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地球温暖化問題に対応した
エネルギー関連税制の在り方について
平成12年6月
通商産業省
1.国際的動向
(1)1990年代初頭、欧州諸国の一部(北欧・オランダ)では、地球温
暖化問題への対応を図るため、化石燃料の炭素含有量等に着目
して税負担を定める「炭素税」を導入。但し、税率水準等は導入国
間で異なり、導入後も数次の改正が行われている。(参考1)
(2)また、昨年にはドイツ及びイタリアにおいて、地球温暖化問題への
対応を掲げたエネルギー税制改正が行われ、イギリス及びフランス
においても地球温暖化問題への対応を企図した2001年からの新
税導入・税制改正が検討されている。(参考2)
(3)これら諸国においては、原料としての使用(コークス・ナフサ等)は基本
的に非課税とされているほか、産業競争力への配慮等の観点から、
国情に応じ、既存の燃料課税との調整や特定部門に対する減免措
置等が行われている。(参考3)
また、税収は一般財源とされているものの、実際には新税導入や
増税と合わせて社会保障負担の軽減を行う等、他の政策目的実現
のための措置と組み合わせられることが多くなっている。
参考1:欧州諸国における炭素税の現状
フィンランド
導入経緯
・改定経緯
オランダ
ノルウェー
スウェーデン
90炭素税導入(低率)
94炭素/エネルギー税に改定
(炭素税部分:エネルギー税部分 = 75:25)
97エネルギー税分離、税率引上げ
課税対象及び 化石燃料全般
税率(原則2000年) 約7000円/t-c
90炭素税導入(既存燃料環境税に追加) 91炭素税導入(高率)
91炭素税導入(包括的税制改革の一環)
92炭素/エネルギー税へ(炭:エネ=50:50) 93発電用燃料も課税対象に 93税率改定(産業用は家庭用の1/4)
96小口エネルギー消費者対象の
97税率改定(産業用を家庭用の1/2 等)
炭素/エネルギー税を追加導入
化石燃料全般/小口向けは一部化石のみ 化石燃料ほぼ全般
化石燃料全般
約2000円/t-c
炭素含有量に比例せず
約18000円/t-c (家庭用)
産 重油
業 軽油
用 天然ガス
一般炭
輸 ガソリン
送 軽油(自動車用)
家 軽油/灯油
庭 天然ガス
0.03357ギルダー(1.7円)/kg
0.02876ギルダー(1.4円)/l
0.02240ギルダー(1.1円)/m3
0.02428ギルダー(1.2円)/kg
0.02607ギルダー(1.3円)/l
0.02876ギルダー(1.4円)/l
0.02856ギルダー(1.4円)/l
0.02240ギルダー(1.1円)/m3
0.321マルカ(5.8円)/kg
0.269マルカ(4.9円)/l
0.103マルカ(1.9円)/m3
0.246マルカ(4.5円)/kg
0.239マルカ(4.3円)/l
0.269マルカ(4.9円)/l
0.269マルカ(4.9円)/l
0.103マルカ(1.9円)/m3
0.47クローネ( 6.2円)/l
0.47クローネ( 6.2円)/l
0.70クローネ( 9.2円)/m3(石油採掘時)
0.47クローネ( 6.2円)/kg
0.94クローネ(12.4円)/l
0.47クローネ( 6.2円)/l
0.47クローネ( 6.2円)/l
-
0.544クローネ( 6.8円)/kg
0.525クローネ( 6.6円)/l
0.396クローネ( 5.0円)/m3
0.456クローネ( 5.7円)/kg
0.850クローネ(10.6円)/l
1.049クローネ(13.1円)/l
1.049クローネ(13.1円)/l
0.792クローネ( 9.9円)/m3
電力
デンマーク
92炭素税導入(民生部門)
93産業部門も対象に(税率は1/2)
96制度改正(エネルギー多消費プロセスの税率軽
減、政府と省エネ協定締結した企業の税率軽減 等)
化石燃料ほぼ全般(ガソリン除く)
約6000円/t-c(家庭用)
0.32クローネ(4.7円)/kg
0.27クローネ(3.9円)/l
0.22クローネ(3.2円)/m3
0.24クローネ(3.5円)/kg
-
0.27クローネ(3.9円)/l
0.27クローネ(3.9円)/l
0.22クローネ(3.2円)/m3
0.10クローネ(1.5円)/kwh
※小口向け炭素/エネルギー税(「エネルギー規制税」)はより高税率 ※税率は各年の予算案で審議 ※税率は消費者物価指数に連動
灯油0.1743ギルダー(8.6円)/l、軽油(ガスオイル)0.1756ギルダー
(8.7円)/l、天然ガスは小刻み、最大0.2082ギルダー(10.3円)/m3
電力も小刻み、最大0.082ギルダー(4.0円)/kwh(800-1万kwh)
課税段階
特例措置
税収使途
製品輸入時又は製造地から 製造又は輸入時
運び出された時
石炭等の原料使用は非課税 石炭等の原料使用は非課税
発電用燃料は非課税
大規模天然ガス消費(1千万m3以上)
には軽減税率(0.0146ギルダー(0.7円)/m3)
エネルギー規制税(小口向け炭素/エネルギー税)
では発電用天然ガス非課税、
グリーン電力非課税、天然ガス
・電力ともに課税対象の上
限、下限を設定
一般財源(但し、97年の税率引上げ時に所得 一般財源(但し、小口向け炭素/エネルギー税導
税減税実施)
入時に所得税減税実施)
生産者・輸入者が小売業者
へ販売する時
石炭等の原料使用は非課税
製油所使用燃料・国際航空
・海運燃料は免除
紙パ及び水産加工業で使用
される石油製品は50%還付
一般財源(但し、導入時に所得税減税を実施)
生産又は輸入時
生産時
石炭等の原料使用は非課税
発電用燃料は非課税
国際航空燃料は非課税
産業用(製造業+温室園芸業)は家庭用
の1/2税率、 特定のエネルギー
多消費企業は課税額が売上
の0.8%超部分につき石炭・
天然ガスへの課税額を還付
石炭等の原料使用は非課税
発電用燃料は非課税
エネルギー多消費型生産工程等
に軽減税率(室内暖房用の25%:2000年)、
政府と省エネ協定を結んだ
企業にはさらに軽減された
税率を適用(室内暖房用の3%:2000年)
一般財源(但し、導入時に既存の燃料消費税、電力 一般財源(但し、税収分を主として社会保障費の低
消費税を引下げ)
減、一部を(2000年まで)省エネ投資補助に還流)
出所:IEA"ENERGY PRICES AND TAXES"、EU"Database on environmental taxes in the European Union Member States, plus Norway and Switzerland "、各国政府資料 等
為替レート(994Q平均):1FINM=18.2円、1NEDG=49.3円、1NORK=13.2円、1SWEK=12.5円、1DKM=14.6円
参考2:近年の欧州主要国における温暖化対策の観点からのエネルギー課税に係る取組
経緯・
制度概要
<税率>
重油
産 軽油
業 天然ガス
用 一般炭
電力
輸
送
家
庭
ガソリン
自動車用軽油
軽油/灯油
天然ガス
電力
ドイツ
イタリア
イギリス
フランス
○99年、広範な税制改革の一環 ○99年、温室効果ガス削減計画 ○99年、政府は温室効果ガス削 ○99年、政府は2001年より
として、「環境税制改革」を行い、 の一環として、個別燃料税(家庭用及 減のため、産業用のガス、石炭
汚染事業総合税(TGAP)を「産業
既存燃料税を引上げ、電気税を
び商業用)に上乗せさせる形で「炭素 及び電力消費を課税対象とする
の中間エネルギー」(財・サービスの生産のために使われ
新設。
税」を導入。
「気候変動課徴金」(課税標準はエネルギー量)の
るエネルギー)消費にも拡大することを表
2001年からの導入を表明。
明。
○当初税率は例えばガソリンで6ペニ ○新税導入予定の2005年まで税率 (なお、93年以降実施されていた
ヒ/lなどとされたが、2003年まで を毎年段階的に引上げ。
燃料税のエスカレーター(インフレ率+α%で増額)は停止) ○具体的な課税対象や税率につい
段階的に毎年引上げ。
ては政府部内で現在検討中。
(2000年:増税分及び新税を計上)
0.5ペニヒ(0.3円)/kg
12ペニヒ(6.7円)/l
0.32ペニヒ(0.2円)/kwh
-
2.5ペニヒ(1.4円)/kwh
12ペニヒ(6.7円)/l
12ペニヒ(6.7円)/l
4ペニヒ(2.2円)/l
0.32ペニヒ(0.2円)/kwh
2.5ペニヒ(1.4円)/kwh
(1999年:増税分を計上(石炭・天然ガス以外))
15.78リラ(0.9円)/kg
33.26リラ(2.0円)/l
20.00リラ(1.2円)/m3 (2005年目標)
41.80リラ(2.5円)kg (50MW以上の発電設備、2005年目標)
-
27.00リラ(1.6円)/l
34.00リラ(2.0円)/l
33.26リラ(2.0円)/l
4.00リラ(0.2円)/m3 (2005年目標)
-
(2001年度)
-
-
0.15ペンス(0.3円)/kwh
0.15ペンス(0.3円)/kwh
0.43ペンス(0.7円)/kwh
-
-
-
-
-
(2001年:政府提案)
150~200フラン(2500~3300円)/t-c
主な特例措置 ○石炭については、国内産炭地へ ○環境負荷の低い低硫黄軽油、低 ○政府提案では、家庭・運輸用エネ ○具体的措置は未定だが、政府は
の配慮から適用対象外。再生可能 硫黄重油は課税免除。
ルギー、発電等他エネルギー生産用燃料 エネルギー多消費産業への例外措置や
エネルギ-から得られる電力は税免除。
は非課税、再生可能エネルギー・良質コ 制度の柔軟な運用を考える旨表
70%以上のコジェネプラントも税免除。
○南部地域への軽減税率が一部存 ジェネによる電気等は免除。
明。
在。
○製造業者・農林業者について
○エネルギー多消費産業については政
は、一定以上エネルギーを用いた場合
府と省エネ協定を結んだ場合の80
の適用税率を20%とする等の軽減
%の軽減税率適用等の措置が検討
措置を実施。
されている。
税収使途
○税収は、主として社会保障負担 ○税収は、主に労働者のemploy- ○税収は、主に社会保険料の軽減 ○政府発表では、税収は社会保
引下げに還元。再生可能エネルギ ment charge 負担の軽減等へ充当 に充当、省エネ投資・再生可能エネ 障負担の軽減分に充当。
ー補助金にも一部充当。
し、環境投資にも一部充当。
ルギー支援にも一部充当。
(01年税収見込み:約1300億円)
(00年税収見込み:約7500億円)
(99年税収見込み:約1200億円)
(01年税収見込み:約1800億円)
導入効果
○政府は税制措置により今後6年 ○政府見込みでは2010年までに年 ○政府は温暖化防止行動計画の中
間で200万t-CO2(=55万t-c)の削 間200万t-cの削減。
で、新税により約580万t-cの追加
減が可能と予測。
的削減が可能との見込みを提示。
出所:IEA"ENERGY PRICES AND TAXES"、IEA"Energy Policies of IEA Countries ITALY 1999 REVIEW"、UK"CLIMATE CHANGE LEVY - INTERNATIONAL COMPARISONS:SUMMARY OF
THE POSITION OF EU MEMBER STATES" 他各国政府資料 等
為替レート(994Q平均):1DM=55.6円、1ITAL=0.06円、1UK£=171.3円、1FF=16.5円
参考3:欧州諸国の温暖化対策税の課税対象及び主な減免措置
※温暖化対策税:炭素税、炭素・エネルギー税、「環境税制改革」による増税・新税分
※斜線部分は、需要が存在しない又は殆ど存在しない分野
用途
エネルギー
石炭
重油
石油
軽油
/灯油
ガソリン
天然ガス
電力
発電用
(
フ
ィ
ドン
イラ
ツン
・
英ド
・
オ
(
政ラ
府ン
案ダ
)(
)小
口
向
け
)
・
ス
ウ
ェ
ー
デ
ン
・
デ
ン
マ
ー
ク
・
多
く
の
国
で
非
課
税
産業用(業務用含む)
輸送用
家庭用
ドイツでは石炭非課税
原料使用は非課税
各
種
軽
減
税
率
・
減
免
措
置
(ex.コークス、ナフサ)
産業用税率は家庭用の1/2、
多消費企業には税負担軽減
(スウェーデン)
エネルギー多消費生産工程に
は軽減税率、省エネ協定締
結でさらに軽減税率(デンマー
ク)
国際航空・船舶
燃料は非課税
紙パ・水産加工業は軽減税
率(ノルウェー)
一定以上エネルギーを用いた場
合に通常税率の1/5適用(独)
デンマークは非課税
政府と省エネ協定結べば通
常税率の1/5適用(英政府
案)
天然ガスは多くの国で相対的に低税率
オランダでは一定以上天然ガスを消費
した場合に軽減税率適用
(デンマーク、オランダ(小口向け)、独、英(政府案)
で電力消費課税)
再生可能エネルギーから得られる電力は非課税
(同左)
参考4:エネルギー価格・税額の国際比較①輸送用(ガソリン、軽油)
(円/L)
ガソリン価格・税額の国際比較(994Q 、IE A ヘ ゙ー ス )
(円/L)
140
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
120
自動車用軽油価格・税額の国際比較(994Q 、IE A ヘ ゙ー ス )
140
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
120
100
100
80
80
60
60
40
40
20
20
0
0
FIN
N ED
N O R SW E
D EN
G ER
UK
FR A
ITA
U SA
JP N
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994Qの無鉛プレミアムガソリン価格(日本はレギュラー)
FIN
N ED N O R
SW E
D EN
G ER
UK
出所:IEA“ENERGY PRICES & TAXES” 994Qの価格
※為替レート(994Q平均):1US$=5.73FINM=2.12NEDG=7.89NORC=8.33SWEC=7.17DENC=1.88DM=0.61UK£=6.32FF=1866ITAL=104.5円
※温暖化対策税:炭素税、炭素・エネルギー税、環境税制改革による既存個別消費税の増税分、他環境税:硫黄税等
FR A
ITA
U SA
JP N
参考4:エネルギー価格・税額の国際比較②産業用(重油、一般炭)
(円/G J)
産業用重油価格・税額の国際比較(994Q 、IEAベース )
産業用一般炭価格・税額の国際比較(994Q 、IEAベース )
(円/G J)
1000
VAT
1000
VAT
他環境税
900
温暖化対策税
個別消費税
他環境税
900
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
800
税抜価格
800
700
700
600
600
500
500
400
400
300
300
200
200
100
100
0
0
FIN
N ED N O R S W E D EN G ER
UK
FR A
ITA
U S A JP N
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994QのLow Sulphur Fuel Oil価格(SWEは97、UKは91各税抜価格
+最新税額)、994Q平均の為替レート、1KL=40162MJより換算
FIN
N ED
NOR
SW E
D EN
G ER
UK
FR A
ITA
U SA
JPN
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994Q価格(NED,SWEは91、NOR,GERは94、DENは95、
UK,FRA,JPNは993Q、ITAは991Q各税抜価格+最新税額)、994Q平均の為替レート、1t=26,000MJより換算
※為替レート(994Q平均):1US$=5.73FINM=2.12NEDG=7.89NORC=8.33SWEC=7.17DENC=1.88DM=0.61UK£=6.32FF=1866ITAL=104.5円
※温暖化対策税:炭素税、炭素・エネルギー税、環境税制改革による既存個別消費税の増税分、他環境税:硫黄税等
参考4:エネルギー価格・税額の国際比較③家庭用(軽油/灯油、天然ガス)
家庭用軽油(/灯油)価格・税額の国際比較
(994Q 、IEA ヘ ゙ー ス )
(円/G J)
3500
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
3000
家庭用天然ガス(/都市ガス)価格・税額の国際比較
(994Q 、IEA ヘ ゙ー ス )
(円/G J)
3500
3000
2500
2500
2000
2000
1500
1500
1000
1000
500
500
0
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
0
FIN
N ED
NO R
SW E
D EN
G ER
UK
FR A
ITA
U SA
JP N
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994Qの価格(UKは993Qの価格)、994Q平均の為替レートより換算
FIN
N ED
NO R
SW E
D EN
G ER
UK
FR A
ITA
U SA
JP N
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994Qの価格(NED,UKは992Q、GERは97、ITAは98各税抜価格
+最新税額、日本は99年の東ガス家庭用料金)、994Q平均の為替レートより換算
※為替レート(994Q平均):1US$=5.73FINM=2.12NEDG=7.89NORC=8.33SWEC=7.17DENC=1.88DM=0.61UK£=6.32FF=1866ITAL=104.5円
※温暖化対策税:炭素税、炭素・エネルギー税、環境税制改革による既存個別消費税の増税分、他環境税:硫黄税等
参考4:エネルギー価格・税額の国際比較④電力(産業用・家庭用)
(円/kw h)
(円/kw h)
家庭用電力価格・税額の国際比較(994Q 、IEA ヘ ゙ー ス )
産業用電力価格・税額の国際比較(994Q 、IEA ヘ ゙ー ス )
25
25
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
VAT
他環境税
温暖化対策税
個別消費税
税抜価格
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
FIN
N ED
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SW E
D EN
G ER
UK
FRA
ITA
U SA
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出所:IEA“ENERGY PRICES & TAXES” 994Qの価格(NEDは992Q、SWEは97、GER・FRAは98各税抜
価格+最新税額)、994Q平均の為替レートより換算
FIN
N ED
NO R
SW E
D EN
G ER
UK
FR A
ITA
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JP N
出所:IEA"ENERGY PRICES & TAXES" 994Qの価格(NED・UKは992Q、NORは91、SWEは97、GER・
FRAは98各税抜価格+最新税額)、994Q平均の為替レートより換算
※為替レート(994Q平均):1US$=5.73FINM=2.12NEDG=7.89NORC=8.33SWEC=7.17DENC=1.88DM=0.61UK£=6.32FF=1866ITAL=104.5円
※温暖化対策税:炭素税、炭素・エネルギー税、環境税制改革による既存個別消費税の増税分、他環境税:硫黄税等
2.検討の視点
ー総論
(1)地球温暖化対策においては、今後増勢に転じると予想されるエネ
ルギー消費(民生・運輸部門は景気低迷下でもエネルギー消費増加)の伸びを抑制し、
また、より環境負荷の低いエネルギーへの転換を促し、二酸化炭
素の排出を抑制することが大きな課題。
(2)その解決手段として、規制的手法や自主的取組と並んで経済的
手法があり、その一つとして「税制」が位置づけられている。
特に民生・運輸部門のように不特定多数の主体の行動変化が
求められている場合に、理論的には、他の政策手法に比してより
効果的に機能するとも言われており、部門毎の特性にも留意し、
他の経済的手法等とも比較しつつ、その有効性につき具体的な検
証を行っていくことが必要。
(3)欧州諸国の実状も十分に踏まえ、地球温暖化問題に対応したエ
ネルギー関連税制の在り方について、経済的手法の一つとして、
検討を行うこととする。
2.検討の視点
-① 二酸化炭素排出抑制効果
○最も重要なポイントは、二酸化炭素排出抑制効果。
-経済主体の選択に変更を加えるような効果が得られることが、合理的に
予見されるような仕組みを検討。
-二酸化炭素排出抑制効果のない、いわゆる財源対策としての増税は不適当。
(注1)従って、検討を行っていく際には、排出抑制効果を定量的に評価すること
が必要。(参考5)
(注2)二酸化炭素排出抑制効果は、経済主体が、①需要を抑制する、②より環
境負荷の低い燃料への転換を行う、ことの両者を含む。
(注3)①については、例えば民生・運輸部門の需要の価格弾力性は産業部門
に比して低いと言われており、具体的な検証を行う。
(注4)なお、税収を温室効果ガス排出抑制のために活用するとの議論があるが、
そうした制度設計を考える場合には、対策面の効果は、別途評価するこ
とが必要。
2.検討の視点
ー② 国際的な連携
○地球温暖化問題への取組においては、特定の国が自国産業に過重な
負担を負わせる制度を設ければ、製造拠点が負担の軽い海外に移転
することによって、世界全体で見た場合の二酸化炭素排出抑制効果が
改善しない可能性がある。
○また、産業部門を対象に含めて新規エネルギー課税又は既存エネルギー
税制の改変を行う場合には、エネルギー多消費産業を中心として我が国
産業の国際競争力が低下する可能性がある。
○従って、本来、先進諸国間での協調や国境税調整についての国際合
意等の国際的な連携を図ることにより、製造拠点の海外移転を防ぎ、
また、産業の国際競争力への影響を中立化することが望ましい。
但し、国境税調整については、技術的・制度的に困難が予想される
ことに加え、WTOルールとの整合性の問題も指摘されている。(参考6)
○なお、欧州各国での導入事例においては、産業部門に軽減税率を適用
したりエネルギー多消費産業に減免措置を設けたりすることによってこ
うした問題に対応しているものと考えられる。
2.検討の視点
ー③ 経済社会への影響
○新規エネルギー課税又は既存エネルギー税制の改変を行う場合には、生産
活動や家計所得への影響、マクロ経済への影響など、経済社会への
様々な影響が生じることが考えられる。
○従って、検討を行っていく際には、これらの影響を具体的に評価し、マイ
ナスの影響が評価される場合には、その軽減・回避のための方策につい
ても、欧州諸国の例等も参照しつつ、合わせて検討することが必要。
参考5:欧州諸国における温暖化対策税の主な導入効果評価
1.これまでの導入実績の効果評価
(1)スウェーデン(1995)
1987~1994年におけるCO2排出削減量800万t-cのうち、60%が炭素税導入によって
もたらされたと評価。(残りはエネルギー利用効率化・地域暖房集約化の効果)
(2)ノルウェー(1996)
1991-93年における炭素税のCO2削減効果は3-4%と評価。
最も効果が大きいのは紙パルプ産業(石油消費量は対BAU比21%減)。
2.主要諸国における将来効果分析
(1)イタリア:税導入により、今後6年間で約55万t-cのCO2排出削減が可能と評価。
(2)イギリス:税導入により、2010年までに約200万t-cのCO2排出削減が可能と評価。
(3)フランス:税導入により、2010年までに約580万t-cのCO2排出削減が可能と評価。
出所:European Environment Agency(1996),”Environmental Taxes”
UK DETR(1999),”The Climate Change Levy”
UK DETR(1999),”Climate Change Levy - International Comparisons: Summary of the Position of EU Member States”
French Gov.(2000),”National Programme for the Fight Against Climatic Change”
等
参考6:炭素税等の国境税調整措置とWTOルールとの関係
○国境税調整とは、
A国
輸出時に産品への課税の免除又は既払い税の払戻し、
輸入時に産品への(国内産品課税に対応した)課税、
外国
輸出産品免税/還付
を行うことによって、産品の消費国課税を(全体的
又は部分的に)実現する措置
輸入産品課税
○炭素税等の新規エネルギー課税を行う場合に、国内産品に課せられる税額相当分について、
国境税調整を行おうとすると、WTOルールとの関係で以下のような問題を惹起し得る
①輸出産品免税/還付:WTOルール上禁止されている補助金に該当するかどうか
→同種の国内産品(生産工程で投入する燃料部分も含む)に課される内国税を免除/還付することは補助金に当たらない(補助金協定)
→但し、調整対象の各産品について、生産工程を把握し、国内消費向けの税額を超えない調整税額を設定していく作業が必要
②輸入産品課税:WTOルール上求められている内国民待遇原則に反するかどうか
→同種の国内産品に課される内国税を超えない水準ならば許容(GATT2,3条)、但し、同種性は外形的特性に着目して判断される傾向
→燃料投入量等の生産工程に着目して、外形的特性が同一の産品に異なる調整税率を設定することは困難
→同種性に関する客観的な基準に基づき、細分化した品目毎に(生産工程は異なっても同一の)調整税率を設定することが必要
(但し違法リスクは残存)
③環境目的措置:WTOルール上認められている例外として考え得るかどうか
→「有限天然資源の保存に関する措置」は例外として認められており(GATT20条)、「大気」が「有限天然資源」に含まれるとの判例あり
→但し、「~に関する措置」と言い得るかどうかの目的と措置の関連性の要件、さらに措置の差別的適用等を禁じている20条柱書の
要件の解釈は極めて不透明であり、違法と判断されるリスクは残存