MRベースのRVRモデルの社会システムシミュレーションへの適用

複合現実感を利用した社会システムシミュレーション技術の開発(#1)
An Approach to Social System Simulation Based on Mixed Reality Techniques (#1)
現
実に存在するシステムの仕組みを解き明かす,あるいはこれから生じるシステムの挙
動を予測する一つの方法にコンピュータシミュレーションがあります。多くの場合、
現実世界を注意深く観察し、モデルを作り、仮想世界に渡し、その結果を現実と比較
し、モデルを作り直すといった現実−仮想−現実のループの中で現実世界へのマッピングと現実か
らのフィードバックを利用しながら複雑系を解明することになります。当研究室では、人間の役割
に注目し、現実と仮想世界の整合性を複合現実感(MR:Mixed Reality) を利用して評価するという、
よりよいシステム構築に対して鍵となる技術の開発を行っています。
MRベースのRVRモデルの社会システムシミュレーションへの適用
Applying the RVR model based on MR to Social System Simulation
データを媒質とした人間中心のRVRモデルは、CAEにおけるコンピュータシミュレーションであれば
「支配方程式(流体であればNavier-Stokes方程式など)を導き、数値計算によって解き、結 果を可視化、分析し、それらを現実の問題解決に活かすという一連のプロセスを同じ枠組みで 扱い、さらにプロセス全体から知識を創出し、場合によっては支配方程式の再導出を行う」
ための戦略(strategy)のもとになる考えです。単純な考えですが、現状のCAEにおけるコンピュー
タシミュレーションは、プロセス間の連携、そして統合の段階にあり、RVRモデル全体を適用して
いるわけではありません。モデル式(支配方程式,ローカルルールなど)の導出過程、数値計算過
程、モデル式の検証過程、他のシミュレーションとの統合、問題解決の過程、再モデリング(モデ
ル方程式の再導出)の過程といった一連のプロセスにおいて、確立したもの、しないものがあり、
その整合性をとること自体が難しいからです。そこで、社会システムシミュレーションへの適用を
通じて、スクラッチされた状態から一連のプロセスを構築し、RVRモデルの有効性を示すことを試
みます。この際にMR技術の利用が一つの鍵となります。 ■ 行動シミュレーションを例に一連のながれを説明すると以下のようになる。