Proxy Mechanism of Multiplexing TCP Connections over Satellite Internet 衛星インターネットにおけるTCPコネクション多重化のための プロキシ機構に関する研究 ソフトウェア科学分野 村田研究室 幸田守弘 研究の背景 インターネットユーザの増大、トラヒックの増加 ネットワーク帯域の向上 • バックボーンネットワーク: WDM等 • アクセスネットワーク: ADSL, FTTH等 物理的なケーブル敷設が困難な地域 • 離島、過疎地域など 通信衛星を使ったインターネットサービスの登場 衛星インターネット 静止軌道衛星 地上回線 (インターネット) 衛星回線 送信側端末 送信側地上局 36000km、300ミリ秒 地上回線 (インターネット) 受信側地上局 受信側端末 衛星インターネットの問題点 TCPスループットの低下 • 伝播遅延時間が非常に大きい TCPコネクションのウィンドウサイズの増加速度が遅い • 帯域遅延積が大きい TCPコネクションが使い切るまでに長い時間がかかる • Webサービス等、転送データサイズが小さい時に より大きな影響が出る ウィンドウサイズが大きくなる前に転送が終了 これまでの改善方式 TCPの拡張機能を利用 • Path MTU Discovery, Window Scale Option • 衛星回線のみで使用されることを前提 コネクション分割 • i-TCP, w-TCP • 無線回線と有線回線で分割 • 衛星回線は考慮されていない ほとんどの方式は、送受信端末の改変が必要 • 実装が困難 • 未実装の端末との不公平性の発生 研究の目的 衛星インターネットにおけるTCPスループット 低下を防止 TCPプロキシ機構の提案 • コネクション分割 • コネクション多重化 • 衛星回線に適した輻輳制御方式 • 送信側地上局におけるバッファリング機構 コネクション分割 送受信端末間のTCPコネクションを3本に分割 • 送信側・受信側地上コネクション • 衛星コネクション • 地上コネクションが衛星コネクションの影響をうけない 従来方式: 1本のTCPコネクションでデータ転送を行う 送信側地上コネクション 衛星コネクション 受信側地上コネクション 提案方式: 3本にコネクションを分割 コネクション多重化 送信側地上コネクション 衛星コネクション 受信側地上コネクション 従来方式: 全ての分割コネクションでトランスポートプロトコルとしてTCPを用いる SCTPコネクション 従来方式: 衛星コネクションにおいてトランスポートプロトコルとして SCTPを用いてTCPコネクションを多重化 SCTP (Stream Control Transport Protocol) • 複数のストリームを1本のコネクションで送信できる 衛星回線のスループットの向上 • 大きなウィンドウサイズを使うことができる 輻輳制御方式の比較 TCP Reno TCP Vegas 50 パケットロス Window Size (packets) Window Size (packets) 50 40 40 30 30 20 20 10 0 パケットロスは発生しない 10 1200 1400 1600 1800 2000 0 Time (msec) 500 1000 1500 Time (msec) TCP Renoに基づいた輻輳制御方式 • 輻輳制御にパケットロスが必要 TCP Vegasに基づいた輻輳制御方式 • コネクションが1本の場合に高い性能を示す • 理想的に動作すると、パケットロスが発生しない 2000 送信側地上局におけるバッファリング機構 地上回線と衛星回線の速度差 • 地上局でバッファ溢れによるパケット廃棄が発生 • スループットの低下 パケット廃棄を回避するバッファリング機構 • ラウンドロビンアルゴリズムを利用 • 送信バッファが一杯になれば、パケットの取得を停止し、送信側端末 からのパケット転送を抑止する 地上TCPコネクションの 受信バッファ 衛星SCTPコネクションの 送信バッファ ラウンドロビン 性能評価 送信側端末: 10台 受信側端末: 10台 送信側地上回線 10Mbps,20msec 受信側地上回線 10Mbps,20msec 衛星回線 2Mbps, 300msec 衛星回線のスループット 2 "multi-reno" "multi-vegas" "single.txt" "split.txt" 1.5 1 0.5 0 0 50 100 Buffer Size [kB] 150 200 コネクション間の公平性 2 1 "1-110" "2-110" "3-110" "4-110" "5-110" "6-110" "7-110" "8-110" "9-110" "10-110" 1.5 Throughput [Mbps] 1.5 Throughput [Mbps] 2 "1-110" "2-110" "3-110" "4-110" "5-110" "6-110" "7-110" "8-110" "9-110" "10-110" 1 0.5 0.5 0 0 50 100 150 200 0 0 Time [s] 50 100 150 200 Time [s] 2 "1-110" "2-110" "3-110" "4-110" "5-110" "6-110" "7-110" "8-110" "9-110" "10-110" Throughput [Mbps] 1.5 1 "1-110" "2-110" "3-110" "4-110" "5-110" "6-110" "7-110" "8-110" "9-110" "10-110" 1.5 Throughput [Mbps] 2 1 0.5 0.5 0 0 0 0 50 100 Time [s] 150 200 50 100 Time [s] 150 200 まとめと今度の課題 衛星インターネットのためのTCPプロキシ機構の提 案 • 地上回線のスループット低下の防止 • 衛星回線のスループット向上 シミュレーションによる性能評価 • スループット、公平性の維持 • 最大ウィンドウサイズの設定問題を回避 今後の課題 • 送信側地上TCPコネクションでの異なる状況を考慮した 不公平性の改善
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