ピグー税・ピグー補助金

Oligopoly Theory
9. Environmental Policy in
Oligopoly
今日の講義の目的
(1)環境政策を例にとって今まで学んだ議論を整理す
る
(2)実際の環境政策の実例の知識を得て、example
の引き出しを増やす
OT:Mixed Oligopoly
1
Outline of the 9th Lecture
9-1 Economic Regulations in Environmental Policies
9-2 Recent Topics in Environmental Regulations in
Japan
9-3 Top-Runner Regulation
9-4 Three Model Formulations
9-5 Monopoly
9-6 Optimal Tax in Symmetric Oligopoly
9-7 Optimal Tax in Asymmetric Oligopoly
OT:Mixed Oligopoly
2
経済的規制(ピグー税・ピグー補助
金)
・企業が自主的に生産量を抑制する誘因を持つメカニズ
ムを作る(経済的規制)
(a)外部不経済に対応する税をかける(ピグー税)
(b)排出の減少に対して補助金を出す(ピグー補助金)
OT:Mixed Oligopoly
3
ピグー税とピグー補助金の違い
限界的な誘因は同じ。しかし企業の負担が異なる。
ピグー税の方が企業の負担は重い。
この2つしか方策はないのか?
中間が存在。排出量がX単位までは補助金、X単位を超
えると税。X=0ならピグー税、Xが十分大きければピ
グー補助金。中間がいくらでもあり得る。
→企業の負担を連続的に変えられる。
OT:Mixed Oligopoly
4
Hybrid
生産がX単位までは補助金、X単位を超えると税。X=0
ならピグー税、Xが十分大きければピグー補助金。
Xをどう定めるか?
前年実績のY%
・毎年改訂すると問題発生←翌年以降の補助金率を増や
すために今年度の排出削減を怠る可能性が
制度開始前で固定する必要
・制度導入をにらんで枠確保のために排出を増やす誘因
~議論のかなり前の年に固定する必要
Xを小さくする→産業が規制の緩い国に流失⇒国際的
なCoordinationの重要性
OT:Mixed Oligopoly
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経済的規制(排出権取引)
・企業が自主的に生産量を抑制する誘因を持つメカニズ
ムを作る
(3)排出権市場を作る
~排出量を増やすためには市場で排出権を買ってこなけ
ればならない
排出権の量を適切にコントロールすれば排出権価格を上
下させられる。最適な排出量を設定すれば、ピグー税・
ピグー補助金と同じ効果が得られる
OT:Mixed Oligopoly
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排出権取引の制度設計
・強制参加か自主的な参加か
・国内だけで閉じる制度か国際的な連関を持つのか
・オークション方式かグランドファザリングか
グランドファザリング:現在の排出量を基準として企業に
排出権を無償で供与。現在より排出量を減らすなら
余った部分を売却できる(不足するなら買ってくる)
オークション:初期割り当てなしで全てを政府から買ってく
る。
OT:Mixed Oligopoly
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排出権取引の制度設計
グランドファザリング:ピグー補助金の世界
オークション:ピグー税の世界
ピグー税とピグー補助金の中間があるのと同様に組み合
わせもあり得る。
初期割り当てを絞り込み、残りはオークション。
初期割り当てをどうするか?~ピグー税・ピグー補助金の
hybridのケースでのXの決定と同じ問題。
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排出権とピグー税のHybrid
排出権を取得しなくても排出1単位あたりtの罰金を払え
ば良い。
実質的に排出権の価格に上限を与える効果。排出権の
発行枚数が結果的に少なすぎた場合には税に移行す
ることになる。
バブルの抑制の効果も。
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CDM
制度の枠外の経済主体が存在
(例)
・京都議定書における途上国
・国内排出規制における対象外の中小事業者
枠内の経済主体の排出削減の限界費用が高く、枠外の
主体の限界費用が低い場合には、枠外の主体が排出
削減をする方がより効率的。→枠内の主体が費用負担
して枠外の主体の排出を削減し、それを枠内の主体が
削減したと見なす。
問題点:枠外にいる方が有利→協定に参加しない誘因
OT:Mixed Oligopoly
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CDMの例
・途上国の水力発電を開発して排出権を獲得
・中小企業、途上国の省エネに協力して排出権を獲得
Business as usualの投資では獲得できない。(ほっとい
ても進展する省エネ・新エネ開発では認められない)
→CDMをあてにして開発しても、認定されないケースも
OT:Mixed Oligopoly
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排出権取引と同じ原理の手法
(1)ゼロエミッション・ビークルの割当
(2)新エネルギー、再生可能エネルギー購入の割当
(3)駐車場・緑地の義務化
(4)容積率
(5)発電の予備力
(6)雇用割当
ポイント~割当があっても超過達成したものは未達成
の者に売ることができれば効率的な資源配分になる。
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RPS法
RPS (Renewables Portfolio Standard)
RPS法→電力事業者に一定の利用義務を課す
2010年度時点で122億kWh、約1.35%
それまでに段階的に義務量を増加させていく
義務量は2010年以降拡大、太陽光の優遇→太陽光を
2倍でカウント
OT:Mixed Oligopoly
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RPS法の対象電源
対象となるエネルギー:再生可能エネルギーのうち特に
普及のために支援を必要とするもの
風力、太陽光、地熱(のごく一部)、小水力(水路式で
1000kW以下のもの、対象は順次変更)、バイオマス
ダム式の大規模水力は入っていない
→これらを入れると2004年時点で10%強。ドイツを上
回る。
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RPS法の狙い・目的
・地球温暖化対策
・分散型電源の普及促進
・エネルギー安全保障
・新エネルギーの研究開発促進
このために恣意的な対象の選択になっている
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効率性に配慮したRPS法の工夫
(1)4種類の電源の内訳を指定しない
→最も費用の低い電源を選択できる
(2)電力供給と切り離したRPS価値という概念を導入
→Tradable Permitと同じ効果。費用の低い地域で電源
が普及。~RPSの利益(費用)を明示する副次効果
(3)義務を超過達成した分は次年度以降に繰り越せる
(バンキング)
→動学的に最も効率的なタイミングで導入できる~実際
にはうまくいかなかった
OT:Mixed Oligopoly
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RPS法の費用
RPS相当量の価格:2003-2005年概ね5円(1kWh当た
り)で推移。現在は6円程度と言われている。
これが続くとすると2010年時点で750億円の負担
(実際には6円は限界費用なのでこれより低い可能性も
あるが、一方で6円以上の負担で電源を開発している事
例もあるので過小評価の可能性もある。)
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RPS法の便益
二酸化炭素の排出量減。
原子力を代替→二酸化炭素排出量ほとんど減らず
(短期的にはどちらの排出量ゼロ、ライフサイクルで見ても
風力と同程度、太陽光の半分弱)
全電源平均→排出係数0.38(LNGでほぼ同程度)
石油(石炭)火力を代替→排出係数0.55(0.82)
排出係数:1kWh当たりの二酸化炭素排出量(kg)
OT:Mixed Oligopoly
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RPS法の便益
京都メカニズム活用~1トン当たり1000~2000円
RPS法での限界費用~RPS価値6円として1トン当たり
7300円(石炭代替ケース)~15800円(全電源平均のケー
ス)
⇒京都メカニズムを使うより3.6倍ー15.9倍の費用
←炭素排出削減以上の目的(価値)がないと正当化は困難
1トン当たりの費用=1000・6/排出係数
OT:Mixed Oligopoly
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風力発電
変動が激しい→系統安定性の観点から導入量に制約が
安定的な電源ではない
~風任せ・必要なときに発電してくれる保証がない
←バックアップ電源を余分に持たないと安定(停電回避)を
維持できない~見かけ以上に費用のかかる電源
蓄電池の導入(費用を1kWh当り4-5円引きあげる)
(1)短期変動の回避(2)夜から昼への電力供給シフト
→経済性を高める効果も:~整形して取引所に
CO2フリー電気取引開始(2008年11月)
分散型小型発電との相性
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太陽光発電
・安定的な電源ではない~お日様任せ・必要なときに発電し
てくれる保証がない:バックアップ電源を持つ必要。需要
ピーク時により多く発電してくれるメリットも。
・一般消費者の省エネ意識を高める副次効果
・日本が先行したが最近はドイツで急速に普及
・コストは急激に下がってきたが、RPS価値を考慮しても通
常の電源・風力発電などに対して競争力を持っていない。
1kWhのコスト 140円(1994年)→45~60円(2006年)→23
円(2010年?目標)→7円(2030年目標)
(在来型は7-10数円、大型風力は10数円程度)
OT:Mixed Oligopoly
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太陽光発電への導入促進策
(1)設置補助金(国+自治体)
(2)RPS法
(3)電力会社による買取(販売価格と同額→倍額)
(4)グリーン調達、グリーン電力証書、優遇金利
(5)固定価格買取制度(ドイツ)
~リスクを電力事業者が負う制度
(6)優遇税制(アメリカ、フランス)
裁量的・技術非中立的介入がなぜ必要か?
←外部性の大きさが異なる
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バイオマス発電
・RPS電源の中では安定的な電源
・木質バイオマス、バイオエタノール、バイオガス、廃棄物
など多様な原燃料(コスト・環境負荷・最適発電規模も多
様)~多様な使い方が可能。熱利用・燃料生産・燃料電池
等と密接な関係。
・必ずしも国産エネルギーとはいえない
・コスト競争力のある部分の電源開発は既にかなり進んで
いる
・既存発電所でそのまま利用も
OT:Mixed Oligopoly
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低炭素社会のイメージ
(1) バイオエネルギー社会
(1-a) 直接燃焼・植物油・バイオガスで発電・熱供給
(1-b) バイオエタノール・バイオディーゼル
(2) 水素社会
(2-a) 燃料電池で発電・熱供給、水素パイプライン
(2-b) 燃料電池車
(3) 電化社会
(3-a) ゼロエミッション電源(原子力・水力・太陽光・風力・
地熱・波力等renewable電源)で発電
(3-b) 電気自動車
OT:Mixed Oligopoly
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バイオエネルギー社会
直接燃焼・植物油・バイオガスで発電・熱供給は経
済効率的にもエネルギー効率からも合理的
←低コスト・高効率で使える資源には限りが。。。
バイオエタノール~現時点では効率が低すぎる。
⇒短期にも長期にも重要だがこれだけで超低炭素社会
の世界を描くのは難しい
~一方でオプションとしては依然重要
OT:Mixed Oligopoly
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水素社会
分散電源で熱と電気を効率的に利用
温暖化ガスを出さないだけでなく、利用段階で廃棄物
も出さないクリーンエンジン(電気自動車共通)
どうやって水素を作るのか
・化石燃料から→水素を作る段階で炭素が
⇒これでは超低炭素社会にはならない(後述)
・原子力利用→立地に制約が(電化社会と同じ問題)
・バイオ由来→バイオ社会と同じ問題(オプションと
して重要~藻・屎尿等からバイオガス・水素を製造)
・水の電気分解⇒究極的には電化社会
OT:Mixed Oligopoly
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電化社会
現在のオール電化:ガスを電気に置き換え
冷房・給湯・暖房・厨房を全て電気に
超低炭素社会での電化:輸送も含めた大規模な電力の
利用→大幅な省エネにも拘わらず、電力需要は大幅に
は減少しない(むしろ増えることも)。
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福田ビジョン
・2020年までに、kWhベースでゼロエミッション電
源(原子力、水力、バイオ、地熱、太陽光、風力、
波力等)50%以上
・ 2020年までに、kWベースで太陽光を2005年比10
倍(1432万kW)、風力4.5倍(491kW)
・2030年までに太陽光40倍(5321万kW)、風力10倍
(661kW?)
エネルギー起源のCO2排出を2020年で2005年比13%
(1990年比3%)削減、2030年で22%(13%)削減。
~最大導入ケース
OT:Mixed Oligopoly
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ゼロエミッション50%
2020年までに、kWhベースでゼロエミッション電源
50%以上は野心的な目標か?
原子力発電所の大幅な増設がなくとも、稼働率が
90%になれば原子力だけで40%は可能(そもそ
も福田ビジョンに先立つ原子力立国計画で原子力
発電比率40%ないしそれ以上を目指すことは閣議
決定されている)
水力発電で10%弱稼げばそれ以外は現行のRPS法を
遵守すれば対応できる。
OT:Mixed Oligopoly
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太陽光10倍、風力4.5倍
2020年までに、kWhベースでゼロエミッション電源
50%以上~欧州諸国に比べても決して低くはない数
字
しかしこれが目標で太陽光を現行の10倍、風力4.5倍
が手段なら、ここまで太陽光を入れる必要はない
しかしゼロエミッション電源50%では超低炭素社会と
は言えない。~結果的に太陽光の高い目標(グ
リーンニューディールの発想でより強まる)。
太陽光発電の固定買い取り制度でペースが20倍に早
まる可能性も
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太陽光10倍・40倍のイメージ
太陽光10倍のイメージ~住宅で8割・非住宅2割
新築戸建ての7割に導入、既築5万戸/年に導入
産業・公共用ポテンシャルの約1割に導入(ストック)
太陽光40倍のイメージ~住宅で6割・非住宅4割
新築戸建ての8割に導入、既築25万戸/年に導入
産業・公共用ポテンシャルの概ね8割に導入(ストック)
かなり意欲的な数字ではあるが、これだけ見ていると
必ずしも不可能でない数字のようにも見える。
→実際には直接費用以外に系統対策等でかなりの社会
的費用が。。。
OT:Mixed Oligopoly
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原発停止の社会的費用
(例)100万kWの原発1基が1年間停まる。(柏崎刈羽は7
基の合計出力821.2万kW、世界最大の原発)
これを石油火力で代替
元の稼働率90%、代替した石油火力の限界費用9.5円とす
ると約750億円の負担増。432万トンの二酸化炭素排出増
(石油の排出係数0.548) ~無視できない影響(CDMで全
て賄うと1トン2千円として87億円の負担)。
日本全体で排出量二酸化炭素換算で約12億トン、ガソリン
の1/3をバイオエタノールに変えて節約できる排出量750万
トン~環境面でも深刻な影響
OT:Mixed Oligopoly
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電力市場と環境政策
本来は環境税、ないし排出権取引で対応すべき
これで統一しないのでいろいろな問題が発生
縦割り行政の枠組みの中で、対処療法的に場当たり的
な政策が次々と導入され部分最適が追求される結果と
して全体が統一性のない複雑なだけの仕組みができて
しまう。
温対法、自主行動計画、RPS法、各種補助金、環境規
制、グリーン電力証書
OT:Mixed Oligopoly
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自主行動計画
・一般電気事業者は全体として排出係数に関する目標
を設定し(20%削減)、自主的にこれを達成すると宣言
→かなり厳しい目標であるが、(国際市場において排出
権購入する、発電効率を高めるなど)かなり努力してい
るように見える
←どういう誘因で?
(1)企業の社会的責任
(2)強制的な規制の回避
~達成できなかったり、そもそも目標・計画が甘すぎる
と強制的な規制が課されると予想。
OT:Mixed Oligopoly
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温対法と排出係数
炭素排出量/販売電力量を各事業者に公表させる。
→需用者はこの値を自らの排出量の計算に使う。
(1)電気事業者は競争上これを下げる誘因
(2)ユーザーはより低い排出業者を選ぶ誘因
OT:Mixed Oligopoly
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温対法の問題
A事業者は原子力中心で石炭を組み合わせる。原子力の
排出係数0。石炭0.9。平均排出係数0.3。
B事業者はガス火力中心。平均排出係数0.4。
ユーザーが事業者をAに切り替える
→A事業者は石炭を炊き増して、その結果むしろ排出量は
増えてしまう(原発は既にフル稼働しているから)
⇒歪んだ誘因~限界ではなく平均を使うのがまずい?
~でも長期にはこの誘因でいいのかもしれない
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OM・ BM
OM 炊き増し・炊き減らしを評価する限界排出係数
BM 発電所建設まで考えた長期の限界排出係数
いろいろな文脈で重要な考え方
・コジェネ導入の環境評価
・新エネ導入の環境評価
・省エネの環境評価
・需要シフト(昼→夜、ピーク→オフピーク)の環境評価
・オール電化導入の環境評価
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グリーン電力証書
環境価値を証書化~元々は環境価値のために費用を出
して応援する仕組み
しかし半分詐欺とも言える制度に?
資金を拠出→学校で太陽光発電導入→自家発余剰を売
却→RPS価値発生
これが導入されなければ、電気事業者はRPS方の規制
を満たすために電力を開発せざるを得なかった。その分
水力等の新規開発停滞。→結果的にゼロエミッション電
源の開発抑制。
資金提供者:資金拠出により環境電源が増加したと誤解
している?
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DSM (Demand-side Management)
同時同量→ピークにあわせた設備が必要→ピークの
(社会的)費用はとてつもなく高い
⇒負荷平準化の社会的利益は非常に大きい
夏昼間の需要を夜にシフトさせられれば大きな利益
~深夜割引料金、需要開拓(エコキュート、エコアイ
ス、電気自動車)
低炭素社会ではこんな単純な仕組みだけでは持たない
・太陽光発電が普及すると夏の昼間むしろ電気が余っ
てしまう。同じ昼間でも雨が降ると電力が不足する。
⇒従来より遙かにきめ細かなコントロールが必要
OT:Mixed Oligopoly
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DSMとスマートメーター
現在の家庭用計量器:累積の電気使用量を測るのみ。
2値・4値のメーターは存在~昼夜の料金を分ける
スマートメータ
・30分、1時間単位の計量・データ保存可能
・双方向通信機能~自動検針(需要家→事業者)
~需要・自家発(太陽光など)のコントロール
昼間でも晴天時と雨天時では電気の価値が全く異な
る。スマートメーターはこの区別を可能にする。
超低炭素社会を合理的な費用で築くには必要不可欠
な社会インフラ~スマートグリッドの要
OT:Mixed Oligopoly
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スマートメーターのない世界
太陽光・蓄電池・燃料電池の組み合わせ
・太陽光発電で得た電気はもっぱら売電
・蓄電池で安価な夜間電力をもっぱら利用
・蓄電容量不足分を燃料電池で
→消費者の利益になっているとしても大量に普及す
ると系統安定性を損なう可能性が
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スマートグリッド
従来の電力送配電網よりもずっと効率的な送配電網
・分散型電源のポテンシャルを最大限使う。電力の
需給にあわせたきめ細かな運転。
・電力の需給にあわせたきめ細かな電力消費
・環境価値も含めた発電パターンの最適化
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太陽光大量導入の系統対策費用
前述の対策を取らず、従来型の対応+蓄電池で対応する
と費用はいくらぐらいかかるか(低炭素電力供給システム
に関する研究会報告)
シナリオ1 需要家側に蓄電池を設置し系統へ余剰電力
が流れないようにする。特異日(年末年始・GW)は出力抑
制を行う。(5ー6兆円)
シナリオ2 系統側に蓄電池設置。特異日の出力調整。逆
潮流体策のために配電部門に投資。特異日(年末年始・G
W)は出力抑制を行う。→水素で蓄える発想を追求すれば
この無駄を防ぐだけでなく水素社会との補完関係も(4ー5
兆円)
OT:Mixed Oligopoly
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太陽光大量導入の費用
・系統対策だけで4兆円超。しかも蓄電池の価格が下がる
ことを織り込んだ数字。(kWh2.5万円、現行リチュウムイ
オン電池で10万円程度)←量産化に依る費用削減を見込
むなら電気自動車の普及による量産効果も必要
電気自動車は定置型蓄電池の代わりを務めるポテンシャ
ルも
・パネル自体の費用は現行66万円/kWh(2030年での目
標単価は15万円)
もし費用が下がらなければパネル費用だけで35兆円(単
価15万円でも8兆円)
OT:Mixed Oligopoly
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石炭火力発電
日本の石炭火力発電は効率性からも環境特性からも世界
最先端
→電力需要が海外に流失し海外の石炭火力の発電量が
増えると世界全体の炭素排出量はむしろ増えてしまう
(炭素リーケージ:エネルギー多消費産業共通の問題)
一方CCSでは日本にadvantageがあるとは必ずしも言え
ない(場所の問題)。
OT:Mixed Oligopoly
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石炭火力発電の効率化
日本の石炭火力発電は効率性は世界最先端
→世界中の石炭火力発電所が日本並みの効率になると
大幅な二酸化炭素排出量削減(中国で7.76億トン、米国で
3.87億トン:但し技術・炭種の違いのコントロール前)
追加投資なしでも3-5%程度の追加投資すれば10%程度
のバイオの混燃は可能(実際RPSのかなりの部分をこれ
で稼いでいる)
短期的には最もコストパフォーマンスのよい炭素削減策
しかしこれでもなお石油よりも排出係数高い→超低炭素社
会の主役となるのは難しい
OT:Mixed Oligopoly
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石炭火力発電
酸素吹石炭ガス化燃料電池複合発電
酸素吹き:窒素が主成分の空気ではなく酸素を供給して燃
やす→排気ガス中の炭素濃度を高めCO2回収を容易に
石炭ガス化:石炭をCOとH2を主成分とするガスに転換
複合発電:ガス・蒸気タービンを使って効率的に発電
燃料電池:CO2分離プロセスで水素が生成
燃料電池以外にもGTL,DME等の生成も可能(石炭化学)
→水素社会・脱石油社会との好相性
磯子や品川のような都市部で展開するのであれば更に熱
回収も可能なはず→超低炭素社会の脇役の資格は十分
OT:Mixed Oligopoly
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トップランナー方式
最も優れている技術・企業にあわせて規制・課税
→特定の企業が技術革新に成功すると規制が厳しくなる
~企業が共謀して開発のペースをゆるめる(市場があま
り競争的でない場合)
~戦略的な効果によってより積極的に投資(市場が競争
的な場合)
OT:Mixed Oligopoly
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電力市場特有の面白い問題・制約
・限界費用逓増+容量制約→メリットオーダーの組み方が
難しい~入札の制度設計が複雑になる可能性
・市場分断:連係線の容量制約
・潮流の相殺
OT:Mixed Oligopoly
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Various Formulations
(1) Emission level is proportional to the output
quantity
(2) Emission level depends on both efforts and output,
cost depends on efforts and output.
(a) Productions yield environmental damage.
(b) Consumptions yield environmental damage
OT:Mixed Oligopoly
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不完全競争市場でのemission tax
製品市場でのMonopoly。
限界費用一定。
生産量1単位当たり各企業eのemission。emission 1
単位当たりdの社会的損失。
ピグー税ならemission 1単位当たりdの課税。
emission tax以外に政策手段無し。
問題:余剰を最大化する従量税率はdより高いか低い
か?
OT:Mixed Oligopoly
51
不完全競争市場でのemission tax
製品市場でのMonopoly。
限界費用一定。
emission 1単位当たりdの社会的損失。emissionの
量E.
費用関数はc(q)+f(E).f(E)は減少関数。
ピグー税ならemission 1単位当たりtの課税。
emission tax以外に政策手段無し。
問題:余剰を最大化する従量税率はdより高いか低い
か?
OT:Mixed Oligopoly
52
不完全競争市場でのemission tax
製品市場でのMonopoly。
限界費用一定。線形の需要関数。
emission1単位当たりdの社会的損失。emissionの量E.
費用関数はc(q,E)。qの増加、Eの減少関数。
限界費用はEの減少関数。
ピグー税ならemission 1単位当たりtの課税。
emission tax以外に政策手段無し。
問題:余剰を最大化する従量税率はdより高いか低い
か?
OT:Mixed Oligopoly
53
不完全競争市場でのemission tax
製品市場でのsymmetric Cournot Duopoly。
限界費用一定。
生産量1単位当たり各企業e1=e2=eのemission。
emission 1単位当たりdの社会的損失。
ピグー税ならemission 1単位当たりtの課税。
emission tax以外に政策手段無し。
問題:余剰を最大化する従量税率はdより高いか低い
か?
OT:Mixed Oligopoly
54
不完全競争市場でのemission tax
製品市場での Cournot Duopoly。
(生産に関する)限界費用一定で2企業共通。
生産量1単位当たり各企業e1=e-ε、e2=e+εのemission。
emission 1単位当たりdの社会的損失。
emission tax以外に政策手段無し。
問題:余剰を最大化する従量税率はε=0の時よりも正の
時の方がより高いか低いか?
OT:Mixed Oligopoly
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