大学生における異性不安を形成する 諸要因についての研究 10E1902B 安納 由希子 (指導教官 長根光男先生) 1 問題と目的 男女平等社会において、男女間での円滑な人間関係を築く 能力はますます重要となってきている。 異性不安に着目 ・家族構成や学校形態といった環境的要因 ・本人の生まれ持った気質や性格的要因 ・能動的な異性との交流といった行動要因 大学生の異性不安形成の要因を検討する。 2 仮説 仮説1.異性と接する環境要因が多いほど異性不安は 低い傾向になる。 仮説2.対人不安が強いほど異性不安もそれに伴って 高い傾向になる。 仮説3.異性との交流経験が多いほど異性不安が低い 傾向になる。 3 方法 調査対象 千葉大生86名 (小学校課程 男性30名,女性37名) (養護教諭課程 女性10名、工学部 男性9名) 調査実施期間 2013年7月22日~12月6日 調査方法 質問紙法(対人不安尺度・異性不安尺度使用) 4 結果① 【環境要因と異性不安の関係】 24 20 異 性 不 安 度 16 12 8 男 低 男 高 女 低 女 高 Fig.1 環境要因得点の男女別高・低群の異性不安平均値 有意差および有意傾向なし 思春期から現在にかけての環境要因は異性不安形成に 影響を与えないことが示された。 5 結果② 【対人不安と異性不安の関係】 24 20 異 性 不 安 度 16 12 8 男 低 男 高 女 低 女 高 Fig.2 対人不安度の男女別高・低群の異性不安平均値 有意差および有意傾向なし 大学生の現段階における対人不安は異性不安形成に 影響を与えないことが示された。 6 結果③ 【交流経験と異性不安の関係】 24 20 異 性 不 安 度 16 12 8 男 低 男 高 女 低 女 高 Fig.3 中・高・大学時代にかけての交流経験値の男女別高・低群の異性不安平均値 1%水準で有意差が見られた 中・高・大学時代における異性との交流経験が多いほど 異性不安を抑制することが示された。 7 結果④ 【交流経験と異性不安の関係】 32 28 異 性 不 安 度 24 20 16 12 8 男 少 男 多 女 少 女 多 Fig.4 異性とのメール経験における男女別少・多群の異性不安平均値 1%水準で有意差が見られた 中・高・大学時代における異性とのメール経験が多いほど 異性不安を抑制することが示された。 8 考察① 仮説1.異性と接する環境要因が多いほど 異性不安は低い 受動的に異性と接する機会が多くても、その中 で能動的な交流がない限り、異性不安を緩和 するような効果は得られないと考える。 9 考察② 仮説2.対人不安が強いほど異性不安も それに伴って強い傾向になる。 異性に対する不安が強くても、同性に対して 同様に不安を感じるとはかぎらないのでは。 10 考察③ 仮説.3 異性との交流経験が多いほど 異性不安が低い傾向になる メールや相談など、「自己開示」が期待されるような 交流によって異性不安が緩和されるのでは。 また、現在に近い段階での経験が大きく影響する。 11 まとめ 本研究により、「自己開示」が期待されるよう な異性との交流が異性不安を緩和することが 明らかとなった。 学校現場での応用としては、異性を交えての グループエンカウンター等の活動を通して、 自己開示が期待されるような場面を設ける。 12
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