1 自重

課
題<22>
バッファローを牛に変える方法
~C27: バイバイ,バイソン~
D2 共有資源と財産権  <Me27章 pp.266-77>
1 <27章>バイバイ,バイソン(バッファロー)
2 共有地の悲劇
3 漁場破綻と譲渡可能個別割当制(ITQ)
Microeconomics 競争市場と公共政策
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Q 読解力チェック PP.266-77
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第27章 (pp.266-77) の主旨・用語を理解した?
1 人間の乱獲で絶滅・減少した動物の例は?
2 過去の種の絶滅の大半は人間の仕業? p.266-7 (No)
3 バイソンは先住民との間では共生できた? p.269 (No)
4 国際捕鯨員会(IWC)による保護の問題点は? p.273
5 1950年以来の漁場破綻の割合は? p.273,5 (30%. 年50)
6 指令・統制型漁業管理とは? 成功した? p.274 (失敗)
7 譲渡可能個別割当制(ITQ)の機能とは? p.273-5
1 <27> バイバイ,バイソン
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リョコウバト・バッファローの絶滅・減少
 海洋回遊生物も共有資源
 需要過多(乱獲)
∴市場の失敗 but 政府も失敗:保護・統制
 漁場破綻
 総量・漁法・機器・期間の統制・制限
共有資源への所有権3条件の適用
 譲渡可能個別割当制(ITQ)による漁場・漁業↑
Q1 確認: バッファロー減少の理由
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1 バッファローの減少を白人が加速した理由?
 肉・毛皮の需要増加 +
 スポーツ需要  銃(殺傷力は矢の20倍)の使用
 急速な人口増加
2 先住アメリカ人との共通点は?
 死んだバイソンの貢献度に応じた分配・狩猟組織
 生きたバイソンは共有資源(所有不可)
乱獲
Q2 確認: IWCの問題点
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統制的割当制が部分的成功に終わる理由
1
2
3
4
5
国際捕鯨員会の制限に拒否権はあるか? Yes
加盟国の違反を取り締まる権限はあるか? No
加入を拒否している国は?(チリ・ペルー・ブラジル)
割当以上の他の捕獲方法? (偽旗船・調査捕鯨)
シロナガス鯨は増え(てい)ると思う? p.272
人間として考えるべきことは?
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今日までの種の生存率はわずか0.02%
 ∴事実:
種の大半は人類出現以前に絶滅
But 人間による乱獲で絶滅・急減も事実
 絶滅:旅行鳩,急減:バッファロー(バイソン)
なぜ乱獲が起こる? 何をどうすべき?

牛は絶滅する? 全種を保護すべきか?
Q演習問題(P.277)1-2
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1 犬・猫・牛はなぜ絶滅しない?
 家畜・ペットという「生きた動物」の価値
 ∴人間の所有物
「所有権の3条件」が確立
2 民営の狩猟可能な動物保護区はその動物の
絶滅を救うのに役立つか?
 観光・狩猟の収入
 ∴絶滅させない強い誘因(インセンティブ: 狩猟サファリ)
 土地上の動物の所有権
Q演習問題(P.277)3-4
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3.
種の絶滅保護には政府所有が必要?
必ずしも必要ではない Q演1: 家畜・ペット
 民間より非効率な例も多い 誘因強度の差:Q演2&4
1.
4.
渓流が個人所有の英国と公共財産の米国,な
ぜ釣りの醍醐味は英国式で増加?
 英国:
所有者は料金と魚種・サイズ・量を制限
 米国: 原則として制限はない  乱獲
2 共有地の悲劇
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共有地(コモンズ)の悲劇 by ハーディン(1968)
1 村人が共有の牧草地(コモンズ)に牛を放牧
 コモンズは皆のモノ
 排除不能&タダで利用
2 村人・牛の増加につれ,牧草地は競合・荒廃
 私的費用<社会的費用
 外部不経済
≒囚人のジレンマ <D>共有資源の需要過多
 より厳密には,プレイヤーが増える多人数ゲーム?
放牧数Xと牛肉総量・限界・平均
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総量Tの変化<A>限界値Mと平均値A
A
M
T
A
M
XM
XA X
XM
XA X
Q3 共有地の所有権と放牧数X
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前頁の放牧を費用ゼロで行える場合,
1 牧草地がアナタの個人所有なら放牧数は?
 左図では,総肉量T(≒収入)が最大となるXMで

右図では,限界収入M=限界費用0 <A>
2 多数の村人が自由に放牧できる共有地なら?
 費用はゼロなのに,XMでも総肉量T(≒収入)は正
 ∴放牧数は収入Tないし平均収入AがゼロのXA
Q4 放牧する OR 自重する?
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共有地の放牧ゲームの利得表  <D>
1.
2.
3.
4.
Bが放牧する場合,
Aの最適反応戦略は?
Aが自重する場合,
Bの最適戦略の利得は?
ナッシュ均衡は?
どんなゲーム? なぜ?
B
A
放牧 自重
放牧 0, 0 2, -1
自重 -1, 2 1, 1
A4 <D>囚人のジレンマの復習
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1 「0 > -1」だから 放牧  以下<D>の復習
2 放牧だから 2
3 (A, B)=(放牧,放牧)
4 囚人のジレンマ  以下の3条件が成立
 互いに支配戦略「放牧」を持つ
 最適戦略は負の外部効果,均衡はパレート劣位
Q5 象が牛になる日
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アフリカ諸国の象の2保護法  マンキュー(05)
1 殺戮・象牙販売禁止:ウガンダ・ケニア・タンザニア
2 私的所有を容認:ボツワナ,マラウイ,ナミビア
1 頭数の変化は? なぜ密漁を防げた?
 共有資源(皆のモノ)は減少,私的所有は増加
 私的所有による利潤動機
 効率的な対策
2 「象を殺して象を増やす」ことに賛成する?
3 漁場破綻と譲渡可能個別割当
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指令・統制型漁業管理の失敗
pp.273-4
 1950年以降,全漁場の3割・年50が破綻
 今後約40年ぐらいで,全漁場が破綻?
譲渡可能個別割当制(ITQ)の効果
pp.274-5
 漁師の資源保全誘因↑
 漁場回復・漁業振興の双方に効果
 <D>所有権3条件
伝統的な指令・統制による政府の失敗
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総漁獲量枠を縮小・維持する指令・統制法
1 漁期の制限・短縮
2 漁船・漁具等の漁業機器の保有量を制限
But 統制はむしろ資源枯渇・漁業衰退を加速

早獲り競争を促し,資源保全誘因↓
  現場の創意工夫を阻害し,収益改善誘因↓
譲渡可能個別割当制(ITQ)
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効率的漁猟配分の特徴  所有権3原則
1 漁獲総量  科学的基準の許容範囲
 総体としての資源保全
 漁場回復
2 総量の取り分権を各漁師・組合・企業に配分
 漁師に財産権
 小魚や早獲りは不要  資源保全
3 取り分権は,売買も貸借も可能
 漁師・組織間での効率的取引
 漁業経営の効率化
Q6 ITQの威力?
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1 1950年以来の年平均破綻漁場数は? 50余
2 ITQ(訳語と仕組み)とは? 前頁(Individual Transferable Quota)
3 ITQを試み成功している国・地域は? p.274
 ニュージーランド・アイスランド・ノルウェー
4 もしITQが70年以降に全面実施できていたなら
カットできた漁場破綻発生率は? 2/3
税を払う北欧,補助頼みで沈む日本
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北欧は強い漁業が税を払う  ITQ 日経(12)
 漁師の意識が「量から質へ」,経営の効率化

アイスランド: 生産額3倍・漁船1/6 (対70年)
 ∴漁業は成長  利益の9割は漁師(寡占化)
日本は補助金頼み,競争回避し続け衰退
 漁獲量は1/3の漁船で十分
but 0.5兆円の補助金
 生産は1.4兆円なのに,400億の監視費が高い?
漁業衰退に学ぶ公共政策の改革
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日本の衰退する漁業の二重苦
農業同様,保護・補助・衰退
 <D>共有資源 他国の成功例に学ぶ意欲低下
 <C>政治経済学
公共政策改革の必要条件
 政府債務・再分配の実情
 政治家・官僚・マスコミ  誘因・市場等の活用
 国民の合理的無知
要点
本日のポイント
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種を絶滅・減少させる理由と政府の失敗
1 共有資源  囚人のジレンマ・共有地の悲劇
2 指令・統制型の保護・管理制度の失敗
財産権設定による誘因・市場の活用
1 負 or 正の外部効果  ゲーム理論
2 私的財化により<A>誘因・<B>市場を活用
参考:象の保護問題とITQ
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M(05): マンキュー 『経済学<1> ミクロ編』
 第11章3節
共有地の悲劇
 P.316 共有資源としてのバッファローや象の解説
「北欧にみる漁業浮揚」『日本経済新聞』2012/12/19-22
 「個別譲渡性漁獲割り当て(ITQ)」の実態
 栄える北欧漁業と取り残される日本の漁業