39-33-44.62
141-33-41.51
950-990
3
早池峰山南東 宮 古 市 川
斜面
井江繋
39-32-37.07
141—31-31.2
870-880
早池峰山の東側に連なる高桧山の南東側に位置し、大径木のブナが優占
し、シナノキ、ミズナラ、トチノキ等が混生する自然性の高い森で、面積約
9.5haある。最近まで伐採を免れた貴重なスポットとして地元でも知られて
いる。
早池峰山の南東斜面で薬師川の上流部に位置し、所々に蛇紋岩の岩礫
が点在している。林分は、ブナとヒノキアスナロがモザイク状に混生し、作
業道沿いにウダイカンバが目立つ。林床はチシマザサが優勢でエゾユズ
リハ(ここから東側にはほとんど出現しなくなる)も目立つ。
N
O
1
調査箇所
櫃取湿原
(ノロメキ沢)
調査地の概要
備考
4
4
源兵衛平
宮古市新
里字刈屋
39-41-32.89
141-47-29.49
910-740
5
安家渓谷茂井 下 閉 伊 郡
地区
岩泉町大
字安家字
茂井
40-01-12.35
141-47-40.00
120-200
6
平庭高原
40-04-52.40
141-31-09.23
830-880
久慈市山
形村富士
見平
山頂がフラットな台地状になった高原で、かつては林間放牧地として利用
されたが現在、畜産農家の減少に伴い放置されている。ここでは牛の庇陰
用に切り残されたミズナラが優占し、ブナやダケカンバ、シナノキ等が混生
する広葉林とアカマツやカラマツ等の針葉樹植林が混在する。ミズナラは
胸高直径90cm以上のものが多く、枝が横方向に長く張り出した通称「あば
れ木」として知られている。
また、この位置より東側に連なる尾根には太平洋側の分布北限となるイヌ
ブナが自生している(最大胸高直径62cm、樹高18m)(39-41-25.93、14148-3.09、海抜740m)。
V字渓谷の谷底を曲がりくねりながら流れ下る安家川の右岸側で、急峻な
山岳斜面下部に位置する。一部に伐採した痕跡が見られるものの大径木
のコナラとブナ、オノオレカンバが混生する極めて自然性の高い森が発達
している。特にコナラの多くは胸高直径90cm以上で、最大のものは胸高
直径120cm、樹高22mに達する。また、表土が薄く岩塊が露出した箇所に
はアカマツ林が広がっている。
平庭岳の北側に広がる丸みを帯びた純平原的な高原で、約20年前までは
牛馬の放牧地として利用されていたが、現在は放棄されてダケカンバ、シ
ラカンバ、ブナが目立つ二次林となっている。また、季節風の影響を強く受
けるシバ草地には、レンゲツツジとミネヤナギの低木が目立っている。
5
北上山地(ミズナラ林とコナラ林)
大山・杉山・菅野(2013)
6