OLIVE通信 平成27年度2月号(Vol.9) (PDF);pdf

OLIVE通信第(9)号
Kagoshima University Medical and Dental Hospital
Certified Nurse Magazine Vol.( 9 )
OLIVE(オリーブ)とは・・・
「ともに生きる」という意味があり、生きる力を支える・看護者として支援するという私たちの思いがあります。
今回は、慢性心不全看護と慢性心不全看護認定看護師についての紹介です。
【 慢性心不全認定看護師の役割 】
①病状や病期に応じた症状モニタリングとアセスメント
②自己管理能力を高める支援や心理的支援を行う事が役割
③急性増悪時に、その原因や回避方法の検討
④退院後のセルフケア・セルフモニタリング能力が高まる支援 などです。
心不全に関係することなどThinkメール・お電話ででご相談くさい。よろしくお願いします。
C棟5階病棟 慢性心不全看護認定看護師 高山 直子
≪認定看護師の関わりを通して、心不全症状悪化の早期発見が出来た事例紹介です≫
70歳代 女性
診断名 : 拡張型心筋症、重症僧帽弁閉鎖不全、心房細動
心エコーでEF30% と低心機能を認めますが、NYHAⅡ度、全身状態は安定していました。
≪患者さんとの関わりの流れ≫
≪病態のアセスメント≫
自覚症状は疲労感のみ。呼吸困難感や浮腫などはみられない。
CPX以後のカルテをみても問題になる所見の記載はありません。
≪訪室すると・・・≫
一昨日、検査
(CPX:心肺
運動負荷試
験)で運動を
してから疲れ
が取れない。
「いつもと少し違う」は、急変の予兆と考えて系統的に観察する。
看護師は患者の身近にいる為、患者の普段との変化を把握しやすく、患者自身も気
づいていない「いつもと少し違う」症状を発見しやすい状況にいます。
検温を行いながら、普段の様子と比較しながら質問をしていくと・・・
高齢であり
疲労感は、
運動負荷の
疲れが取れ
ていないだ
け?
いつも廊
下を散歩
されてい
るのに、
今日は見
かけない。
?
検査が心負荷
となり、頻脈に
よる心拍出量
の低下がおき
ている?
≪普段の様子と比較しながら質問≫
息切
れする
からデ
イルー
ムにも
行けな
い。
検査の
後から
食欲も
無い。
【バイタルサインの変化】
PR90回/分 HR130回/分
脈拍欠損の増加あり
末梢冷感著明
【その他の変化】
食事摂取量低下
「デイルームまでお茶を
入れに行くのも辛い」
検査での運動が心負荷となり、頻脈
による心拍出量が低下がおきている。
【治療経過】
数日前より
利尿薬減量
利尿剤減量に伴い容量負
荷が増えてきている。
≪事例のその後と心不全の特徴≫
「疲労感」は心不全の悪化からおきていると判断し医師へ報告。
心エコー上、IVCの拡大を認め、心不全の 悪化と診断される。
心電図モニタリングを行い、薬剤調整による心不全治療が強化される。
もし心不全悪化の発見が遅れていたら・・・
肺うっ血などで症状が重篤となり、薬剤調整だけでなく、人工呼吸器や補助
循環の使用なども必要な状況に陥る可能性もあります。また、治療期間が
長引くだけでなく、生命危機のリスクも高まります。
心不全は、刻々と症状が進行し致命的な急変に至る可能性が高い病態で
す。また心不全の病態は複雑・多様しています。そのため経時的に観察お
よびアセスメントし、早期に異常に気づいて対処する事が大切になります。
発行:鹿児島大学病院 認定看護師会
編集:髙山直子 (H27年2月5日)