数学科教育論(7) 現行のカリキュラム 「生きる力」を育成 平成10、11年改訂、 平成14、15年度から実施 現行のカリキュラム −今回の改訂の基本的なねらい− 完全学校週5日制の下で,「ゆとり」の中で〔生きる力〕を 育成することをねらいとして、 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人として の自覚を育成。 自ら学び,自ら考える力を育成。 ゆとりのある教育活動を展開する中で, 基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充 実。 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学 校づくり。」 総合的な学習の時間の新設 ねらい (1)自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断 し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること (2)学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探求 活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の 考え方が出来るようにすること 授業時間数 小学3、4年:105、小学5、6年:110 中学1年:70〜100、2年:70〜105、3年:70〜130 高校(全体):105〜210」 指導時間の削減 小学校:5785時間→5367時間(7% 減) 国語 1607 →1377(14%減) 算数 1011 → 869(14%減) 中学校:3150時間→2940時間(7%減) 国語 455 → 350(23%減) 数学 385 → 315(18%減)」 算数・数学の授業総時間数の推移 改訂年 小学 算数 中学 数学 昭26 1951 年 818 時間 420 時間 昭33 1958 年 1047 385 選70 昭44 1969 年 昭52 1977 年 平1 1989 年 平10 1998 年 1047 1011 1011 869 (100%) (96.6) (96.6) (83.0) 420 385 385 315 (100%) (91.7) (91.7) (75.0) 高校数学の科目・単位数の変遷 昭26 昭30 昭35 昭45 平1 平10 一般数学 数学Ⅰ 5 6 ~9 数学Ⅰ 5 一般数学 数学Ⅰ4 6 数学Ⅰ4 数学基礎 2 解析Ⅰ5 数Ⅱ 3 数ⅡA 3 数学Ⅰ6 数Ⅱ 3 数Ⅱ 3 数Ⅰ 3 解析Ⅱ5 数Ⅲ 3~5 数ⅡB 3 数ⅡA 4 代幾 3 数Ⅲ 3 数Ⅱ 4 幾何 5 応用数学 数Ⅲ 5 3~5 数ⅡB 5 基解 3 数A 2 数Ⅲ 3 数Ⅲ 5 微積 3 数B 2 数A 2 応数 6 確統 3 数C 2 数B 2 応数 6 昭52 数C 2 中学校の指導内容の削減 削除されたもの A=B=C型の連立方程式(中2) 平方根表(中3) 平行移動、回転移動、対称移動(中1) 条件を満たす図形(中1) 立体の切断、投影(中1) x=h型のグラフ(中2) 数の表現(近似値、2進法、流れ図) (中2)」 高校へ移行されたもの 数の集合と四則(中1→数I) 1元1次不等式(中2→数I) 有理数、無理数の用語(中3→数I) 2次方程式の解の公式(中3→数I) 円の性質の一部(中3→数A) 相似な図形の面積比(中3→数A) 体積比、球の体積・表面積(中3→数 I) 三角形の重心(中2→数A) 散らばりの見方(小6→数学基礎、数B, 数C)・いろいろな事象と関数(中3→数 I) 余事象(中3→数A)・資料の整理、標 本調査(中3→数学基礎、数B,数C)」 高校:科目の内容/生きる力 数学 I 必修3単位 数学 II 選択4単位 数学 III 選択3単位 1 方程式と不等式 2 二次関数 3 図形と計量 1 式と証明・高次方 程式 2 図形と方程式 3 いろいろな関数 4 微分・積分の考え 1 極限 2 微分法 3 積分法 数学 A 選択2単位 数学 B 選択2単位 数学 C 選択2単位 1 平面図形 2 集合と論理 3 場合の数と確率 1 2 3 4 1 2 3 4 数列 ベクトル 統計とコンピュータ 数値計算とコン ピュータ 行列 式と曲線 確率分布 統計処理 数学Ⅰ、数学Aの内容 数 Ⅰ 現行(2003〜) 従前(1994〜) 1 方程式と不等式:数と式、一次不 1 二次関数:二次関数とグラフ,二次関数とそ 等式,二次方程式 2 二次関数:二次関数とそのグラ フ,二次関数の値の変化 3 図形と計量:三角比,三角比と図 形 の値の変化 2 図形と計量:三角比,三角比と図形 3 個数の処理:数え上げの原則,自然数の列, 場合の数 4 確率:確率とその基本的な法則,独立な試行 と確率,期待値 数 A 1 平面図形:三角形の性質,円の性 質 2 集合と論理:集合と要素の個数, 命題と証明 3 場合の数と確率:順列・組み合わ せ,確率とその基本的な法則,独立 な試行と確率 1 数と式:数,式 2 平面幾何:平面図形の性質,平面上の変換 3 数列:数列とその和,漸化式と数学的帰納 法,二項定理 4 計算とコンピュータ:コンピュータの操作,流 れ図とプログラム,コンピュータによる計算 「数学Ⅰ,A」記号・用語/ゆとり教育 数学Ⅰ ゆとり 1982~ (4単位) 判別式,虚数,i,複素数, 逆関数, sin,cos,tan 多様化 1994〜 (4単位) 数学A sin,cos,tan,nPr, nCr,階乗,n!, 余事象,排反 生きる力 (2単位) nPr,nCr,階乗,n!, 余事象,排反 高校数学:もう一つの科目「数学基礎」 数学基礎:2単位、数学Ⅰとの必修的選択 目標: 数学と人間の関わりや,社会生活において数学が果たしている役割 について理解させ,数学に対する興味関心を高めるとともに,数学 的な見方や考え方の良さを認識し数学を活用する態度を育てる。 内容: (1)数学と人間の活動 (2)社会生活における数理的な活動 (3)身近いな統計 「数学基礎」の内容 (1)数学と人間の活動 (2)社会生活における (3)身近な統計 数理的な考察 数量や図形等が人間の 活動に関わって発展して きたことを理解し,数学 に対する興味関心を高 める。 社会生活において数学 が活用されている場面や 身近な事象を数理的に 考察することを通して, 数学の有用性等を知り, 数学的な見方や考え方 を豊かにする。 目的に応じて資料を収集 し,それを表やグラフ等 を用いて整理するととも に,資料の傾向を代表値 を用いてとらえる等,統 計の考えを理解し,それ を活用できるようにする。 ア 数と人間 イ 図形と人間 ア 社会生活と数学 ア 資料の整理 イ 身近いな事象の数理 イ 資料の傾向の把握 的な考察 「数学と人間の活動」の内容 ア 数と人間 イ 図形と人間 ・数学史的な話題 ・記数法 ・分数の発達 ・和算数で扱われる話題 ・方程式や文字式等 ・数学史的な話題 ・三平方の定理 ・無理数に関する話題 ・円周率に関する話題 ・測量に関する話題 ・幾何の生い立ち ・アルキメデスの求積法 「身近な統計」の内容 ア 資料の整理 イ 資料の傾向の把握 ・棒グラフ,円グラフ ・資料の整理方法,帯グラフ ・度数分布表,ヒストグラム ・相関表,相関図 ・代表値,平均値,中央値, ・範囲,分散,標準偏差, ・標本調査の意味,最頻値, ・母集団と標本の関係 「社会における数理的な考察」の内容 ア 社会生活と数学 イ 身近な事象の数理的 な考察 ・預貯金やローン ・単利法と複利法の比較 ・元利合計,積立預貯金 ・水道,電気料金等 ・方程式や文字式等 ・球の体積,表面積 ・くじ引き,黄金比,折り紙 ・路線図のネットワーク ・フィボナッチ数列
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