この服

日語教學法研究
(大学院)
9月21日(火・二)~
担当 神作晋一
台湾における日本語習得
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許夏佩(東呉大學)
『多様化する言語習得環境とこれからの日
本語教育』
坂本正 小柳かおる 長友和彦 畑佐由紀子
村上京子 森山新
スリーエーネットワーク 2008年
1.日本語教育の概況
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総人口に占める日本語学習者の割合が高
い。
中国と台湾は別々に考える必要がある。
高等教育機関における学習者(機関数、
教師数)が多い。
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日本語学科が増えている
教師は博士号取得が条件
1.日本語教育の概況
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民間の教育機関(補習班)の役割
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能力や専門知識に差がある
日本語学習誌や日本語教材の充実
多様化(たようか)
2.外国語としての日本語の習得
2.1 学習環境
2.2 学習者特性、学習目的
2.1 学習環境
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地理的な近さ
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観光や経済
日本の番組専門のTV局
植民地時代の影響
国語・台湾語・客家語が日常言語
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教室が主な習得場所
(自然習得ではない)
2.1 学習環境
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インプット
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例:中国語の字幕
(機会や材料を)利用しない
アウトプット
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教室外での使用機会が少ない
2.2 学習者特性、学習目的
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日本の流行を追いかける若者
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「哈日族」 ファッション、音楽など
中学校?
2003年→2006年に機関数、教師数、学習
者数とも1.5倍前後増加している
学習動機
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日本語や日本文化への興味
就職・資格・留学など実利的なもの
学習者自身の意志で自主的に
3.中国語母語話者にとって習得
しにくい日本語
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3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
音声
語彙
文法
談話展開
社会言語的知識
3.1 音声
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有声破裂音(b、d、g)の有無
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北京語 なし 有気音(ph th kh)
上海語 あり
有声・無声破裂音の知覚・発音
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学習環境による違いはあまりない(難しい)
母語の影響が大きい
3.1 音声
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モーラ
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アクセント
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例:「安心」 日本語4拍、中国語2拍
支障は少ないが、修正は困難
アクセントの型とリズム(モーラ)
母音の無声化
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東西
中国北方方言との違い 軽声
無声化事体には議論もある
3.2 語彙
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日本の漢字に違和感なし
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漢字指導はあまりない
字形学習の労力は少ない
発音や意味の差に注意せず誤用を犯す傾
向
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中国語の語彙をそのまま使用
例:親切
3.2 語彙
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漢語(日本語)と中国語の対応
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同形同義語でも品詞が違う(充実:名詞とナ形
容詞)
日中両語での使い方の相違を強調
漢語の観点からの対象研究・習得研究
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字形と語彙情報
3.3 文法 正の/負の:転移
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文法の相違における正と負の転移
アスペクト(テイル・テイタ)
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結果状態は困難
日本で学ぶ学習者は正しくなる傾向
母語の影響
助詞の習得
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日本語のてにをはと対応しない。
その他の文法事項との兼ね合い
3.3 文法
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指示詞コソア
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ソが使いにくい
*(あなたの)この服、いい色ですね
3.4 談話展開
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あいづちの違い
本来は親疎や上下関係によって使い分け
る。
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中国語・台湾語などではあまり区別がない。
無礼な印象を与えたり、コミュニケーションに
支障が。
敬意の違いなどを意識させる必要
台湾語
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理解語彙・言語
使用語彙・言語
友人同士 学校
中国語(国語)
家庭・近所
台湾語
使い分け コード・スイッチング
Cord Switching
(コミュニケーション)能力
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例:ネウストプニー
①言語能力
②社会言語能力(コミュニケーション)
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(場面や状況によって使い分け)
③社会文化能力(インターアクション)
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(言語を使って)目的を果たす。実質行動
文化的背景を考慮する。
3.5 社会言語的知識
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「依頼」「断り」「謝罪」
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行為要求・文末言い切り → 間接的依頼・理
由説明 の形式へ
中国では互恵性(give and take)
日本では、婉曲的・間接的
母語の言語社会ルールを適用
3.5 社会言語的知識
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待遇表現を実際に使用・運用する機会が
ほとんどない。
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相手の社会的立場を理解することが難しい
映像教材などを用いて内省を促すような対
策を。
4.外国語環境における教室指導
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目標言語を学ぶ動機や目的
学習者自身の問題→ビリーフ
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香港→伝統的教授法を学習者が重視
日本人教師と中国人教師で考えの違い
台湾の調査結果
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服部(2002)、忍耐強い・環境づくり
学習者の特質を生かした教授法
インプットの促進のために日本人教師による理
解可能な日本語での授業も必要。
5.今後の課題
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言語運用における的確な指導が必要。
接触場面の不足の対策
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機関同士の交流がほとんどない
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言語行動をビデオや音声教材で
交流協会や支援機関
専門外の博士による指導
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教師研究の機会