鑑別診断学 呼吸器病学 P班 2008年4月28日(火) 5時限 呼吸器・免疫アレルギー内科学 木島貴志 【症例2】67歳 男性 【主訴】乾性咳嗽、呼吸困難 【入院目的】上記精査 【現病歴】 慢性心不全(拡張型心筋症)と慢性腎不全の治療のため当 院循環器内科通院中であった。FHJ Ⅲ度、NYHA Ⅱ度と評価 されていたが、呼吸不全は認めていなかった。 2006年2月より、乾性咳嗽および 労作時呼吸困難 が進行 (FHJ Ⅳ度)し、3月20日の定期受診日には、安静時にも SpO2 88%(室内空気)となっていたため、同日循環器内科に 緊急入院となった。 【既往歴】 肺疾患:結核なし、気管支喘息なし 慢性腎不全:1970年 慢性腎炎指摘、 1990年 尿蛋白陽性、 2001年 腎機能障害指摘 慢性心不全:2004年 3月 心不全で入院、 2004年10月 心筋生検未施行だが拡張型心筋症 として特定疾患認定。 【家族歴】弟:拡張型心筋症 【嗜好歴】喫煙歴:20本/日×45年(平成15年10月禁煙) 飲酒歴:なし 【生活歴】職業歴:〜2003年 鉄鋼工場勤務(切断,加工) 粉塵吸引歴なし、アスベスト曝露歴なし、ペット飼育なし、 羽毛布団使用なし、自宅:木造であるが、1996年に改装 【身体的所見】 意識レベル:正常、身長:163.7cm、体重:53.9kg、 血圧:108/68、脈拍:108/分,整、呼吸回数:24回/分、 体温:36.5℃、SpO2(室内空気):87% 眼球結膜 黄染なし、眼瞼結膜 貧血なし、 心音:心尖部で収縮期雑音(Ⅲ/VI)、 呼吸音:両肺底部でrhonchiおよび呼気終末にfine crackles 腹部:平坦軟、腫瘤触知せず ばち状指:軽度、両下腿浮腫:なし 関節腫脹・疼痛 なし、 皮膚:ヘリオトロープ疹 なし、ゴットロン徴候 なし 入院時検査所見 <末梢血、生化学、血清> WBC: 13060/μl (Neu: 78.9%, Eo:2.6%), Hb: 10.3g/dl, Plt: 26.0万/μl, Na: 137mEq/l, K: 4.5mEq/l, Cl: 104mEq/l, Ca: 4.5mEq/l, BUN: 60mg/dl, UA: 5.6mg/dl, Cre: 5.3mg/dl, AST: 19IU/l, ALT: 5IU/l, LDH: 295IU/l, T-Bil:0.4mg/dl, T-Chol: 149mg/dl, TG: 95mg/dl, TP: 6.5g/dl, Alb: 3.8g/dl, CRP: 5.1mg/dl <免疫学的検査、感染症> RF<12, ANA(-), SS-A(-), S-B(-), RNP(-), J0-1抗体 (36倍), Scl-70(-), Sm(-), P-ANCA(-), C-ANCA(-) β-Dグルカン:3.9pg/ml、C7HRP(-), KL-6: 2485U/ml, SP-D: 983ng/ml 検査のつづき <喀痰> 抗酸菌塗沫 陰性、TB-PCR 陰性 <動脈血ガス(room air)> pH:7.438, PaCO2:31.1mmHg, PaO2:68.5mmHg, HCO3:16.6mEq/l, BE:-7.6, SaO2:92.8% <呼吸機能検査> VC:3.00L, %VC: 91.1%, FVC:2.96L, %FVC:89.9%, FEV1:2.76L, %FEV1:100.7%, FEV1%:93.2%, %DLco/VA:31.5 % <尿検査> pH:5.5, 蛋白(+), 糖(2+), 潜血(±), 細菌(-), 円柱(-) <心電図> 洞性頻脈、LVH 心臓超音波検査 Parasternal view: fair Apical View: fair AV organic change: MV organic change: AOD:30mm LADs:43mm IVC: 10mm/5mm LVDd/Ds:85mm/76mm IVS d/s:9 LVPW d/s:10 左室容量(Simpson法にて計測) EDV:375ml ESV:289ml SV:85ml CO=6.0l/min EF=23% FS=11% Transmitral Flow: E:0.43m/sec A:0.74m/sec E/A: 0.58 DT:103msec Rhythm: sinus HR:68/min AR:trivial MR:moderate PR:mild TR:not traced (2007.01.30) 【LA】大きさ:軽度拡大(+) 【LV】 拡大(++) 壁運動:general hypokinesis 壁厚:正常範囲 dyssynchrony(+) post-lat(短軸像3~6時、長軸像base)は hypokinesis ant-sep(短軸像10~2時、長軸像mid-apex) はsevere hypokinesis その他はほぼakinesis 【RA】拡大(-) 【RV】拡大(-) 【IVC】径:拡大(-) 呼吸性変動:(+) 【A弁】 有意所見なし 【M弁】MRはcenterよりIII° 【P弁】 End-diastole 4.8mmHg 【T弁】TR描出されず 【TMF】【PVF】【TTF】【先天性心疾患】 【Summary】拡張型心筋症 (若干LVDd拡大か?) → 心機能は低下しているが心嚢液の貯留の記載はない 単純レントゲンの経過 2004/12/13 2005/7/25 2006/3/22 3月22日の胸部レントゲンおよびCTで異常を指摘されたため、呼吸器内科の共観となった。 画像所見は? 疑う疾患は? 所見は? 06/03/22 入院時 胸部CT 所見は? 所見は? 所見は? 検討課題 鑑別診断は? 他に必要な検査は? 治療法は? 以上を検討しておいてください。
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