子どもの理解と支援

高校生ボランティア講座
「子どもの困り感の理解と支援」
~個人と環境との関わりが
「障害」を生み出す基盤・乗り越える鍵~
1 障害のとらえ方
2 みどり学園の子どもたち
3 体験しよう!
天王みどり学園 加賀谷 勝
障害のとらえ方
WHO(国際保健機関) ICIDH 国際障害分類
疾病
機能障害
脳性まひ 下肢の
筋力の低下
能力障害
社会的不利
自立歩行困難
買い物が困難
社会的不利は
本人の障害が原因で発生する
「~しかできない子ども」マイナスのイメージ
障害のとらえ方
WHO(国際保健機関) ICF 国際生活機能分類
脳性まひ
下肢の筋力の低下
身体機能・構造
手足の動き・感覚
関節、胃・腸・皮膚
健康状態
病気・ケガ・妊娠・ストレス
歩行困難
活
買い物ができない
買い物ができる 外出が楽しい
参
動
実社会・家庭・学校
学級への参加
生活行為(身の
回りの行為)
少ない力で進める車いす
スロープ
環境因子
エレベータ
物的・人的・社会的環境
周囲の理解
加
車いすに乗りたい
外出したい
個人因子
年齢・生活歴・価値観
参加制限の原因を個人でなく周囲の環境に求めた
~があれば~できる
障害のとらえ方
・靴下は必ず右から履く
・お札の向きがいつも同じ
・ある分野の知識が豊富(オタク マニア)
・特定の音が気になってしょうがない
・予定が変わると不安になる ・人と関わることが苦手
・整理整頓が苦手で物をよくなくす
特性≠障害
生活上、本人・周りの困り感が大きい→支援が必要 障害
生活上、本人・周りの困り感が小さい→支援なし
周囲の理解と支援(環境)によって変わる
障害のとらえ方
~1/4の奇跡~
昔、アフリカのある村でマラリア(伝染病)が大発生
A
B
C
しかし 絶滅しなかった
マラリアにかかりにくい鎌状赤血球の遺伝子を持っていたから
Aグループ:鎌状赤血球をもたない 障害もない →1/4
Bグループ:鎌状赤血球をもつ 障害はない
→2/4
Cグループ:鎌状赤血球をもつ 障害はある
→1/4
マラリアに強く、障害のない遺伝子をもったBグループが存在すると
き、必ずある一定の割合でCグループが存在する 障害を引き受け
てくれた1/4の人たちがいたからこそ、健常な人が存在する
障害のとらえ方
柳澤 桂子
私たちの代わりに
障害を受け取ってくれた人たち
(生命科学者)
全人類の遺伝子プールというものがあって、その中で遺伝子が
突然変異を起こして多様化していくことが、この地球に適応してい
く手だてなのです。
多様化するときには、必ずある頻度で障害や病気が出てしまう。
人類としては、しかたのないことなのです。
ある割合で障害や病気を持った人たちが生まれるが、その人た
ちは私たちの代わりに障害や病気を受け取ってくれたのです。だか
らみんなで、そうした人たちを支え、一生懸命尽くさなければならな
いのです。
排除ではなく みんなで支えなければならない (共生社会)
みどり学園の子どもたち
1
知的障害
文字を覚えたり、話をしたりするのが苦手な子ども
い
い
生活経験・成功体験が少ない 人に頼ってしまう
みどり学園の子どもたち
1
「なにして あそぶ?」
「どっちであそぶ」
できることはひとりで
「それを はこぼう」
分かる言葉で
⇒
「つくえを はこぼう」
視覚情報を活用する
みどり学園の子どもたち
2
自閉症
相手の気持ちやその場の状況がわからない、コミュニ
ケーションが難しい、こだわりが強い子ども
「もうちょっと」「しっかり」➟?
「骨がおれる仕事」➟骨折するの!
「勉強なんかしなくていい」➟喜ぶ
感覚過敏
みどり学園の子どもたち
1
具体的な言葉と視覚的な手がかりで
・「もうちょっと」→「長い針が2までいったら」
2
短く、肯定的に伝える
・「これが終わらないと、おやつはなしよ」 ×
「これが終わったら、おやつにしようね」 ○
3
最初に予定を伝える
・活動する時間・内容・手順を説明する
・見本を示す
4
安心できる工夫をする
・代替手段を考える
2
みどり学園の子どもたち 3
肢体不自由
車いすを 利用している子ども
×
みどり学園の子どもたち 3
スイッチ教材
安心できる声かけ!
体験しよう
1
言葉が 伝わらない 分からないって
どういうこと?
ここは
言葉は
さあー
うまく
ピカピカ王国です!
ピカ語しか 話せません
ピカ語だけで
伝わるでしょうか?
見て 分かるように 伝える!
(言葉分からなくても心は通じ合う)
体験しよう 2
聞こえないって、どういうこと?
(言葉が使えないとき どうする?)
1月から誕生日順に 並びます。
同じ月の人がいたら、
生まれた日の早い人が 先になります。
言葉を使っては いけません。
まとめにかえて
~障害のハードルを越える3つの要素~
1
本人の自信・強さ
差別・偏見をはね返す強さ 自己肯定感 自己理解
2
苦手さをカバーできる道具
車いす 盲導犬
3
点字 手話 補聴器 パソコン スロープ等
周囲の人の理解(心のバリアを取り除く)
支える・受け入れる・認める人の存在
心を開いて よい言葉を 笑顔で!
おわりに
「行為の意味」
詩人 「宮澤 章二」
あなたの(こころ)はどんな形ですかと
ひとに聞かれても答えようがない
自分にも他人にも(こころ)は見えない
けれど ほんとうに見えないのであろうか
確かに(こころ)はだれにも見えない
けれど(こころづかい)は見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だから
同じように胸の中の(思い)は見えない
2つの心との闘
けれど(思いやりは)だれにも見える
い
それも人に対する積極的な行為なのだから
あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
相手の気持ちを
(心)も(思い)も初めて美しく生きる
それは 人が人として生きることだ
考えて行動す