インターネットⅡでの日米コラボレーション インターネットⅡとは インターネットの出現ですでにわたしたちの社会のメカニズム、たとえば日常生活、ビ ジネス、研究、教育といったもの、に大きな変化 経営の専門家ドラッカーは、これまでのことはあくまで入り口にすぎなく、今後より大き な変化(イノベーション)が生じるとした[1] 現下のインターネットは冷戦時代にアメリカで生きのこりのための通信システムとして 発明されたものであり、必ずしもビジネス、研究、教育のイノベーションをうながす道具 としては最適のものとはいえない。事実、現下のアメリカでは、ビジネス、研究、研究 に適した、いわば次世代のインターネット、の開発に産官学をあげて取り組んでいる。 アメリカでのこの開発の流れは二つあり、ひとつは、米政府が主導権を握っている「N GI」[2]、そして、大学が主導権を握っている「インターネットⅡ」がある。後者はクリント ン政権下の1996年に30大学あまりでスタートしたが[3]、現在では200あまりメー ジャーな大学のコラボレートで進み、多くの協賛企業とチーム・ワークも組まれている (米政府はこれを積極支援。たとえばNSFはすでに80プロジェクト以上を重点支援) [1] ドラッカーは雑誌「アトランティック・マンスリー」で、鉄道などを例にとり、真の革新が生じるの はしばらく時間がかかると指摘している [2] ネクスト・ジェネレーション・インターネット。参加している政府機関はNSF、NASA、DOE、NI H、・・ [3] 当初はNSFネットへの対抗としてスタート 日本の推進体制 一方これまで我が国でも次の世代のインターネットについて進めら れて来ており、教育・研究用としては政府(文科省)が主体のSINET (スーパーSINET)と私立大学が中心のWIDEがある SINETは当初国立大学間の連携に使われたが、現在は広く公・私 立大学も参加している。またスーパーSINETは主として国立研究所 間での研究用として進められてきたもので、10ギガポップスを目標 にその建設が進められている。また、このスーパーSNETは、前述 米国のAbiline、カナダのCANETとの接続をしている(考えている) しかし、これらの動きはあまりにアメリカでの動きに遅れをとっている 日本の推進体制の問題 我が国でもこれまで教育・研究用にのIT技術(インターネット)の重要性を認識し、政 府主導でかつ欧米に匹敵するペースで導入を進めてきたように見える ただ、この二〇年の我が国の研究開発スタイルは法律的制度の確立、予算の確保と いったハードの面重視路線で、その研究開発に当たって1.知的生産性、2.研究開 発のパフォーマンス[1]、3.イノベーション度(開発活力)、4.自己矯正能力に欠けて いた 彼我の差が広がる可能性が強い。その上、これらの面での遅れは21世紀の知識社 会では致命傷に等しい(イノベーションが期待できる条件を満たしていない[2]) 一方、欧米、特にアメリカでは自国大学間の研究だけでなく、国境を越えてのコラボ レーション体制が組まれてきた(NSFをはじめ、重点プロジェクトとしての位置付け) またアメリカでは、研究システム、研究ガバナンスの体制も確立(この必要性が認識さ れていない日本ではこれらの動きは把握できにくい) 特に、研究システムについてはこれまで日本で重視されていなかった(コラボレーショ ンをはぐくむ)相互のアクセス、信頼等の文化・環境的体制づくり [1] アメリカでは1994年からNPRが積極的に導入 [2] 我が国では古くから「かたから入りかたを超える」という考え方が定着しているが、これは効率 的にも劣る考え方 本研究のポイント 本研究は、二つの側面がある。一つは、コラボレーションでアメリカの大学と インターネットⅡの研究を行うこと(UNC、 ワシントン大学等) もう一つは、教育・研究、技術、イノベーション、機能、活力、政策誘導、統治 (ガバナンス)、システム、心理、認識学、ばらつきといった本質にもどり、イ ンターネットⅡのイノベーションをはぐくむ環境・文化とは何かを特定する たとえば技術(technology)の定義は「望ましい結果をもたらすために必要な 因果作用に含まれている不確定性を減少させる機器設計のための行動」で あり、1.技術を材料、あるいは物質的対象として組みこんだトール、すなわ ちハードウェアのアスペクト、2.その道具のための情報ベース、すなわちソ フトウェアになる[1] また、顕著な社会学者であるロジャースは技術とイノベーションを同義語的 に用いて良いとしているが[2]、イノベーションを育むためには、技術を育むと 同じに、より深いそれこそ認識学(epistemology)、思考(世界観、mindset、そ れを育むための場=社会的資産)、システム論、ばらつきといった知識が必 要になる。ここではこれらをあわせて調べる [1] Everett Rogers [2] ibid. 日米路線上の違い 環境、人づくり 法律、金の支援
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