GroupVII members: 121273牧野臨太郎 121071 芳賀琢磨 092010清水美和 111223 近藤杏子 111282 森本久美子 111503 塚本拓也 121013 秋池愛 121319 茂呂宗仁 121509 菅原有紗 なぜ中国か?なぜこの問題の切り口をこれらのトピックに選んだのか? 中国は現在、世界で最も早いペースで開発が進んでいる、経済発展のめざましい国です。イマニュエル・ウォーラースティンが著書『近代世界システムThe Modern World-System』で述べている、グローバル 規模で分業のような体制を持つ近代世界システムの中核、半周辺、周辺三種類の発展段階のなかで、かつては半周辺的な位置にあった中国。しかし今日では次世代の中核になろうとしています。GDPは急激 に上がり、国民の生活の質も向上している、その裏には開発に伴って発生している様々な分野に渡る大規模な環境汚染があります。 この環境問題に我々のグループは都市部と農村部で問題とされているトピックを、特に興味深いものを選び、リサーチすることで、さまざまなファクターが複雑にからみあう因果関係を解きほぐし、有効な解決 策を提示できていると考えました。 中国における環境問題の調査を通して気づいたことは、環境問題と社会問題は密接に絡み合っているということです。両者の問題は、複雑な因果関係のネットワークを作りながら結びついて、国家レベルに おける全体的な問題を作り上げています。したがって、環境問題を理解するためには、エネルギー問題などのソシオロジカルな文脈を理解することが重要であるということを示すために、私たちは、mind mapを 作成することで因果関係のネットワークを視覚化し、理解しやすい形で提示することにしました。 中国―そこで起きている開発と環境問題 発展途上国、特に中国の開発に伴って発生する環境問題の相関図 ②&③ ⑨ ⑤ ⑧ ① ④ ⑦ 地図の解説: 1980年前後に開始された「改革開放」路線によって、グローバル資本主義は、沿岸 部の都市を中心に中国における開発を開始した。現在までで最も経済開発が顕著に 進んでいるのが北京、上海など東部の大都市であり、世界システムの拡大に伴って開 発の波は東部から西部に向かって広がっている。それにしたがい、水力発電をおこなう ための「三峡ダム」の建設などをはじめとする「西部大開発」と呼ばれる大規模な国家 プロジェクトが、中国西部で進行している。 現在では、開発は全国的規模で行われていようとしているが、それに伴い、さまざま な環境汚染が各地で進行しつつある。環境汚染のもっとも大きな原因は、中国のエネ ルギー供給が、安価である石炭にたよっていることに由来している。石炭は、中国の一 次エネルギーのなかで3分の2以上を占めているが、そのために石炭の産出地である 山西省を中心にして大気汚染が拡大している。大規模な石炭の使用によって、大量の 二酸化炭素が排出され、それが結果として地球規模での温暖化の一因ともなっている。 ⑥ ①原子力発電 利点: 1.CO2排出量ゼロ-発電の過程において二酸化炭素を排出しない。 2.ごく少ない量で発電が可能-化石燃料と比べて発電に必要な資源量が少ない 3.安定したエネルギー供給-一度ウラン燃料を原子炉に入れると3~4年間は取り替えずに 発電できること、ウランがオーストラリア、カナダ、カザフスタンを始め、比較的 広い地域に分布していることにより供給が安定している (潜在的)欠点: 1.放射性廃棄物-使用済み燃料の処理方法には再利用可能なウランやプルトニウムを取り 出してMOX燃料(Mixed Oxide Fuel)として再利用する方法と再処理をせずに 処分する方法がある。 再処理を行わずに直接処分した場合、使用済み燃料 そのものがウラン、プルトニウム等の放射性物質を含んだまま高レベル放射性 廃棄物となる。再処理を行った場合に比べ多量の廃棄物が発生し、その処理 に必要な空間も広大になる。使用済燃料を再処理・回収することにより処分す る高レベル放射性廃棄物の量を1/3~1/4程度に減らすことが可能。中国では 再処理を施している。 2.放射性廃棄物の放射能漏れの危険性-放射性廃棄物の扱いには細心の注意が必要。又、 外部によるチェックも有効。また発電所の老朽化によりリスクは高まるので定 期的チェックの必要性も。 3.出力調整ができないため電力需要の変化にすばやく対応できない-例えば、昼間の高い 電力需要を満たせるように原子力発電所を造った場合、電力需要が比較的低 い夜間には必要以上の電力を作ってしまうことになる。逆に夜間の需要を満た せるように造ると昼間には電力不足になり出力調整が可能な火力発電も利用 しなくてはならなくなる。そうすると維持費がかさむ-バランスが大切。 4.劣化ウランの軍事利用の危険性-中国は既に核兵器を所有しているため、原子力発電の 技術が軍事利用され新たな核所有国が生まれる危険性は低い。だが、ウラン 濃縮時にできる劣化ウランを劣化ウラン弾として使用されてしまう危険性はあ る。 ⇒原子力発電に伴うリスクを最小限に抑えるためには政府や民間組織による定期的なチェッ クが必要である。 ②三峡ダム‐水質汚染問題隠蔽 ③三峡ダム 「環境汚染の深刻さと、深刻な公害隠し」 淮河—黄河と長江の中間にある 1993-1995 淮河で大きな汚染事件が相次ぎ、アンホイ省の支流地域ではがんが多発 1994~ 厳しい規制を行う汚染対策を行い、全国のモデルに 2004 淮河最大の支流であるシャーイン河で水が汚染されていて、150キロもの汚水の 帯となり、3億元を超える経済的損失 ↑ シャーイン河の汚染された水が灌漑用水、井戸を経由し、村民に飲用され、健康被害を 起こした。この地域の水は、消化器系のがんを起こす硝酸塩窒素と、神経系に悪影響を 及ぼす満願の濃度が高い 上流にある化学調味料工場が汚染源?→より深刻なのは、淮河汚染対策が始められ て10年経つのに、汚染状況は改善していないということ 「中国の環境問題の深刻さの本質→深刻な公害隠し」 地方行政は財政を大規模な工場に依存し、600億円元を超える対策を進めた中央の環 境保護行政の批判につながるため、汚染は基本的に改善し、悪化があるとしても小規 模な製紙工場の違法な操業・排出が原因という公害隠し 「三峡ダムの問題」 巨大な人口水面の出現による生態系や気候の変化 上流からの土砂の体積や汚染物質による富栄養化と下流の土壌劣化 水没地域にあった化学工場や病院の跡地からの有害物質や病原菌などの流出 自然文化遺産の水没、生物種の減少や絶滅、有害寄生虫の繁殖 着工の問題点 1980年代に検討が始まる →1989年春の民主化運動では、三峡ダム建設構想や、構想を推進する首相の李鵬も 批判される →しかし、6月4日の天安門事件で民主化運動が弾圧され、一般世論が 三峡ダムを批 判するのは難しくなる →1992年の全国人民代表大会の評決で三分の一もの反対意見が出たのに、建設は決 議される(公然の批判が不可能に) Background: ⑤環境意識 ⑥都市と農村の格差 中国都市部の人々の環境に対する意識は,ゴミのポイ捨てや世論調査に見られるように,一 般的に低いといえる. 中国の農村における工業化と農村、その他の非農業産業の発展は労働力の移動と経済 成長において重要な役割を果していた。しかし、経済成長をもたらすとともに都市と 農村の隔たりを明確化してしまうことになった。また、その隔たりにより都市部・農村 部間の人口移動や経済格差をもたらしてしまった。 ・ゴミのポイ捨て例 歩いていれば紙ゴミからプラスチックまで何もかもを路上にためらいもなく投げ捨てる.家と家 の間の狭いスペースも,窓から投げ落とされたであろうゴミが散乱している.歩いていてビルの 上から目の前にゴミの入った袋が落ちてきたこともある.私の友人は3階の自分の部屋から火 のついたタバコを外の道路に投げ捨てる. それらについて私が問うと,みんな口をそろえたように「しょうがない」「構わない、気にするな」 と言うのです (『中国の環境問題』-急速な経済発展の裏側で-日本青年派遣団 東真一郎) ・世論調査 国家環境保護総局が指導し中国環境文化促進会が制定した環境保護指数「中国公衆環境保 護民生指数(2006)」の世論調査を基にしたデータが中国国民の環境保護への関心の低さを 示す結果となった。 これは中国国民の環境保護意識と行動の「バロメーター」ともいえる。 国民の環境保護意識の全体的な得点は57.05点、環境保護への行動は55.17点、環境保護の 満足度は60.2点となった。(満点は100点) 回答者の中で環境破壊をしている企業を見かけたとき、関係部門に訴えるとしたのが15.8% 環境破壊行為をやめさせるため、関係部門に訴えるとしたのが23% 環境問題に直面した時に自ら進んで「政府部門(環境保護局を含む)に報告する」という回答は、 前年より4.9ポイント増え20.5%であった。 「報告しても無駄なので大抵は意見を言わない」との意見が、前年より0.8ポイント減少しては いるが依然11.7%という数字。 全国環境保護ホットラインの電話番号が「12369」だと知っている人は2005年より8ポイント減 少し、76%の回答者が知らないと答えた。(2007年1月16日 人民網) ●なぜ人口移動が起こるのか? 経済格差や貧富の格差の拡大 →農業か非農業かでの収入の違い 一人当たりの労働量の増加により、必要とされる人数の減少 →農村部で余剰労働者となった人は都市へ行くしかなくなる これらの原因により、大量の農民が大都市へ出稼ぎに行くことになってしまう。 ●人口移動が起きることで… 中国は農工間のバランスを喪失することになる。 開発・工業ばかりに目を向けることで食糧自給が下がる(偏ることになる)。 ●なぜ格差は大きくなるのか? 中国において人口過剰が抑えているが、押しとどめられているのは農村部の人口であり それにより相対労働生産性ないし農業従事者の相対収入も低くなるため。また、職 種が農業か非農業化による収入の違いが起こるため。 【問題】 農業労働力の収益が相対的に下がっていることと農業への投入不足が労働力の農業部 門から非農業部門への移動を必然化している。 制限措置によって大量な余剰労働力が都市に向かうことを阻止せざるをえない。 →都市部における非農業部門が高失業率である時期には、農村部で必要とされなくなっ た労働力が都市に入って非農業的職業につくことを政策によって制限せざるを得な いため これらの点から… 現在の農村部で起きている問題に対する対策が必要になる。現状のままでいてしまうと 格差は広がっていき、地域ごとの貧富の差がより大きくなってしまう。中国経済の成 長、発展のためには地方レベルの政治も考える必要がある。 三峡ダム(英語名three Georges dam) 1993~2009年完工 長江中流域、重慶市から湖北省宜昌市にかけて建設された世界でも大きなダムの一つ。 西部大開発の一環であり、開発の遅れる西部への電力輸送や、水資源の取引などもプロジェクト に取り組まれている。 プラス面: 1.水力発電―発電能力:年間約847億kW(世界一) →中国の年間消費電力の約1割 →主力である火力発電における石炭の消費量を4千万~5千万トン節減する また、2008年の時点で省エネ効果は石炭9千万トン分に匹敵、CO₂換算で約2億トンの削減 2.水運の発達 長江の整備により水運が発達。航行コストは1/4に抑えられ、石炭の使用量も大幅減少。長江自体 の通運能力も6倍になり、貯水前の貨物輸送量が、2007年には2004年の7倍にまで増加。 3.下流域における洪水の防止 増水期には最高水位まで貯水して、冬季の渇水期の発電に利用し、長江中下流の用水条件の改 善に役立て、また増水期前には、洪水防止制限水位まで落とし、洪水に備える。 4.その他 西部への電力や水資源の輸送、養殖可地域の拡大、また観光事業の発達、などの利点も。 マイナス面: 1.強制に伴う付近住民の強制退去 1993年着工の時点で130万人、2007年には更に200万人が強制退去させられた。雇用は生まれ るものの、移住後の保障がしっかりしていないなど、政府の政策の欠陥も目立つ。 2.土壌侵食、地盤沈下、地震の可能性 地層の緩い箇所は土砂崩れ、崖崩れ、陥没が起きている。地震の影響は深刻であり、三峡ダムの 貯水が始まって以来、地震はすでに200回を超える。 3.文化遺産や建物の水没 三峡地区は古くから貿易の中継地点として栄え(「三国志」の主要舞台でもある)、重要文化財が 水没するとみられている。また多くの工場も水没の危機にあり、化学薬品流出が危惧されて いる。また、上流域の工業都市、重慶からの排水によってダム自体が巨大な汚染湖となるの ではないかという懸念も存在している。 4.生物圏への影響 長い間生存が危ぶまれてきた長江(揚子江)の淡水イルカ、ヨウスコウカワイルカの絶滅。またダ ム建設に伴う水質変化により長江が流れ出る東シナ海、東シナ海の生物多様性を守る一因 の大陸棚、またその先にある日本海まで生物圏への影響を及ぼすと考えられる。 ⑦環境政策 ◎経済格差 80年代以降、グローバルな経済活動に有利な東部地域を優先的に開発した。 →中国には経済的な東西格差が見られる。 *沿岸部(北京、上海、広州、天津など大都市)では工業発展に伴い住民の所得が著しく 上昇、しかし大気汚染などにより生活環境は悪化 西部地域の住民が東部の大都市に流れ込む→人口が過密になる *内陸農村地帯では所得の増加は見られない→零細農民が多い。 農村部では収入増を目指しナタネ、トウモロコシ、国外輸出用作物の栽培が増加 →自然生態系は極めて脆弱になった ◎環境政策 中国の環境行政の特徴 →一党独裁体制のもと、共産党が強い強制力を持つ。 →しかし命令が下部組織にまで徹底されないことがある。 1999年 「西部大開発」政策を開始 目的:国民経済の持続的成長、地域間でのバランスの取れた発展、自然生態系の修復 1.インフラ整備(交通機関・電力供給・飲料水供給など) 2.生態環境保護(砂漠化対策、天然林保護、造林など) 3.産業構造の調整(特色を持つ優良産業の創設) 4.科学技術・教育の発展(貧困地域の義務教育無償化、職業教育、技術移転など) 5.対外開放(隣国との辺境貿易の促進、海外企業の誘致) 6.新規重点分野(エネルギー、鉱物資源、ハイテク産業、観光文化産業など) 「三同時制度」 事業所や工場を新設・増築・改築する場合、公害防止設備を施行・稼働させなくてはならな い。(1986年に環境アセスメント法が適用されて以来、一定の効果を挙げている) 「汚染排出費徴収制度」 82年導入。基準を超える環境汚染物質の排出者から、量と濃度に応じた罰金を徴収する。 *問題点→企業などが有害物質を出していても、罰金を支払うだけで済んでしまう 「環境影響評価制度」 すべての建設行為、現状変更行為は環境影響評価の審査を受けなければならない。 「環境目標制度」 省・市・県(日本の県・市・町村にあたる)による環境目標の公約(マニフェスト)。 ④都市部のごみ問題 中国の都市部のごみ問題の主な原因:工業生産の急速な拡大、経済 発展に伴う消費の活発化 ◆中国の生活ゴミの特徴◆ 主な特徴は、水含有量が高いことである。欧米の30‐35%に比べ、一般 には55%~65%、夏には70%にも達する。また、台所ゴミ、食べ 残しなどの有機廃棄物の割合が欧米先進国は20%に比べ45%~ 55%ある。加えて中国では依然混合収集が主流であり、分類収集 を推進しているにも関わらず、大部分の都市では混合されたまま の生ゴミを処理している。(cf. 先進国の生活ゴミ分類収集率は 60%以上で、ドイツなどの一部欧州諸国では80%超) →中国に適した設備・技術を開発すべき。 ◆ごみ処理施設について◆ 中国では660都市の生活ゴミ量が毎年4%の速さで増加していて、総量 は1.5億トンにもなる。都市の生活ごみ無害化処理率は51%(各地 方のデータ統計)。しかし、都市生活ゴミ無害化処理設備基準合格 率は約25%に過ぎなく、実際の処理率は20%にも満たない(255 都市の388ヵ所の生活ゴミ処理場の調査分析)。 ◆ごみ処理問題の要点◆ 埋立処理の割合が大きすぎる。(現在、ゴミ埋立処理の割合は85%超) 埋立場の気体が大気汚染をもたらしている。規範的無害化埋立場 の建設も、想像以上の投資が必要となる。例えば、日量処理能力 1000トンの埋立場には、2、3億の投資が必要となる。 2. ゴミ燃焼処理の発展が速すぎて、プロジェクト着工に安全上の課題 とリスクが存在する。現在、50の生活ゴミ焼却場が稼動しており、 100近くのゴミ焼却事業が現在計画・建設中である。(そのうち、広 東省東莞市だけでも10数ヵ所のゴミ焼却場建設を計画している。) そのゴミ焼却事業の一つがゴミ焼却発電である。 ゴミ焼却発電の良い点:ゴミ減量化と熱エネルギーの利用に一定の優 位性がある ゴミ焼却発電の問題点:①投資・運行コストが高い。(処理能力日量 1000トンのゴミ焼却事業には4~6億元の資金が必要である) ②ゴミ焼却発電は高い電力網接続価格に依存している。(石炭火力発 電の電力網接続料は1kWhあたり約0.3元であるが、ゴミ発電の電 力網接続価格は0.5元以上である。)発電収益を追求するため、一 部の企業では石炭を過剰投入し、「小火力発電」事業と化している。 ③焼却で発生した灰塵が正しく処理されていないこと。 ④ゴミ焼却で発生したダイオキシンによる汚染問題中国の生活ゴミ発 熱量は低く、先進国の約1/3しかないので、焼却には適していない。 3. リサイクルなどといった循環型社会が成立しておらず、資源回収率 が低い。 ◆ゴミ処理の技術路線を整備する必要性◆ 大部分の都市の生活ゴミを、生物前処理して、ゴミの水分や有機物を 重点的に削減し、後続処理と汚染物削減の条件を整える。北京順 義ゴミ焼却場の検査によると、生活ゴミは、簡単な生物醗酵と篩い 分けにより50%近く減量化でき、発熱量は約2.5倍上げられ、技術 経済効果を高められる。 ゴミの機械化分別を強化し、混合ゴミの分別効率を高める。 混合ゴミ焼却技術の発展を慎重にし、技術・経済的総合評価を強化す る。 混合ゴミ直接埋立を規制し、根本から汚染を抑える。 生活ゴミの最終処理段階で、直接に回収できる廃棄物は20%を超え、 そのうち、プラスチックとゴムが6%~9%を占め、紙類は4%~6%、 ほかにも一定量の繊維・金属・ガラスなどがある。機械化分別技術 問題を解決すれば、ゴミに含まれる使用可能資源の大部分の直 接回収が可能になり、同時にゴミ総量の8%を占める良質の基本 肥料の生産が可能となり都市緑化や林業に転用でき、資源回収 効率を更に高められる。 廃棄物加工利用の監督管理を強化し、規範化・大規模化された資源再 生産業を発展させることで、都市政府は関連政策の制定に取り組 み、都市緑化や林業における優先的使用を奨励し、化学肥料の 使用を徐々に削減していくようにする。【中国環境報】 私たちのグループが提案する開発に伴う環境問題への3つのSolutions ①より積極的な環境ビジネスの導入(⑧) 上海、天津などを中心に、ゼロエミッション社会の構築を 目指して「エコシティ」の構築が進んでいる。将来いっそ うの都市化が進むであろう中国において、環境に配慮した デザインを都市にほどこすことは不可欠であろう。 ②民主化と並行した環境意識の革新 ③脱石炭依存-原子力/水力 中国における環境汚染の進行を食い止めるためには、グリーンビジネスや原子力/水力発電の導入に並行するかたちでの、 民主化の促進が有効な手段であると私たちは主張する。 原子力を安全に運用するには、市民的な機構によるチェックが必要不可欠である。核兵器への利用を防止し、また核廃棄 物の違法投棄を防ぐためにも、NGOなどによる監査システムが不断に機能しなくてはならない(1)。また、ダム建設に伴う水 質汚染等の環境への悪影響を防ぐためにも市民によるチェックが必要である(2,3)。 市民による監査システムの構築、環境汚染に対しての民衆による法的な訴訟を促進するにあたりNGOは大きな手助けと なるはずである。2005年を通して、中国国内では50000件にものぼる数の訴訟が、環境汚染をめぐって発生した。これは、1 週間で1000件のペースで訴訟がなされていることになる。たとえば、2006年には、福建省地方において、村民らおよそ1700 人が、汚染物質を川に垂れ流していた工場を相手取って訴訟を起こした。裁判の結果、村民たちが勝訴した。 工場や企業を相手取って訴訟をする余地が、人々のあいだに開かれたのも、中国の一般民衆のあいだで法的な意識が要 請され、いっそうの民主化が求められているからである。したがって、民主化を促進し、一般の人々がよりいっそう環境問題 に対してプロテストがしやすい社会を構築することが、中国における環境問題を解決する大きな助けとなるはずである。 安価なエネルギー源であるために、中国の工業は石炭にたよってしまっているが、石炭依存が継 続された場合には、大量の温室効果ガスが排出され続け、結果として地球規模での温暖化が避けら れない。したがって、エネルギー源を石炭依存からより効率的な発電手段である原子力に切り替え ることは、たとえ核廃棄物の処理という危険を伴っていたとしても、避けられない選択であると私たち は提案する。 原子力発電の推進と同時に、現在進行中の三峡ダムのように、クリーンな発電手段である水力発 電などを、いっそう導入する必要があるだろう。原子力発電所と同様に水力発電のためのダムを設 置することもまた、森林伐採や決壊の危険など、環境に対して100パーセント安全であるわけでは ない。しかし、当面の目標は温室効果ガスを削減するために石炭依存から脱却することである。それ ゆえ、原子力や水力のリスクは、石炭依存を継続するリスクよりも低いと私たちは主張する。
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