ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話

奇跡の種子の歴史
•米国 1954年
ロバート・ボーローグのラボが、
「奇跡の種子」や、
その利用に伴う
科学肥料を
発明する。
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奇跡の種子の歴史
最初の段階に、
お米の奇跡の種子 = 奇跡の籾を
生産するために、
お米を多く消費する第産世界・米国との政治的・経済的
な結びつきがあるメキシコやフィリピンに、
IRRI(=国際米研究所)を設置する。
その後、他の農産物(野菜、果物など)の
奇跡の種子も生産して途上国に導入して行く。
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の「神話」
I. 緑の革命と奇跡の種子が途上国の農業社会
へもたらした変化:
1.人間、水、土壌、家畜などの共生的な農業
システム ⇒
化学物質、化学肥料、殺虫剤を投入する
システム
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
I.緑の革命と奇跡の種子が途上国の農業社会へも
たらした変化:
• 2. 農業社会や、世界の農村部の自給持続経済
⇒
先進国の市場とその動揺へ依存してしまう途上国
の経済
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
• II.高収量の神話と食料自給 : 問題点
• マクロ経済による先進国での「贅沢」や余剰生産と、
途上国での「欠如」。
「欠如」は現実に
– どこにあるか、
– 誰にあるか、
– 何による起こったか
を自問して行く。
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ボーローグ時代(軌跡の種子が発明された時代)における
「先進国の富」とその現実
比較のため:途上国ではなく、1950年米国の経済状態
• 失業率 約 6.0%
• 平均所得=$3,300ドル
(現在 $20,000=¥2,400,000)
• 低所得者の所得= $1,800
(現在 $12,000 =¥1,450,000)
1950年代後半, 米国民総合貧困率 = 22%
貧困線の定義:所得は必要となる家屋、教育費、衛生水準、
療法、食糧への支出より低い。
十分な住宅、衛生状態、療法、食料を入手できない世帯。
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
• II.高収量の神話と食糧自給 ~ 問題点
モノカルチャーの要素:
– 大きな面積を使い尽すプランテーション(大農園)
– 市場のための単一収穫しかしない
– 食物の自給生産から商業生産への変化
これらがもたらす変化1:食料安全度が減る
– 収穫を換金作物にし、自己消費に利用した食物がなくなる
– 購買力のない小農民が食料を買えない
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
• II.高収量の神話と食糧自給 ~ 問題点
• 栄養の価値が高い食料 ⇒ 市場での価値
が高い食料への変化。
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
• II.高収量の神話と食糧自給 ~
もたらした変化の問題点
• 多様的で、害虫や病気への強い抵抗力があ
る食物 ⇒
– 害虫と病気への抵抗力のない
– 標準化された、同質化された
– 多様性のない
品種や作物への変化。
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ヴァンダナ・シヴァ 奇跡の種子の神話
• II.高収量の神話と食糧自給 ~ 問題点
• バイオマス(有機物質一般)の欠如:
飼料と肥料に無料で使われたワラなどが減少して行く。
高収量が化学物質を要求するから、
その代わりに化学肥料を買わなければならない。
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「奇跡の種子」と内部的農業の利害
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•
•
•
利
高収量:短期的だけに
市場のために栽培する
種子が外部的な肥料と
灌漑への反応が大きい
害
殺虫剤を使用しなければ
ならない
長期的に低収量がおこる
奇跡の種子を使わない場合
• 内部的な消費のために栽
培する、供給する
• 土着の種子が優先され、
種子、農薬を購入するコス
トはない
• 昆作システムで害虫、病気
を減らす
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「奇跡の種子」と「不公平な比較」
伝統農業
• 人間、水、土壌、家畜など
の共生的な農業システム
緑の革命
• 科学物質、科学肥料、殺
虫剤を投入するシステム
• 生態的なリサイクリングす
る、栄養度を支持する、
毒性・塩類・汚染・を生産
しないシステム
• やせ土、毒性、塩類集積、
砂漠化、食物汚染、遺伝
子多様性の破壊、バイオ
マス減少をおこすシステム
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「奇跡の種子」と内部的農業
内部的農業システム
緑の革命のシステムと
外部的投入物
• 種子・作物の複数の利用: • 種子・作物の単一の利用:
1) 市場性
1)食事
2)肥料
3) 飼料
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