越前市工芸の里構想策定会議(第 5 回) 課題と対応(案) 項目 意見 越前市の歴史 と ・市長からは、越前の 1500 年の歴史を活かして ・序章の歴史物語に、各も の関係 対応・施策アイデア ほしいという話があった。 (清水) ・北陸で伝統工芸や家内工業が多いのかという社 会科の問題があった。模範解答は冬の寒さを凌 のづくりのプラットフ ォームになる記述を追 加する。 ぐための工業だからということだった。1500 年の歴史や渡来人のことは全く出てこない。 (青木) ・三つのエリアをつなぐストーリー、物語が大事 だ。それぞれのエリアの物語はすでにあるが、 その物語の基板となるような、物語が必要だっ た。更に練っていただきたい。共通のプラット フォームになるような、越前の風土、自然、人 とそれらの魅力が伝わるような物語になれば 良いのかと思う。 (升田) ・1500 年前に渡来人が訪れた際、高台を目指し たため、海抜 30m 以上のところに伝統工芸が 発展したという説もある。7 産地のつながりに なると思う。打刃物の起源時期が違うのも、た たら製鉄が由来だからという理由がある。 (青 木) ・レンブラントの取り組みを見て、逆に伝説を作 っていっても良いのだと気づかされた。エリザ ベス女王に使ってもらうとか、ローマ法王に使 ってもらってコメントをもらうとか、伝説を作 っていってしまえば良いのではないか。 (升田) 産地の特性 (箪笥) ・歴史物語についてだが、箪笥に関してももう少 ・越前箪笥の特性の記述を し記述していただきたい。 (三崎) ・法隆寺の厨子に越前という名前が書いてあると いう話がある。越前箪笥は、岩谷堂に続く、全 国で二つ目の民芸箪笥での伝統的工芸品指定 を受けた箪笥だ。 (三崎) ・市で検討させていただく。民芸箪笥に関しても 確認する必要がある。 (清水) ・22 ページに箪笥の写真があると思うが、写真は 蛭釻というもので角手ではない。 (三崎) 1 追加する。 産業振興 (全体) ・議論しなくてはいけないのは工芸の里構想全体 ・工芸の里構想としてのビ をどうしていくかということだ。三地域の振興 ジョンを明確にする。 策に関しての議論がスタートかと思う。やはり ・各産業を横串にする方針 工芸の構造の三角形について、例えば越前箪笥 に関しては一番上の美術工芸品の部分に対す る策がなく、打刃物に関してもあやふやだ。 (保 坂) ・越前和紙が世界遺産から外れた。理由は伝統産 業としての継承がなされていないということ だった。販売が先となり、売りたい、人を呼び たいという話を先に議論してきたと思う。世界 遺産に認定された暁には、人の訪れる量が違 う。まずは、織物、瓦など三産地以外の産業を 含めたすべてにおいて、技術を守り育てていく ための仕組みを作る必要がある。 (保坂) ・ハンドメイドの高級品に関してだが、京都に行 く機会があり、堀木アソシエイツのショールー ムを見る機会があった。新しい産業としてこう いったものを世に出していくことも、高級品の ターゲットゾーンとして取り入れていけば良 いと思う。 (保坂) ・今回越前和紙が世界遺産に認定されなかった理 由の一つは、遺産ではないからなのかと感じ た。 (渡辺) ・工芸の構造の三角形のヒエラルキーについての 話も出たが、あくまで三産地すべてが実用品で ある。三角形の頂点の部分に必ず何かを当ては めなくてはいけないということではなく、無く ても良いのではないかと思っている。むしろタ ーゲットゾーンに集中し重点を置くというこ とで良いのかと思う。 (渡辺) ・世界遺産に関してだが、まず遺産ではないとい う地元の職人の意見が大半であった。 (青木) ・世のニーズを一早く取り込んでそれを商品化す る技術、新しい伝統を作っていくことが重要 だ。何が欲しがられているか、世界でどんなも のが好まれるか、それを取り込む目利きの人が 必要なのは事実であり、その人を中心に展開し 2 を位置づける。 ていく必要がある。 (保坂) ・目利きは問屋がすべてやってきたというのが、 現場の言い分だ。そこを差し置いては勝手なこ とをできない。また、発想や時間のロスなどの 手間を考えると、自分たちのすることではない と考えてらっしゃる職人も多い。 (青木) ・私が言いたいのは、7 地区に共通のマイスター 制度や教育など、今まで議論してきた内容をま とめて、串刺しにして、サポートしていくよう な体制でまとめていけるのではないかという ことだ。伝統を継続していくということはそう いう意味だ。(保坂) ・これは工芸の里構想であって、三つの伝統産業 ビジョンではない。三つの産業ビジョンはある 程度完成されており、個別具体的な振興策に関 しては皆様方のご意見を聞きながら充実させ ていければ良いと思う。工芸の里構想としての ビジョンをもう少し明確にすれば、今まで出て きたいくつかの意見を受け入れられるのでは ないかと思っている。 (江川) 全体コンセプト ・49 ページのところで三産地の連携の話が出てく ・工芸の里として目指す姿 るが、これはあくまで三産地を連携するための 振興策である。越前工芸の里が目指すべき姿が 描ききれていない。単に連携するために目指す べき姿が書いてあるだけで、産地としてこんな 産地にしたいということが今ひとつ描ききれ ていないと思う。その部分に関して項目立てを し、ビジョンを大きく構えることが必要かと思 う。最後にまとめて、三産地の共通項や連携す べきことなどを項目立てて示せば良い。項目立 てする際、これまでの議論に出ているような、 クラフトマンであるとかクラフトマンシップ が大前提であり、そこが非常に重要な点だと思 う。そこで、市民という目線で造語が作れない かと考えた。クラフトマンに対応してクラフト シチズンといったように、工芸を愛する市民、 工芸を使う市民という概念があっても良い。升 田委員がおっしゃっていたように、物語、スト 3 を示す。 ーリー、歴史が必要であり、また、三崎委員が おっしゃっていたように、箪笥に関しては歴史 が足りないという話もあった。もちろん個別の 産地で書けることは個別で書いていけば良い と思うが、三つの産地の共通項としてストーリ ーを出していく。言葉遊びだが、「クラフト⃝ ⃝」という言葉をどんどんつないでいき、こん な産地にするのだという共通項のビジョンを 作っていく。クラフトマンシップを中心に、工 芸のことをよく知り、伝えることができ、しか も扱っているクラフトシチズンがいる。そのま わりには体験するというツーリズムが絡んで きて、さらにそこにはそれぞれの伝統工芸のス トーリーがある。要するに工芸の里が目指すべ き姿、将来像というものを改めて描き直すこと で、全体像がはっきりするし、それを書くこと によって個別具体的に漏れている部分が浮か び上がってくるかもしれない。そういう部分も 足していったら良いかと思う。 (江川) 計画の実施 について ・アクションプランに関しては、どの程度のスパ ・振興策・事業の例示の後 ンかはわからないが、ある程度明らかにすべき に、事業主体、スケジュ だと思う。 (渡辺) ールを再整理する。 ・各産地をつなぐ魅力的な拠点づくりというのは 民間事業主または越前市が担うと書いてある が、まちづくり団体や住民が、中心的な伝統工 芸の良さを発信する担い手になっていただく と、より良い工芸の里になるのかと感じた。ク ラフトショップに関しても、おそらく住民の方 で運営に興味のある方もいると思う。 (前田) 和紙の世界遺 産 に関して ・ユネスコの話だが、2009 年、石州半紙が世界 無形文化遺産に認定され、その後、和紙の世界 無形文化遺産の認定は団体でないと認められ なくなった。越前としては、PR 手段として、 したたかに、取っていくべきものは取っていけ ば良いと思う。ただし、世界遺産認定を大上段 の目標に構えるというのは、難しい。 (江川) 4 − 越前箪笥 ・三角形の一番上である美術工芸の部分が、空白 ・越前箪笥の振興策とし 産地振興の だ。外の人にとってのランドマーク的な箪笥 て若手経営者によるブ コンセプト を、誰か作家などに作っていただければ面白い ランド形成が第一ステ のではないか。 (三崎) ップと考えており、次の ・私は 10 年先の夢を見て毎日の仕事に取り組ん れると考えている。 でいきたい。 (三崎) 越前箪笥 タンス町通り ステップに位置付けら ・和紙や打刃物は、それぞれの施設を持つ予定だ。 ・越前箪笥のブランドを、 タンス町の場合は施設ではなく、住民に関わっ タンス町の振興と合せ てくる空間だ。我々単独では、まちづくりをす て考えていく必要があ るという構想を持てない。 (上坂) る。 ・拠点施設がなくても、エリアそのものがそれに 値する。 (清水) ・空いている家がない。場所が空いていない状態 でギャラリーやショップを増やすと書いてあ っても、実現できると思えない。 (上坂) ・現在ある店の魅力アップをするということでも 良い。また、タンス町通りから少し離れるかも しれないが、ある程度関連性のある空き空間の 活用は十分に考えられる。 (清水) ・田原町デザイン会議に所属している。当初は、 商店街に人がたくさん訪れさえすれば、町全体 がどうなろうと関係ないという商店主も多か った。話し合いを進めていくうちに、商売では ないし、住民達のためだけではないということ に気がついて、10 年続いている。 (竹内) ・タンス町通りでは屋台祭りを行っているが、住 民がほぼ全員参加してくれる。住民も一緒に取 り組める方法があれば良い。 (内藤) 三産地以外の 伝 ・四つの伝統産業について、まだ振興策やその他、 ・産地全体として考えた 統産業の振興策 内容が薄い。一つずつ独立して考えていくと難 時の、振興策、連携方策 しいと思うので、産地全体として考えた時の、 を位置づける。 指物、織物、瓦や漆器、それぞれの位置づけが 明確化すれば、動き出すのかと思っている。 また青木委員がおっしゃっていたが、四つの伝 統産業については、三産地との結びつきが非常 に良い。打刃物と箪笥と和紙の結びつきを考え ていてもなかなか思いつかないが、四つの伝統 産業とであれば食と生活という面で結びつけ やすい。二つ以上の伝統産業がクロスオーバー し、何か新しいものを生み出せる。 (江川) 5 各産地の連携 考え方 ・三産地と他の産業をどうつなげるのかという話 ・振興策として、7つの が出たが、紙漉きと織物はつながりがあるので 伝統産業の連携による はないかと思っている。織物の産地と一緒に紙 産業振興の推進を位置 の産地がある。どちらもクワ科の植物を利用し づける。 ている。 (青木) 各産地の連携 ・非常に良いコンテンツがあり、漠然とではある クラフトツー リ が見せ方としても方向性が決まってきている。 ズム さらにまちおこしが成功するとなれば、個人の − お客様も団体のお客様も誘客することは難し くない。 (森) ・住民が知らないことが多いので、観光や非日常 ・振興策 9 に市民の日常 日常生活にお け の部分がこの町にはたくさんあるということ 生活における工芸の浸 る浸透 を知ってもらい、町の人同士でつながりが広が 透を位置づけており、こ れば良いなと思う。 (近藤) の中で検討する。 各産地の連携 各産地の連携 学校教育 ・職人が出張して行う工芸授業の企画など、子供 ・振興策 8 に学校教育に の頃から産地で作られているものがわかるよ おける工芸の取り入れ うな施策を入れていただきたい。 (三崎) を位置づけており、この ・三産地を連携していく方法として、教育という 中で検討する。 のも一つの方法かと思った。市内の小学校では 卒業証書用の和紙を自分たちで漉いており、材 料となる木から育てるといった取り組みも行 われている。 (渡辺) 各産地の連携 ・京都ではここ数年、外国人の観光客が激増して 伝統工芸と歴 史 いる。体験型が増えている。体験というのは作 資源 業をするだけではなく、回遊することも体験で あり、あるいはその場にいて肌で感じることも 体験である。ナイフビレッジに行った際、見学 場所としてもう少しやりようがあるのではな いかと思った。見学した後は必ずファンになっ ているということが、見学の目的だ。 (升田) 6 −
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