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V型ダイアライザーPinnafine® -180Xの性能評価
○宮園和也1、鎌田正彦1、藤井恵子1、2、沖永鉄治2、 桐林慶1、高杉敬久2、正木崇生3
1(医)社団スマイル クレア焼山クリニック
2(医)社団スマイル 博愛クリニック
3 広島大学病院 腎臓内科
緒 言①
透析患者の平均年齢は年々上がっており、
高齢化に伴う食事摂取量低下から低栄養を
認める患者も増えている。そのためアルブミ
ン漏出を考慮し、あえてクリアランスを抑えた
ダイアライザーを選択する場合もある。
方 法①
インフォームドコンセントのもと、同じ膜面積
のPN-180Xに変更し、変更前および1ヶ月後
に血液、透析排液のサンプリングを行った。
また、目視にて残血の有無を確認した。
緒 言②
日機装社製ダイライザーPinnafine®(以下、PN)
は、Ⅱa型(旧分類:Ⅴ型)でありながら、ポアサ
イズの均一化によって、より選択的な溶質除去
が可能であるとされる。
目 的
東レメディカル社製Ⅰa型(旧分類:Ⅳ型)
ダイアライザー、トレライトNV(以下、NV)と
の比較により、PNの性能評価を行なう。
仕 様
ダイアライザー名称
NV-18U
PN-180X
膜素材
ポリスルホン
ポリスルホン
容器
ポリプロピレン
ポリプロピレン
内径/膜厚(μm)
200/40
185/35
充填量(ml)
111
95
滅菌
γ線滅菌
高圧蒸気滅菌
UFR(ml/mmhg/hr)
49
34
機能分類(旧)
Ⅳ型
Ⅴ型
機能分類(新)
Ⅰa型
Ⅱa型
Β2-MGクリアランス
(ml/min)
65
85
アルブミンふるい係数
目標値
0.005
0.004
対 象
・NV-18Uを使用している
維持血液透析患者15名(男/女:10/5)
・年齢:70.1±6.5 才
・透析歴:5.6±4.4 年
・DW:55.7±4.0 kg
(mean±SD)
方 法②
Wilcoxonの符号順位検定を用い、各種溶質の
除去性能、アルブミン漏出量、また膜変更の前
後各2ヶ月の平均値によって血中アルブミン濃度
の変化を検討した。
小分子量物質の除去率
(%)
n=15
n.s.
80
mean±SD
n.s.
n.s.
70
60
50
40
30
20
10
0
NV
PN
UN
NV
PN
Cr
NV
PN
iP
β2-MG
除去率
除去量
n=15
n.s.
(%)
mean±SD
n=15
(mg/HD)
n.s.
mean±SD
180
80
160
70
140
60
120
50
100
40
80
30
60
20
40
10
20
0
0
NV
PN
NV
PN
アルブミン漏出量
n=15
(mg/HD)
mean±SD
P<0.01
2250
2000
1750
1500
1250
1000
750
500
250
0
NV
PN
β2-MG除去率とアルブミン漏出量
n=15
β2-MG除去率
(%)
mean±SD
90
80
70
60
50
40
30
20
10
NV-18U
PN-180X
0
500
1000
1500 2000
2500
アルブミン漏出量
3000
3500
(mg/HD)
血清アルブミン推移
(g/dl)
P<0.05
n=15
mean±SE
3.8
3.7
3.6
3.5
(mean±SD)
3.61±0.05
3.74±0.01
変更前2ヶ月平均
変更後2ヶ月平均
まとめ
• 小分子量物質の除去率に有意差を認めなかった。
• β2-MGの除去量、除去率に有意差を認めなかった。
• アルブミンの漏出量は有意にPNが低値だった。
• 血清アルブミン値の有意な上昇を認めた。
• 両ダイアライザーに残血は無かった。
考 察
高クリアランスのダイアライザーにおけるアル
ブミン漏出が懸念される中、PNはβ2-MG領
域までの除去性能を保持し、アルブミン漏出
を抑えることが可能なダイアライザーであると
考える。
日本透析医学会
CO I 開示
筆頭発表者名: 宮園和也
演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある
企業などはありません。