システム信頼から見た 科学と政治の境界

システム信頼から見た
科学と政治の境界
加藤源太郎(プール学院大学)
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今日の報告
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問題の所在
(システム論による境界設定の意義)
信頼とシステム信頼
科学と政治の境界
今後の課題
昨年の報告より
科学と政治がどのようにつながっているかの分
析
→STSの現状はつながっていることを強調 して
いる
→N.Luhmannの社会システム論
閉じつつ開いた諸システムを記述するために
適切
信頼について
Luhmann:
信頼/信用(confidence)= リスク/危険
 他の選択肢がある状態からの縮減として、信頼
を位置づける。
→失敗する可能性、リスクの帰責を負う
 他に結果と責任の一切を任せることを信用と言
い、この場合はリスクではなく、「危険」であると
考える
「システム信頼」
人格的信頼/システム信頼
機能分化した社会においては非人格的な
信頼が現れる
「個人は、他者が自分と同じやり方で第三者を信頼して
いることを信頼する」 Luhmann(1973:128) ex.貨幣
cf.医者やエンジニア
→システムの機能作用を信頼することが必要
信頼に対するチェックやコントロールも専門家
知識が必要(Beck1886)
Giddensの信頼観
顔の見えるコミットメント/顔の見えないコミットメント
慣れ親しみ→(人格的)信頼/抽象的システム
象徴的通標
専門家システム
好むと好まざるとにかかわらず、抽象的システムを利用せざる
をえないのが近代
Giddens(1990:29-36,83-88)
科学と政治の境界
一般的な「科学的リスク」
→専門家でなければ判断不能
科学システムに対するシステム信頼
政治システムに対するシステム信頼
科学的な判断が不可能な場合に政治的な立場を判
断材料にすることもある
→ 科学と政治が接触する場
複雑性の縮減にあたって政治システムに対する
システム信頼を利用している場面もあるだろう
科学と政治の境界(2)
科学的な判断ができない者は、受動的にシステム
信頼によるが、システム信頼の中でもより問題に参
加しやすい政治システムに拠って判断する場面が
ある
=市民はもちろん当該の問題を科学的に判断できない
研究者にもあてはまる
今後の課題
STS的「市民」:主体的で自律的な判断
cf. Habermas的公共圏
システム信頼を通常の信頼形式と考えるのであればか
なり受動的
→「主体的で自律的に判断する市民」到達できない人々を
議論にすくい上げることもできる?
=知らぬ間に科学的な「危険」をこうむっている人々
・参加ゼマンティク