Legionella Filter

◆黄砂フィルターの開発について
◆韓日国際産学共同研究完成について
三菱製紙株式会社
Mitsubishi Paper Mills Ltd.
フィルター事業室
Filter Products Group
R&D Manager 奥 恭行(Yasuyuki Oku)
発表内容
1.黄砂フィルターについて
1)黄砂について
2)黄砂の被害~韓国内の被害~
3)黄砂とSOX、NOX
4)開発背景とSABH
5)黄砂フィルターについて
2.産学共同研究完成の報告
1)産学共同研究の経緯
2)産学共同研究内容
①トリインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性評価
②ヒトインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性評価
③レジオネラ菌に対する抗菌性評価
3)産学共同研究研究完成のまとめ
3.黄砂フィルター、産学共同研究成果フィルターを搭載した空気清浄機
4.Woongjin Coway Co., Ltd.と三菱製紙株式会社の今後の協力関係について
1.黄砂フィルターの開発
1)黄砂について
黄砂とは?
主な発生源
中国大陸の砂漠の砂が砂嵐によって上空に巻き上げ
られ、偏西風に乗って飛来し、地上に降り注ぐ現象を
指す。あるいは砂。黄色未を帯びている。
32%
その他
ユーラシア大陸中央部の黄土
高原、ゴビ砂漠、タクラマカ
ン砂漠などの砂漠地帯。
石英
(珪素酸化物)
49%
7%
12%
2001中国
アルミニウム化合物
カルシウム化合物
黄砂の衛星写真
1.黄砂フィルターの開発
1)黄砂について
黄砂の発生量
• 発生地(中国)の天候に左右。降水量が少ないと黄砂は増える。
• 中国での過剰な放牧や耕地拡大などがその増加の原因の一つとの説もある。
• 地球温暖化による砂漠化等の環境問題としてとらえられる場合もある。
黄砂の粒の大きさ
約0.5μm~5μm(=0.0005mm~
0.005mm)くらいで、タバコの煙の粒子
の直径(0.2~0.5μm )よりやや大きい。
中国>韓国>日本。
吸着成分
1)発生地域と通過地域により異なる
2)工業地域を通過した黄砂は、大気汚
染物(例えばCO)を含んでいたとい
う調査結果もある。
3)黄砂の中から硫酸塩、硫酸塩などの
化学物質や、病原菌なども検出された
との報告がある。
1.黄砂フィルターについて
2)黄砂の被害~韓国内被害~
黄砂による被害分類
• 黄砂が降り注ぐ為の物理的被害(交通機関、建
物、洗濯物、農作物、受信障害)。
• 呼吸器官への被害(咳、痰、喘鳴、ただれ、鼻水、
痒み)、アレルギー症状等生体への被害。
~大気汚染物質が吸着されて運ばれる被害~
韓国での黄砂被害状況
2002年4月
史上最大の2070μg/m3を観測。「1~2キロほどし
か見通しもきかず、呼吸ですら困難なほどであった
。」と地元新聞は伝えている。
2006年4月
2015μg/m3が観測され、韓国国内便6便が欠航。
韓国での黄砂基準(ソウル)
黄砂注意報 500μg/m3、
黄砂警報
1000μg/m3
1.黄砂フィルターについて
3)黄砂に付着して運ばれるSOX、NOX
黄砂への環境汚染物質の付着
→
遊離
→
生体への被害
NOX吸着量の試算
年間2t/km2の黄砂が降下
↓
黄砂Aerosol ㎡、0.35μg/m3
↓
10×104tの硝酸が吸着される
↓
乗用車30万台が50×100km走行時に
発生するNOX量に相当。
黄砂表面に付着して運ばれ、遊離する
NOX&SOXのImage 図
1.黄砂フィルターについて
4)開発背景とSABH
【要求性能】
1)黄砂そのものを除去できること
2)圧力損失が適性であること(通気度確保)
3)黄砂から遊離するNOX、SOXを脱臭すること
Zeolite
Surface
Nano
Hole
【三菱製紙とWoongjinの開発技術】
MPM固有技術である特殊ゼオライト(固体酸
塩基)の活用とフィルターへの定着技術、
Woongjin の空気清浄機設計技術の共同開発作
業。
【特殊Zeoliteの特徴】
1 ) Zeolite 表 面 に は Nano サ イ ズ の Hole
をもっている。
2)一般名はアルミ・ナシリカで、塩基
と酸の両方をもっている(固体酸塩基
(Solid Acid Base Hybrid:SABH)
3)4面体層と8面体層の積層構造をと
り、静電気的に4面体層はマイナス
( Negative ) 、 8 面 体 層 は プ ラ ス
(Positive)に帯電している。
( Z n 6 -nAl n ) [ Si 4 -nAl n ] O 10 ( OH ) 8 / ( SiO2 ) 2.8 ( H2O ) 2.2 ( OH ) 0.8
↑
↑
塩基(Base) 酸(Acid)
1.黄砂フィルターについて
2)特殊Zeoliteへの吸着機構(Image図)
Zeolite
Surface
Nano
Hole
NOX
SO2
NO2
SOX
物理的吸着機構
構造内のSilica部分への物理吸着が発生していると考えられま
す。
静電的吸着機構(主要吸着)
直接的な吸着として、NO2とSO2分子が分極し、それぞれのマ
イ ナ ス ( Negative ) 部 分 が 、 SABC の 8 面 体 層 の プ ラ ス (
Positive)部分と静電気的に吸着するものと考えられます。
化学吸着機構(補助的吸着)
SOX(硫黄酸化物)とNOX(窒素酸化物は)については、大気
中の酸素や水と反応することによって、硫酸や硝酸などの酸性物
質を生じます。これら酸性物質は、固体酸塩基中の、塩基部分で
中和反応が生じ、これら有害物質が除去されると推定されます。
総合脱臭機構
静電気的な吸着、Silicaによる物理吸着の総合作用、さらには部
分的な酸と塩基による化学的中和によって、上記有害物質が総合
的に除去出来ると考えられます。
HNO3
H2SO4
H2SO4
HNO3
( Zn 6 -nAl n )[ Si 4 -nAl n ]O 10 (OH) 8 /(SiO2) 2.8 (H2O) 2.2 (OH) 0.8
↑
↑
塩基(Base) 酸(Acid)
1.黄砂フィルターについて
4)性能評価試験結果(除塵性能)
疑似黄砂(JIS4種粉体)の除塵効率
他社品との圧力損失比較
90%
80%
黄砂フィルター
他社製品
15
70%
60%
除塵効率
圧力損失(Pa)
20
10
5
50%
40%
30%
20%
0
0
0.5
1
1.5
Air Velocity(m/sec)
2
10%
2.5
0%
黄砂Filter Air Flow
Filter
Media
黄砂Filter+AirThruFilter
他社Filter
Test Dust
ΔP
Pressure
Drop
Filter
Media
1.黄砂フィルターについて
4)実証実験結果(除塵・吸着性能)
NO2吸着性能
12
14
10
12
8
10
Conc.(ppm)
Conc.(ppm)
SO2吸着性能
6
4
2
8
6
4
2
0
0
50
100
150
200
250
0
300
0
Time(min)
100
200
300
Time(min)
SO2、NO2注入
測定(ガス検知
管)
400
500
600
1.黄砂フィルターについて
4)成績証明書(空気清浄機への展開)
報告日:2007年2月2日
黄砂(Harmful Dust)Filter 試験成績書
依頼者:Woongjin Coway Co., Ltd.
測定者:三菱製紙株式会社
開発事業部 営業推進部 フィルター事業室
Harmful Dust Filter (Item No:WJPF-YS3)の黄砂除去性能に関連する調査を行いました。
下記の通り報告いたします。
試験条件
準備 Filter : プリーツフィルター(Item No.WJPF-YS3 有効濾材面積0.3㎡)
1.有害ガス除去率測定方法
1)試料フィルターを空気清浄機に取り付け、1m3のチャンバー内に配置し、面風速0.5m/
sec の条件で、所定濃度の Target Gas(NO2、SO2)を注入する。
2)空気清浄機を稼働させて、経時でのチャンバー内のガス濃度を、ガス検知管を使って測定した。
2.粉塵除去率測定方法
フィルター試験装置に、フィルター(前面不織布を含む)を取り付け、面風速0.5m/sec の条
件で、JIS4種粉体(平均粒径φ5μm:黄砂粒径に相当)を、上流から①3g投入後、②初期圧
損の二倍時の、粉塵除去率を測定した。
結 果
1.有害ガス除去率
1)SO2除去率
初期濃度
最終濃度
除去率
5分
8 ppm
2.0 ppm
75.0 %
10 分
8 ppm
1.4 ppm
82.5 %
30 分
8 ppm
1.1 ppm
86.3 %
2)NO2除去率
3)粉塵除去率
初期濃度
最終濃度
除去率
30 分
13 ppm
9.5 ppm
26.9 %
240 分
13 ppm
7.0 ppm
54.0 %
480 分
13 ppm
4.0 ppm
69.3 %
上記方法で測定した、粉塵除去率は、①71% ②78%であった。
なお、この間の圧力損失の上昇は、初期圧力損失に対して、①2Pa、②7Pa であった。
以上
2.韓日国際産学共同開発について
1)“新”産学共同研究着手の経緯
’02年
’04年
’05年
’06年
Woongjinと三菱が協力関係。
機能性フィルターの提供開始
第一次産学共同研究 (星薬科、東京農
工)
Allergen Filter、Legionella Filterの開発
第二次産学共同研究(東京農工)
Allergen Filter を改良する。
1)社会ニーズに対応した最高機能製品を完成させるため、
“新”産学共同研究によって機能性フィルターを搭載
した空気清浄機を開発を目標とする。
2)MOU締結により協力関係強化
’07年
“新”産学共同研究の完成。
黄砂Filter、AI Filter等の機能性Filterを開発し生産を開始する。
2.韓日国際産学共同開発について
2)産学共同研究成果内容
時期
対象
フィルター処理方法
評価機関
方法
確認方法
2004
Allergen
ダニアレルゲン
スギ花粉アレルゲン
イチョウ葉エキス
サンドイッチエライザ法
ウェスタンブロット法
フィルター上での効果
2004
Legionella 菌
燐酸グアニジン
JIS Z2801準拠法
フィルター上での効果
2004
大腸菌
黄色ブドウ状球菌
・イチョウ葉エキス
・燐酸グアニジン
JIS Z2801法
2005
Allergen
ダニアレルゲン
スギ花粉アレルゲン
イチョウ葉エキス
&ヌルデ抽出エキス
ウェスタンブロット法
フィルター上での効果
鳥インフルエンザ
イチョウ葉エキス
&ヌルデ抽出エキス
発育鶏卵接種
および
赤血球凝集試験
フィルター1パス試験
フィルター上での効果
Plaque assay 法
フィルター上での効果
JIS Z2801
準拠法
空気清浄機1パス試験
フィルター上での効果
2006
~
2007
Tottori University
2006
~
2007
ヒトインフルエンザ
イチョウ葉エキス
&ヌルデ抽出エキス
フィルター上での効果
Tsukuba University
2006
~
2007
Legionella 菌
Nano Silver Apatite
Kyoto University
2.韓日国際産学共同開発について
3)産学共同研究成果内容
有効薬剤
Filter
AI Filter/
HI Filter
Legionella
Filter
特徴
イチョウの
抽出物
漢方では心臓・血管系の薬剤として使用
世界各国で血管の改善剤・痴呆症の薬
剤として販売
抗アレルギー物質及び抗ウイルス物質と
して使用
ヌルデの
抽出物
ウルシ科の小型の植物
日本で生息
タンパク質の凝集力が強く、
酒や醤油の製造工程で使用される。
ウイルス・アレルゲンの除去に優秀
Nano-Silver
Apatite
Silver と ApatiteのHybrid 化合物
組み合わせることで長期間の効果。
Silverは幅広い抗菌性示す。
Apatiteは生体親和性がある。
人工歯として使用。
アメリカではタバコの製造の際、殺菌工程
で使用
3. ヒトインフルエンザの除去性能-筑波大学
-. 実験試料 : ①HI
Filter ②対象群(抗菌処理無し)
-. 実験方法 : Plaque Assay Method 1)
-. 実験菌株 : H1N1型
Influenza Virus A 型 Ibaraki/1/90
Virusの死滅
PBS溶液
2)
Filterの試料
•Black Zone
: 動物の体細胞の
生存
HI
ウイルス
Virusの生存
PBS溶液にHI Filterを
接触した上、溶液を抽出
抽出液と
Virusの接触
この抽出液を動物の
体細胞に落とす。
※対象群のFilterで
上記の実験を繰り返す。
1) Plaque Assay Method : ‘Nature’誌からも認定されたウイルスの性能実験法
2) PBS(phosphate buffered saline) : virusの死滅を防止するための緩衝液
3) 体細胞が死んだ場合はウイルスに感染したと判断
•White Zone3)
: 動物の体細胞の
死滅
HI Filterの性能
•HI Filterとウイルスの接触後、ウイルスの除去程度を測定
•ウイルスが除去された場合は動物の体細胞は生き、除去されていない場合は動物の体細胞は死ぬ。
動物の体細胞の写真
条件
初期
HI Virus接触
HI Filterとの接触により、
ウイルスが完全に死滅。
‘A soluble compound, which is
HI Filterと接触
(濃度 10%)
生存
HI Filterと未接
触
動物細胞の生
存
derived Aller Sweep T filter(HI
filter), block the infectivity of
influenza viruses.’
筑波大学の報告書の結論
ウイルスが生存
(White Zone)
(Black Zone)
死滅
結論
HI Filterの有効成分によって、ヒトインフルエンザウイルスが完全に死滅
4. Legionellaの除去性能-京都大学
1) 清浄機によるLegionellaの除去
-. 実験条件:清浄機を1段で運転(手動)
-. 実験試料 : ①Filter有り(Prefilter-Medium Filter-HEPA-Legionella Filter-AC 脱臭 Filter)
②Filter無し
-.実験菌株 :
Legionella pneumophila ATCC#33152(Legionella菌)
실험기간: 6월 ~ 8월
실험방법
排出空気を捕集
清浄機
On
Tank
Clean Benchに空気清浄機を設置
※清浄機から全てのFilterを除去し
た上、上記の実験を繰り返す。
Legionella菌を
空気清浄機に噴霧
空気清浄機から排出される
空気を捕集1)
Legionella菌の数を測定 4)
1) Legionellaは水がなければ生けないため、Water Tankで捕集
2) Legionella FilterのLegionella菌の除去実験
-. 実験試料 : Legionella Filter, 対照群(抗菌処理無し)
-. 実験方法 : JIS 2801:2000[抗菌加工製品-抗菌性の試験方法及び抗菌効果]
-.実験菌株 : Legionella pneumophila ATCC#33152(Legionella菌)
Legionella菌液
37℃ for 24hrs
PBS溶液
Legionella Filter
Filter(4×4 cm)に
Legionella菌を接種
上記のように比較実験
(Filter無し)
Filterの上で細菌を培養
Legionella
死滅
PBS溶液で培養細菌を溶解
Legionella
有り
細菌の数を測定
細菌培養
Legionella Filterの性能
1) 清浄機製品(Filter Set)によるLegionellaの除去性能
(One Pass Test)
清浄機から
排出された
Legionella
無
Filter有り
100,000
写真
Legionella
無
Legionellaの数
条件
清浄機に
流入された
Legionella
1,000,000
1,000
完全除去
(not Detected)
100
1
4.0×102
Filter無し
Legionella
10
Legionella
有り
1.0×105
10,000
供給
Filter無し
Legionellaの数
Filter有り
清浄機から排出
2) Legionella FilterによるLegionellaの除去性能
(表面接触法)
100,000
清浄機から
排出された
Legionella
無
Filter有り
4.0×103
Filter無し
写真
Legionella
無
Legionella
有り
4×103
10,000
Legionellaの数
条件
清浄機に
流入された
Legionella
Legionella
1,000
完全除去
100
(not Detected)
10
1
供給
Legionellaの数
Filter有り
Filter無し
清浄機から排出
2.韓日国際産学共同開発について
3)産学共同研究成果内容
項 目
Filter
産学機関
実験結果
備考
鳥インフルエンザウイルスを99.97%除去
Filter Setで実験
(One Pass)
鳥インフルエンザウイルスの99.9998%死滅
Filter表面
(表面接触法)
ヒトインフルエンザウイルスの完全死滅
Filer表面
(表面接触法)
Legionella菌の完全死滅
空気清浄機で実験
(One Pass)
Legionella菌の完全死滅
Filter表面
(表面接触法)
AI Filter
Tottori Univ.
HI Filter
Tsukuba Univ.
Legionella
Filter
Kyoto Univ.
2.産学共同研究完成について
2)産学共同研究マップ
‘06産学共同
‘04産学共同
新産学共同成果
‘05産学共同
M.O.U 목적
空気清浄機市場シェア拡大
(国内&海外)
Woongjin Coway
空気清浄機の開発
* 消費者needsを満足させる製
品の販売を拡大
* 共同開発を通じた原価低減
* 機能性Filterの適用
Mitsubishi Paper Mills Limited
機能性Filterの開発
* 安定的な取引先の確保
* 共同開発を通じた原価低減
* Filterの開発に専念 : 技術力の蓄積
* Filterの販売を通じた受益増大
M.O.Uの目的
• 空気清浄機の技術力の(競争力)確保
• 日本市場進出の足場 (日本現地型のFilterの導入等)
• 両社の原価低減の方案用意