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憲法予習編
第 21 回目
レジュメ
・地方自治
・憲法 92 条「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、
法律でこれを定める」
⇓
地方自治法
・地方自治(92 条)の法的性質
1.固有権説 ⇒ 固有の基本権
2.伝来説・承認説 ⇒ 国から統治権を伝来
3.制度的保障説 ⇒ 伝統的な制度を保障
通説
・
「地方自治の本旨」の内容
1. 住民自治(住民意思の反映)
2. 団体自治(国からの独立)
・憲法 93 条 1 項「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議
会を設置する。
」
⇒地方議会を設ける(県議会、市議会等)
93 条 2 項「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、
その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
」
⇒地方公共団体の長=県知事、市長
住民の直接選挙によって選ばれた知事、地方議会議員によって地方
自治がなされる
⇒住民自治の反映
・憲法 94 条「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する
権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」
・条例とは、地方議会が定める法規
長が制定する規則
教育委員会等が制定する規則
・
「法律の範囲内」とは?
を含む(広く解釈する)
・判例百選 1 冊目第 88 番
「国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規則を施す趣旨
ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規則を施
すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾抵触
はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない」
⇒条例が、
「法律の範囲内である」かについては、その法令の趣旨から考えると
いうこと
⇒その結果、地方の実情を考慮することが、法令の趣旨に含まれるならば、条例
制定は認められる
⇒同じ行為でも、地方公共団体によって、処罰されたり、されなかったりすのは、
14 条が定める平等原則に違反しないか?
・判例百選 1 冊目第 31 番
「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずる
ことは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認すると
ころである」
⇒地方ごとの取扱いの違いは、平等原則違反にならない
・憲法 29 条 2 項「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」
地方の実情を踏まえて、条例で、財産権の内容を決めることができるか?
⇒29 条 2 項の「法律」に条例が含まれるか?
⇒財産権の内容を法律事項としたのは、財産権の制限について、民主的コントロ
ールを及ぼすため
⇒地方議会が制定する条例については、住民の代表である地方議会が制定してい
るので、民主的コントロールは及ぶ
⇒よって、29 条 2 項の「法律」に条例は含まれる
・憲法 84 条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定
める条件によることを必要とする」
⇒84 条の「法律」に条例が含まれるか?
⇒84 条の趣旨が、租税の賦課に対して民主的コントロールを及ぼすことにある
ので、84 条の「法律」に条例を含む
・憲法 92 条「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、
法律でこれを定める」
地方自治法において、都道府県および市町村という二段階制を規定
⇒二段階制は憲法上の要請か?
・二段階について
・憲法上の要請とする見解
⇒1.道州制を認める見解
2.都道府県に固定する見解
・憲法上の要請でないとする見解
⇒(立法政策の問題と考える)
⇒どちらの見解でも、地方自治の本旨(住民自治と団体自治)は無視することができな
い
(レジュメここまで)