2.01

2007年度後期 労働法政策
第2講
労働契約法案
契約法とは?
民法 第3編 債権
第2章 契約
雇用契約(民法 第8節)、労働契約
一般法としての民法と特別契約法
民法
契約当事者の対等な関係を前提
大衆的な売買契約においては、売主と買主
との関係は対等ではない。(情報の質及び量
並びに交渉力の格差)
民法の修正→消費者契約法
消費者の利益を擁護するために、消費者が
一定の契約の拘束力からのがれるための手段
を整備しよう。
一般法の修正としての労働法
労働者と使用者の関係は対等ではない。
労働法によって諸方の前提を修正する。
労働基準法
労働組合法
違法行為禁止:刑罰規定
紛争解決:行政委員会
実際には、労働契約の修正を行う?
労働基準法第13条
労働契約とは何か
第623条 雇用は、当事者の一方が相
手方に対して労働に従事することを約
し、相手方がこれに対してその報酬を
与えることを約することによって、そ
の効力を生ずる。
労働契約とは何か
労働者は使用者の命令に従うことを約束す
る。
使用者は労働者に対して賃金を支払うこと
を約束する。
問題1:いかなる範囲において労働者が使用
者の命令に従わなければならないのか。
問題2:使用者はどういう賃金を支払えばい
いのだろうか。
問題1:命令の範囲
誰が、どのように決める?
当事者の合意
合意がないときには?
裁判例の蓄積
就業規則(労働基準法89条)による。
本当か?
労働契約法案とその問題点
法案と文献1
確かに、今の裁判法理では、就業規則にさえ
きちんと明記されていれば、使用者は労働者
に対して、残業も転勤もなんでも命令できる
し、その就業規則を変更すれば、すでに締結
している労働契約も変更できる。しかし、そ
れを法律に明記して、当然のこととしていい
のだろうか。それが、「労働者保護」なのだ
ろうか。労働者の意思は反映されなくてもい
いのだろうか。
労働契約法案とその問題点
判例1:秋北バス事件最高裁判決
裁判法理の前提は、労働条件の「集団
的画一的処理」のために就業規則を労
働契約の内容とすることに合理性があ
るというもの。でも、この「集団的画
一的処理」とは、いまでも踏襲されて
いるものなのだろうか?
労働契約法案とその問題点
判例2:第四銀行事件最高裁判決
就業規則の不利益変更が合理的である
と認められるための要素は、法案に挙
げられているものの他にもある。
労働者の意思をどう反映させるか
これまでの労働法
労働法=意思を軽視して規制
これからの労働法
労働契約法=当事者の意思を重視?