卒論構想発表 心理学演習KO ヒタキ 前回の発表 「自閉症児の使用言語に対する変動性の向 上―rag1スケジュールを用いて」 さまざまな言葉遣いができるように訓練した。 rag1スケジュール=直前の行動とは違う行動 が強化される。 行動変動性とは 行動変動性=行動のバラつきのこと。 変動性を向上させるためには、連続強化に消 去を挿入する、スケジュール調整によって操 作する、などがある。 ルールによっても制御されうることが示唆され ている(松本,大河内2003) 先行研究 「格闘技訓練における、使用技術の変動性向 上」 →ブログ参照 訓練において14種類の格闘技技法を、満遍 なく使用できるように介入した(新規反応の言 語的強化)。 訓練において使用技法数が増加し、他の場 面にも般化が見られた。 変動性について 変動性に興味を持ったのは、ひとつの価値観 に固執することなく、様々な行動が可能にな ることが、選択肢の拡大に繋がる&心理的な 柔軟性を促進すると考えたため。 ただしいつでも変動的に振舞えばよいという わけではない。 変動性が適切な場面で機能することが重要。 変動性について どういう場面での変動性が有効か →個人的経験からは 「食事(献立づくり)」 「スポーツ」(キャッチャーのリード?) Achieving and maintaining compliance with the ketogenic diet. Amari, A. Grace, N. C. & Fisher, W. W. (1995). Journal of Applied Behavior Analysis,. 28, 341-342. 目的 ケトン食餌療法は重度のてんかんに対する有効性 が確認されているが、その高脂質・低糖質食に対す る患者の嫌悪感が強く、用いられる事が少ない。 (歯磨き粉に使われる糖分でさえ、治療の妨げにな る) 本研究では食餌療法に使われる33アイテムへの嗜 好を刺激選択手続きにより順位付けし、プレマック の原理を応用した手続きで患者に与えた。 目的 本実験の目的は、医療的介入に対するコン プライアンス(同意・協力)を、オペラント手続 きによって向上させることであった。 方法 対象者 Tasha(15歳・女性)は深刻なてんかんの症状 により入院していた。 食物嗜好の順位付け まずTashaの保護者は33種類の食品のリスト を手渡され、Tashaが好きな食品を予測し、順 位付けをするよう求められた。 次に、直接的な評価として刺激選択手続き (Stimulus choice procedure)による順位付け を行った。33種類の中から2種類を一組にし、 どちらか好きなほうをTashaに選択するよう求 めた。この手続きは全ての組み合わせについ て実施され(33C2=528試行)、Tashaによって 選ばれた確率によって各食品を順位付けした。 介入 介入はプレマックの原理に基づいて行われた。 ベースラインでTashaは、全ての食品の中から 自由に選んで食べる事を求められた。 介入 介入1 ここでは、最も好まれた上位3種の食品(ベー コン・卵・チーズ)を、他の食品に後続して提 示した。食品は1口サイズに切り分けられてい た。他の食品を食べる順序については、 Tashaに任されていた。 介入 介入2 指示内容を変更し、Tashaは最も嫌いな食品→好き な食品といった順序で食べる様に指示された。 以上の3条件が、食事毎にランダムに挿入された。 般化セッション 治療者を変え、グループテーブル・病院の食堂・ピク ニック・ファーストフードレストランなどでの般化セッ ションが実施された。 結果(食物嗜好の順位) 結果(食品摂取量) 結果 刺激選択手続きによって得られた食物試行順位は、 保護者の予測とは異なる物であった。 各食品の消費量の平均は、 ベースライン条件において60%。 介入1条件においては97%。 介入2条件においては100%であった。 また、般化セッションでは充分な般化が確認された。 この間、てんかん発作の回数はベースライン条件の 40%に抑えられた。 考察 刺激選択手続きによって、強化子となりうる 嗜好度の高い食品を同定することが出来た。 保護者の予測と刺激選択手続きによって明ら かになった食品が異なっていたため、嗜好性 についての単なる予測に基づいた治療は効 果が少ないという事ができるだろう。 考察 今回の研究では2種類の介入が実施された。 飽和化を避けるため、介入2でTashaは最も嫌 いな食べ物から好きな食べ物の順番で食べ るように指示された。しかし、両方の介入共に 効果的であった。 つまり、飽和化の影響はそれほど確認されな かった。 考察 今回の結果から、ケトン食餌療法への抵抗感 は、刺激選択手続き及びプレマックの原理を 用いる事で比較的容易に改善できるという事 が示唆された。 将来的にも、保護者や医療関係者に対して、 ケトン食餌療法という介入を用いる選択肢を 確保する事ができたといえるだろう。 参考文献 松本,明生; 大河内,浩人 2003ルール支配行動:教示・自己ルー ルとスケジュールパフォーマンスの機能的関係(<特集>人間 行動の実験的分析) 行動分析学研究 17(1),20-31. 武藤,崇 2005 「多動性」と行動変動性 : ADHDの支援方法への 示唆 (3) 立命館人間科学研究 8,57-67 山岸,直基 2005 行動変動性とオペラント条件づけ 基礎心理学研究 23(2),183-200 引用文献 Amari, A. Grace, N. C. & Fisher, W. W. 1995. Achieving and maintaining compliance with the ketogenic diet. Journal of Applied Behavior Analysis,. 28, 341-342. Jay W.Harding,David P.Wacker and Wendy K.Berg,Gary Rick and John F.Lee 2004 Promoting response variability and stimulus generalization in martial arts training. Journal of applied behavior analysis,37,185-195.
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