CPの破れとFN機構 大阪大学 津村 浩二 関西地域セミナー@大阪大学 2004年5月29日(土) 目次 Quarkの質量と混合 FN(Froggatt-Nielsen)機構 CP破れの起源 現象論の宣伝 現象論屋のお仕事 壱:観測量の抽出(できる限りモデル依存性無く) 経験則の定式化 弐:単純な仮定(模型) → 観測量の再現(ベンチマーク) 関係式の導出 New Physics 参:背景の追求(対称性、原理) 模型の統一 結局、 「ただのパラメータ調整!?」 「観測と合うパラメータ探し!?」 → No !! (一応、こうゆう誤解が解ければ満足です。) 個人的見解: [究極の理論を目指した古典的なやり方] (他にもいろいろ意見があると思いますが…) Quarkと世代 登場粒子 世代→ 1 2 3 u c t 2.33MeV << 677MeV d 4.69MeV << s << 93.4MeV 問題点 ・世代間の質量階層性 181GeV b << 3.00GeV Quarkの質量 湯川相互作用から生成 ↓ ヒッグス場に期待値を与えた。 ただし、 i,jは世代のインデックスでMはYに比例する行列 質量の対角化 質量行列をBi-Unitary表示 (対角行列とUnitary行列の積で表す) Quark場の基底を変換 質量行列を対角的にする基底へ。 したがって、質量項は Quark混合 弱い相互作用 ↓ 質量を対角化する基底へ変換 …Quark場の位相の再定義により自由度4 CKM(Cabbibo・小林・益川)行列 パラメトリゼーション ただし、 問題点のまとめ なぜ、世代によって質量が違うのか? (質量階層性の理由は?) なぜ、実験値のような混合になるのか? (小混合の理由は?) 湯川結合行列を縛る法則が無いのが問題。 現時点では湯川結合は任意の複素行列 解決策: → FN(Froggatt-Nielsen)機構 FN(Froggatt-Nielsen)機構 U(1)で以下のように変換する場を考える。 この変換を以下の相互作用に対して行うと、 と採ればU(1)不変!! 質量行列(Mu) FN場、ヒッグス場が期待値をとると ただし、各要素にはO(1)程度の係数があると考える。 FN-Chargeは、以下に選んだ。 → 対角化(Bi-Unitary表示) → 質量(u,c,t)と が求まる。 質量行列(Md) FN場、ヒッグス場が期待値をとると FN-Chargeは、以下に選んだ。 → 質量(d,s,b)と → が求まる。 が求まる。 導かれた値 質量 CKM行列 注意点 ・質量及び混合のorderはうまく出た。 ・係数、位相は無視していた。 バリオン数生成 サハロフの3条件 ・バリオン数Bを破る過程 ・C(CP)の破れ ・熱平衡からの逸脱 仮定:CP保存 → バリオンと反バリオンが同じだけ生成。 → バリオン数ゼロ。 バリオン数生成には CPの破れが必要不可欠。 CPの破れ CP変換(大雑把に) したがって、 ・結合定数cが実数ならば、LはCP不変。 CPの破れ → 結合定数の位相。 湯川結合におけるCPの破れ Quark場の位相の再定義 ・位相を適当に左右に因子化してもなお 持つ場合、湯川結合はCPを破る。 → 世代が3以上でないとCPは破れない。 が位相を CPの起源(ヒッグス場の複素数期待値) 基本的なアイデア ・真空期待値を複素数にとる。 まずは単純に、 したがって、 Quark場の位相を再定義: 物理的な自由度としては効かない!! CPの起源(FN場の複素数期待値1) FN場に複素数真空期待値を与える。 質量行列(Md)は、 これより を計算すると、 CPの起源(FN場の複素数期待値2) Muについても同様で、 以上より、CKM行列を求めると、 またしても物理的自由度ではなかった!! (Quark場の再定義で消せる) 真空期待値起源のCPの破れは無理か? → No!!(相対位相が持ち込めればいい。) → FN場を2種類にする。 2種類のFN場との相互作用 相互作用項は、 ただし、U(1)対称性を満たすには、 一般には、これを満たす和が可能な相互作用。 対称性 湯川結合行列の係数を決めたい。 → 湯川の構造を対称性で縛る。 (世代の違いはFN機構からのみ決まると考える。) → 世代を区別しない対称性。 対称性 可能な湯川結合行列(Y)の構造は、 単位行列 デモクラティック フレーバー混合が必要なのでデモクラティックを採用する。 Toy Model FN荷の選択 得られた質量行列 を使った。 失敗 通常のデモクラティックでは、 ・対角化された質量 ・(1,2)混合が決まらない。 デモクラティックを選んだ名残。 ・ …ただし、 ・(1,2)成分のキャンセレーション …Left側の場のFN荷のみで決まる。 変換 相互作用を 不変とする。 ととれば、 で の冪の和を 偶数冪の和と奇数冪の和の項に区別できる。 (ごちゃごちゃとしていますが手を動かすと簡単です。) FN荷、 -パリティの付与 得られた質量行列 ・行列式はnon-zero。 ・CKMの(1,2)成分のキャンセレーションも避けれる。 一応、正しいorderを与える模型はできた!! まとめ 「Quarkの質量と混合」の説明 「Froggatt-Nielsen機構」の説明 CP破れの起源 ・複素数真空期待値 ・ 対称性(デモクラティック) ・ なら出来そう。 質量階層性とCPの破れを一つの起源で 説明できるかもしれない。
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