文法の期末レポート 指導:神作晋一先生 M97E0217 翁佩莉 第12課 アスペクト1ー ル形‧タ形とテイル形 ねらい: 動きや活動のプロセスの一部を捉える文 法範疇をアスペクト(相)と言います。 動的述語の動きや活動のプロセスを発話 時点で捉えるにはテイルを使います。 テイルとル形とタ形の比較を通して、動的 述語の動詞をアスペクトの面から分類しま す。 第12課 アスペクト1ー ル形‧タ形とテイル形 キーワード: 動きの側面、アスペクト、テイル、 継続、 進行中の動き、変化の結果 の残存、継続動詞、変化動詞、属性 第12課 アスペクト1ー ル形‧タ形とテイル形 §1 アスペクトとテイルの形 §2 発話現在を表さないテイル §3 テイルと否定 §1 アスペクトとテイルの形 テンス:時間軸に沿った出来事。 アスペクト:出来事を時間軸上ではなく、 動きの側面から捉える文法範疇。 ル形「あとで食べる」とタ形「さっき食べた」 では、動きを発話現在で捉えることができ ない。 テイル形「いま食べている」は、動的述語 が表す出来事がまだ終わらず継続してい る状態を表す。 §1 アスペクトとテイルの形 動的述語のテイルが表す状態は、動詞 の意味によって異なる。 ア)進行中の動き (1)太郎がパンを食べている。(発話時点に継続中) (2)父が新聞を読んでいる。 (発話時点に継続中) (3)雨が降っている。 (自然現象、発話時の前後に かけて進行している) ※出来事の継続の側面を進行中の動きと呼ぶ。 動的述語のテイルが表す状態 は動詞の意味によって異なる ィ)変化の結果の残存(変化は発話時以前 に実現しておる) (4)虫が死んでいる。 (5)とんぼが止まっている。 (6)窓が閉まっている。 ※存在動詞「いる」「ある」はそれ自体が状態 を表す静的述語ですから、「*いている」 「*あっている」のテイル形にはならない。 動詞の分類 金田一(1976)により、動詞を「テいる」が つくかつかないか、四種に分類した。 状態動詞(テイルがつかない) →アスペクト の対立がない 継続動詞(テイルがつく) 瞬間動詞(テイルがつく) 第四種の動詞(常にテイルがつく) 状態動詞、継続動詞 状態動詞(テイルがつかない) 状態を表す...ある、いる、できる 継続動詞(テイルがつく) 進行中の動きを表す ...食べる、読む、降る、吹く ※「雨が降る」「風が吹く」などの自然現象を 表す動詞も継続動詞が、主体の意志で コントロールできない。 瞬間動詞、第四種の動詞 瞬間動詞(テイルがつく) 変化の結果の残存 ...死ぬ、止まる ※瞬間動詞=変化動詞 第四種の動詞(常にテイルがつく) モノ の性状や属性を表す ...優れる、そびえる テイルのタ形ーテイタ テイタも継続を表す (8) 昨日の午後は、部屋で勉強していた。 (9) 先週、中国に出張していた。 (10) 夕べは雨が降っていた。 ※テイタ:発話時は現在ですが、話し手は 時間軸上の過去の時点(「昨日」「先週」 「夕べ」)の継続を捉える。 テイルトテイタの異同 テイル テイタ 発話時 現在 現在 継続を捉える 時点 現在 過去 §2 発話現在を表さない テイル 一、繰り返し行われる習慣的動作 (定期的に) (11)太郎は、毎日牛乳を飲んでいる。 (12)父は、毎朝、出勤前に新聞を読んでいる。 ニ、個人の経験(複数回繰り返し) (13)その本は三回読んでいる。 (14)そこへは二回行っている。 §2 発話現在を表さない テイル 三、過去の出来事の記述 ア) 歴史上の出来事 (15)1603年に徳川家康は江戸幕府を開いている。 (16)1969年にアポロ11号が月面着陸に成功している。 イ) 個人の履歴 (17)(手帳を見ながら)先月は15日に理髪店に 行っている。 ※過去の出来事のテイルも広い意味で出来事 の結果の残存 §2 発話現在を表さない テイル 四、主語や対象は複数 (18)戦争で大勢死んでいる。 (主語の複数性) (19)車がたくさん止まっている。 (主語の複数性) (20)太郎が窓を開けている。 (複数の窓) ※主体や異なる対象の変化を連続的に捉えた 描写、その結果が残存していると解釈できる。 §3 テイルと否定 (21) 教師: 昼ごはんを食べましたか。 学生A: はい、もう食べました。 学生B: ??いいえ、まだ食べませんでした。(X) いいえ、まだ食べていません。 (O) *「食べなかった」=発話時点以前のある時点で 「食べる」という活動が未実現だった *「食べていない」=発話時点以前に「食べる」 という動きが実現しない状態で現在に至ること を含意する。 タ形とテイル形の否定の違い 発話時点以前 発話時点 タ形の否定 「なかった」 活動が未実現 発話時点の状態 不問 テイル形の否定 動きが未完了 「ていない」 発話現在への 関連性を示す 参考文献 1.工藤真由美(1995)『アスペクト‧テンス体系 とテクストー現代日本語の時間の表現』ひつじ 書房 2.佐治圭三(1996)『文法』凡人社 3.仁田義雄(編)(2007)『現代日本語文法3』 第5部アスペクト、くろしお出版
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