ネットワーク コミュニケーション 10:エピソードを綴る (1) メディアと人格 062303 きょうの内容 先週の補足 パッケージモデルからコミュニティモデルへ コミュニケーションをデザインする シムピープル CMC研究の関心領域 ネットワーク上の人格について www.necomi.net シムピープル 「人生こんなハズじゃなかった。」 子どものころには夢があった。大きな家が欲しかった。美女 にかこまれて生活したかった。有名人になりたかった。幸せ で,エキサイティングな人生を送りたかった……。 http://www.zdnet.co.jp/games/ps2/sim-people/ どのような〈じぶん〉を構成するのか おなじ〈じぶん〉 可能性(願望)としての〈じぶん〉 www.necomi.net www.necomi.net www.necomi.net 重層化するアイデンティティ 多重体としての人格 ドメインへの帰属意識 ある人格からべつの人格へとストレスなく 移行できるかが問題 「日常性の破れ」 www.necomi.net 豊島昇(1995)「ハビタット」の住人たち『多重人格 &性格の心理学:「私」のなかの「わたし」』朝日新 聞社 仮想コミュニティ「ハビタット」 4人の参加者が約1か月間自由に遊ぶ 最低6か月以上一緒に働いた経験 ビデオによる録画 → エスノグラフィー www.necomi.net 「ハビタット」の住人たち 独特の言語表現 そうですね → そね そそ ぶりー → 電話ぶりー さっきぶりー スマイリー 簡潔な表現が基本 初対面であっても丁寧な言葉遣いはしない 効率性から 結果として、現実世界のアイデンティティのマスクと なる www.necomi.net キャラクターの生成(ケース1) リアル(H):口数が少なく、動作もゆっくり ハビタット(マックス):活発…正反対のキャラ クター 2〜3週間後: 「Hが明るくなった」「Hがたくさん話すようになっ た」 マックスにリアルな〈じぶん〉が近づく マックスを演じることによって、あたらしい行動パ ターンを獲得? www.necomi.net キャラクターの生成(ケース2) 同一化:自己のコピーをつくる;リアルな名前や ニックネームをつける S(サム)…現実とおなじニックネームでスタート スキンヘッドを獲得 みずからを〈魔王様〉と呼ぶ → 口調の変化 現実世界での行動パターンの変化 職場で「魔王様」 の口調になる/職場のデスクに「魔王」のシールを貼 る www.necomi.net キャラクターの生成(ケース3) リアル(M):静かでおとなしい(f) ハビタット(アキラ):(m)活発でおしゃべり RPGのプレイヤー:ちがう〈じぶん〉をつくって演じ る www.necomi.net エンディングはあるのか シナリオの存在 インターネット(ネットワーク環境)に 「終わり」はあるのか 現実の文脈がどのように浸透するか スケジュールの問題 www.necomi.net 「おなじ場に居合わせる」という感覚 実時間の共有(同時性) 潜在的な可能性としてのコミュニケーショ ン メッセージの〈つながり〉のプロセスに立 ち会うときに、「おなじ場に居合わせる」 という感覚をおぼえる www.necomi.net 現実の〈つながり〉を意識する 制度レベル:社会的な位置関係 対人環境レベル:社会的・対人的な存在感 信念レベル:じぶんの持つ常識との一貫性 www.necomi.net 制度レベルでの現実感 じぶんの関わる社会と相手との関係 相手の関わる社会とじぶんとの関係 双方の社会どうしの関係 社会的な属性 相手との相対的な位置関係 自己啓示 →“何者”であるかが認識される www.necomi.net 対人環境レベル 人間の“気配”がどの程度感じられるか ネットワーク上の表現形式 www.necomi.net 信念レベル 常識の共有(意味解釈のためのコード体系 の共有) “文化”の問題 www.necomi.net 〈場〉としての感覚 メッセージの〈つながり〉・連鎖 (ある程度)継続するという主観的な期待 制度・対人環境・信念のいずれかのレベル での現実感 www.necomi.net 名前と住所 ログイン名、ハンドルネーム、アドレス 顔が見えない=名前がない ということで はない。 音のない会話 絵文字 定型文 www.necomi.net 匿名性?匿顔性? 名前自体はある? ハンドルネーム それは、ネットワーク上には存在する名前? 友人ではなく隣人 www.necomi.net メディアと人格 メディアに接触することによって、ひとの 振ふるまいは変わるか? マイクを離さない ハンドルを握る メールだと饒舌 www.necomi.net メディアとアイデンティティ いくつかの“ドメイン(活動領域)”への帰 属意識は、ひとを多重人格化するか? 多重人格は、“disorder”か? アイデンティティはそもそも重層的? あるアイデンティティからべつのアイデン ティティへの移行の問題 www.necomi.net メディアと人格 メディアとの接触によって、ひとは変わる のか メディアとの接触によって、ひとは強くな るか? リテラシーの持つ政治性についてどう考え ればいいか… www.necomi.net ネットワーク上でどのような〈じぶん〉を つくるか。 www.necomi.net 距離感覚 これまで:交流できる相手 接触しやすい範囲に限定 → 物理的に 都市社会学の研究では:たとえば、パーソナ ルなネットワーク 地方都市:30分圏内 大都市圏:2時間圏内 www.necomi.net 距離感覚 男性:職場や学校を中心に形成 既婚女性:近隣・地域ネットワーク(居住 地の移動とともに形成) www.necomi.net サロン?庭? ゆとりのための〈場〉 求心力をもつモノ + ヒト 家 → 会社・学校 → … (物理的な存在としての)カフェ 電子ネットワーク上の〈場〉 リアルチャット(談話室;詩の朗読) www.necomi.net + 「おたく」と「おそと」 高城剛 ことなるネットワークの組み合わせ おたく おそと いろいろなモノを持って「そと」に出て、ひ とに会う そのとき、どこに行くのか;どこが〈居場 所〉になるのか? STUDIO VOICE (1997年9月) 特集:サロン(癒しと創造の新空間) www.necomi.net プロジェクトは? 〈第三の場〉としてのプロジェクト? 「学校」という〈場〉の意味は 物理的な〈場〉が必要 求心力をもつモノ(マシン)およびカネ まとめるヒト(参加するヒト) www.necomi.net 電子ネットワークによる〈場〉の感覚 物理的な移動の問題を解消 生活時間による制約を解消:じぶんのリズ ムに合わせて〈場〉に参加できる 社会的属性や地位が問われることが少な い:趣味を求心力にしている www.necomi.net コミュニケーション的な距離感 「間合い」「間」の問題 •密接距離 •近接:愛撫・格闘・慰め・保護の距離 •遠方:目の焦点をたやすく結べる距離 •個体距離 •近接:自分の手足で相手に何かをしかけられる距離 •遠方:身体的支配の限界距離 エドワード・ホール『かくれた次元』 www.necomi.net コミュニケーション的な距離感 •社会距離 •近接:個人的ではない用件がおこなわれる距離 •遠方:形式ばった対話の距離 •公衆距離 •近接:敏捷な人ならいざというとき逃げられる距離 •遠方:公的な機会に利用される距離 エドワード・ホール『かくれた次元』 www.necomi.net ネットワークコミュニケーションと距離感覚 「儀礼的無関心」(ゴフマン):居合わせ たひとが、無用の関わりを避けるための行 為 「無視」ではない 存在は認めるが、特別の関心は示さない www.necomi.net 〈場〉への参加 「読むだけ」のひと 「読むだけ」のひとがいることを想定した 文章 「書くひと」だけでは成立しない? www.necomi.net ことばと距離感 受け手による主観的な評価 ~さん,~氏 あなた 貴方,貴殿 www.necomi.net 匿名性について 名前の隠蔽 仮装(仮面)としての匿名:実名を隠しつ つ、他の名前をつかう 実名を隠していても、自己啓示はおこなわ れる → 人格の一側面のみでつきあう www.necomi.net 電子ネットワークでの距離の把握 〈場〉のメンバーに対してどのような 「間」をとるか 相手のメッセージによる親近感・嫌悪感を もとに距離を想像する(創造する) 報道文的 → 公衆距離? 感情表現(共感/反撥) → 個体距離? www.necomi.net “ネットワーク的”ということ ITと介護の問題:「けふ」 再度、ツバルの話 80代からのインターネット入門 なぜ、これらが「書かれる」のか 「書かれない」ことがらは何か www.necomi.net 「けふ」のサイト そもそもは、介護日記を公開するところか らスタートした(1999年) CD-ROMやギャラリー http://www.geocities.co.jp/HeartLandKaede/5160/ www.necomi.net 「ITと介護」というテーマ 自己の再発見 家族の関係の再編成 あたらしい能力の発見 ヒューマンネットワークの生成 地域社会とのつながり www.necomi.net 試行錯誤の連鎖として「学習」する あらかじめ「計画」されていたわけではな い 発見すること オープンであること メディアの特質 www.necomi.net ツバル国のこと .tvというドメインが国をつくる… ツバル国首相、Ionatana Ionatana氏のコメ ント「ツバルの資源は魚とコプラ(ココナ ツの実を乾燥した物で、石鹸の材料などに なる)で、これらはほんの少しのお金しか 生み出さない。dotTVとの合意は我々に経 済的な自立を与えてくれた。我々の国連加 盟はツバルが国際社会に参加したことを世 界に示すものだ」 www.necomi.net またdotTVのCEO、Lou Kerner氏は「イン ターネットがこれほど直接的に国家の発展 にインパクトを与えることなど滅多にな い」と喜びを隠さない。 www.necomi.net 本来であれば、インターネット環境を前提として、 ドメイン名が商品価値を持つ…という発想。 インターネットの整備 ドメイン名の意味 商品としての価値 www.necomi.net ドメイン名としての価値が先行し、それによってインフ ラを整備する。 ドメイン名の意味 商品としての価値 (たまたま) ccTLD インターネットの整備 www.necomi.net 80代からのインターネット入門 インターネットでひとを探す あたらしいヒューマンネットワーク じぶんとの電子的つながり 関係性の再確認・再発見 www.necomi.net “インターネット的” リンク シェア フラット 糸井重里『インターネット的』(PHP新書) www.necomi.net リンク リンクという発想 「問い」に対する「こたえ」ではない 偶然性・ゲーム性 きっかけ:一見不要な情報から、〈つなが り〉の可能性を見いだす 「はじまり」と「おわり」との関連性 www.necomi.net シェア “おすそわけ”という感覚 よろこびの感覚 あたらしい市場の創造 情報を「出す」からこそ、情報が「来る」 www.necomi.net フラット 無名性(匿名・匿顔性) ヒエラルキーの消失 順位づけの多様化 順位づけに対する個人の自由度 www.necomi.net 「あいだ」について考える デジタルとアナログの「あいだ」 環境と身体の「あいだ」 じぶんと他人(あるいは別のじぶん)の 「あいだ」 www.necomi.net デジタルとアナログの「あいだ」 リモートコントロール(たとえば、携帯電 話と物流が直結する) 電報(D-Mail) http://japan.internet.com/research/20010711/1. html http://japan.internet.com/busnews/20010709/3. html www.necomi.net 環境と身体の「あいだ」 身体により近いところでメディアと触れる 環境(まち)にメディアが装着される www.necomi.net じぶんと他人(あるいは別のじぶん)の 「あいだ」 ことなるネットワークへの帰属 ネットワークからネットワークへの移行 結節点(ターミナル) トランジット www.necomi.net 複数のシナリオ “ネットワーク”をめぐる議論のなかで、い くつかのシナリオが描かれる どれをえらぶか…たとえば: 「第3のメディア」としてのネットワーク 個人の活動ツールとしてのネットワーク 電子コミュニティとしてのネットワーク (江下『ネットワーク社会の深層構造』) www.necomi.net 「第3のメディア」としてのネットワーク {出版→放送}につづく「第3のマスメ ディア」 {郵便→電話}につづく「第3のパーソナ ルメディア」 公益事業的な性格づけ ユニバーサルサービスの発想 通信と放送の融合? www.necomi.net 個人の活動ツールとしてのネットワーク 個人や小集団による“スモールビジネス” 既存の産業になじみにくい業態 SOHO (Small Office, Home Office) www.necomi.net 電子コミュニティとしてのネットワーク カフェやサロン的な〈場〉 「情報縁」 第1次集団:地縁・血縁 第2次集団:社縁・結社縁(利害関係など) 中間集団としての位置づけ ボランティア www.necomi.net
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