資料5 ◎ 大都市制度 それに至るシナリオ・ 法改正に向けた課題整理 ○大阪において考えられる大都市制度 それに至るシナリオ ○法改正の内容と実現の手続き ○大阪府市において考えられる自治体構造の変換 ○大阪への都区制度導入にあたり考えられる手続き ○市町村合併の手続き ○政令市を複数の基礎自治体に分割する場合の手続き 大阪において考えられる大都市制度 (※)「研究会で検討の大都市制度」は、大阪市を再編して新たな財政調整を導入するパターンを記載 左記以外で考えられる将来像 研究会で検討の 協議を進め、まずは「広域 機能の一元化」「都市内分 権の推進」を目指す。 「広域機能の一元化」 概要 総論 □協議で両者が合意した範囲内 ●広域機能の一元化に限界があるので 大都市制度(※) 概要 府 市 合 意 ・ 住 民 意 見 の 反 映 → 自 主 協 議 条 例 に よ り 制 度 化 し た 協 議 ◆企画部門の連携強化、統合 ◆統一戦略づくり ・成長、まちづくり 等 ◆「府市広域法人」(仮称)設置 ・形態:独立行政法人等 ・分野:鉄道、港湾、水道 拠点開発 企業誘致、新産業創造等 はないか。 「都市内分権の推進」 概要 ◆区役所の機能強化 ・権限・予算・人事面での強化 ・住民利便性の向上 ◆地域協議会の設置・充実 ・協議会の長の選任に住民選挙を 加味など ◆区長公選の導入 総論 □協議で両者が合意した範囲内 総論 各論 自治体構造 (構成、役割分担等) 府 市 の 枠 組 を 抜 本 的 に 改 変 ◆大阪市を複数市に分割 ◆広域と基礎の役割分担を徹 底(広域機能の一元化、基礎 自治体優先) ◆交付税+独自の財政調整 □広域機能は一元化。 □基礎機能は、基礎自治体が 総合的に実施。 都区制度の導入 特別市制度の導入 ●役割分担の徹底が図られる のではないか。 ●住民自治はじめ自治機能の 充実が図られるのではな いか。 ●交付税に独自の財政調整の 仕 組 み を 加 味する ことで 格差是正効果の向上。 二層。役割分担の明確化。 広域機能の一元化。大都市とし 大阪市の分割 ◆都が広域機能と一部基礎機 ◆大阪市が市域を拡張して広 ◆ 大 阪 市 を 複 数 市 に 分 割 能を担う。 域機能と基礎機能を兼ねる 政令市⇒一般市に移行 (東京同様の役割分担、財政調 整等を想定) □広域機能は一元化。 □基礎機能は、基本的に特別 区が担い、一部を都が実施。 □単一の自治体が、広域機能 と基礎機能をともに担う。 □内部組織としての行政区 □内部調整+地方交付税 □公選の市長、議会。 □公選の区長、議会。 □基本は各市町村の財政運営 □都が市町村税の一部を徴収、 +【地方交付税+独自の 財政調整。 財政調整】 □政令市権限は広域自治体 に移行。 □その他は基本的に現状に 同じ。 □公選の市長、議会。 □基本は各市町村の財政運 営+地方交付税。 ●広域機能は一元化も、基礎 ●広域行政と身近な行政をひと ●役割分担(広域機能の一 自治体優先の観点からは役割 つの住民自治のもとで実現す 元化、基礎自治体優先)が 分担が不十分ではないか。 るのは限界があるのではな 不十分ではないか。 ●住民自治はじめ自治機能の いか ●住民自治はじめ自治機能 充実が図られるのではないか。 ●住民自治の観点から限界が の充実が図られるのではな ●特別区の財政的自立の観点 あるのではないか いか。 からは議論があるのではない ●行政区の財政的自立の観点 ●交付税で一定の行政水準 か。 からは限界があるのではない 確保も、税収の偏在から か。 サービス格差拡大の恐れ 現行の府県と一般市という二 基礎機能の一部を都が担う不 広域と基礎を兼ねる一層。異な 層。役割分担の明確化は不十 完全な二層。役割分担不徹底。 る機能を同一主体が行う限界。 分 広域機能の一元化が不十分。 広域機能を一元化。本来の広域 広域機能、基礎機能とも不十分 本来の広域機能への重点化 になる可能性。 も不十分。 広域のあり方 ての戦略性、一体性、統一性が 機能への重点化は不十分。 不可欠なものへの重点化。 基礎自治体優先は不徹底。基 基礎自治体優先は不徹底。基 基礎自治体優先を徹底。身近な 広域機能、基礎機能とも不十分 礎自治体が身近な行政サービス 礎自治体が身近な行政サービスを 基礎のあり方 を総合的に担う観点から不十 行政サービスを総合的に担う。 になる可能性。 総合的に担う観点から不十分。 分。 住民自治 財政自主権 財政格差 都市内分権は一義的に大阪市対応 その他 ● 住 民自 治 の観 点 か ら限 界が ある の ではないか。 それに至るシナリオ(今後の議論のための粗い整理) 全体評価 住民から遠く、また、行政区では 公選市長、議会のもと地域の身 公選区長、議会のもと地域の身 内部出先機関の限界。身近な 近な行政を住民が決定・責任。 近な行政を住民が決定・責任。 地域のことを住民が決定する観 住民自治の向上。 住民自治の向上。 点から不十分。 各市の税収をもって責任ある財 各特別区の税収が基本も、都か 行政区では市予算に基づき事 政運営。権限・財源・責任の一 らの財政調整に依存。自己決定 業執行の限界。自己決定・自己 自己責任の観点から不十分。 責任の観点から不十分。 致。 公選市長、議会のもと地域の 身近な行政を住民が決定・責 任。住民自治の向上。 各市の税収が基本も、府から の補助金等、自己決定・自己 責任の観点から不十分。 交付税+独自の財政調整で格 差是正効果向上。財政自主権 都区財政調整制度により格差是 市全体の中での予算配分等を の関係で、どこまで格差を是正 正。 通じて内部的に格差是正。 するか議論要。 交付税による格差是正。税収 の豊かなところとのサービス 格差の拡大が危惧。 大阪市が培ってきた都市として 特別区は特別公共団体であり、 の一体性が失われる可能性。 基礎自治体として不完全。 大阪市が培ってきた都市とし ての一 体性 が 失わ れる可 能 性。 ― 法改正の内容と実現の手続き (議論の粗いたたき台) 多様な大都市制度の構築 ■現行の大都市制度は画一的な「既製服」 地域の実情にあった「オーダーメード」に遠い。 自治法が定めるバリエーションは都区制度、政令市・中核市・特例市制度、特例条例に基づく権限移譲に限定。 交付税法では、交付税は総務大臣が各地方団体に配分すると規定(法第4条)。 など 中間とりまとめに掲げる『基本認識、基本原則 = 都市性・個性の原則』に基づき、それぞれの都 市の実情にあった大都市制度を自ら選択できる仕組みを整備すべき。 法改正のイメージ ■考えられる必要な条項としては、 1 各地域の選択を可能とする理念を定めた条項 (⇒次ページ) 2 自治体構造(広域自治体と基礎自治体の関係)の特例を可能とする条項 3 事務配分の特例を可能とする条項 4 財源配分・財政調整の特例を可能とする条項 5 上記の特例を地域の合意で決める協議機関の設置に関する条項 (協議機関は恒常的なものとし、あわせて、事務配分の疑義等に関して、第三者が調停等を行う裁定機関も設置) 6 上記特例の実施に至る手続きに関する条項 ■交付税の配分を地域で可能とするには、交付税法、さらには税法等の改正も必要 基本的な方向性 このような大都市制度の「柔軟な仕組み」を実現するための基本的な方向性として、 (1)地方自治法を改正する方向性と、(2)地方自治特別法(憲法95条に基づき特定の普通地方公共団体のみに適用 される法律)を制定する方向性 が考えられる。 都市の多様性を認め、さまざまな地域が自主的に制度を選択できるようにするという観点からは、一の地方公共団体のみに 適用される地方自治特別法ではなく、地方自治法の改正をめざすべきではないか。 自治法改正の場合、 考えられる手続き 大都市等に関する特例(第252条の19以下)を抜本改正。 協議機関での協議が整えば、関係自治体の議会の議決を経て、総務大臣経 由で内閣に申請、国会の承認。 以上の手続きに加えて住民投票を実施することも必要ではないか。 大阪府市において考えられる自治体構造の変換 パ タ ー ン 法令改正の必要性 条項ナンバー (前頁記載) <新たな手続きを設ける場合> パターン1 府市を再編し、新たな広 域自治体と基礎自治体 を設置。 1. 大阪府と大阪市を廃止し、新たな広域 自治体のもと、大阪市を複数の基礎自 治体に分割。 自治体構造をはじめ、事務配分、財源配分、財 政調整等、多くの規定を新たに設ける必要 ⇒1,2,3, 4,5,6 自治法に都区制度への移行の手続規定を設け ることで実現可能。 ⇒6 ≪研究会で検討の大都市制度≫ 2. 新たに設ける基礎自治体を特別区とす る場合には、府を都にする手続きを設 けて、都区制度を導入。 ≪都区制度≫ パターン2 市が府域の基礎自治体 を合併。府と市を統合し て、府は解散。広域機能 と基礎機能を兼ねる自治 体(大阪特別市(仮称)) を設置。 1. 自治法7条、合併特例法3条、6条に基 づき合併。内部団体としての行政区を 設置。 ≪特別市制度≫ その場合は現行法令上の事務配分、財源配分 等が適用。 (都区制度への 移行手続き) 独自の役割分担に基づき、事務配分、財源配分 等を抜本的に改めるには法令改正が必要。 ⇒1,3,4, 5,6 市域拡大は、現行の自治法、合併特例法で可 能。 ⇒現行法 過去、自治法に特別市の規定。同様の規定を置 くことが考えられる。それによれば、区長公選の 導入も可能。 ⇒2 (旧規定の復活) 行政区を基礎自治体に再編し、広域機能と基礎 機能を分離。独自の役割分担に基づき、事務配 分、財源配分等を抜本的に改めるには法令改 正が必要。 ⇒1,2,3, 4,5,6 市の分割は、現行の自治法で可能。 ⇒現行法 一方で、政令市権限以外の役割も見直し、独自 の役割分担に基づき、事務配分、財源配分等を 抜本的に是正するには法令改正が必要。 ⇒1,3,4, 5,6 <現行の手続きに基づく場合> パターン3 市を複数の基礎自治体 に分割。 1. 自治法7条に基づき、大阪市を複数の 基礎自治体に分割。 ≪大阪市の分割≫ 大阪への都区制度導入にあたり考えられる手続き 自治法を改正する場合 (参考) 地方自治特別法を制定する場合 例えば、「道府県及びその道府県の区域内の市町村で特別区と なるものの申請によって、都を設置する手続き」を新たに定める。 都道府県合併の例(自治法6条の2)より推測すると、以下のよう な手続きが考えられる。 例えば、「大阪府を廃止するとともに、大阪市を廃止してその区 域の全部による特別区を設置し、新たに大阪都を設置する法」を 特別に制定する。 大阪府域及び大阪市域のみに適用される法律であり、憲法95条 に基づく住民投票が必要になる。 以下の手続きは、自治法261条、262条に規定。 (例:大阪府と大阪市域で大阪都を設ける場合) (例:大阪府と大阪市域で大阪都を設ける場合) 法案の策定 大阪府議会の議決 大阪市会の議決 国会の議決 大阪府民による住民帳票の実施 有効投票の過半数の同意 大阪府及び大阪市が 内閣に申請 (総務大臣を経由) 国会の承認 大阪市民による住民投票の実施 有効投票の過半数の同意(*) 法律の公布 *大阪市域での住民投票が必要かどうかは議論の余地があるが、 大阪市域に限って普通地方公共団体である地位を失い、特別 区になるということを考えれば、何らかの方法で市域の意思 を確認する必要があると考えられる。 (なお、自治法281条の4は、既存の東京都内の市町村が特別 区になる場合の手続きを定めているが、その市町村議会の議 決を経て都に申請することとしている。) 市町村合併の手続き (参考) 市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)による場合 地方自治法上の廃置分合の手続きに加えて、合併協議会の設置が定められている。 (合併協議会の設置について住民請求できる規定あり。) 都道府県知事 廃置分合市町村 事前協議 住民発議 (任意の協議会等で事実上の協議) (市町村の有権者の1/50以上の署名) OR 総務大臣 合 A市議会の議決 B町議会の議決 併 特 法 定 合 併 協 議 会 例 の 設 置 届 合併市町村基本計画 にかかる協議 合 併 に か か る 協 議 法 計 画 作 協 成 報 出 議 受 ・ 告 回 受 理 答 理 報 告 受 理 合併協定書の調印 A市議会の議決 B町議会の議決 地 方 申 請 書 の 受 理 協議・回答 合併申請書の作成 (市の場合のみ) 自 治 都 議 道 府 会 の 議 県 決 合 併 定 の 決 届 出 受 理 法 合併の効力の発生 告 示 政令市を複数の基礎自治体に分割する場合の手続き (参考) 指定都市は、地方自治法第252条の19第1項の規定に基づき、政令で指定する人口50万人以上の市をいうもの であり、市を分合するための手続きと、指定都市から一般の市へ移行するための手続きは別個のもの。 前者は地方自治法第7条の規定に基づいて行われるものであるのに対し、後者については、関係地方公共団体の 意向等を踏まえ、国においてそのための政令改正を行うこととなる。 指定都市を一般の市とする場合等の手続き 一般の市から指定都市へ移行し、または指定都市を一般の市とするための申請手続き等は、法令で規定されていない。 一般の市から指定都市への移行を実施するためには、 ①指定要件に合致するか、②市の現状、将来構想、県と市の調整状況などについて事務的に意見等を聴取し、関係地方公共 団体の意向等を踏まえて、国においてそのための法令改正を行う。 なおその際、関係地方公共団体から国への申請、関係地方公共団体と国との協議、関係地方公共団体の議会の議決等は、 法令上の規定は設けられていない。 指定都市を一般の市とする場合も同様に、申請手続き等は法令で規定されていないが、事務的に意見等を聴取し、関係地方 公共団体の意見等を踏まえて、国においてそのための政令改正を行うこととなるものと考えられる。 市町村の分割、分立の手続き 市町村を分割(一の市町村を廃し、その区域を分けて数個の市町村を置くこと)または分立(一の市町村の一部を分けて、そ の区域をもって新しい市町村を置くこと)する場合には、市町村議会の議決を経た申請に基づき、都道府県知事が当該都道府 県議会の議決を経てこれを定め、ただちにその旨を総務大臣に届け出なければならないとされているが(地方自治法第7条第 1項)、市町村議会においては、 ○区域及び名称 ○財産処分(法第7条第5項。必要な場合。) ○新たに設置される市町村の議会の議員の定数(法第91条第7項) について、議決することとなる。 本来都道府県が行う事務等で、地方自治法第252条の19の規定により指定都市が行うこととされている事 務は、指定都市が指定都市以外の市(一般の市)へ移行する際には、当然に都道府県の事務等となる。 ○都道府県・市町村の廃置分合等に関する現行の規定 ●地方自治法 ○第3条(地方公共団体の名称) 都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める。 ○第6条(都道府県の廃置分合および境界変更) 都道府県の廃置分合又は境界変更しようとするときは、法律でこれを定める。 ○第6条の2(申請に基づく都道府県合併) 前条第1項の規定によるほか、2以上の都道府県の廃止およびそれらの区域の全部による1の都道府県の設置又は都道府県の廃止およびそ の区域の全部の他の1の都道府県の区域への編入は、関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができる。 前項の規定については、関係都道府県の議会の議決を経なければならない。 第1項の申請は、総務大臣を経由して行うものとする。 ○第7条(市町村の廃置分合および境界変更) 市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ち にその旨を総務大臣に届け出なければならない。 前項に規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。 ○第252条の19(指定都市の権能) 政令で指定する人口50万人以上の市は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理すること とされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。 ○第281条の4(特別区の廃置分合および境界変更) 都内の市町村の区域の全部又は一部による特別区の設置は、当該市町村の申請に基づき、都知事が都の議会の議決を経てこれを定め、直ち にその旨を総務大臣に届け出なければならない。 特別区を設置しようとするときは、都知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。 ●地方自治法第252条の19第1項の指定都市の指定に関する政令 内閣は、地方自治法第252条の19第1項の規定に基づき、この政令を制定する。 地方自治法第252条の19第1項の指定都市を次のとおり指定する。 ●市町村の合併の特例に関する法律 ○第3条(合併協議会の設置) 市町村の合併をしようとする市町村は、地方自治法第252の2第1項の規定により、合併市町村の円滑な運営の確保及び均衡ある発展を 図るための基本的な計画の作成その他市町村の合併に関する協議を行う協議会を置くものとする。 ○第6条(合併市町村計画の作成および変更) 合併市町村基本計画は、おおむね次に掲げる事項について、政令で定めるところにより、作成するものとする。(掲げる事項は、基本方針、 施設の統合整備に関する事項など) ●(参考)地方自治特別法を制定する場合 ○法案策定 ⇒国会の議決 ⇒府民・市民による住民投票の実施 ⇒有効投票の過半数の同意 ⇒法律公布〔自治法261条、262条〕
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