今後の雇用均等行政について

男女平等関連の法制度の改正について
改正次世代法・改正パート法は2015年4月1日より施行
マタニティハラスメントに関する最高裁判決は2014年10月23日
マタニティハラスメントに関する通達は2015年1月23日発出
2015年6月男女平等月間 学習会資料
連合 総合男女平等局
1-1.改正次世代育成支援対策推進法への対応
~改正次世代法の概要:改正のポイント~
1.法律の延長(法律の改正): 2015年4月1日から2025年3月31日まで10年間延長
2.行動計画策定指針への内容の追加(指針の改正):
(1)非正規雇用の労働者が取り組みの対象であることを明記
(2)働き方の見直しに資する取り組みを進めることが重要である旨を明記
3.計画の策定・届出に代えた実績公表の枠組みの追加(法律の改正):
現行の行動計画の策定・届出義務の枠組みを維持しつつ、男性の育児休業取得や、女性の継続就
業などについて高い水準の取り組みを行っている企業(新たに「特例認定」を受ける企業)につい
ては、行動計画の策定・届出に代えて両立支援の取り組みの実績を公表する枠組みを追加
4.現行の認定制度の充実(省令の改正):
(1)男性に育児休業取得に係る基準について中小企業の特例を拡充
(2)女性の育児休業取得に係る基準の見直し
(3)働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置に係る基準の見直し
5.特例認定(「プラチナくるみん」)制度の創設(法律・省令の改正):
特例認定制度については、現行の認定基準より高い基準を設けるとともに、現行の認定基準
にないものを追加
(1)男性の育児休業に係る基準について、高い基準を設ける
(2)働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置について、一定の条件の下で
数値目標を定めて実施し、達成することとする
(3)女性の就業継続に係る基準を新設する【追加】
(4)育児をしつつ活躍する女性を増やすための取り組みに係る基準を新設する【追加】
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1-2.改正次世代育成支援対策推進法への対応
~改正次世代法行動計画策定にあたっての労働組合の取り組み①~
①「改正次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定の取り組みについて」
(連合第16回中央執行委員会/2015.1.22確認)
1.連合本部における具体的な取り組み
改正次世代法に基づく「行動計画」策定のための手引き書を策定し、連合ホームページに掲載す
ることで、連合内の考え方を広く社会に発信するとともに、構成組織・加盟組合に周知・浸透する。
2.構成組織における具体的な取り組み
構成組織は、連合作成の「行動計画手引書」を学習会、インターネット、機関紙などを通じ周知
をはかるとともに、2015年4月1日の改正法施行にあわせた行動計画策定に労働組合として積極
的に関与するよう、加盟組合に以下の取り組みを促すこととする。
(1)「行動計画」策定のための労使協議の場の設置により、積極的な関与を促進する。併せて協
議の場には女性が必ず1名以上参画させる。
(2)組合員の意見聴取(アンケート含む)を実施し、企業・団体が作成する「行動計画」に反映
をはかる。意見反映の際には、特に下記について重視する。
①取り組む課題、目標、実施時期を決める。
②「行動計画」を推進するためのフォローアップ体制を整備するとともに、現行の行動計画の
点検・評価を行い、新たな行動計画策定につなげる。
(3)組合員(従業員)に向けた「行動計画」周知や学習会などの場を設ける。
(4)「行動計画」に盛り込まれた制度については、労働協約化を図る。
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1-3.改正次世代育成支援対策推進法への対応
~改正次世代法行動計画策定にあたっての労働組合の取り組み②~
②「改正次世代育成支援対策推進法「行動計画」策定のための手引き(改訂版)
(連合ホームページ“男女平等”およびRengo-Net“働く女性”ページに掲載済み)
1.はじめに
2.次世代育成対策支援推進法とは
(1)法律の概要 (2)事業主行動計画の策定について(①一般事業主、②特定事業主)
(3)改正のポイント
3.労働組合の取り組みの要点
行動計画をより現場に即した実効性のあるものとするためには労働組合が行動計画策定に積極的
に関与することが必要
(1)計画の策定を要求する(法律では101人以上の企業に行動計画策定・提出が義務づけ)
企業規模にかかわらずすべての組織で行動計画を策定するよう労働組合から働きかけを行う
(2)労使協議による計画策定
組合員が利用しやすい、現場のニーズをふまえた計画を策定するため、計画策定段階から労使
協議を行う
(3)企業内のすべての労働者を対象とした計画策定を
有期契約労働者やパートタイム労働者を含めたすべての労働者を計画の対象とする
(4)行動計画の内容を協定化
(5)計画の進捗管理
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1-4.改正次世代育成支援対策推進法への対応
~改正次世代法行動計画策定にあたっての労働組合の取り組み③~
②「改正次世代育成支援対策推進法「行動計画」策定のための手引き(改訂版)
4.行動計画策定の流れと労働組合の具体的な取り組みのポイント
行動計画策定から認定までの流れについて、各段階における法律の規定や、労働組合の取り組み
ポイントをまとめたチェックシートを記載
【参考資料】詳細説明資料を掲載(A.計画策定の体制づくりのポイント、B.現状把握のための実態調査のポイント、C.計画期間・
目標設定に 関するポイント、D.計画の進捗管理と認定制度の利用に関するポイント等)
・現場の実態やニーズを知る労働組合が、行動計画の策定に参画することが重要
・連合手引きや厚生労働省リーフレットを活用し、積極的に事業主に対して働きかけを行いましょう
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2-1.改正パートタイム労働法への対応
~改正法のポイント~
1.パートタイム労働者の公正な待遇の確保
(1)正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
①職務内容が正社員と同一、②人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、
であれば有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別敵取り扱いが禁止
(改正により「③無期労働契約を締結しているパートタイム労働者」要件が削除)
(2)「短時間労働者の待遇の原則」の新設
パートタイム労働者と正社員の待遇を相違させる場合、その相違は「職務の内容、人材活用の
仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」とする広くすべ
てのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設
2.パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
(1)パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設
事業主が実施する雇用管理の改善措置の内容について説明することが義務づけ(「賃金制度はどう
なっているのか」「どのような教育訓練や福利厚生施設の利用機会があるか」等)
(2)説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止
(3)パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備および周知の義務の新設
その他、親族の葬儀などのために勤務しなかったことを理由とする解雇などについて適当ではない
と明記etc
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2-2.改正パートタイム労働法への対応~労働組合の取り組み~
【1】連合・改正パートタイム労働法を職場にいかす取り組み指針①
(連合第13回中央執行委員会/2014.10.17確認)
<構成組織の取り組み>
改正法に基づき調査・点検を行うミニマム運動課題と、法を上回る要求として積極的に労働協約化に取り
組む課題の2段階の取り組みとして推進
1.改正法にもとづく調査・点検を行う(ミニマム運動課題)
(1)文書交付における相談窓口の記載の点検(施行規則第2条)
(2)「待遇の原則」にもとづく待遇分析・調査(法第8条)
(3)差別的取扱い禁止の対象となるパートタイム労働者についての調査・点検(法第9条)
(4)賃金の点検(法第10条)
(5)雇い入れ時の待遇等に関する説明についての点検(法第14条第1項)
(6)説明を求めたことに対する不利益取扱いの禁止(指針第3の3の(2))
(7)相談窓口の整備に関する点検(法第16条)
(8)忌引休暇等に関する点検(指針第3の3の(3))
2.法を上回る要求として積極的に労働協約化に取り組む課題
(1)パートタイム労働者固有の制度整備(雇い入れ時の待遇説明の文書化、正社員転換制度導入など)
(2)正社員と同様に適用されるべき労働条件の整備(例:休日・休暇制度、通勤手当など)
(3)働き方を考慮した制度整備(一時金・退職金、教育訓練、福利厚生など)
(4)いわゆる疑似パートについての対応
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2-3.改正パートタイム労働法への対応~労働組合の取り組み~
【1】連合・改正パートタイム労働法を職場にいかす取り組み指針②
<構成組織の取り組み(つづき)>
3.パートタイム労働者の処遇決定への参加を促進
(1)パートタイム労働者の組織化をすすめるとともに、実態や要望をふまえたパートタイム労働者の処遇
に関する事項(賃金改定、処遇制度、福利厚生、就業規則等)に取り組む
(2)パートタイム労働者の賃金改定の要求づくりや、労働協約見直し等の処遇決定に組合が参画する
<取り組みの進め方>
1.連合本部
(1)チェックシートを作成し、構成組織・地方連合会の取り組みを支援する
(2)パートタイム労働者の処遇を調査し、結果にもとづいた取り組みを検討する
2.構成組織
(1)連合取り組み指針をふまえ、構成組織の方針やガイドラインを決定し、単組へ周知徹底を図る
(2)通年の取り組みと春季生活闘争における取り組みを可能な限り区分して、単組の取り組み強化を図る
(3)学習会などの開催により単組の支援を行う
(4)連合取り組み指針やチェックシートを活用した調査・点検を実施し、単組における労使協議を支援する
3.地方連合会
連合取り組み指針などを活用した学習会の開催など、周知・啓発に取り組み
連合の取り組み指針やチェックシートを活用し、自組織のパートタイム労働者の対応に問題がないか
職場点検を行い、必要に応じて改善を求めていくことが重要
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3.マタニティハラスメントについて
~最高裁におけるマタハラに関する事件の概要~
•
男女雇用機会均等法九条三項違反
2014年10月23日 最高裁判決
•
妊娠・出産を理由とした不利益取り扱い(降格等)を禁止した均等法九条三項に具体的
に言及した判決がされた。
事件の概要
•
原告は病院で平成6年より理学療法士として勤務しており、平成16年に副主任となる
•
第1子を出産後、職場復帰、副主任として訪問リハビリチームに異動した。
•
平成20年2月、第2子を妊娠、軽易な業務への転換を請求した(労基法65条3項に基づき)
•
病院は、原告を副主任から降格し、育児休業終了後も副主任には任ぜられなかった。
•
原告はこれを不服とし、均等法9条3項に違反する無効なものであると主張し、副主任手当の支払
い及び責務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求める訴訟を提起した。
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3.マタニティハラスメントについて
~マタハラ最高裁判決の概要~
• 均等法9条3項は、女性労働者についき、妊娠、出産、産前休業の
請求、産前産後の休業その他の妊娠・出産に関する事由であって
厚生労働省令で定めるものを理由として解雇その他の不利益な取
り扱いをしてはならない旨を定める。
• 厚生労働省令では、「妊娠又は出産に関する事由」として、労基
法65条3項の規定により他の軽易な業務に転換したことを規定して
いる。
• このような均等法の規定の文言や趣旨等に鑑みると、均等法9条3
項の規定は、これに反する事業主に措置を禁止する強行規定とし
て設けられたものと解するのが相当であり、同項に違反する行為
は違法であり無効である。
3.マタニティハラスメントについて
~マタハラ最高裁判決の意義~
• 当事者の女性労働者が声を上げたことは、法や制度が実効
あるものとし、「マタハラ」をなくす大きな1歩であり、働く女性
に勇気を与えるものである。
• 軽易業務への転換を「契機」として降格することは原則違反
をしたことである。
• 育休後の復帰をめぐる問題に補足意見
育児・介護休業法10条も均等法9条3項同様に強行規定
であるとされ、慎重に判断するべきとした。
3.マタニティハラスメントについて
~マタニティハラスメントに関する新たな通達(2015年1月23日発出)の内容~
法律が禁じるいわゆる「マタニティハラスメント」とは?
以下のような事由を理由として
【妊娠中・産後の女性労働者の…】
・妊娠、出産 ・妊婦検診などの母性管理保護措置 ・産前・産後休業
・軽易な業務への転換 ・つなわり、切迫流産などで仕事ができない、労働能率が低下
・育児時間 ・時間外労働、休日労働、深夜業をしない 等
【子どもを持つ労働者の…】
・育児休業 ・短時間勤務 ・子の看護休暇 ・時間外労働、深夜業をしない 等
以下のような不利益取扱いを行うことは違法
不利益取扱い(例)
・解雇 ・雇い止め ・契約更新回数の引き下げ
・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容の変更の強要
・降格 ・減給 ・賞与などにおける不利益な算定 ・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令 ・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする
なお、「理由として」とは、事由の終了から1年以内、あるいは定期的な人事異動などの場合に
は事由終了後から最初のタイミングで、不利益取扱いがなされた場合は、「理由として」不利
益取扱いがなされたものと原則見なされます。
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