DNAの変異の種類

生物学Ⅱ 3回目
 DNA変異のしくみ(続き)
 変異の修復
 減数分裂
DNAの変異の種類

塩基消失
酸や熱でプリンが除去される
1細胞あたり10の4乗個のプリンが除去される
DNAグリコシラーゼにより変異した塩基は除去される
塩基変更
電離放射線、アルキル化剤
 ヌクレオチドの欠失・挿入
色素などの挿
入剤が組み換えや複製中にヌクレオチドの欠
失・付加を引き起こす
 ピリミジンの結合 紫外線照射により二量体形
成 (チミン二量体)

化学変異
点変異
一つの塩基対が他の塩基対に置き
換わる
 転位(トランジション)プリンがプリン
ピリミジンがピリミジン
 転換(トランスバージョン)プリンがピリミ
ジンに置き換わる
 挿入・欠失変異
一つまたはそれ以上の塩
基対が挿入されるか除去される

アルキル化剤




アルキル化
アルキル基を結合させる
アデニンとグアニンはアルキル化されやすい
アルキル化された塩基は高頻度で誤った塩基と対合
する
メチルグアニンはチミ
ンと
ジメチル硫酸、ジメチルニトロソアミン
肉や魚にふくまれるジメチルアミン
亜硝酸イオンが結合すると生じるジメチルニトロソアミン
ジメチルアミンは未加工の肉・魚に含まれ、魚を焼くと急激に増加することが知られています。

ですから焼き魚と漬物の組み合わせは胃の中でジメチルニトロソアミンを発生させる組み
なります。

ジメチルニトロソアミンはタバコの煙にも含まれ、特に副流煙に多いことが知られていま
インターカレーション
二重らせん構造内の塩基対の層状の積み重な
りの間に入り込む
 DNA構造にひずみ
 塩基対がのぞかれるか 新しい塩基挿入
 塩基の挿入・除去はフレームシフトを起こす
 アクリジン色素が入る

DNAの酸化






DNAの酸化的損傷の蓄積
老化の要因
尿中に大量の修飾塩基を排泄する動物の寿命は短い
酸化的損傷を防ぐ能力が個体レベルで落ちている
活性酸素 グアニン→ヒドロキシデオキシグアニン
(HdG)
グアニンはアデニンと塩基対を形成す
るようになる(トランスバージョン)
尿中にHdGの排泄量多い動物種は短命 齧歯類は人の
百倍
HdGの修復酵素を壊した動物は発ガン率が高い
酸
化ストレス指標
DNA修復
 損傷の直接的・可逆的な修復
 除去修復
 組換え修復
損傷の直接復元
光回復酵素 フォトリアーゼ (図16-4)
ピリミジン二量体に結合
300~500nmの光 吸収
励起エネルギーにより開裂
 アルキルトランスフェラーゼ

メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ
アルキル基を自身に転移
塩基一個の除去
 DNAグリコシラーゼ
(図16-5)
グリコシド結合切断
塩基を
切り離す
 DNAポリメラーゼにより正しい塩基が埋
められる
除去修復(図16-6)
紫外線や変異原物質による不適切な化学的付
加体を除去
 UvrA-UvrB複合体 無傷の領域に結合
ゆが
みを識別するまでDNAらせん上を移動
移
動にはATP必要
 DNA切断にはUvrCタンパクが必要
 ヘリカーゼが解きほぐす
 DNAポリメラーゼが隙間を埋める
 リガーゼがつなぎ合わせる

組換え修復(図16-7,16-8)
完全な相補鎖の必要な修復(どんな時か考え
てみよう!)
 無傷のもう一方の娘二本鎖を用いて補充する
RecBCDタンパク質複合体によりDNAが切断さ
れ、相同なDNAと鎖が交換される(組換え)
DNAはつなげられる
 回復した無傷の相補鎖を用いて除去修復を行
う。

色素性乾皮症
皮膚細胞がDNAのUV障害を修復できない
 常染色体の劣性遺伝病
 正常なヒトの2000倍
皮膚ガンになりやす
い
 除去修復関連の遺伝子 欠損

考えよう!
 DNAにウラシルが使われないことにはど
のような生物学的意義があると考えら
れるか!
 ヒント もし、DNA中にウラシルが使用
されていたら、不都合は起こるかシュ
ミレーションしてみよう。
減数分裂
合体
受精卵 DNA量を一
定に保つ必要性(図17-1)
 二組の染色体の組をもつ 二倍体生物
 精子と卵は一倍体
 染色体の数を減らす機構必要
 精子と卵